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処方箋医薬品注)
アンピシリンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、大腸菌、プロテウス・ミラビリス、インフルエンザ菌
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、淋菌感染症、腹膜炎、子宮内感染、子宮付属器炎、眼瞼膿瘍、麦粒腫、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、抜歯創・口腔手術創の二次感染、猩紅熱
「抗微生物薬適正使用の手引き」1)を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。
通常、成人の場合、1日量500~1000mg(力価)とし、これを3~4回に分割して経口投与する。
小児の場合は、1日量15~40mg(力価)/kgとし、これを3~4回に分割して経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。
投与量・投与間隔の適切な調整をするなど慎重に投与すること。血中濃度半減期が延長する。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)において、大量(3,000mg/kg/day)投与による催奇形作用が報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中へ移行することが報告されている2)。
次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
*アロプリノール
*アンピシリンとの併用により、発疹の発現が増加するとの報告がある3)。
*機序不明だが薬剤性の発疹がアロプリノールとアンピシリンを併用していた67例の入院患者のうち22.4%に認められ、アンピシリン単独服用例の1,257例では7.5%に認められた。またアンピシリンを併用しないアロプリノール服用患者283例のうち2.1%が薬剤性発疹を経験したという報告がある。
*抗凝血剤
*ペニシリンが血小板の凝集・凝固に影響を与え、出血傾向を増強するおそれがある。
*抗凝血作用とペニシリンの血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される可能性がある。
経口避妊薬
経口避妊薬の効果が減弱するおそれがある。
腸内細菌叢を変化させ、経口避妊薬の腸肝循環による再吸収を抑制すると考えられる。
*ラロキシフェン塩酸塩
*ラロキシフェン塩酸塩の血中濃度が低下するおそれがある。
*アンピシリンにより腸内細菌叢が減少することによりラロキシフェン塩酸塩の腸肝循環が低下するためと考えられる。
*メトトレキサート
*ペメトレキセドナトリウム水和物
*これらの薬剤の血中濃度が増加し、副作用が増強するおそれがあるので、併用療法を行う場合には、慎重に投与すること。
*本剤がこれらの薬剤の腎排泄を競合的に阻害し、クリアランスを遅延させるおそれがある。
*プロベネシド
*併用により、本剤の血中濃度上昇、血中濃度半減期の延長、本剤の持つ毒性リスクの上昇のおそれがある。
*プロベネシドの尿細管分泌抑制作用により本剤の排泄が遅延するおそれがある。
*パラアミノ馬尿酸ナトリウム
*本剤の作用が増強するおそれがある。
*パラアミノ馬尿酸ナトリウムが本剤の尿中排泄を阻害し、本剤の血中濃度を上昇させると考えられている。
不快感、口内異常感、喘鳴、呼吸困難、眩暈、全身潮紅、全身そう痒感、血管浮腫、血圧低下等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがある。
偽膜性大腸炎、出血性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがある。腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
AST、ALT、γ-GTP、LDH、Al-P上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明
過敏症
発疹、そう痒感
発熱、蕁麻疹
血液
貧血、顆粒球減少、血小板減少、好酸球増多
消化器
下痢、 悪心・嘔吐、胃部不快感、食欲不振
腹部膨満感、便秘、胸やけ
菌交代症
口内炎、大腸炎(カンジダあるいは非感受性のKlebsiella等による)
ビタミン欠乏症
ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)
本剤の投与により、ベネディクト試薬、あるいはフェーリング試薬による尿糖検査では偽陽性を呈することがある。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
食道に停留し崩壊すると、まれに食道潰瘍を起こすことがあるので、多めの水で服用させ、特に就寝直前の服用等には注意すること。
健康成人男子6名にバカンピシリン250mg(力価)を空腹時又は食後に経口投与した場合、血清中濃度は投与後1時間で最高に達し、その濃度は各々6.29μg/mL、4.22μg/mLであり、食事の影響をほとんど受けなかった4)。
健康成人にバカンピシリン250mg(力価)を空腹時又は食後に経口投与した場合、大部分はアンピシリンとして、6時間までに各々59.4%、55.3%が尿中に排泄された4)。
腎機能障害患者にバカンピシリン500mg(力価)を経口投与した場合、腎機能低下に応じて、排泄速度が遅延した。また、t1/2が延長し、AUCの上昇がみられた5)。
Group※
例数
(例)
血清クレアチニン
(mg/dL)
排泄速度定数
(/h)
Cmax
(μg/mL)
tmax
(h)
t1/2
AUC0-24h
(μg・h/mL)
A1
2
0.8
0.66±0.06
11.33±2.34
0.50±0.18
1.05±0.09
23.55±3.54
A2
2.7~2.8
0.20±0.08
10.93±7.46
3.55±1.55
3.69±1.44
108.50±70.73
A3
3.6~7.5
0.12±0.02
12.16±2.19
2.37±0.39
5.67±0.93
122.86±28.19
A4
5
7.2~15.7
0.08±0.02
17.04±9.60
3.38±2.81
9.63±3.00
292.88±206.11
※腎機能(血清クレアチニン)により4Groupに分類。
A1:腎機能正常例、A2:血清クレアチニンが2~3mg/dLの症例、A3:血清クレアチニンが3~8mg/dLの症例、A4:血液透析患者
小児患者(4~12歳)にバカンピシリン10mg/kg又は20mg/kg(力価)を空腹時に経口投与した場合、投与後6時間までに、各々53.5%、47.2%が尿中に排泄され、その半分以上が2時間までに排泄された。血中濃度は1~2時間後に最高に達した。Cmax及びAUCには、年齢による差はみられなかった6)。
投与量
(mg/kg)
(min)
10
11
7.02
1.02
45.23
14.67
20
8
12.81
0.76
61.16
23.26
※小児患者(4~9歳)のデータ
注)本剤の承認された用法及び用量は、成人の場合、1日量500~1000mg(力価)を3~4回に分割して経口投与である。
せつ、せつ腫症、毛包炎(ニキビを除く)、蜂巣織炎、リンパ管炎の患者に対しバカンピシリン(BAPC)1000mg(8錠:1錠中に125mg(力価))注1)/日又はアンピシリン(ABPC)2000mg(8錠:1錠中に250mg(力価))/日を1日4回(毎食後及び就寝前)経口投与する二重盲検比較試験において、有効率は下表のとおりであり、本剤の有用性が示された。また、両群間に有意差を認めなかった。BAPC投与群において副作用は13.6%(8/59例)に認められ、主な副作用は発疹、食欲減少各3.8%(2/53例)であった7)。
薬剤
投与例数
著効(例)
有効(例)
有効率(%)
BAPC
53
31
18
92.5(49/53)
ABPC
54
30
88.9(48/54)
呼吸器感染症(咽喉頭炎、気管支炎、肺炎、気管支肺炎、気道感染の増悪)の患者に対しバカンピシリン750mgないし1000mg(3又は4錠:1錠中に250mg(力価))/日を1日3回(毎食後)又は4回(毎食後及び就寝前)経口投与した臨床試験において、投与80例に対して著効15例、有効53例で有効率85.0%(68/80例)であった。副作用は4.8%(4/87例:投与中止症例3例を含む)に認められ、悪心2.3%(2/87例)、嘔吐、下痢、食欲不振、発疹各1.1%(1/87例)であった8)。
細菌性肺炎の患者に対しバカンピシリン(BAPC)1000mg(4錠:1錠中に250mg(力価))/日又はアモキシシリン(AMPC)1000mg(4カプセル:1カプセル中に250mg(力価))/日を1日4回経口投与する二重盲検比較試験において、有効率は下表のとおりであり、両剤投与群間に有意差を認めなかった。BAPC投与群において副作用は28.2%(20/71例:投与中止症例を含む)に認められ、主な副作用は血清トランスアミナーゼの上昇12.7%(9/71例)、好酸球増多、血液像異常各5.6%(4/71例)であった9)。
57
4
35
68.4(39/57)
AMPC
59
41
76.3(45/59)
急性扁桃炎の患者に対しバカンピシリン1000mg(4錠:1錠中に250mg(力価))/日を1日4回経口投与する臨床試験において、投与30例に対して著明改善25例、改善3例で改善率93.3%であった。副作用は全例にみとめなかった10)。
急性化膿性中耳炎及び急性扁桃炎の患者に対しバカンピシリン(BAPC)1000mg(4錠:1錠中に250mg(力価))/日又はアモキシシリン(AMPC)1000mg(4カプセル:1カプセル中に250mg(力価))/日を1日4回(毎食後及び就寝前)経口投与する二重盲検比較試験において、有効率は下表のとおりであり、2群間に有意差を認めなかった。BAPC投与群において副作用は7.1%(9/126例)に認められ、主な副作用は胃腸症状4.8%(6/126例)であった11)。
対象疾患
改善度
著明(例)
中等度(例)
軽度(例)
急性中耳炎
60
23
21
7
85.0(51/60)
58
24
17
89.7(52/58)
急性扁桃炎
62
49
100 (62/62)
65
15
6
95.4(62/65)
急性単純性膀胱炎の患者に対しバカンピシリン(BAPC)1000mg(4錠:1錠中に250mg(力価))/日ないし500mg(4錠:1錠中に125mg(力価)注1))/日又はアンピシリン(ABPC)1000mg(4錠:1錠中に250mg(力価))/日を1日4回(毎食後及び就寝前)経口投与する二重盲検比較試験において、有効率は下表のとおりであり、3群間に有意差を認めなかった。副作用はBAPC1000mg投与群において5.1%(5/98例)に認められ、うち4例は消化器障害であった12)。
BAPC(1000mg)
98
69
90.8(89/98)
BAPC(500mg)
93
34
89.2(83/93)
ABPC(1000mg)
99
36
90.9(90/99)
膀胱炎の患者に対しバカンピシリン750mgないし1000mg(3又は4錠:1錠中に250mg(力価))/日を1日3回(毎食後)又は4回(毎食後及び就寝前)経口投与した臨床試験において、有効率は下表のとおりであった。副作用は急性単純性膀胱炎の患者2例において胃腸障害を認めた13)。
急性単純性膀胱炎
14
3
100(14/14)
慢性複雑性膀胱炎
1
66.7(4/6)
扁桃炎、咽頭炎、猩紅熱、中耳炎、頸部リンパ節炎、歯肉口内炎の患児に対しバカンピシリン750mg(3錠:1錠中に250mg(力価))/日(19~40mg/kg/日)を1日3回(毎食後)経口投与した臨床試験において、投与17例に対して有効率は82.4%(14/17例)であった。副作用は全例に認めなかった14)。
猩紅熱の患児(体重15kg以上30kg以下)に対しバカンピシリン(BAPC)又はタランピシリン(TAPC)※を1日投与量がほぼ20~30mg(力価)/kgとなるように体重20kg未満には400mg(力価)/日(8カプセル:1カプセル中に50mg(力価)注1))、20kg以上30kg以下には600mg(力価)/日(12カプセル)1日4回(毎食後及び就寝前)経口投与した二重盲検比較試験において、有効率は下表のとおりであり、両群間に差はなかった。BAPC投与群において副作用は4.5%(6/133例)に認められ、主な副作用は薬疹3.8%(5/133例)であった15)。
120
61
95.8(115/120)
TAPC
115
52
95.6(110/115)
※タランピシリン(TAPC)は販売中止品。
バカンピシリンは、生体内でアンピシリンとなり、細菌の細胞壁合成を阻害することにより殺菌的に作用する16)。
インフルエンザ菌、大腸菌、プロテウス・ミラビリス及び淋菌などのグラム陰性菌並びに肺炎球菌、腸球菌、化膿レンサ球菌、表皮ブドウ球菌及び黄色ブドウ球菌などのグラム陽性菌に対して優れた抗菌作用を示す。
マウスでの感染治療実験で、インフルエンザ菌、大腸菌、プロテウス・ミラビリス、黄色ブドウ球菌などによる感染症に対して優れた治療効果を示す。また、生体防御能の低下した状態のマウス(実験的白血球減少症マウス)での大腸菌による感染症において、アンピシリン、アモキシシリンより優れた治療効果が認められている17),18)。
バカンピシリン塩酸塩(Bacampicillin Hydrochloride)
1-Ethoxycarbonyloxyethyl(2S,5R,6R)-6-[(2R)-2-amino-2-phenylacetylamino]-3,3-dimethyl-7-oxo-4-thia-1-azabicyclo[3.2.0]heptane-2-carboxylate monohydrochloride
C21H27N3O7S・HCl
501.98
白色~微黄色の結晶性の粉末である。メタノール又はエタノール(95)に溶けやすく、水にやや溶けやすい。
アルミピロー包装開封後は、湿気を避けて保存すること。
100錠[10錠×10;PTP:乾燥剤入り]
1) 厚生労働省健康局結核感染症課編:抗微生物薬適正使用の手引き
2) 青河寛次 他:Chemotherapy. 1979;27(S-4):362-367
3) N. Engl. J. Med. 1972;286(10):505-507
4) 三木文雄 他:Chemotherapy. 1979;27(S-4):132-142
5) 平野尚 他:Chemotherapy. 1984;32(3):156-163
6) 杉田守正 他:小児科診療. 1986;49(2):321-326
7) 荒田次郎 他:Chemotherapy. 1979;27(S-4):416-423
8) 前川暢夫 他:日本胸部臨床. 1983;42(7):616-625
9) 三木文雄 他:Chemotherapy. 1979;27(5):725-759
10) 杉田麟也 他:新薬と臨牀. 1982;31(5):767-769
11) 三辺武右衛門 他:耳鼻と臨牀. 1979;25(5):1398-1414
12) 河田幸道 他:Chemotherapy. 1979;27(S-4):318-335
13) 藤村宣夫 他:Prog. Med. 1982;2(8):1313-1316
14) 西田直巳 他:診療と新薬. 1982;19(6):1551-1554
15) 中溝保三 他:感染症学雑誌. 1979;53(3):121-138
16) 加藤安之 他:Chemotherapy. 1979;27(S-4):59-63
17) 川崎賢二 他:Chemotherapy. 1979;27(S-4):1-6
18) 大槻雅子 他:Chemotherapy. 1979;27(S-4):7-16
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