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劇薬
処方箋医薬品注)
(1)小細胞肺癌については、ノギテカンとして、通常、成人に1日1回、1.0mg/m2(体表面積)を5日間連日点滴静注し、少なくとも16日間休薬する。これを1コースとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜増減する。
(2)がん化学療法後に増悪した卵巣癌については、ノギテカンとして、通常、成人に1日1回、1.5mg/m2(体表面積)を5日間連日点滴静注し、少なくとも16日間休薬する。これを1コースとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
(3)小児悪性固形腫瘍については、他の抗悪性腫瘍剤との併用でノギテカンとして、1日1回、0.75mg/m2(体表面積)を5日間連日点滴静注し、少なくとも16日間休薬する。これを1コースとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
(4)進行又は再発の子宮頸癌については、シスプラチンとの併用で、ノギテカンとして、通常、成人に1日1回、0.75mg/m2(体表面積)を3日間連日点滴静注し、少なくとも18日間休薬する。これを1コースとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
(5)本剤投与時、100mLの生理食塩液に混和し、30分かけて点滴静注する。
増減量の段階
投与量
1段階増量
1.2mg/m2/日
初回投与量
1.0mg/m2/日
1段階減量
0.8mg/m2/日
なお、1.2mg/m2/日を超える用量で検討された本邦での小細胞肺癌の成績はない。
減量の段階
1.5mg/m2/日
1.25mg/m2/日
2段階減量
0.75mg/m2/日
0.60mg/m2/日
0.45mg/m2/日
重度の血液毒性所見が発現し、感染症等を併発するおそれがある。,,,
間質性肺炎等が増悪することがある。
副作用が強くあらわれるおそれがある。
副作用が強くあらわれるおそれがある。,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット)で催奇形性、胚・胎児死亡が報告されている。,,
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)を用いた試験において、乳汁中への移行が報告されている。
異常が認められた場合には、回復を十分に確認してから投与を行うなど、投与間隔及び用量に留意し、頻回に臨床検査(血液検査、腎機能検査等)を行うなどして慎重に投与すること。本剤は主として腎臓から排泄されるが、一般的に高齢者では腎機能が低下していることが多く、排泄が遅れることにより血液毒性等が増強するおそれがある。
他の抗悪性腫瘍剤
放射線照射
骨髄抑制等が増強するおそれがある。併用療法を行う場合には患者の状態を観察しながら減量するなど適切な措置を行うこと。
殺細胞作用が増強される。シスプラチンを前投与することにより本剤の腎クリアランスが低下する可能性がある。
腎陰イオン輸送系阻害剤
臨床での検討成績はなく、排泄への影響の程度については不明である。
本剤の腎クリアランスが低下する可能性がある。
白血球数減少(100.0%)、好中球数減少(98.7%)、赤血球数減少(96.8%)、ヘモグロビン減少(92.9%)、血小板数減少(87.8%)、発熱性好中球減少症(3.2%)、汎血球減少症(頻度不明)等の重度の血液毒性所見があらわれることがある。異常が認められた場合には、抗菌剤・G-CSF製剤・血液製剤投与等適切な処置を行うこと。,,,,,,
血小板減少を伴った消化管出血による死亡例が報告されている。
20%以上
5~20%未満
5%未満
頻度不明
消化器
悪心・嘔吐(62.8%)、食欲不振(64.1%)
口内炎、下痢、便秘、腹痛
胃炎
イレウス、呼気臭、口内乾燥、鼓腸、歯肉出血、舌変色、舌障害、直腸しぶり
肝臓
ALT上昇
AST上昇、Al-P上昇
総ビリルビン上昇
肝機能障害
腎臓
BUN上昇、尿糖、尿蛋白、尿沈渣
尿ウロビリノーゲン、血尿
排尿異常、腎機能障害、アルブミン尿、出血性膀胱炎、膿尿
皮膚
脱毛
爪の障害
多汗症
過敏症
発疹、そう痒症、蕁麻疹
全身症状
発熱、易疲労感
体重減少、状態悪化、頭痛、倦怠感、疼痛(筋肉痛、関節痛、背部痛、腰痛、四肢痛等)
注射部位反応、浮腫、悪寒
無力症、インフルエンザ様疾患、口渇
精神神経系
味覚異常
めまい、末梢性ニューロパチー、耳鳴、感覚鈍麻、不安
傾眠、回転性めまい、痙攣、錯感覚、不全麻痺、失神、異常な夢、うつ病、神経過敏
循環器
頻脈
不整脈、低血圧、心房細動、心不全、チアノーゼ、循環虚脱、表在性静脈炎、心電図異常
その他
ナトリウム減少、総蛋白減少、アルブミン減少
LDH上昇、カリウム増加、クロール減少、カルシウム減少、カリウム減少、クレアチニン上昇
ナトリウム増加、静脈炎、感染症、胸痛、口腔咽頭痛、咳嗽、呼吸困難、脱水
LDH下降、クロール増加、鼻出血、咽頭炎、喘息、結膜炎、視力障害、アルブミン・グロブリン比異常、尿検査異常、アシドーシス、骨痛、筋痙縮、外陰部障害、性器分泌物、グロブリン増加、血中マグネシウム減少、血中リン減少
本剤は細胞毒性を有するため、調製時には防護具(眼鏡、手袋、マスク等)を着用すること。薬液が皮膚に付着した場合には、直ちに石鹸及び多量の流水で洗い流すこと。また、粘膜に付着した場合には多量の流水で洗い流すこと。
静脈内投与に際し、薬液が血管外に漏れると、注射部位に炎症反応をおこすことがあるので、薬液が血管外に漏れないように投与すること。
シスプラチンを本剤の投与1日目に併用した場合、5日目に併用した場合より骨髄抑制等の副作用が増強するとの報告がある1)。
各種悪性腫瘍患者に、本剤5.0~22.5mg/m2注)を単回点滴静脈内投与した時の血漿中濃度は、点滴終了時にCmaxとなり、以降二相性に減少し、最終消失相のT1/2は3~5時間であった。Cmax及びAUC0-tは用量増加に伴って上昇した2)。
各種悪性腫瘍患者に、本剤1.0~1.5mg/m2/日を5日間連日点滴静脈内投与した時の5日目のCmax、AUC0-t、T1/2及びCLpには反復投与による明らかな変化は認められなかった2)。
投与日
投与量(mg/m2/日)
患者数
Cmax(ng/mL)
AUC0-t(ng・hr/mL)
T1/2(hr)
CLp(L/hr)
1日目
1.0
2
58.27
56.79
2.34
23.46
1.2
5
36.98±20.46
46.91±16.98
2.69±1.07
42.74±21.54
1.5
4
86.12±67.62
84.23±29.53
2.51±0.99
29.34±14.17
5日目
47.13
70.43
3.28
21.84
34.35±17.84
54.65±24.01
4.25±2.87
35.68±12.45
3
39.51±21.20
84.82±75.00
3.63±2.26
40.32±26.64
(Mean±S.D.)
ヒト血漿蛋白結合率は31.4~39.7%と低く、また血球分配率は35.9~59.9%であった3)。ラットに14C標識体を反復静脈内投与した時の放射能は、中枢神経系を除く各組織に速やかに移行し、特に肝臓、腎臓、膵臓及び副腎での濃度が高値を示した。最終投与終了168時間後においても、甲状腺/上皮小体で比較的高い濃度が確認されたが、いずれの組織においても蓄積は示唆されなかった4)。
本剤1.5mg/m2単回投与時の代謝物として、N-脱メチル体の生成が確認されたが、ノギテカンに対するAUC比は2.5%と小さかった(海外データ)5)。本剤のヒト肝各P450分子種(CYP3A4、CYP2C19、CYP2D6等)、ヒト肝ジヒドロピリミジン脱水素酵素及びキサンチン酸化酵素のいずれに対しても阻害作用はみられなかった(in vitro)6)。動物(ラット・イヌ)に14C標識体を静脈内投与した時の代謝物を検討した結果、血漿及び尿・糞中には主にノギテカンが確認された7)。
各種悪性腫瘍患者に、5.0~22.5mg/m2注)を単回点滴静脈内投与した時の尿中排泄率は、投与24時間後までに投与量の40~60%であった。また、1.0~1.5mg/m2/日を5日間連日点滴静脈内投与した時には、1日目及び5日目とも投与24時間後までに投与量の60%程度であったことから、主排泄経路は尿中排泄と考えられた2)。また、動物(マウス)にノギテカン塩酸塩又はその開環体とプロベネシドを併用投与した際の総ノギテカンの腎クリアランスが単独投与に比べて減少(それぞれ約44及び71%)したことから、総ノギテカンの腎排泄には陰イオン輸送系による尿細管分泌機構が関与していることが推察された8)。注)本剤の承認最大用量は1.5mg/m2/日である。
海外の腎機能低下患者での検討において、軽度の腎機能低下患者(クレアチニンクリアランス(CLcr)値43~59mL/分)の総ノギテカン及びノギテカンの血漿クリアランス(CLp)は、腎機能正常患者と比較して32.5及び39.3%低下し、血中半減期(T1/2)は23.1及び54.0%延長し、ノギテカンの尿中排泄率は43.7%低下した。中等度の腎機能低下患者(CLcr値が21.8~38mL/分)では同様にCLpが65.0及び72.6%低下し、T1/2が101.2及び117.1%延長した。また、軽度の腎機能低下者では1.5mg/m2、中等度の腎機能低下者では0.75mg/m2を投与した時には耐容可能であった9)。以上のことから、海外ではCLcrが40mL/分以上の腎機能低下患者では減量の必要はないが、CLcr20~39mL/分の腎機能低下患者では通常用量(1.5mg/m2/日)の半量(0.75mg/m2/日)投与を推奨している。,
本剤を初回用量1.0mg/m2/日又は1.2mg/m2/日の5日間連日投与と投与終了後16日間の休薬をもって1コースとして、抗腫瘍効果と安全性を検討した。小細胞肺癌における適格例21例に対する奏効率は28.6%(6/21例)であった。主な副作用は、白血球減少100%(21/21例)、好中球減少100%(20/20例)、赤血球減少90.5%(19/21例)、ヘモグロビン減少90.5%(19/21例)等の臨床検査値異常と、食欲不振66.7%(14/21例)、悪心・嘔吐52.4%(11/21例)、発熱23.8%(5/21例)等の自他覚症状であった10)。
小細胞肺癌の既治療症例を対象とし、本剤を初回用量1.0mg/m2/日を5日間連日投与と投与終了後16日間の休薬をもって1コースとして、抗腫瘍効果と安全性を検討した。適格例103例における奏効率は23.3%(24/103例)であった。主な副作用は、白血球減少100%(96/96例)、好中球減少99.0%(95/96例)、赤血球減少97.9%(93/95例)、ヘモグロビン減少90.6%(87/96例)等の臨床検査値異常と、食欲不振60.4%(58/96例)、悪心・嘔吐59.4%(57/96例)、発熱36.5%(35/96例)等の自他覚症状であった。また、G-CSF投与、輸液等の処置が行われなかったコースにおける白血球数、好中球数、血小板数、ヘモグロビン値の最低値、最低値までの到達日数、グレード1以上(ヘモグロビン値はグレード2以上)に減少したコース数、並びに投与開始からそれぞれ4,000/mm3以上、2,000/mm3以上、10万/mm3以上、9.5g/dl以上に回復したコース数と日数を以下に示す11)。,
白血球数
G-CSF非使用評価コース数
最低値注1)
発現コース数
回復
(/mm3)
到達日数
コース数
日数注2)
116
2600(1500~4600)
11
105
96
21
好中球数
1057.2(187.2~3459.2)
13
109
80
血小板数
非処置評価コース数
(×104/mm3)
日数注3)
269
9.3(1.0~40.7)
14
144
19
ヘモグロビン値
(g/dL)
260
9.0(5.8~14.5)
157
89
本邦の小細胞肺癌の後期第Ⅱ相試験(020試験、021試験)では、初回投与量1.0mg/m2/日より開始した。各コースの投与開始前及び用量の変更は以下の規定に従った。
再発卵巣癌患者(6例)を対象に、本剤1.5mg/m2の5日間連日投与を3週間毎に繰り返した。有効性はPR(1/4例)、SD(3/4例)であった。主な副作用は白血球数減少100%(6/6例)、好中球数減少100%(6/6例)、ヘモグロビン減少100%(6/6例)、赤血球数減少100%(6/6例)の臨床検査値異常と、悪心100%(6/6例)、食欲減退100%(6/6例)、脱毛症100%(6/6例)、下痢66.7%(4/6例)の自他覚症状であった。
再発卵巣癌患者(19例)を対象に、本剤1.5mg/m2の5日間連日投与を3週間毎に繰り返した。有効性はSD(8/11例)、PD(3/11例)であった。主な副作用は白血球数減少100%(18/18例)、好中球数減少94.4%(17/18例)、ヘモグロビン減少100%(18/18例)、赤血球数減少100%(18/18例)の臨床検査値異常と、悪心61.1%(11/18例)、疲労61.1%(11/18例)、食欲減退55.6%(10/18例)の自他覚症状であった。
根治的治療(手術又は放射線療法)の適応とならない進行又は再発の子宮頸癌(15例)を対象に本剤とシスプラチンとの併用投与注4)の実施医療機関判定によるRECIST ver1.1基準に基づく奏効率は27.3%(3/11例)[95%信頼区間:6.0,61.0]であった。主な副作用は、白血球数減少100%(15/15例)、好中球数減少100%(15/15例)、ヘモグロビン減少100%(15/15例)、赤血球数減少93.3%(14/15例)の臨床検査値異常と、悪心86.7%(13/15例)、倦怠感86.7%(13/15例)、食欲減退80.0%(12/15例)、脱毛症60.0%(9/15例)の自他覚症状であった11)。,
根治的治療(手術又は放射線療法)の適応とならない進行又は再発の子宮頸癌を対象としたシスプラチン単独投与注5)及び本剤とシスプラチンとの併用投与注4)の成績は次表のとおりであった。
症例数
全生存期間中央値(カ月)[95%信頼区間]
ハザード比[95%信頼区間]
p値
シスプラチン単独投与
146
6.5[5.8,8.8]
0.762[0.593,0.979]
0.033注6)
本剤とシスプラチンとの併用投与
147
9.4[7.9,11.9]
本剤とシスプラチンとの併用投与群の安全解析対象データ140例における主な有害事象は、ヘモグロビン減少93.6%(131/140例)、白血球数減少91.4%(128/140例)の臨床検査値異常と全身症状68.6%(96/140例)、消化管系(その他)62.9%(88/140例)の自他覚症状であった12)。,
DNAと複合体を形成したⅠ型トポイソメラーゼに選択的に結合し、その構造を安定化させ、DNA超ラセン構造の弛緩阻害とDNAの断片化を引き起こし細胞死を誘導する13)。
ノギテカン塩酸塩は、マウス腫瘍株及びヒト腫瘍株において広い抗腫瘍スペクトラムを有し、小細胞肺癌に対し高感受性を示した。また、ヒト小細胞肺癌株(DMS273及びDMS114)移植モデルにおいて抗腫瘍効果を示した。なお、抗腫瘍効果は濃度及び処理時間に依存した。また、P388白血病細胞由来のドキソルビシン耐性株、ダウノルビシン耐性株、ミトキサントロン耐性株又はアムサイクリン耐性株移植モデルにおいて抗腫瘍効果が認められ、ヒト摘出腫瘍を用いた試験では、ドキソルビシン、フルオロウラシル、シクロホスファミド及びエトポシド無効例に対し細胞増殖抑制作用を示した(in vitro)14)。
ノギテカン塩酸塩(Nogitecan Hydrochloride)(JAN)topotecan(INN)
(+)-(4S)-10-[(dimethylamino)methyl]-4-ethyl-4,9-dihydroxy-1H-pyrano[3',4':6,7]indolizino[1,2-b]quinoline-3,14(4H,12H)-dione monohydrochloride
C23H23N3O5・HCl
457.91
ノギテカン塩酸塩は、黄色~緑みの黄色の粉末又は粒である。水にやや溶けにくく、メタノール又はエタノール(95)に溶けにくく、アセトニトリル、アセトン及び酢酸エチルにほとんど溶けない。吸湿性である。
外箱開封後は遮光して保存すること。
1.1mg[1バイアル]
1) Rowinsky EK, et al.:J Clin Oncol. 1996;14:3074-3084
2) Kobayashi K, et al.:Int J Clin Oncol. 2002;7:177-186
3) 血漿タンパク結合率、血球分配率(2000年12月22日承認、申請資料概要ヘ.2-2-5、2-2-6)
4) 組織内濃度(2000年12月22日承認、申請資料概要ヘ.2-2-1(3))
5) 単回投与後の生物学的利用率及び代謝物の検討(2000年12月22日承認、申請資料概要ヘ.3-2-2)
6) 肝薬物代謝酵素系に対する作用(2000年12月22日承認、申請資料概要ヘ.2-3-4(2)(3))
7) 血漿,胆汁及び尿糞中代謝物(2000年12月22日承認、申請資料概要ヘ.2-3-2(1))
8) Zamboni WC, et al.:J Pharmacol Exp Ther. 1998;284:89-94
9) O’Reilly S, et al.:J Clin Oncol. 1996;14:3062-3073
10) 前期第Ⅱ相臨床試験(019試験)(2000年12月22日承認、申請資料概要ト.2)
11) 後期第Ⅱ相臨床試験(020試験、021試験)(2000年12月22日承認、申請資料概要ト.3)
12) 海外第Ⅲ相試験(GOG-179試験)(2015年11月20日承認、審査報告書)
13) 非臨床試験における特徴及び有用性(2000年12月22日承認、申請資料概要イ.2-1-1)
14) Burris HA Ⅲ, et al.:J Natl Cancer Inst. 1992;84:1816-1820
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