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日本薬局方
注射用ミノサイクリン塩酸塩
処方箋医薬品注)
テトラサイクリン系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者
ミノサイクリンに感性の黄色ブドウ球菌、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、モラクセラ・ラクナータ(モラー・アクセンフェルト菌)、炭疽菌、大腸菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、インフルエンザ菌、シュードモナス・フルオレッセンス、緑膿菌、バークホルデリア・セパシア、ステノトロホモナス(ザントモナス)・マルトフィリア、アシネトバクター属、フラボバクテリウム属、レジオネラ・ニューモフィラ、リケッチア属(オリエンチア・ツツガムシ)、クラミジア属、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)
敗血症、深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、炭疽、つつが虫病、オウム病
「抗微生物薬適正使用の手引き」1)を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。
点滴静脈内注射は、経口投与不能の患者及び救急の場合に行い、経口投与が可能になれば経口用剤に切り替える。通常成人には、初回ミノサイクリン塩酸塩100~200mg(力価)、以後12時間ないし24時間ごとに100mg(力価)を補液に溶かし、30分~2時間かけて点滴静脈内注射する。
炭疽の発症及び進展抑制には、類薬であるドキシサイクリンについて米国疾病管理センター(CDC)が、60日間の投与を推奨している。
観察を十分に行うこと。ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。
副作用が強くあらわれるおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。胎児に一過性の骨発育不全、歯牙の着色・エナメル質形成不全を起こすことがある。また、動物実験(ラット)で胎児毒性が認められている。
授乳しないことが望ましい。母乳中へ移行することが報告されている2)。
他の薬剤が使用できないか、無効の場合にのみ適用を考慮すること。小児(特に歯牙形成期にある8歳未満の小児)に投与した場合、歯牙の着色・エナメル質形成不全、また、一過性の骨発育不全を起こすことがある。
次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
抗凝血剤
血漿プロトロンビン活性を抑制することがある。
本剤による腸内細菌の減少が、ビタミンK合成を阻害し、抗凝血剤の作用を増強するほか、本剤がカルシウムイオンとキレート結合し、血漿プロトロンビン活性を抑制すると考えられている。
スルホニル尿素系血糖降下薬
血糖降下作用が増強することがある。
機序は不明であるが、スルホニル尿素系薬剤の血糖降下作用がオキシテトラサイクリン及びドキシサイクリンによって増強されるという報告がある。
メトトレキサート
メトトレキサートの作用が増強されることがある。
本剤は血漿蛋白と結合しているメトトレキサートを競合的に置換遊離し、メトトレキサートの作用を増強させることが考えられる。
ポルフィマーナトリウム
光線過敏症を起こすおそれがある。直射日光、集中光等を避けること。
皮膚の光感受性を高める薬剤との併用により、本剤による光線過敏症が増強されることが考えられる。
ジゴキシン
本剤がジゴキシンの作用を増強し、中毒症状が発現することがある。併用時はジゴキシンの中毒症状に注意すること。
本剤による腸内細菌の減少のため、腸内細菌によるジゴキシンの代謝が不活性化され、ジゴキシンの血中濃度が上昇すると考えられる。
黄体・卵胞ホルモン配合剤
黄体・卵胞ホルモン配合剤の効果の減弱化及び不正性器出血の発現率が増大するおそれがある。
本剤による腸内細菌の減少のため、黄体・卵胞ホルモン配合剤の腸肝循環による再吸収が抑制されると考えられる。
外用剤を除くビタミンA製剤、レチノイド製剤
頭蓋内圧上昇があらわれることがある。
本剤及びこれらの薬剤はそれぞれ頭蓋内圧上昇を起こすことがある。
不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴、発汗、全身潮紅、呼吸困難、血管浮腫(顔面浮腫、喉頭浮腫等)、意識障害等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
特に6ヵ月以上使用している長期投与例で多く報告されている。
発熱、倦怠感、体重減少、関節痛、筋肉痛、網状皮斑、しびれ等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。特に6ヵ月以上使用している長期投与例で結節性多発動脈炎が多く報告されている。
長期投与例で、抗核抗体が陽性となる自己免疫性肝炎があらわれることがある。
発熱、紅斑、そう痒感、眼充血、口内炎等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
初期症状として発疹、発熱がみられ、さらにリンパ節腫脹、肝機能障害等の臓器障害、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
汎血球減少、無顆粒球症、顆粒球減少、白血球減少、血小板減少、溶血性貧血、貧血があらわれることがある。
肝不全等の重篤な肝機能障害があらわれることがあるので、特に投与初期は観察を十分に行うこと(投与開始1週間以内に出現することがある)。
発熱、咳嗽、労作時息切れ、呼吸困難等の異常が認められた場合には速やかに胸部X線検査等を実施し、間質性肺炎、PIE症候群が疑われる場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
痙攣、意識障害等の精神神経障害があらわれることがある。
出血性腸炎、偽膜性大腸炎等の重篤な腸炎があらわれることがある。
1%以上
1%未満
頻度不明
過敏症
発熱、発疹
浮腫(四肢、顔面)、蕁麻疹
皮膚
光線過敏症、色素沈着(皮膚・爪・粘膜)a)、急性熱性好中球性皮膚症
精神神経系
めまい感
頭痛、しびれ感
肝臓
AST、ALTの上昇等肝機能検査値異常、黄疸
消化器
悪心
食欲不振、嘔吐、腹痛、下痢、舌炎
胃腸障害、口内炎、肛門周囲炎、味覚異常、便秘、歯牙着色、舌変色
血液
好酸球増多
腎臓
BUN上昇
菌交代症
菌交代症に基づく新しい感染症
ビタミン欠乏症
ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)
頭蓋内圧上昇
頭蓋内圧上昇に伴う症状(嘔吐、頭痛、複視、うっ血乳頭、大泉門膨隆等)
投与部位
血管痛
発赤
静脈炎
感覚器
耳鳴、聴覚障害
その他
倦怠感、関節痛
静脈内大量投与により肝障害(黄疸、脂肪肝等)があらわれることがある。
ミノサイクリン塩酸塩100mgを500mLの補液に溶解し、健常成人に2時間かけて単回点滴静注したときの平均血中濃度は、点滴終了直後に最高血中濃度1.6μg/mLを示した3)。ミノサイクリン塩酸塩200mg投与時の血中濃度半減期は6時間である4)。
ミノサイクリン塩酸塩100mg(ミノサイクリン塩酸塩点滴静注用100mgを1バイアル)を100mLの補液に溶解し、胆道疾患を有する成人患者5例に1時間かけて単回点滴静注したとき、点滴開始2ないし4時間後に、平均血中濃度及び平均胆汁中濃度は最高に達する。その値は、それぞれ1.59μg/mL及び6.7μg/mLであり、胆汁中濃度は血中濃度の4.2倍である8)。
ミノサイクリン塩酸塩100mg(ミノサイクリン塩酸塩点滴静注用100mgを1バイアル)を中等度の腎障害患者3例(クレアチニンクリアランス42~64.6mL/分)に2時間点滴静注を24時間ごとに3日間連続投与(総投与量300mg)したとき、血中に蓄積する傾向は認められていない。また、外国人のデータであるが、腎障害患者(クレアチニンクリアランス5mL/分以下)にミノサイクリン塩酸塩200mgを単回静脈内投与したとき、腎機能の低下に伴う尿中排泄率の低下が認められるが、血中濃度半減期は健常人の約1.2倍である。また、腎障害患者の血中濃度曲線下面積は、健常人のそれと比較して有意差を認めていない9),10)。
細菌の蛋白合成系において、aminoacyl t-RNAがm-RNA・リボゾーム複合物と結合するのを妨げ、蛋白合成を阻止させることにより抗菌作用を発揮する。また、ミノサイクリン塩酸塩は動物のリボゾームには作用せず、細菌のリボゾームの30Sサブユニットに特異的に作用することから、選択毒性を有すると報告されている4),11)。
ミノサイクリン塩酸塩(Minocycline Hydrochloride)
(4S,4aS,5aR,12aS)-4,7-Bis(dimethylamino)-3,10,12,12a-tetrahydroxy-1,11-dioxo-1,4,4a,5,5a,6,11,12a-octahydrotetracene-2-carboxamide monohydrochloride
C23H27N3O7・HCl
493.94
黄色の結晶性の粉末である。N,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、水にやや溶けにくく、エタノール(95)に溶けにくい。
MINO
外箱開封後は遮光して保存すること。
10バイアル
1) 厚生労働省健康局結核感染症課編:抗微生物薬適正使用の手引き
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