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処方箋医薬品注)
通常、成人には、オメプラゾールとして1回20mgを、日局生理食塩液又は日局5%ブドウ糖注射液に混合して1日2回点滴静注する、或いは日局生理食塩液又は日局5%ブドウ糖注射液20mLに溶解して1日2回緩徐に静脈注射する。
肝代謝型であり、血中濃度が高くなるおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ウサギ経口138mg/kg)で胎児毒性(死亡吸収胚率の増加)が報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット経口5mg/kg)で、母乳中へ移行することが報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
一般に肝機能が低下していることが多い。
アタザナビル硫酸塩の作用を減弱するおそれがある。
本剤の胃酸分泌抑制作用によりアタザナビル硫酸塩の溶解性が低下し、アタザナビルの血中濃度が低下することがある。
リルピビリン塩酸塩の作用を減弱するおそれがある。
本剤の胃酸分泌抑制作用によりリルピビリン塩酸塩の吸収が低下し、リルピビリンの血中濃度が低下することがある。
これらの薬剤の作用を増強することがある。
本剤は主に肝臓のチトクロームP450系薬物代謝酵素CYP2C19で代謝されるため、本剤と同じ代謝酵素で代謝される薬物の代謝、排泄を遅延させるおそれがある。
抗凝血作用を増強し、出血に至るおそれがある。プロトロンビン時間国際標準比(INR)値等の血液凝固能の変動に十分注意しながら投与すること。
タクロリムスの作用を増強することがある。
相互作用の機序は不明である。これらの薬剤の血中濃度が上昇することがある。
高用量のメトトレキサートを投与する場合は、一時的に本剤の投与を中止することを考慮すること。
本剤の胃酸分泌抑制作用によりジゴキシンの加水分解が抑制され、ジゴキシンの血中濃度が上昇することがある。
これらの薬剤の作用を減弱することがある。
本剤の胃酸分泌抑制作用によりこれらの薬剤の溶解性が低下し、これらの薬剤の血中濃度が低下することがある。
本剤の作用を増強することがある。
本剤のCmax及びAUCが増加したとの報告がある。ボリコナゾールは本剤の代謝酵素(CYP2C19及びCYP3A4)を阻害することが考えられる。
ネルフィナビルの作用を減弱することがある。
相互作用の機序は不明である。ネルフィナビルの血中濃度が低下することがある。
クロピドグレル硫酸塩の作用を減弱することがある。
本剤がCYP2C19を阻害することにより、クロピドグレル硫酸塩の活性代謝物の血中濃度が低下する。
本剤の作用を減弱することがある。
セイヨウオトギリソウが本剤の代謝酵素(CYP2C19及びCYP3A4)を誘導し、本剤の代謝が促進され血中濃度が低下することが考えられる。
ショック、アナフィラキシー(血管浮腫、気管支痙攣等)があらわれることがある。
腎機能検査値(BUN、クレアチニン等)に注意すること。
咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれることがある。
せん妄、異常行動、失見当識、幻覚、不安、焦燥、攻撃性等があらわれることがある。
5%未満
頻度不明
過敏症
発疹
蕁麻疹、そう痒感、多形紅斑、光線過敏症
消化器
下痢・軟便、悪心、腹部膨満感、便秘、嘔吐、鼓腸放屁、カンジダ症、口渇、腹痛、口内炎、舌炎、顕微鏡的大腸炎(collagenous colitis、lymphocytic colitis)
肝臓
AST、ALT、Al-P、γ-GTP、LDHの上昇
血液
白血球数減少、血小板数減少、貧血
精神神経系
頭痛
めまい、不眠(症)、眠気、しびれ感、振戦、傾眠、異常感覚、うつ状態
その他
血管痛
発熱、味覚異常、霧視、浮腫、女性化乳房、脱毛、倦怠感、関節痛、頻尿、動悸、月経異常、筋肉痛、発汗、筋力低下、及びBUN、クレアチニン、尿酸、トリグリセライド、血清カリウム、総コレステロールの上昇、低マグネシウム血症
日局生理食塩液又は日局5%ブドウ糖注射液以外の溶解液、輸液、補液及び他剤との混合注射は避けること。
オメプラゾールの代謝には遺伝的多型があるため(「16.4代謝」の項参照)、血漿からの消失の速やかな個体群(Extensive metabolizer:EM)と緩やかな個体群(Poor metabolizer:PM)とに区分して解析した。日本人健康成人男子にオメプラゾールとして20mgを1日2回、6日間反復静脈内投与したときの薬物動態パラメータは以下の通りである1)。
群(例数)
投与回数
投与終了時の血漿中濃度(µg/mL)
消失半減期(h)
AUC0-∞(µg・h/mL)
EM(7)
初回
1.83±0.83
0.66±0.24
1.00±0.27
最終回
2.15±0.75
1.22±0.47
2.51±0.92※
PM(3)
2.00±0.38
2.52±0.52
4.87±2.08
1.65±0.35
3.50±1.01
5.88±2.74※
※:AUC0-12 平均値±標準偏差
オメプラゾールの消失半減期は、EMで約1時間、PMで約3時間であった。AUCは、EMに比してPMで約2~5倍大きかった1)。日本人健康成人男子に、オメプラゾールとして10~80mg(承認外の用量を含む)を静脈内投与後のAUCは、投与量に比例して増加した2)。外国人のデータでは、健康高齢者(75~79歳)3)及び腎機能障害患者4)に、オメプラゾール(20mg)を静脈内投与後の消失半減期は、それぞれ約1時間、0.6時間で若年健康成人との間に顕著な差はみられなかった。また、肝硬変患者におけるオメプラゾールの消失半減期は、約2.8時間に延長した5)。
オメプラゾールの血漿蛋白との結合率は、0.2~20µmol/Lの濃度範囲で一定であり、約96%であった6)。
外国人のデータでは、健康成人にオメプラゾールを経口投与したとき、血漿中の主代謝物はオメプラゾールスルホン及びヒドロキシオメプラゾールで、これらの代謝物はいずれも胃酸分泌抑制作用をほとんど示さなかった7),8)。また、ヒト肝ミクロソームによるin vitro試験の結果から、ヒドロキシ体及びスルホン体の生成にはそれぞれ主にCYP2C19及びCYP3A4が関与し、ヒドロキシ体への代謝クリアランスはスルホン体の4倍であると報告されている9),10)。CYP2C19には遺伝多型が存在し、遺伝学的にCYP2C19の機能を欠損する個体(PM)は日本人を含むモンゴル系人種で13~20%、コーカサス系人種で3~4%と報告されている11)。PMにおけるオメプラゾールの緩やかな代謝は、他のプロトンポンプ阻害剤12),13)と同様である。
外国人のデータでは、14C標識オメプラゾールナトリウム10mgを健康成人に静脈内投与したとき、尿中には投与量の78%、糞中には19%の放射能が排泄され、主排泄経路は尿中であった14)。
外国人のデータでは、ジアゼパム、ワルファリン、フェニトインがCYP2C19により代謝されるため、オメプラゾールとの併用によってジアゼパム15)及びフェニトイン16)のクリアランスは、それぞれ27%及び15%低下し、ワルファリン17)の血中濃度は12%上昇したとの報告がある。
オメプラゾール1回20mg、1日2回静脈内投与で3日間以内に止血が認められた症例は、90.8%(314例/346例)であり、内視鏡的な前処置を行わずに3日間以内に止血が認められた症例は90.6%(154例/170例)であった18),19),20),21),22),23),24),25),26),27)。
国内臨床試験において、オメプラゾール1回20mg投与例392例中、副作用が報告されたのは3例(0.8%)であった。その内訳は頭痛1例(0.3%)、薬疹1例(0.3%)及び血管痛1例(0.3%)であった。
経口剤による治療が不可能な2例に対しオメプラゾールとして1回20mgを1日2回3日間及び4日間、静脈内投与され、自他覚症状の消失、内視鏡所見の改善が認められた。副作用は報告されなかった28)。
胃腺の壁細胞基底膜上の受容体へ、各種酸分泌刺激物質が結合することにより、壁細胞内において一連の胃酸分泌反応がおきる。この反応の最終過程では、壁細胞内からH+を放出し、代わりにK+を取り込むプロトンポンプと呼ばれる酵素H+,K+-ATPaseが働いている。オメプラゾールは、このプロトンポンプの働きを阻害するため、各種酸分泌刺激物質による胃酸分泌を強く抑制する29),30)。胃酸は血小板凝集を抑制し、上部消化管出血を増悪するため、オメプラゾールの強力な胃酸分泌抑制作用により、上部消化管出血が抑制されるものと考えられる31)。
ウサギ29)及びヒト32)の胃粘膜H+,K+-ATPaseに対し阻害作用を示した。
ヒト分離胃底腺において、オメプラゾールは、ヒスタミン、dibutyryl cyclic AMP及びK+のいずれの刺激による胃酸分泌に対しても抑制作用を示した32)。オメプラゾールは、静脈内投与により、麻酔ラットにおけるヒスタミン刺激33)、迷走神経切断ラットにおけるペンタガストリン刺激34)、Heidenhain pouchイヌにおけるヒスタミン刺激35)のいずれの刺激による胃酸分泌に対しても強い抑制作用を示した。また、Heidenhain pouchイヌへの7日間反復静脈内投与により、オメプラゾールの胃酸分泌抑制作用は増強した33)。
健康成人男子12例を対象にオメプラゾールとして10mg、20mg、30mg単回静脈内投与し、テトラガストリン刺激胃酸分泌に対する作用を検討したところ、胃液量、酸度、酸分泌量のいずれにおいても10mg群の抑制効果は弱く、20mg群と30mg群の抑制効果はほぼ同程度であった36)。テトラガストリン刺激酸分泌量に対する抑制率は、オメプラゾール10mg、20mg、30mgの単回静脈内投与で各々61%、93%、94%であった。
オメプラゾールは、静脈内投与により、寒冷拘束ラットにおける胃出血及び胃酸分泌を抑制した33)。その他、経口投与により、ラットにおける水浸拘束ストレス、幽門結紮、インドメタシン、アスピリン、プレドニゾロン、エタノール及び酢酸胃潰瘍、並びに、メピリゾール及び酢酸十二指腸潰瘍など、いずれの実験的潰瘍においても潰瘍発生抑制あるいは治癒促進作用が認められた35),37)。
健康成人男子6例へのオメプラゾールとして1日2回20mg又は30mgのいずれの静脈内投与においても24時間にわたり胃内pH上昇効果が認められた38)。また、健康成人男子及び胃、十二指腸潰瘍患者(合わせて11例)へのオメプラゾールとして1日20mg又は40mgの静脈内又は点滴投与のいずれにおいても、投与後12時間の胃内pH4以上維持の胃酸分泌抑制効果に差はみられなかった39)。
オメプラゾールナトリウム(Omeprazole Sodium)
(RS)-Monosodium 5-methoxy-2-[(4-methoxy-3,5-dimethyl-2-pyridyl)methyl sulfinyl]benzimidazolate monohydrate
C17H18N3NaO3S・H2O
385.41
白色の結晶性の粉末である。水に極めて溶けやすく、エタノール(95)に溶けやすく、アセトニトリルに溶けにくい。水溶液(1→10)は旋光性を示さない。
1) 薬物動態試験 -1日2回6日間投与試験-(オメプラール注用:2001年4月4日承認、申請資料概要ヘ.3.1).(1))
2) 中島光好 他:薬理と治療. 1995;23(Suppl.8):5-20
3) Landahl S., et al.:Clin. Pharmacokinet. 1992;23:469-476
4) Naesdal J., et al.:Clin. Pharmacol. Ther. 1986;40:344-351
5) Andersson T., et al.:Clin. Pharmacokinet. 1993;24:71-78
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7) Regårdh CG.:Scand. J. Gastroenterol. 1986;21(Suppl.118):99-104
8) Cederberg C., et al.:Scand. J. Gastroenterol. 1989;24(Suppl.166):33-40
9) Andersson T., et al.:Br. J. Clin. Pharmacol. 1993;36:521-530
10) 代謝酵素の遺伝的多型(オメプラール注用;2001年4月4日承認、審査報告書)
11) 佐藤哲男 他:医薬品トキシコロジー. 南江堂. 1996:33
12) Katsuki H., et al.:Eur. J. Clin. Pharmacol. 1997;52:391-396
13) Yasuda S., et al.:Clin. Pharmacol. Ther. 1995;58:143-154
14) 14C標識による薬物動態試験(オメプラール注用:2001年4月4日承認、申請資料概要ヘ.3.1).(2))
15) Andersson T., et al.:Eur. J. Clin. Pharmacol. 1990;39:51-54
16) Gugler R., et al.:Gastroenterology. 1985;89:1235-1241
17) Sutfin T., et al.:Ther. Drug Monit. 1989;11:176-184
18) 荒木譲 他. 薬理と治療. 1995;23(Suppl.8):41-48
19) 三好秋馬 他:薬理と治療. 1995;23(Suppl.8):49-59
20) 三好秋馬 他:薬理と治療. 1995;23(Suppl.8):61-76
21) 三好秋馬 他:薬理と治療. 1995;23(Suppl.8):77-92
22) 三澤正 他:薬理と治療. 1995;23(Suppl.8):93-100
23) 森瀬公友 他:薬理と治療. 1995;23(Suppl.8):101-112
24) 牧山和也 他:薬理と治療. 1995;23(Suppl.8):113-125
25) 山西徹治 他:薬理と治療. 1995;23(Suppl.8):127-137
26) 上部消化管出血に対する臨床試験(オメプラール注用:2001年4月4日承認、申請資料概要ト.1.4))
27) 有効性(オメプラール注用:2010年6月29日、再審査報告書)
28) Zollinger-Ellison症候群に対する使用経験(オメプラール注用:2001年4月4日承認、申請資料概要ト.1.5))
29) 友井正明 他:日薬理誌. 1988;92:105-111
30) Wallmark B., et al.:J. Biological. Chemistry. 1985;260:13681-13684
31) 起原又は発見の経緯及び外国における使用状況等(オメプラール注用:2001年4月4日承認、審査報告書)
32) Elander B., et al.:Scand. J. Gastroenterol. 1986;21:268-272
33) 胃酸分泌抑制作用及び実験的胃出血に対する抑制作用試験(オメプラール注用:2001年4月4日承認、申請資料概要ホ.I.1)
34) Larsson H., et al.:Gastroenterology. 1983;85:900-907
35) 芳賀慶一郎 他:日薬理誌. 1988;92:39-47
36) 森治樹 他:薬理と治療. 1995;23(Suppl.8):21-29
37) Yamamoto O., et al.:Dic. Dis. Sci. 1984;29:394-401
38) 24時間胃内pH検討 -1日2回投与試験-(オメプラール注用:2001年4月4日承認、申請資料概要ト.1.3).(3))
39) 24時間胃内pH検討 -静注/点滴投与試験-(オメプラール注用:2001年4月4日承認、申請資料概要ト.1.3).(6))
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