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日本薬局方
イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒
先天性分岐鎖アミノ酸代謝異常のある患者[メープルシロップ尿症においては痙攣、呼吸障害等があらわれるおそれがある。]
食事摂取量が十分にもかかわらず低アルブミン血症を呈する非代償性肝硬変患者の低アルブミン血症の改善
通常、成人に1回1包を1日3回食後経口投与する。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
一般に生理機能が低下していることが多く、本剤の投与により血中のアンモニアの上昇等の代謝障害があらわれやすい。
0.1~5%未満
頻度不明
消化器
腹部膨満感、下痢、腹部不快感、食欲不振、口渇
嘔気、便秘、腹痛、嘔吐、おくび、胸やけ等
腎臓
BUN上昇、血中クレアチニン上昇等
代謝
血中アンモニア値の上昇等
肝臓
AST上昇、ALT上昇、T-Bilの上昇等
皮膚
発疹、そう痒等
その他
倦怠感、浮腫(顔、下肢等)、発赤、ほてり
アミノバクト配合顆粒及びリーバクト配合顆粒を、クロスオーバー法によりそれぞれ1包(L-イソロイシンとして952mg、L-ロイシンとして1904mg、L-バリンとして1144mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して各分岐鎖アミノ酸の血漿中濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、いずれもlog(0.8)〜log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された1)。
判定パラメータ
参考パラメータ
AUC0→10
(μg・hr/mL)
Cmax
(μg/mL)
Tmax
(hr)
t1/2
アミノバクト配合顆粒
98.3±13.9
25.4±6.0
0.83±0.17
5.8±1.7
リーバクト配合顆粒
97.2±10.2
27.0±6.0
0.75±0.18
12.5±20.6
(1包投与, Mean±S.D., n=20)
205.7±27.3
48.9±12.4
0.94±0.29
6.2±2.0
203.3±22.7
50.3±12.9
0.77±0.19
8.9±6.1
313.2±41.4
52.8±8.9
0.94±0.24
13.0±6.1
312.3±33.0
56.8±9.1
0.79±0.16
16.6±8.7
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
ラットにおいて投与された分岐鎖アミノ酸は速やかに吸収され、血漿及び全血中濃度は投与後4時間に最高値を示した後、ゆっくりと減少した。反復投与後もその吸収に大きな影響を与えなかった2)。
ラットに投与され、血漿中へ移行した分岐鎖アミノ酸は速やかに血漿蛋白合成に利用された。吸収された分岐鎖アミノ酸は全身に広く分布したが、蛋白合成の盛んな組織に強く分布した。反復投与においても、その分布に大きな影響を与えなかった2)。
ラットに投与された分岐鎖アミノ酸は168時間までに各々4%が尿・糞中に、41%が呼気中に排泄され、分岐鎖アミノ酸の一部はエネルギー源としても利用されていた。反復投与においても、その排泄に大きな影響を与えなかった2)。
低アルブミン血症の非代償性肝硬変患者248例を対象とした6ヵ月間の一般臨床試験において、低アルブミン血症の改善(血清アルブミン値の上昇)、血清総蛋白、トランスフェリン、体重の各栄養指標の改善及び全身倦怠感、易疲労感の改善が2週から2ヵ月の間に認められ、さらに、5ヵ月以降では腹水の改善が認められ、6ヵ月まで継続した。自他覚症状、栄養状態、精神神経症状、Quality of Life、安全度を総合したイソロイシン・ロイシン・バリン顆粒の有用率は51.2%(104例/203例)であった。副作用発現頻度は5.2%(13/248例)であり、主な副作用は便秘1.6%(4/248例)であった3)。その後、これらの患者の生命予後調査を実施した結果、試験終了後に栄養状態の改善効果がみられた症例及びイソロイシン・ロイシン・バリン顆粒を長期に投与した症例の生命予後が良好であった4)。
低アルブミン血症を呈する非代償性肝硬変患者193例を対象に、血清アルブミン値の変動を主たる評価項目として、プラセボ剤との二重盲検比較試験(12週間)を実施した。その結果、イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒投与により血清アルブミン値は上昇し、有意に優れた改善効果を示した。自他覚症状、栄養状態、精神神経症状、Quality of Lifeを総合した全般改善度は、イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒群45.8%(38例/83例)、プラセボ群17.3%(14例/81例)であり、さらに安全度を加味した有用率はイソロイシン・ロイシン・バリン顆粒群49.4%(42例/85例)、プラセボ群18.1%(15例/83例)であった。副作用発現頻度は5.1%(5/98例)であり、主な副作用は腹満感及び下痢でそれぞれ2.0%(2/98例)であった5)。
血清アルブミン値の推移と臨床症状、生命予後との関連性を検討する目的で、一般臨床試験の患者を対象に2年間の追跡調査を実施した。その結果、血清アルブミン値の推移は腹水、浮腫、Performance Statusの臨床症状と正の相関をしていることが明らかになった。生命予後との関連性では、1年間に血清アルブミン値が0.2g/dL上昇することにより、不変を基準とした時に比べて単位時間当たりの死亡危険率(ハザード比)は0.77となることが推定された6)。
イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒が生命予後に及ぼす影響について明らかにすることを目的として、肝硬変の進行に伴って発現する重篤な合併症である「肝硬変の肝不全病態悪化(腹水、浮腫、肝性脳症、黄疸)、食道静脈瘤破裂(胃静脈瘤破裂)、肝癌発生および死亡」を生命予後につながるイベントとし、これによる中止・脱落までの時間を食事治療群と比較する無作為化比較臨床試験(試験期間2年以上)を実施した。その結果、解析対象症例622例(食事治療群308例、イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒投与群314例)において、イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒投与群で有意に上記の重篤な肝硬変合併症の発現が抑制されていた。また、イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒投与群の食事治療群に対するハザード比は0.67、その95%信頼区間は0.49~0.93であった7)。
非代償性肝硬変患者の血中アミノ酸インバランスの是正を介して、アルブミン合成促進をもたらすものと考えられる8)。
低栄養状態(低アルブミン血症状態)の肝硬変モデルとして四塩化炭素慢性肝障害ラットを用いてイソロイシン・ロイシン・バリン顆粒の効果を検討した9),10)。
肝性脳症モデルとして門脈下大静脈吻合ラットを用いてイソロイシン・ロイシン・バリン顆粒の効果を検討した。イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒と同じ組成の分岐鎖アミノ酸投与により血漿及び脳内アミノ酸濃度、脳内モノアミン濃度が正常化したが、イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒と同一窒素量で同一エネルギー量の必須アミノ酸を投与した群ではむしろ増悪する傾向がみられた11)。
L-イソロイシン(L-Isoleucine)
(2S,3S)-2-Amino-3-methylpentanoic acid
C6H13NO2
131.17
白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはないか、又は僅かに特異なにおいがあり、味は僅かに苦い。ギ酸に溶けやすく、水にやや溶けにくく、エタノール(95)にほとんど溶けない。希塩酸に溶ける。
L-ロイシン(L-Leucine)
(2S)-2-Amino-4-methylpentanoic acid
L-バリン(L-Valine)
(2S)-2-Amino-3-methylbutanoic acid
C5H11NO2
117.15
白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはないか、又は僅かに特異なにおいがあり、味は僅かに甘いが、後に苦い。ギ酸に溶けやすく、水にやや溶けやすく、エタノール(95)にほとんど溶けない。希塩酸に溶ける。
4.74g×84包
4.74g×210包
1) 社内資料:生物学的同等性試験
2) 松沢淑雅 他:基礎と臨床. 1989;23(5):1943-1954
3) 武藤泰敏 他:JJPEN. 1989;11(9):1119-1134
4) 武藤泰敏 他:JJPEN. 1992;14(5):765-775
5) 武藤泰敏 他:JJPEN. 1989;11(9):1137-1154
6) 武藤泰敏 他:JJPEN. 1995;17(12):1135-1143
7) Y. Muto., et al.:Clinical Gastroenterology&Hepatology. 2005;3(7):705-713
8) 武藤泰敏 他:日本医事新報. 1983;No.3101, 3-9
9) 大橋弘幸 他:日本消化器病学会雑誌. 1989;86(8):1645-1653
10) 大橋弘幸 他:基礎と臨床. 1989;23(5):1905-1914
11) 大橋弘幸 他:基礎と臨床. 1989;23(5):1915-1929
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