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日本薬局方
ナテグリニド錠
処方箋医薬品注)
2型糖尿病における食後血糖推移の改善ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る。①食事療法・運動療法のみ②食事療法・運動療法に加えてα-グルコシダーゼ阻害剤を使用③食事療法・運動療法に加えてビグアナイド系薬剤を使用④食事療法・運動療法に加えてチアゾリジン系薬剤を使用
通常、成人にはナテグリニドとして1回90mgを1日3回毎食直前に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら1回量を120mgまで増量することができる。
外国において本剤投与例に心筋虚血の悪化によると思われる心筋梗塞を発症した症例が報告されている。
透析を必要とするような重篤な腎機能障害のある患者には投与しないこと。低血糖を起こすおそれがある。,
低用量から開始するなど投与量に十分に注意し、慎重に観察しながら投与すること。低血糖を起こすおそれがある。
低血糖を起こすおそれがある。また、肝機能障害の悪化があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。肝機能障害を悪化させるおそれがある。,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。本剤は動物実験で胎盤通過(ラット)、また、催奇形性作用(ウサギ)が認められている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤は動物実験(ラット)で母乳へ移行することが報告されている。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
一般に高齢者では生理機能が低下している。
糖尿病用薬
低血糖症状(空腹感、あくび、悪心、無気力、だるさ等の初期症状から血圧上昇、発汗、ふるえ、顔面蒼白等の症状を経て意識消失、けいれん、昏睡にいたる)、血糖降下作用が増強されることがあるので、血糖値モニターその他患者の状態を十分に観察し、必要であれば減量する。
作用機序が異なる薬理作用の相加作用による血糖降下作用の増強による。
アルドース還元酵素阻害剤
in vitro試験結果から、エパルレスタットとの併用により、本剤の血漿中濃度が最大で1.5倍に上昇する可能性が報告されている。
ピラゾロン系消炎剤
血中蛋白との結合抑制、腎排泄抑制、肝代謝抑制による。
サリチル酸製剤
血中蛋白との結合抑制、サリチル酸製剤の血糖降下作用による。
フィブラート系薬剤
血中蛋白との結合抑制、肝代謝抑制、腎排泄抑制による。
ミコナゾールフルコナゾールホスフルコナゾール
血中蛋白との結合抑制、肝代謝抑制による。
プロベネシド
腎排泄抑制による。
クマリン系薬剤
肝代謝抑制による。
サルファ剤
クロラムフェニコール
β-遮断剤
モノアミン酸化酵素阻害剤
肝における糖新生の抑制及び末梢におけるインスリン感受性の増強により血糖が低下する。
タンパク同化ホルモン剤
タンパク同化ホルモン剤が糖尿病患者のみに起こる血糖降下作用に加えて代謝抑制・排泄遅延説がある。
テトラサイクリン系抗生物質
インスリン感受性促進による。
アドレナリン
経口血糖降下剤の効果を減弱させ、血糖値が上昇してコントロール不良になることがある。食後の血糖上昇が加わることによる影響に十分注意すること。併用時は血糖値コントロールに注意し頻回に血糖値を測定し、必要に応じ投与量を調節する。
末梢でのグルコースの取り込み抑制及び肝での糖新生の促進により、血糖値を上昇させる。
副腎皮質ホルモン
肝での糖新生促進、末梢組織でのインスリン感受性低下による。
ニコチン酸
肝でのブドウ糖の同化抑制による。
卵胞ホルモン
機序不明コルチゾール分泌変化、組織での糖利用変化、成長ホルモンの過剰産生、肝機能の変化等が考えられる。
イソニアジド
糖質代謝の障害による血糖値上昇及び耐糖能異常による。
ピラジナミド
機序不明血糖値のコントロールが難しいとの報告がある。
フェノチアジン系薬剤
インスリン遊離抑制、副腎からのアドレナリン遊離による。
利尿剤
血清カリウムの低下、インスリンの分泌障害、組織におけるインスリンの感受性低下による。
フェニトイン
インスリン分泌を直接抑制する。
甲状腺ホルモン
血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与する。
血糖コントロール条件が変わることがある。
低血糖及び低血糖症状(空腹感、冷汗、めまい、ふらつき、動悸、脱力感、気分不良、ふるえ、意識消失等)があらわれることがある。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。,,,,,,
外国において本剤投与例に心筋梗塞の発症が報告されている。
外国において本剤投与例に原因不明の突然死が報告されている。
0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明
代謝
乳酸上昇、ピルビン酸上昇、尿酸上昇、血清カリウム上昇
消化器
嘔気、放屁増加、腹部膨満感、胃もたれ感、腹痛、便秘、下痢
嘔吐、軟便
舌炎、口内炎、口渇
過敏症
発疹、そう痒感
じん麻疹、多形紅斑
肝臓
肝機能異常(γ-GTP上昇、LDH上昇、AST上昇、ALT上昇等)
腎臓
腎機能障害
血液
貧血、白血球減少、血小板減少
その他
頭痛、動悸、めまい、倦怠感、体重増加、浮腫(顔面、下肢等)
胸部圧迫感、味覚異常、眠気、頻尿、ほてり、 熱感
勃起障害、筋痙攣、かすみ目
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
健康成人男性(n=6)に空腹時ナテグリニド20、40、60mgを経口投与したとき注1)、投与後0.9~1.8時間で最高値に達し、半減期は1.1~1.3時間であった1)。
投与量
Tmax(h)
Cmax(μg/mL)
t1/2(h)
20mg
1.31
1.52
1.16
40mg
1.75
3.13
1.12
60mg
0.92
4.68
1.27
ナテグリニド錠30mg「日医工」及びファスティック錠30を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(ナテグリニドとして30mg)健康成人男性に絶食単回経口投与して血漿中ナテグリニド濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された2)。
判定パラメータ
参考パラメータ
AUC0→8(μg・hr/mL)
Tmax(hr)
t1/2(hr)
ナテグリニド錠30mg「日医工」
3.02±0.48
1.76±0.616
0.90±0.61
1.48±0.30
ファスティック錠30
3.04±0.59
1.77±0.675
0.82±0.36
1.44±0.20
(1錠投与, Mean±S.D., n=24)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
ナテグリニド錠90mg「日医工」及びファスティック錠90を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(ナテグリニドとして90mg)健康成人男性に絶食単回経口投与して血漿中ナテグリニド濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された2)。
ナテグリニド錠90mg「日医工」
10.22±2.77
4.91±2.31
1.48±1.04
1.44±0.26
ファスティック錠90
10.02±2.56
4.72±1.83
1.11±0.69
1.39±0.33
(1錠投与, Mean±S.D., n=20)
血漿中薬物濃度推移
健康成人男性(n=10)に食前にナテグリニド60mgを経口投与したとき注1)、投与後約0.5時間で最高値に達し、半減期は約1時間であった3)。
健康成人男性にナテグリニド60mgを経口投与したとき注1)、血漿中のナテグリニドの代謝物としてイソプロピル基の水酸化体が最も多く、次いでイソプロピル基の脱水素体が認められ、他の代謝物は検出されなかった。
ナテグリニドは、ラットにおいて肝臓及び腎臓で代謝され、ヒトにおいては主として肝臓の薬物代謝酵素CYP2C9で代謝された4),5)(in vitro試験)。
尿中にはイソプロピル基の水酸化体が主として排泄され(投与量の約40%)、未変化体の尿中排泄率は約5%であった。一方、ラット及びイヌに放射能標識したナテグリニドを投与したとき、投与した放射能の30~40%が尿中に、50~60%が胆汁中に排泄された1),4),6),7),8)。
メトホルミン塩酸塩使用中の2型糖尿病患者にナテグリニドを1回60mg、90mg又は120mg1日3回毎食直前12週間経口投与したとき注1)の血漿中濃度は、ナテグリニドを単独で同量、単回投与した結果とそれぞれ類似していた9),10)。また、メトホルミン塩酸塩の薬物動態に大きな影響はなかった9),11)(外国人データを含む)。
ピオグリタゾン塩酸塩使用中の2型糖尿病患者に、ナテグリニドを朝食直前に120mg単回経口投与したときの血漿中濃度は、ナテグリニドを単独で同用量単回投与したときの結果と類似していた。また、ピオグリタゾン塩酸塩の未変化体及び活性化合物合計の血清中濃度に対し、ナテグリニド併用による影響はなかった12)。
2型糖尿病患者(190例)を対象に、ナテグリニド錠1回90mgまたは対照薬を1日3回毎食直前12週間経口投与した。ナテグリニド錠投与により食後血糖2時間値は投与前234.4mg/dLから投与後185.9mg/dLに低下した(低下量平均:48.5mg/dL)。また、HbA1c値は投与前7.36%から投与後6.68%に低下した(低下量平均:0.69%)。副作用発現割合は18.9%(17/90例)であり、低血糖症状の発現割合は3.3%(3/90例)であった13)。
12週間の用量設定試験終了後、長期継続試験に移行した2型糖尿病患者(93例)を対象に、ナテグリニド錠1回30mg注2)、60mg注2)、90mg又は120mgを1日3回毎食直前40週間(合計52週間)継続投与した結果、効果の持続が確認され、安定した血糖コントロールが得られた。用量設定試験期間を含めた副作用発現割合はナテグリニド錠90mgでは7.4%(2/27例)、120mgでは20.8%(5/24例)であり、すべて低血糖症状であった14)。
2型糖尿病患者(23例)を対象に、ナテグリニド錠1回90mg(120mgに増量可能)を1日3回毎食直前52週間経口投与した結果、効果の持続が確認され、安定した血糖コントロールが得られた。副作用の発現は認められなかった15)。
α-グルコシダーゼ阻害剤で治療中の2型糖尿病患者(31例)を対象に、ナテグリニド錠1回60mg注2)を1日3回毎食直前に2週間経口投与した時点で安全性を確認し、増量可能と判断された症例については1回90mgに増量し、さらに8週間(合計10週間)経口投与した。食後血糖2時間値は併用投与前215.4mg/dLから併用投与10週後158.9mg/dLに低下した(低下量平均:56.5mg/dL)。また、HbA1c値は併用投与前7.14%から併用投与10週後6.50%に低下した(低下量平均:0.63%)。副作用発現割合は14.8%(4/27例)であり、低血糖症状の発現割合は7.4%(2/27例)であった16)。
ビグアナイド系薬剤で治療中の2型糖尿病患者(80例)を対象に、ナテグリニド錠1回60mg注2)、90mg、120mg又はプラセボを1日3回毎食直前12週間経口投与した。食後血糖2時間値はナテグリニド錠90mgで併用投与前252.1mg/dLから併用投与後に低下した(低下量平均:73.5mg/dL)。また、HbA1c値はナテグリニド錠90mg(20例)で併用投与前7.52%から併用投与後6.73%に低下した(低下量平均:0.76%)。副作用発現割合はナテグリニド錠90mgでは25.0%(5/20例)、120mgでは22.7%(5/22例)であり、低血糖症状の発現割合はナテグリニド錠90mg、120mgでそれぞれ5.0%(1/20例)、13.6%(3/22例)であった9),17)。
ビグアナイド系薬剤にて血糖管理不十分な2型糖尿病患者(74例)を対象に、ナテグリニド錠1回90mg(120mgに増量又は60mg注2)に減量可能)を1日3回毎食直前52週間併用投与した結果、効果の持続が確認され、安定した食後血糖推移の改善効果が得られた。副作用の発現割合は全用量で9.5%(7/74例)であり、このうち90mg維持例では6.3%(3/48例)、90mgから120mgへ増量例では15.4%(4/26例)であった。低血糖症状の発現割合はナテグリニド錠90mg維持例、90mgから120mgへ増量例でそれぞれ4.2%(2/48例)、15.4%(4/26例)であった18)。
チアゾリジン系薬剤(ピオグリタゾン塩酸塩)で治療中の2型糖尿病患者(295例)を対象に、ナテグリニド錠1回60mg注2)、90mg、120mg又はプラセボを1日3回毎食直前24週間経口投与した。食後血糖2時間値はナテグリニド錠90mg(63例)で併用投与前254.6mg/dLから併用投与後に低下した(低下量平均:48.0mg/dL)。また、HbA1c値はナテグリニド錠90mg(70例)で併用投与前7.41%から併用投与後6.94%に低下した(低下量平均:0.47%)。ナテグリニド錠90mgまたは120mg併用投与時の副作用発現割合はそれぞれ18.6%(13/70例)及び21.1%(16/76例)であり、低血糖症状の発現割合はそれぞれ12.9%(9/70例)、10.5%(8/76例)であった19)。
上記17.1.4(1)の二重盲検併用試験終了後、長期継続投与試験に移行した患者(184例)を対象に、引き続き、ナテグリニド錠の各用量又はプラセボを1日3回毎食直前28週間(合計52週間)継続投与した結果、効果の持続が確認され、安定した血糖コントロールが得られた。ナテグリニド錠90mgまたは120mg併用投与時の副作用発現割合はそれぞれ13.6%(6/44例)及び11.3%(7/62例)であり、低血糖症状の発現割合はそれぞれ2.3%(1/44例)、8.1%(5/62例)であった20)。
ナテグリニドは膵β細胞を剌激し、インスリンの分泌を促進した21)(in vitro)。
ナテグリニド(Nateglinide)
N–[trans-4-(1-Methylethyl)cyclohexanecarbonyl]-D-phenylalanine
C19H27NO3
317.42
白色の結晶性の粉末である。メタノール又はエタノール(99.5)に溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けにくく、水にほとんど溶けない。希水酸化ナトリウム試液に溶ける。結晶多形が認められる。
アルミピロー開封後は湿気を避けて保存すること。
100錠[10錠×10;PTP]
1) 小坂樹徳 他:薬理と臨床. 1997;7(5):585-599
2) 陶易王 他:診療と新薬. 2013;50(4):369-377
3) 小坂樹徳 他:薬理と臨床. 1997;7(5):615-634
4) 第十八改正日本薬局方解説書 廣川書店 2021;C3784-C3789
5) 三原隆一 他:薬理と治療. 1997;25(Suppl.1):219-228
6) 島洋一郎 他:薬理と治療. 1997;25(Suppl.1):181-193
7) 三原隆一 他:薬理と治療. 1997;25(Suppl.1):195-205
8) 奥山光伸 他:薬理と治療. 1997;25(Suppl.1):207-217
9) 菊池方利 他:臨床医薬. 2008;24(8):717-739
10) 小坂樹徳 他:薬理と臨床. 1997;7(5):653-668
11) Hirschberg Y., et al.:Diabetes Care. 2000;23(3):349-353
12) 江藤隆 他:臨床医薬. 2009;25(1):77-91
13) 小坂樹徳 他:薬理と臨床. 1997;7(5):699-727
14) 小坂樹徳 他:薬理と臨床. 1997;7(5):797-818
15) 葛谷健 他:薬理と臨床. 1997;7(5):819-832
16) 垂井清一郎 他:薬理と臨床. 1997;7(5):767-784
17) 2型糖尿病患者・第Ⅱ相二重盲検群間比較試験(ファスティック錠・スターシス錠:2007年11月13日、審査報告書)
18) 菊池方利:臨床医薬. 2008;24(8):741-760
19) 菊池方利 他:臨床医薬. 2009;25(1):35-56
20) 菊池方利:臨床医薬. 2009;25(1):57-75
21) Ikenoue T., et al.:Br. J. Pharmacol. 1997;120(1):137-145
22) 小坂樹徳 他:薬理と臨床. 1997;7(5):601-614
23) 自然発症糖尿病モデルGKラットにおけるAY4166の効果(ファスティック錠・スターシス錠:2007年11月13日、審査報告書)
24) 秋吉恵 他:基礎と臨床. 1997;31(5):1725-1735
25) Ikenoue T., et al.:Biol. Pharm. Bull. 1997;20(4):354-359
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