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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
通常、ビンクリスチン硫酸塩として小児0.05~0.1mg/kg、成人0.02~0.05mg/kgを週1回静脈注射する。ただし、副作用を避けるため、1回量2mgを超えないものとする。
ドキソルビシン塩酸塩、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムとの併用において、標準的なビンクリスチン硫酸塩の投与量及び投与方法は、1日量0.4mgを24時間持続静脈注射する。これを4日間連続で行い、その後17~24日間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。
ビンクリスチン硫酸塩として1.4mg/m2(体表面積)を、2回静脈注射する。1回目の投与の3週間後に2回目の投与を行い、6~8週を1クールとし、投与を繰り返す。ただし、副作用を避けるため、1回量2mgを超えないものとする。
シクロホスファミド水和物、ダカルバジンとの併用において、通常、成人にはビンクリスチン硫酸塩として、1日1回1.4mg/m2(体表面積)を静脈注射し、少なくとも20日間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。ただし、副作用を避けるため、1回量2mgを超えないものとする。なお、患者の状態により適宜減量する。
本剤には骨髄抑制作用がある。
本剤には骨髄抑制作用があり、感染症を増悪させることがある。
末梢神経障害及び筋障害が強くあらわれることがある。
心筋虚血症状が強くあらわれることがある。
致命的な全身障害があらわれることがある。
腎機能障害が強くあらわれることがある。
本剤の代謝及び排泄が遅延し副作用が増強する可能性がある。
小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。本剤を含む多剤併用化学療法を受けた患者で、非可逆的な性腺障害(精子形成不全(無精子症等)、無月経等)が認められたとの報告がある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験で催奇形性が報告されている。
授乳しないことが望ましい。
副作用の発現に特に注意すること。
用量並びに投与間隔に留意すること。生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすい。
アゾール系抗真菌剤
本剤の筋神経系の副作用が増強することがある。
アゾール系抗真菌剤は肝チトクロームP-450 3Aを阻害するため、併用により本剤の代謝を抑制することがある。
フェニトイン
フェニトインの血中濃度が低下し、痙攣が増悪することがあるとの報告があるので、フェニトインの投与量を調節することが望ましい。
フェニトインの吸収を減少させる、あるいは代謝を亢進させるとの報告がある。
神経毒性を有する薬剤
神経系副作用が増強することがある。白金含有の抗悪性腫瘍剤の場合、聴覚障害(難聴)が増強する可能性がある。
神経毒性を有する。
L-アスパラギナーゼ
神経系及び造血器系の障害が増強する可能性がある。毒性を最小にとどめるためにL-アスパラギナーゼ投与の12~24時間前に本剤を投与することが望ましい。
本剤投与の前にL-アスパラギナーゼを投与すると本剤の肝クリアランスを低下させる可能性がある。
マイトマイシンC
呼吸困難及び気管支痙攣が発現しやすいことが報告されている。
機序不明
他の抗悪性腫瘍剤
骨髄抑制等の副作用が増強することがある。患者の状態を観察しながら減量するなど用量に注意すること。
骨髄抑制作用を有する。
心筋梗塞、狭心症、脳梗塞等が発現したとの報告がある。
肝中心静脈閉塞症(VOD)が発症したとの報告がある。
放射線照射
肝を含む病巣への放射線照射を施行中の患者に、本剤を併用すると肝毒性が増強するとの報告がある。
運動性ニューロパチー(筋麻痺、運動失調、歩行困難、痙攣、言語障害、筋萎縮等)、感覚性ニューロパチー(知覚異常、知覚消失、しびれ感、神経痛、疼痛等)、自律神経性ニューロパチー(起立性低血圧、尿閉等)、脳神経障害(視神経萎縮、味覚障害、眩暈、眼振等の平衡感覚障害等)、下肢深部反射の減弱・消失等があらわれることがある。
汎血球減少(頻度不明)、白血球減少(15.0%)、血小板減少(4.8%)、貧血(1.6%)があらわれることがある。なお、致命的な感染症(敗血症、肺炎等)や臓器出血等に至った報告がある。
倦怠感、錯乱、昏睡、神経過敏、抑うつ、意識障害等があらわれることがある。
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹痛、腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)をきたし、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止し、腸管減圧法等の適切な処置を行うこと。
消化管出血や消化管穿孔があらわれることがあり、致命的な出血や腹膜炎に至ることがある。
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム増加、高張尿、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等の適切な処置を行うこと。
アナフィラキシー(蕁麻疹、呼吸困難、血管浮腫等)があらわれることがある。
心筋梗塞、狭心症、心電図上虚血所見が発現したとの報告がある。
一過性又は永続的な難聴があらわれることがある。
AST、ALT、γ-GTP、Al-P上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
5%以上
0.1~5%未満
頻度不明
末梢神経障害
排尿困難
垂足、背痛、複視
血液
出血傾向
顆粒球減少
消化器
悪心・嘔吐、腹痛、便秘
食欲不振、下痢
口内炎
肝臓
肝機能異常(AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇等)
過敏症
発疹
皮膚
脱毛
皮膚落屑
発汗亢進
眼
一過性皮質盲
循環器
低血圧、高血圧
泌尿器
多尿
その他
発熱、体重減少
本剤の過量投与により、重篤又は致死的な結果をもたらすとの報告がある。
本剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用した患者に、二次性悪性腫瘍(白血病、骨髄異形成症候群(MDS)等)が発生したとの報告がある。
急性骨髄性白血病及び悪性リンパ腫各2例に本剤2mgを静脈内注射した後、ラジオイムノアッセイ法で測定した場合、血中濃度が投与直後より急速に低下するα期、比較的ゆるやかに低下するβ期、更に非常に緩徐な低下を示すγ期の3相性のパターンで推移した(外国人のデータ)2)。
投与量
n
T1/2α(hr)
T1/2β(hr)
T1/2γ(hr)
消失速度定数(hr-1)
2mg i.v.
4
0.077±0.034
2.27±1.50
85.0±68.9
0.085±0.075
(Mean±S.D.)
分布容積(L/kg)
血清クリアランス(L/kg/hr)
8.42±3.17
0.106±0.061
主要代謝部位は肝臓であり、肝チトクロームP-450 3Aが関与するとされている(in vitro)4)。
悪性リンパ腫4例に、3H-ビンクリスチン硫酸塩2mg(40μCi/mg)を静脈内注射した後、放射活性を測定した結果、72時間以内に糞中には投与量の約69%、尿中には約12%が排泄された(外国人のデータ)5)。
承認時の白血病、悪性リンパ腫及び小児腫瘍における寛解率は次の表のとおりであった。
疾患名
治験例数
寛解例数
寛解率(%)
白血病
急性白血病
小児
42
26
61.9
成人
47
17
36.2
小計
89
43
48.3
慢性白血病(急性転化)
3
2
66.7
悪性リンパ腫
細網肉腫
21
15
71.4
リンパ肉腫
16
10
62.5
ホジキン病
19
84.2
56
41
73.2
小児腫瘍
神経芽腫
12
8
ウィルムス腫瘍
100
睾丸胎児性癌
横紋筋肉腫
1
50.0
血管肉腫
骨肉腫
0
網膜芽腫
脂肪肉腫
副腎皮質癌
23
14
60.9
注1):寛解の判定は、すべて臨床医の報告に基づくものである。注2):これらの臨床成績には、本剤と他の抗悪性腫瘍剤との併用投与症例の場合も含まれている。
副作用発現頻度は69.0%(129/187例)であった。主な副作用はしびれ感33.2%(62/187例)、脱毛21.9%(41/187例)、白血球減少15.0%(28/187例)、腱反射減弱・消失10.7%(20/187例)であった。
紡錘体を形成している微小管のチュブリンに結合することにより、細胞周期を分裂中期で停止させると考えられている6)。
本剤はマウスのP-1534白血病、S-180腹水型腫瘍及びB-82A白血病に対して著明な生存日数の延長をもたらし、また、マウスのRidgeway骨肉腫に対しても、明らかな腫瘍増殖抑制効果を示した7)。
細胞の有糸分裂の中期に紡錘体へ作用し、典型的な中期停止(metaphase arrest)像を示す(in vitro)8),9)。
ビンクリスチン硫酸塩(Vincristine Sulfate)
Methyl(3aR,4R,5S,5aR,10bR,13aR)-4-acetoxy-3a-ethyl-9-[(5S,7R,9S)-5-ethyl-5-hydroxy-9-methoxycarbonyl-1,4,5,6,7,8,9,10-octahydro-3,7-methano-3-azacycloundecino[5,4-b]indol-9-yl]-6-formyl-5-hydroxy-8-methoxy-3a,4,5,5a,6,11,12,13a-octahydro-1H-indolizino[8,1-cd]carbazole-5-carboxylate monosulfate
C46H56N4O10・H2SO4
923.04
ビンクリスチン硫酸塩は、白色~淡黄白色の粉末である。水に極めて溶けやすく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。吸湿性である。
1mg[1バイアル]
1) 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:ビンクリスチン硫酸塩(褐色細胞腫(傍神経節細胞腫を含む))
2) Nelson RL.:Med. Pediatr. Oncol. 1982;10:115-127
3) Owellen RJ, et al.:J. Med. Chem. 1972;15:894-898
4) Zhou-Pan XR, et al.:Cancer Res. 1993;53:5121-5126
5) Bender RA, et al.:Clin. Pharmacol. Ther. 1977;22:430-438
6) Cancer 5th edition, Lippincott-Raven 1997;468-469
7) Johnson IS, et al.:Cancer Res. 1963;23:1390-1427
8) Cardinali G, et al.:Blood 1963;21:102-110
9) Frei E, et al.:Cancer Res.1964;24:1918-1925
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