当ウェブサイトを快適にご覧いただくには、ブラウザのJavaScript設定を有効(オン)にしていただく必要がございます。
毒薬
処方箋医薬品注)
通常、成人にはネダプラチンとして1日1回80~100mg/m2(体表面積)を投与し、少なくとも4週間休薬する。これを1コースとし、投与を繰り返す。なお、投与量は、年齢、疾患、症状により適宜増減する。本剤投与時、投与量に応じて300mL以上の生理食塩液又は5%キシリトール注射液に溶解し、60分以上かけて点滴静注する。本剤投与に引き続き1,000mL以上の輸液を点滴静注する。
骨髄抑制が増悪するおそれがある。,
初回投与量を適宜減量し、血液検査値に十分注意すること。骨髄抑制が強くあらわれることがある。
聴器障害が増悪するおそれがある。
本剤の骨髄抑制作用により、感染症が増悪するおそれがある。
致命的な全身障害があらわれることがある。
腎障害が増悪するおそれがある。
投与しないこと。
初回投与量を適宜減量し、腎機能検査値に十分注意すること。腎機能低下が強くあらわれることがある。
肝障害が増悪するおそれがある。
小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物試験でラットにおいて催奇形作用及び胎児致死作用が、ウサギにおいて胎児致死作用が報告されている。
授乳しないことが望ましい。類薬シスプラチンで母乳中への移行が報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
他の抗悪性腫瘍剤
放射線照射
骨髄抑制が増強されることがあるので、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
機序は不明共に骨髄抑制作用を有する。
アミノグリコシド系抗生物質
腎障害及び聴器障害が増強されることがあるので、異常が認められた場合には休薬するなど適切な処置を行うこと。
機序は不明共に腎毒性及び聴器毒性を有する。
バンコマイシン塩酸塩
ショック、アナフィラキシー(潮紅、呼吸困難、悪寒、血圧低下)等があらわれることがある。
汎血球減少(1~5%未満)、貧血、白血球減少、好中球減少、血小板減少、出血傾向(0.1~1%未満)等があらわれることがある。,
重篤な腎障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与継続の可否について慎重に検討すること。
アダムス・ストークス発作を起こして死亡した症例が報告されている。
難聴、高音域の聴力低下、耳鳴等があらわれることがある。
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
5%以上
0.1~5%未満
0.1%未満
精神神経系
頭痛、めまい、手足のしびれ等の末梢神経障害、味覚異常
痙攣
腎臓
BUN上昇、クレアチニン上昇
クレアチニンクリアランス低下、β2ミクログロブリン上昇、血尿、蛋白尿、乏尿、尿酸上昇
代謝性アシドーシス、NAG上昇
消化器
悪心・嘔吐、食欲不振
下痢、イレウス、腹痛、便秘、口内炎
循環器
心電図異常(頻脈、ST低下)
心筋障害
呼吸器
呼吸困難
泌尿器
排尿痛、排尿障害
過敏症
アレルギー反応(膨疹、発赤)、発疹
肝臓
AST上昇、ALT上昇、LDH上昇、Al-P上昇
ビリルビン上昇、血清総蛋白減少、血清アルブミン低下
電解質
ナトリウム、カリウム、クロール等の電解質異常
その他
脱毛、全身倦怠感、発熱、浮腫、皮膚潮紅、単純疱疹、白血球増多(一過性)
静脈炎、胸痛
本剤の臨床試験(全投与例632例)において、突然死(2例)及びアダムス・ストークス発作を起こして死亡した症例(1例)が報告されている。突然死の1例は基礎疾患として存在した高血圧による心不全が、他の1例は既往の心筋梗塞に由来する冠動脈梗塞、あるいは脳転移巣からの出血が、また、アダムス・ストークス発作の1例は投与前心電図においてST低下の所見があり、本剤投与による食欲不振、貧血が今回発作の誘因と想定されているが、いずれも剖検所見はなく、本剤との関連は明らかでない。
悪性腫瘍患者7例に注射用ネダプラチン80mg/m2及び100mg/m2を約60分間点滴静注後、原子吸光光度法にて測定した血漿中総白金濃度は、患者間でバラツキはあるものの、点滴終了時を最高値として2相性に推移し、AUCは投与量に応じて増大した。α相の消失半減期(T1/2α)は約0.1~1時間、β相の消失半減期(T1/2β)は約2~13時間であった1)。
症例
投与量(mg/m2)
年齢(歳)
性
Cmax(μg/mL)
AUC0-24(μg・hr/mL)
T1/2α(hr)
T1/2β(hr)
1
80
33
男
8.45
15.47
0.10
1.88
2
50
女
4.95
15.05
1.01
13.13
3
77
5.27
28.01
0.75
7.53
4
61
6.51
17.94
0.26
1.89
5
66
5.31
20.79
0.89
4.03
6
100
68
5.96
31.92
0.99
5.78
7
6.72
28.08
0.79
4.82
悪性腫瘍患者(表1の症例No.7)の血漿を限外ろ過法により、遊離型濃度を測定したところ、血漿中白金はほとんどが遊離型で存在していることが示された1)。
総白金濃度
遊離型白金濃度
6.50
22.77
0.90
2.71
ラットにネダプラチン3mg/kgを単回静脈内投与後の主要組織内白金濃度は、投与後10分に排泄経路である腎臓及び膀胱では血漿より高濃度を示したが、その他の組織では血漿より低かった。また、各組織からの白金の消失は血漿よりやや遅く、投与24時間後においても雄ラットの肝臓、腎臓、大腿骨及び雌ラットの腎臓で検出された。
ネダプラチンはラット、イヌではほとんど代謝されることなく血漿中では未変化体として挙動した。
悪性腫瘍患者に注射用ネダプラチン80mg/m2及び100mg/m2を約60分間点滴静注し、原子吸光光度法にて測定した24時間までの白金の尿中回収率は40~69%であった1)。
承認時までに実施された第2相臨床試験での有効性評価対象例418例における疾患別奏効率は下表のとおりであった2),3),4),5),6),7),8),9)。
疾患名
奏効(CR+PR)例数/有効性評価対象例数
奏効率(%)
頭頸部癌2),3)
(11+27)/90
42.2
肺小細胞癌4)
(0+9)/22
40.9
肺非小細胞癌4),9)
(1+16)/103
16.5
食道癌5)
(0+15)/29
51.7
膀胱癌6)
(2+6)/21
38.1
精巣(睾丸)腫瘍6)
(6+6)/15
80.0
卵巣癌7)
(4+18)/59
37.3
子宮頸癌7),8)
(8+24)/79
40.5
CR:complete response(著効)
PR:partial response(有効)
承認時における安全性評価対象例597例中、臨床検査値の異常変動を含む副作用は569例(95.3%)に認められた。再審査終了時における安全性評価対象例3091例中、臨床検査値の異常変動を含む副作用は2339例(75.67%)に認められた。主な副作用は、悪心224例(7.25%)、嘔吐138例(4.46%)、食欲不振105例(3.40%)等の消化器症状、脱毛73例(2.36%)であった。このうち重篤な症例は、悪心8例(0.26%)、嘔吐7例(0.23%)、脱毛12例(0.39%)等であった。主な臨床検査値の異常変動は、白血球減少1521例(49.21%)、ヘモグロビン減少729例(23.58%)、血小板減少1329例(43.00%)等の骨髄抑制であった。このうち重篤な症例は、白血球減少379例(12.26%)、血小板減少340例(11.00%)であり、本剤の投与量規制因子と考えられた。腎機能異常はBUN上昇201例(6.50%)、血清クレアチニン上昇95例(3.07%)等であり、重篤な症例は、BUN上昇18例(0.58%)等であった。また、肝機能異常はAST上昇221例(7.15%)、ALT上昇259例(8.38%)等であった。
ネダプラチンは細胞内に入った後、グリコレート配位子のアルコール性酸素と白金の結合が切れて、白金に水が付加したイオン種(活性種、すなわちアコ錯体)を生成する。次に、一方が外れたグリコレート配位子は不安定になって脱離し、種々のイオン種に変化し、これらのイオン種がDNAと結合する。このように本薬はシスプラチンと同様の経路でDNAと結合し、その結果、DNAの複製を阻害することにより抗腫瘍作用を示すと考えられる。なお、本薬あるいはシスプラチンとDNAとの反応においても、結合塩基の種類は完全に一致していることが確認されている10)。
動物
腫瘍(移植部位)
投与法、経路
最高ILS%注1)
化学療法係数注2)
マウス
Lewis肺癌(皮下)
連続5日、腹腔内
>53
2.2(78/35)
ネダプラチン(Nedaplatin)
cis-Diammineglycolatoplatinum
C2H8N2O3Pt
303.18
白色~淡黄色の結晶性の粉末である。水にやや溶けにくく、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
昇温により、着色、発泡等の変化を伴い分解し、明確な融点は認められない。
0.006[pH7、クロロホルム/緩衝液]
光及び熱により分解するので、高温を避け外箱開封後は直射日光を避けること。
1バイアル
1) 社内資料:癌患者における点滴静注時の白金の体内動態
2) 犬山征夫 他:癌と化学療法. 1992;19(6):863-869
3) 犬山征夫 他:癌と化学療法. 1992;19(6):871-877
4) 古瀬清行 他:癌と化学療法. 1992;19(6):879-884
5) 田口鐵男 他:癌と化学療法. 1992;19(4):483-488
6) Akaza H., et al.:Cancer Chemother. Pharmacol. 1992;31:187-192
7) 加藤俊 他:癌と化学療法. 1992;19(5):695-701
8) 野田起一郎 他:癌と化学療法. 1992;19(6):885-892
9) Fukuda M., et al.:Cancer Chemother. Pharmacol. 1990;26:393-396
10) 社内資料:白金化合物と核酸の反応特異性に関する検討
日医工株式会社 お客様サポートセンター
〒930-8583 富山市総曲輪1丁目6番21
TEL(0120)517-215
FAX(076)442-8948
日医工株式会社
富山市総曲輪1丁目6番21
Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.