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リンパック透析剤TA5

添付文書番号

3410543D1026_1_02

企業コード

530100

作成又は改訂年月

2023年10月改訂(第2版)
2022年3月作成(第1版)

日本標準商品分類番号

87341

薬効分類名

人工腎臓用透析液粉末製剤

承認等

リンパック透析剤TA5

販売名コード

YJコード

3410543D1026

販売名英語表記

LYMPACK TA5

販売名ひらがな

りんぱっくとうせきざいTA5

承認番号等

承認番号

30400AMX00187

販売開始年月

2022年5月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

1年6箇月

一般的名称

-

3. 組成・性状

3.1 組成

リンパック透析剤TA5

A剤

有効成分1袋(2753.3g)中
日本薬局方 塩化ナトリウム   1986.6g
1袋(2753.3g)中
日本薬局方 塩化カリウム   47.0g
1袋(2753.3g)中
日本薬局方 塩化カルシウム水和物   63.7g
1袋(2753.3g)中
塩化マグネシウム   40.0g
1袋(2753.3g)中
無水酢酸ナトリウム   110.3g
1袋(2753.3g)中
日本薬局方 ブドウ糖   472.5g
添加剤1袋(2753.3g)中
氷酢酸   33.2g

B剤

有効成分1袋(741.3g)中
日本薬局方 炭酸水素ナトリウム   741.3g

〈希釈・調製後の電解質・糖濃度(理論値)〉
電解質濃度(mEq/L)Na+  140
K+  2.0
Ca2+  2.75
Mg2+  1.25
Cl-  113.9
CH3COO-  6.02
HCO3-  28
ブドウ糖(mg/dL)C6H12O6  150

※pH調整剤 氷酢酸のCH3COO- 1.76mEq/Lを含む。

3.2 製剤の性状

リンパック透析剤TA5

A剤

性状白色~微黄色の粒状末

B剤

性状白色の結晶又は結晶性の粉末

4. 効能・効果

慢性腎不全における透析型人工腎臓の灌流液として、以下の要因を持つものに用いる。

  • 重炭酸濃度の高い重炭酸型透析液では、過度のアルカローシスを起こすおそれのある場合
  • 無糖の透析液では、血糖値管理の困難な場合
  • 他の重炭酸型透析液では、高カリウム血症、高マグネシウム血症の改善が不十分な場合、あるいは高カルシウム血症を起こすおそれのある場合

5. 効能・効果に関連する注意

  1. 5.1 本剤は慢性腎不全に対する通常の血液透析に使用するが、本剤の特徴や次の事項を考慮して使用すること。,
    1. 5.1.1 本剤は重炭酸濃度の低い製剤(使用時HCO3-:28mEq/L)であるので、重炭酸濃度の高い重炭酸型透析液では、過度のアルカローシスを起こすおそれのある場合に使用する。
    2. 5.1.2 本剤はブドウ糖を含む製剤(使用時:150mg/dL)であるので、ブドウ糖を含まない透析液では、透析中血糖値の急激な低下等、良好な血糖コントロールの困難な場合に使用する。
    3. 5.1.3 本剤はカリウム、カルシウム、マグネシウム濃度の低い製剤であるので、次のような場合に使用する。
      1. (1) カリウム、マグネシウム濃度の高い透析液では、高カリウム血症、高マグネシウム血症の改善が不十分な場合
      2. (2) 活性型ビタミンD3製剤やリン吸着剤としてカルシウム製剤等の薬剤使用中で、カルシウム濃度の高い透析液では、高カルシウム血症を起こすおそれのある場合

6. 用法・用量

通常、A剤を水に溶かし、9Lとする(A液)。
別にB剤を水に溶かし、11.34Lとする(B液)。このA液及びB液を、A液:B液:水=1:1.26:32.74の比率で希釈・調製する重炭酸型透析液供給装置を用いて血液透析を行う灌流液とする。
用量は透析時間により異なるが、通常、灌流液として150~300Lを用いる。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 本剤の使用に際しては、定期的に血液検査(電解質、酸・塩基平衡、BUN、クレアチニン、尿酸、血糖等)を行うことが望ましい。
  2. 8.2 長期使用する場合には、骨代謝異常があらわれることがあるので、定期的に臨床検査(生化学検査、X線検査等)を行い、活性型ビタミンD3製剤投与等の適切な処置を行うこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 高度の肝障害又は重症糖尿病等による酢酸代謝障害のある患者

    酢酸による末梢血管拡張作用、心機能抑制作用により、血圧低下等があらわれるおそれがある。

  2. 9.1.2 アルミニウム骨症の患者

    骨塩量を定期的に測定し、低下する場合はカルシウム濃度3.0mEq/L以上の透析液を用いること。骨塩量が低下することがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

    ジギタリス強心配糖体

    • ジゴキシン
    • メチルジゴキシン等

    ジギタリス中毒を起こすおそれがある。

    本剤を使用した透析により、血清カリウム値が低下する可能性がある。

    11. 副作用

    透析療法により次の症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には症状に応じて適切な処置を行うこと。
     
    循環器
    症状
    循環血液量の急激な減少による低血圧、ショック、血圧上昇
    カルシウム代謝異常
    症状
    低カルシウム血症(痙攣、気分不快感等)、骨代謝異常(骨粗鬆症、骨軟化症、線維性骨炎等)、異所性石灰沈着症
    血糖
    症状
    低血糖、高血糖
    体重・血圧
    症状
    体重増加、血圧上昇傾向(口渇感増強等による水分摂取増加)
    不均衡症候群
    症状
    頭痛、悪心、嘔吐、痙攣、意識混濁、不快、倦怠感等

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤調製時の注意

    1. 14.1.1 透析用水の水質は、(一社)日本透析医学会が定める最新の透析液水質基準を参照すること。
    2. 14.1.2 調製時には、以下の点に注意すること。
      • A剤(電解質・ブドウ糖)及びB剤(炭酸水素ナトリウム)は、各々単独では使用しないこと。
      • A剤とB剤は、直接混合し溶解しないこと。
      • 溶解したA剤(A液)及びB剤(B液)は、濃厚液の状態で混合しないこと。
    3. 14.1.3 定められた希釈液として調製すること。
      希釈濃度が不正確な場合は、以下のような症状を起こすことがあるので注意すること。
      • 濃度が高すぎた場合:意識障害、血圧上昇、動悸、頭痛
      • 濃度が低すぎた場合:意識障害、急激な血圧低下、胸内苦悶、全身倦怠、四肢のしびれ感
    4. 14.1.4 使用前に透析液の電解質濃度を測定し、それらが適正であることを確認すること。
    5. 14.1.5 *透析液の浸透圧比が0.90~1.00の範囲にあることを確認すること。浸透圧比は生理食塩液の浸透圧(286mOsm/L)に対する透析液の浸透圧測定値の比より求める。
    6. 14.1.6 透析液のpHは透析用水等の影響で若干の変動があり得るので、使用前にpH7.3~7.6の範囲内にあることを確認すること。
    7. 14.1.7 本剤は用時調製用の製剤であり、希釈調製後の透析液は速やかに使用すること。
    8. 14.1.8 残液は使用しないこと。

    14.2 薬剤使用時の注意

    1. 14.2.1 本剤は注射又は腹膜灌流に用いないこと。
    2. 14.2.2 血清浸透圧と透析液浸透圧とのバランスを保つこと。
    3. 14.2.3 透析液中の沈殿の有無を透析器前の透析液回路で確認し、沈殿を生じた透析液は使用しないこと。

    14.3 薬剤使用後の注意

    本剤は他の酢酸含有重炭酸型透析液よりpHが高くなり、炭酸塩が析出するおそれがある。そのため、透析装置、配管等の酸洗浄を頻回に行うことが望ましい。

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    1. 17.1.1 国内第Ⅲ相試験

      血液透析療法を施行中の慢性腎臓病患者53例を対象として、非盲検クロスオーバー法で本剤及び対照薬のリンパック透析剤TA3を各4週間使用した。その結果、尿毒症性物質(尿素窒素、クレアチニン、尿酸)の除去率は、本剤と対照薬で類似することが示された。
      本剤使用期において、副作用は49例中1例(2.0%)に認められ、そう痒症と肝機能異常であった1)

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    透析液は血液透析療法に用いられ、透析液と血液が透析器の透析膜を介して接することで拡散と限外濾過を行い体液の異常を是正する2)

    20. 取扱い上の注意

    1. 20.1 粉漏れの原因となるので、強い衝撃や鋭利なものとの接触等を避けること。
    2. 20.2 袋から粉末が漏れている場合は使用しないこと。

    22. 包装

    A剤(2753.3g)×3袋
    B剤(741.3g)×3袋

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    ニプロ株式会社 医薬品情報室

    *〒566-8510 大阪府摂津市千里丘新町3番26号

    TEL 0120-226-898
    FAX 050-3535-8939

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売元

    ニプロ株式会社

    *大阪府摂津市千里丘新町3番26号

    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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