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プリンペラン注射液10mg

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.2腎機能障害患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
13.過量投与
14.適用上の注意
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.5排泄
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2消化管の運動調整作用
18.3制吐作用
19.有効成分に関する理化学的知見
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

プリンペラン注射液10mg

添付文書番号

2399401A1083_4_05

企業コード

530169

作成又は改訂年月

2024年10月改訂(第2版)
2022年3月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

872399

薬効分類名

消化器機能異常治療剤

承認等

プリンペラン注射液10mg

販売名コード

YJコード

2399401A1083

販売名英語表記

Primperan Injection

販売名ひらがな

ぷりんぺらんちゅうしゃえき10mg

承認番号等

承認番号

21800AMX10082000

販売開始年月

1965年10月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

一般的名称

メトクロプラミド

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 2.2 褐色細胞腫又はパラガングリオーマの疑いのある患者[急激な昇圧発作を起こすおそれがある。]
  3. 2.3 消化管に出血、穿孔又は器質的閉塞のある患者[本剤には消化管運動の亢進作用があるため、症状を悪化させるおそれがある。]

3. 組成・性状

3.1 組成

プリンペラン注射液10mg

有効成分1管中
塩酸メトクロプラミド   10mg/2mL
(メトクロプラミドとして   7.67mg/2mL )
添加剤1管中
ピロ亜硫酸ナトリウム2mg、等張化剤、pH調節剤

3.2 製剤の性状

プリンペラン注射液10mg

剤形水性注射剤
色調無色~僅かに黄色を帯びた澄明な液
pH2.5~4.5
浸透圧比約1
(生理食塩液に対する比)

4. 効能又は効果

  • 次の場合における消化器機能異常(悪心・嘔吐・食欲不振・腹部膨満感)

    胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胆嚢・胆道疾患、腎炎、尿毒症、乳幼児嘔吐、薬剤(制癌剤・抗生物質・抗結核剤・麻酔剤)投与時、胃内・気管内挿管時、放射線照射時、開腹術後

  • X線検査時のバリウムの通過促進

6. 用法及び用量

メトクロプラミドとして、通常成人1回7.67mgを1日1~2回筋肉内又は静脈内に注射する。

なお、年齢、症状により適宜増減する。

7. 用法及び用量に関連する注意

1回あたりの製剤量は以下のとおりである。

1回投与量

塩酸メトクロプラミドとして10㎎、注射液1管

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 本剤の投与により、内分泌機能異常(プロラクチン値上昇)、錐体外路症状等の副作用があらわれることがあるので、本剤の投与に際しては、有効性と安全性を十分考慮のうえ投与すること。
  2. 8.2 眠気、めまいがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。
  3. 8.3 制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することがあるので注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 脱水・栄養不良状態等を伴う身体的疲弊のある患者

    悪性症候群(Syndrome malin)が起こりやすい。

9.2 腎機能障害患者

高い血中濃度が持続するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中に移行することが報告されている。

9.7 小児等

過量投与にならないよう注意すること。錐体外路症状が発現しやすい。とくに脱水状態、発熱時等には注意すること。

9.8 高齢者

副作用(錐体外路症状等)の発現に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど慎重に投与すること。本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多く、高い血中濃度が持続するおそれがある。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子
    • フェノチアジン系薬剤
      • プロクロルペラジン
      • クロルプロマジン
      • チエチルペラジン等
    • ブチロフェノン系薬剤
      • ハロペリドール等
    • ラウオルフィアアルカロイド薬剤
      • レセルピン等
    • ベンザミド系薬剤
      • スルピリド
      • チアプリド等

    内分泌機能異常、錐体外路症状が発現しやすくなる。

    本剤及びこれらの薬剤は抗ドパミン作用を有するため、併用により抗ドパミン作用が強くあらわれる。

    • ジギタリス剤
      • ジゴキシン
      • ジギトキシン等

    ジギタリス剤飽和時の指標となる悪心・嘔吐、食欲不振症状を不顕性化するおそれがある。

    本剤の制吐作用による。

    • カルバマゼピン

    カルバマゼピンの中毒症状(眠気、悪心・嘔吐、眩暈等)があらわれることがある。

    機序不明

    • 抗コリン剤
      • アトロピン硫酸塩水和物
      • ブチルスコポラミン臭化物等

    相互に消化管における作用を減弱するおそれがある。

    本剤は消化管運動を亢進するため、抗コリン剤の消化管運動抑制作用と拮抗する。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)

      ショック、アナフィラキシー(呼吸困難、喉頭浮腫、蕁麻疹等)があらわれることがある。

    2. 11.1.2 悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明)

      無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。

      なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。

    3. 11.1.3 意識障害(頻度不明)
    4. 11.1.4 痙攣(頻度不明)
    5. 11.1.5 遅発性ジスキネジア(頻度不明)

      長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれ、投与中止後も持続することがある。

    11.2 その他の副作用

    頻度不明

    錐体外路症状1)

    手指振戦、筋硬直、頸・顔部の攣縮、眼球回転発作、焦燥感

    内分泌

    無月経、乳汁分泌、女性型乳房

    消化器

    胃の緊張増加、腹痛、下痢、便秘

    循環器

    血圧降下、頻脈、不整脈

    精神神経系

    眠気、頭痛、頭重、興奮、不安

    過敏症

    発疹、浮腫

    その他

    めまい、倦怠感

    1) これらの症状が強い場合には、抗パーキンソン剤の投与等適切な処置を行うこと。

    13. 過量投与

    1. 13.1 症状

      錐体外路症状、意識障害(昏睡)等があらわれることがある。また外国において、本剤の大量投与によりメトヘモグロビン血症があらわれたとの報告がある。

    2. 13.2 処置

      透析によって除去されない。錐体外路症状に対しては、抗パーキンソン剤等を投与する。

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤調製時の注意

    1. 14.1.1 アンプルカット時

      ガラス微小片の混入を避けるため、エタノール綿等で清拭することが望ましい。

    2. 14.1.2 他剤との配合

      本剤はアルカリ性注射液と混合すると混濁を生じることがあるので配合しないこと。

    14.2 薬剤投与時の注意

    1. 14.2.1 筋肉内注射時

      下記の点に注意すること。

      ・筋肉内投与はやむを得ない場合にのみ、必要最小限に行うこと。同一部位への反復注射は行わないこと。特に小児等には注意すること。

      ・神経走行部位を避けること。

      ・注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合には、直ちに針を抜き部位をかえて注射すること。

      ・注射部位に疼痛、硬結をみることがある。

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    健康成人にメトクロプラミド20mgを経口投与した場合、消化管より速やかに吸収され約1時間後に最高血漿中濃度(54ng/mL)に達し、消失半減期4.7時間で減少した。健康成人にメトクロプラミド10mgを静脈内投与した場合、二相性に消失しβ相の半減期は5.4時間であった1)(外国人データ)。

    16.3 分布

    1. 16.3.1 乳汁中移行

      授乳婦にメトクロプラミド10mgを経口投与した場合、母乳中への移行が認められている2)

    16.5 排泄

    14C標識メトクロプラミド10mgを経口投与した場合、投与後24時間までに投与量の77.8%が、メトクロプラミド、N-グルクロン酸抱合体及び硫酸抱合体として尿中に排泄された3)(外国人データ)。

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    文献57報より集計した2,332例(経口、注射投与を含む)の疾患別治療成績は次のとおりである。

    1. 17.1.1 胃炎及び胃・十二指腸潰瘍

      胃炎、胃・十二指腸潰瘍に伴う消化器機能異常に対して、胃炎では164例中139例(84.8%)、胃・十二指腸潰瘍では48例中44例(91.7%)に効果がみられ、85~90%に奏効している。

    2. 17.1.2 胆道疾患及び腎疾患

      胆道疾患、腎炎、尿毒症に伴う悪心・嘔吐に対して、胆道系では136例中91例(66.9%)、腎炎では60例中51例(85.0%)、尿毒症では52例中41例(78.8%)に効果が認められている。

    3. 17.1.3 小児科領域の各疾患

      習慣性嘔吐、神経性嘔吐、自家中毒症等の嘔吐に対して132例中109例(82.6%)、胃腸炎による嘔吐に対して54例中52例(96.3%)に効果が認められている。また、神経性食思不振においては44例中29例(65.9%)に効果が認められている。

    4. 17.1.4 麻酔及び手術時、麻酔及び手術後の悪心、嘔吐

      麻酔及び手術時の悪心・嘔吐に対し204例中178例(87.3%)、麻酔及び手術後の悪心・嘔吐に対し93例中81例(87.1%)に効果が認められている。

    5. 17.1.5 薬剤投与時の胃腸障害

      抗結核剤、抗生物質、制癌剤、抗リウマチ剤等副作用として胃腸障害を伴いやすい薬剤と併用した場合では390例中319例(81.8%)に胃腸症状の消失又は軽減が認められている。

    6. 17.1.6 消化管検査への応用
      1. (1) 胃内・気管内挿管時

        胃内や気管内へ検査の目的で胃内視鏡やtubeを挿入した際の反射性嘔吐の抑制及び十二指腸ゾンデ又は腸生検用カプセルの十二指腸内到達時間の短縮を目的として、予防的にメトクロプラミドを使用し検査がスムーズに行われたものを有効とすると151例中114例(75.5%)に有効であった。

      2. (2) X線検査時バリウム停滞

        70例においてメトクロプラミド投与時と非投与時のバリウム胃排出時間を比較した試験では53例においてメトクロプラミド投与時でより迅速であった。

    7. 17.1.7 放射線照射時、その他

      悪性腫瘍に対する放射線療法に伴う悪心・嘔吐に対して211例中177例(83.9%)に有効であった。また、食欲不振、腹部膨満感等の消化器症状に対しても523例中458例(87.6%)に効果が認められている。

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    化学受容体引き金帯(CTZ)のドパミンD2受容体を遮断することにより制吐作用を示す。更に、セロトニン5-HT3受容体遮断作用の関与や5-HT4受容体刺激作用による消化管運動亢進作用も示唆されている4)

    18.2 消化管の運動調整作用

    1. 18.2.1 胃運動に及ぼす影響

      イヌを用いたバルーン法による実験で、メトクロプラミドは胃運動を亢進させることが確かめられている5),6)

      不定の胃愁訴を有する成人男女におけるレントゲン映画法による検討においても、本剤が胃運動の低下した状態に対して優れた効果を示し、その運動性と通過性を高めることが明らかにされている7)

    2. 18.2.2 幽門部・十二指腸の運動に及ぼす影響

      イヌを用いた実験で、メトクロプラミドは十二指腸の運動を亢進する5)。消化器疾患を有する成人男女において、本剤の投与により、幽門の機能的狭窄(痙攣)を除き、その通過性を促す。更に、十二指腸球部及びそれに続く十二指腸各部を拡張せしめ、その運動を亢進することが確かめられている8),9)

    3. 18.2.3 回腸・大腸の運動に及ぼす影響

      イヌを用いた実験で、メトクロプラミドは回腸運動に対して明らかな作用は示さず、大腸では全く作用が認められていない10)

    18.3 制吐作用

    メトクロプラミドは中枢性嘔吐、末梢性嘔吐のいずれに対しても制吐作用を示す。イヌを用いた実験で、アポモルヒネ又はヒデルギンの投与11),12)、あるいはchemoreceptor trigger zoneを直接電気刺激して起こした嘔吐に対しても13)、また、硫酸銅の経口投与による嘔吐に対しても6),14)、メトクロプラミドは明らかな抑制作用を示す。

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    一般的名称

    塩酸メトクロプラミド(Metoclopramide Hydrochloride)

    化学名

    4-Amino-5-chloro-N-(2-diethylaminoethyl)-2-methoxybenzamide dihydrochloride monohydrate

    分子式

    C14H22ClN3O2・2HCl・H2O

    分子量

    390.73

    性状

    塩酸メトクロプラミドは白色~淡黄白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはないか、又はわずかにアミン臭があり、味は極めて苦い。

    水、メタノール又はエタノール(95)に溶けやすく、アセトンに溶けにくく、クロロホルムに極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。

    水溶液(1→10)のpHは約1である。

    化学構造式

     

    22. 包装

    10管

    50管

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    日医工株式会社 お客様サポートセンター

    〒930-8583 富山市総曲輪1丁目6番21

    TEL(0120)517-215

    FAX(076)442-8948

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売元

    日医工株式会社

    富山市総曲輪1丁目6番21

    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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