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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
通常、成人にはエルロチニブとして150mgを食事の1時間以上前又は食後2時間以降に1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
ゲムシタビンとの併用において、通常、成人にはエルロチニブとして100mgを食事の1時間以上前又は食後2時間以降に1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
副作用
Grade注1)
休薬基準注2)
投与再開時の用量注3)注4)
間質性肺疾患
Gradeは問わない
疑われる症状が発現した場合には、直ちに休薬、その後CT検査を含めた適切な検査を実施し、医学的に間質性肺疾患と判断した場合には投与中止
医学的に間質性肺疾患と判断されなかった場合には、同一用量で投与再開
角膜炎
2
2週間以上継続する場合はGrade 1以下になるまで休薬
同一用量で再開。ただし、主治医判断で50mgに減量して再開可能。
3
Grade 1以下になるまで休薬
50mgで再開
下痢
その症状が忍容できない場合はGrade 1以下に回復するまで休薬
発疹(ざ瘡/ざ瘡様)
Grade 1以下になるまで休薬。ただし、主治医が継続投与可能と判断した場合は同一用量で投与可能。
AST又はALT
Grade 2以下になるまで休薬
上記以外の非血液毒性
4週間以上継続した場合はGrade 1以下になるまで休薬。ただし、主治医が継続投与可能と判断した場合は同一用量で投与可能。
全ての非血液毒性注5)
4
投与の中止
-
血液毒性
同一用量で再開
注1)GradeはCTCAE v3.0により評価。注2)いずれの場合も3週間以上の連続した休薬で回復しない場合には、投与を中止する。注3)本剤減量後の増量は行わない。注4)50mgで再開した後に規定された副作用が再び発現した場合には、投与を中止する。注5)重篤又は致死的となる可能性がないと主治医が判断した場合を除く。
消化管穿孔があらわれることがある。,
間質性肺疾患等が増悪し、死亡に至る可能性がある。,,,,
非小細胞肺癌患者で、間質性肺疾患等が増悪し、死亡に至る可能性がある。,,,,
肝機能障害が増悪することがある。,エルロチニブの血中濃度が上昇する可能性がある。
*妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後2週間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。やむを得ず投与する場合は、本剤投与による胎児へのリスク、妊娠中断の危険性について患者に十分説明すること。妊婦における使用経験はない。また、動物実験では、流産(ウサギ)、胚致死及び生存胎児数減少(ウサギ、ラット)が報告されている。また、胎児中(ラット)に移行することが報告されている。
授乳しないことが望ましい。ヒトでの乳汁移行に関するデータはないが、動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
CYP3A4阻害剤
グレープフルーツジュース
ケトコナゾールと本剤を併用すると、エルロチニブのAUC(中央値)が86%、Cmax(中央値)が69%上昇した。
CYP3A4阻害剤との併用により、エルロチニブの代謝が阻害され血漿中濃度が増加する可能性がある。
CYP3A4誘導剤
リファンピシンと本剤を併用すると、エルロチニブのAUC(中央値)が69%低下した。
CYP3A4誘導剤等との併用により、エルロチニブの代謝が亢進し血漿中濃度が低下する可能性がある。
塩酸シプロフロキサシン
塩酸シプロフロキサシンと本剤を併用すると、エルロチニブのAUC(幾何平均値)が39%、Cmax(幾何平均値)が17%上昇した。
CYP1A2及びCYP3A4を阻害する薬剤との併用により、エルロチニブの代謝が阻害され血漿中濃度が増加する可能性がある。
プロトンポンプ阻害剤
オメプラゾールと本剤を併用すると、エルロチニブのAUC(幾何平均値)が46%低下した。
持続的な胃内pHの上昇により、本剤の溶解度が低下し吸収が低下する可能性がある。
H2受容体拮抗剤
ラニチジンと本剤を併用すると、エルロチニブのAUC(幾何平均値)が33%低下した。
胃内pHの上昇により、本剤の溶解度が低下し吸収が低下する可能性がある。
抗凝血薬
INR増加や胃腸出血等があらわれたとの報告がある。本剤とワルファリンを併用中の患者では、定期的に血液凝固能検査(プロトロンビン時間又はINR等)を行うこと。
機序不明
タバコ(喫煙)
喫煙によりエルロチニブのAUC(平均値)が64%低下した。
喫煙によるCYP1A2の誘導により、エルロチニブの代謝が亢進し血漿中濃度が低下する可能性がある。
間質性肺疾患(間質性肺炎、肺臓炎、放射線性肺臓炎、器質化肺炎、肺線維症、急性呼吸窮迫症候群、肺浸潤、胞隔炎等)があらわれることがあり、死亡に至った症例も報告されている。異常が認められた場合には本剤の投与を中止し、ステロイド治療等の適切な処置を行うこと。,,,,,
ALT、AST、ビリルビンの上昇等を伴う重篤な肝機能障害があらわれることがあり、肝炎、肝不全により死亡に至った症例も報告されている。,
重度の下痢、悪心、嘔吐、食欲不振により脱水症状をきたし、腎不全に至った症例が報告されている。必要に応じて電解質や腎機能検査を行い、患者状態により止瀉薬(ロペラミド等)の投与、補液等の適切な処置を行うとともに、本剤の減量又は休薬を考慮すること。
急性腎障害等の重篤な腎機能障害があらわれることがある。
ざ瘡様皮疹等の発疹(6.3%、4.1%)、爪囲炎等の爪の障害(0.8%、0.9%)、皮膚乾燥・皮膚亀裂(0.3%、0.2%)、皮膚潰瘍(0.2%、頻度不明)、そう痒症(0.1%、0.1%)等があらわれることがある。また、重度の皮膚障害発現後に、蜂巣炎、敗血症等の感染症を合併した症例も報告されている。
皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症、多形紅斑等の重篤な水疱性・剥脱性の皮膚障害があらわれることがある。
異常が認められた場合には、内視鏡、腹部X線、CT等の必要な検査を行い、本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。,
眼痛等の異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
5%以上
1%以上5%未満
1%未満
頻度不明
皮膚注3)
ざ瘡様皮疹等の発疹(61.6%)、皮膚乾燥・皮膚亀裂(9.3%)、爪囲炎等の爪の障害(8.8%)
そう痒症、紅斑
皮膚剥脱、脱毛、皮膚潰瘍、皮下出血、皮膚色素沈着、皮膚血管炎(IgA血管炎等)、光線過敏症
男性型多毛症
眼注4)
結膜炎
眼乾燥、角膜炎、眼瞼炎、睫毛/眉毛の異常、眼そう痒症、角膜びらん、眼脂、霧視、流涙増加、ぶどう膜炎
肝臓
ビリルビン上昇、ALT上昇、AST上昇
Al-P上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇
腎臓
クレアチニン上昇、BUN上昇、血尿、尿沈渣異常
血液
貧血
血小板減少、白血球増加、白血球減少、好中球減少、リンパ球減少、好中球増加、INR上昇
消化器
下痢(22.8%)、口内炎(9.6%)、食欲不振(7.0%)
悪心、嘔吐、口唇炎、腹痛、便秘
胃炎、口内乾燥、消化不良、腸炎、アミラーゼ増加、食道炎
呼吸器
鼻出血、呼吸困難、咳嗽、喀血、口腔咽頭痛
精神神経系
味覚異常
不眠症、頭痛、浮動性めまい、末梢性ニューロパチー、意識障害
その他
感染症(皮膚感染、肺感染、上気道感染等)、倦怠感、発熱、疲労
電解質異常、体重減少、血中アルブミン減少、CRP上昇、浮腫、血圧上昇、筋肉痛、筋痙縮・筋痙攣、血糖値上昇、総蛋白減少、脱水、血栓・塞栓
ざ瘡様皮疹等の発疹(65.3%)、爪囲炎等の爪の障害(11.6%)、皮膚乾燥・皮膚亀裂(10.8%)、そう痒症(8.5%)、脱毛(5.9%)
手足症候群、皮膚色素沈着、皮膚剥脱
紅斑
男性型多毛症、光線過敏症、皮膚血管炎(IgA血管炎等)
角膜炎、結膜炎、眼乾燥、眼脂、霧視、眼瞼炎、睫毛/眉毛の異常
ぶどう膜炎
ALT上昇(9.3%)、AST上昇(8.4%)
γ-GTP上昇、Al-P上昇、ビリルビン上昇、LDH上昇
血尿、尿中蛋白陽性、クレアチニン上昇、BUN上昇
血小板減少(17.8%)、白血球減少(17.2%)、貧血(17.0%)、好中球減少(16.2%)
リンパ球減少、血小板増加、単球減少、好酸球減少
白血球増加
食欲不振(20.9%)、下痢(20.9%)、口内炎(14.1%)、悪心(13.5%)、便秘(6.6%)、嘔吐(5.8%)
血中アミラーゼ増加、口唇炎、腹痛
腹部膨満、口内乾燥、食道炎、腸炎、胃炎、消化不良
鼻出血、咳嗽
呼吸困難
味覚異常(8.2%)
不眠症
浮動性めまい、末梢性ニューロパチー、うつ病、頭痛
疲労(11.7%)、発熱(8.1%)、血中アルブミン減少(5.6%)、倦怠感(5.5%)、体重減少(5.4%)、感染症(皮膚感染、肺感染、上気道感染等)(5.1%)
電解質異常、CRP上昇、総蛋白減少、血糖値上昇、浮腫、血圧上昇
KL-6増加、血中コレステロール減少、悪寒
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
固形癌患者15例にエルロチニブとして50、100又は150mg注4) を単回経口投与し、引き続き3日目から23日目まで50、100又は150mg注4) を1日1回の用量で反復経口投与を実施した時の薬物動態パラメータを単回投与の結果と併せて表に示した。単回投与時の薬物動態パラメータから、エルロチニブの体内動態には線形性が認められた1) 。
AUC0-24h(hr・ng/mL)
Cmax(ng/mL)
Tmax(hr)
t1/2(hr)
50mg/日注4)
1日目注1)
3266(54)
194(44)
5.0(72)
14.8(71)
23日目注1)
15844(50)
820(42)
4.3(114)
23.6(67)
100mg/日
1日目注2)
7705(46)
571(47)
6.0(150)
18.0(62)
23日目注3)
14623(48)
1023(31)
3.0(67)
15.6(56)
150mg/日
12845(29)
958(48)
6.0(149)
25.9(36)
23日目注2)
42679(48)
2384(39)
1.8(22)
27.2(33)
平均値(CV%)
海外において512例固形癌患者にエルロチニブを投与したときの母集団薬物動態解析の結果では、クリアランスについて人種、性別は影響を及ぼす因子ではなかった2) (外国人データ)。
健康成人男性15名にエルロチニブ錠25mg「NK」とタルセバ錠25mgを、2剤2期クロスオーバー試験法によりそれぞれ1錠(エルロチニブとして25mg)空腹時単回経口投与して血漿中濃度を測定した。多重性を調整した中間解析を行った結果、AUCt、Cmaxから算出した検定統計量が、中間解析時の有意水準に対応する棄却限界値を上回ったことから、両剤の生物学的同等性が確認された3) 。
判定パラメータ
参考パラメータ
AUCt(ng・hr/mL)
エルロチニブ錠25mg「NK」
4110±1320
329±90
2.53±1.06
9.54±4.76
タルセバ錠25mg
4190±1310
354±87
2.80±1.01
9.76±5.69
(Mean±S.D., n=15)
血漿中濃度並びにAUCt、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
健康成人18例にエルロチニブを経口投与後のバイオアベイラビリティは約59%と推定された4) (外国人データ)。
健康成人18例にエルロチニブとして150mgを食後(高脂肪、高カロリー食)単回経口投与した時、空腹時投与に比べ、エルロチニブのAUCinfはほぼ2倍に増加した5) (外国人データ)。
エルロチニブは血漿中のアルブミン及びα1-酸性糖蛋白と結合する。ヒトにおける血漿蛋白結合率は、3.8μg/mLの濃度において約95%であった。また、ワルファリン及びプロプラノロールの共存によっても結合率の変化は認められなかった6) (in vitro)。エルロチニブの血球移行率の計算値は、ヘマトクリットが0.48の時34.2%であった6) (in vitro)。白色系ラットにおける、14C-エルロチニブ経口投与後の放射能は、各組織に比較的速やかに分布したが、脳への移行は少なかった。最高濃度到達後の組織中の放射能は速やかに消失し、投与後72時間ではほとんどの組織において定量限界以下となった。有色系ラットにおける14C-エルロチニブ経口投与後の放射能分布は白色系ラットに類似したが、メラニン色素を含む組織(ブドウ膜系、有色皮膚)において放射能が高かった7) 。
エルロチニブの代謝には主として肝臓中のCYP3A4が寄与することが示唆され、CYP1A2の関与も認められた8) (in vitro)。エルロチニブの代謝経路は主に3経路であり、キナゾリン環側鎖のO-脱メチル化とそれに続くカルボン酸への酸化、アセチレン側鎖の酸化とそれに続くアリルカルボン酸への加水分解、及びフェニルアセチレン部分の芳香族水酸化等が推定された9) (外国人データ)。主代謝経路のO-脱メチル化による代謝物の体内動態はエルロチニブと類似し、その血漿中濃度はエルロチニブの10%以下で推移した10) (外国人データ)。
健康成人4人に14C-エルロチニブ100mg注4) を単回経口投与後264時間(11日間)で、投与放射能のうち約91%が回収され、尿中に8%、糞中に83%の放射能が排泄された。また、尿及び糞中に排泄されたエルロチニブは投与量の2%未満であった9) (外国人データ)。
エルロチニブ錠100mg「NK」は、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン(令和2年3月19日薬食審査発0319第1号 別紙2)」に基づき、エルロチニブ錠150mg「NK」注5) を標準製剤とした溶出試験の結果、溶出挙動は同等と判定され、生物学的に同等とみなされた11) 。
化学療法未治療のEGFR遺伝子変異(Exon 19の欠失変異又はExon 21のL858R変異)を有する進行又は再発の非小細胞肺癌を対象としたエルロチニブ単独療法の国内第II相臨床試験(JO22903)における有効性評価対象例102例の成績を以下に示す。
項目注6)
JO22903(102例)
無増悪生存期間中央値(95%信頼区間)
11.8ヵ月(9.7ヵ月−推定不能)
奏効率注7)
78.4%(80/102例)
病勢コントロール率注8)
95.1%(97/102例)
奏効期間中央値(95%信頼区間)
11.1ヵ月(9.4ヵ月−推定不能)
安全性評価対象例103例中103例(100%)に副作用が認められた。主な副作用は、発疹85例(82.5%)、下痢82例(79.6%)、皮膚乾燥79例(76.7%)、爪囲炎68例(66.0%)、そう痒症66例(64.1%)、口内炎64例(62.1%)等であった。
化学療法未治療のEGFR遺伝子変異(Exon 19の欠失変異又はExon 21のL858R変異)を有する進行又は再発の非小細胞肺癌を対象にエルロチニブ投与群と化学療法注9) 群を比較した第III相臨床試験(ML20650)における有効性評価対象例153例の成績を以下に示す12) (外国人データ)。
項目注10)
エルロチニブ投与群
化学療法群
HR(ハザード比)注11)[95%信頼区間]
p値
無増悪生存期間(中央値)
9.4ヵ月(77例)
5.2ヵ月(76例)
0.42[0.27-0.64]
<0.0001注12)
54.5%(42/77例)
10.5%(8/76例)
<0.0001注13)
エルロチニブ投与群の安全性評価対象例75例中69例(92.0%)に副作用が認められた。主な副作用は、下痢43例(57.3%)、発疹37例(49.3%)等であった。
化学療法歴のないEGFR遺伝子変異(Exon 19の欠失変異又はExon 21のL858R変異)陽性の進行・再発の非小細胞肺癌患者449例(日本人症例211例を含む)を対象に、ラムシルマブ+エルロチニブとプラセボ+エルロチニブとを比較する無作為化二重盲検プラセボ対照試験(第III相パート)を実施した。ラムシルマブ10mg/kg又はプラセボ(2週間に1回)とエルロチニブ150mg(1日1回)を病態の悪化等が認められるまで投与を継続した。主要評価項目である無増悪生存期間において有意な延長を認めた。1年無増悪生存率はラムシルマブ+エルロチニブ投与群で71.9%(95%信頼区間65.1~77.6)、プラセボ+エルロチニブ投与群で50.7%(95%信頼区間43.7~57.3)であった13) 。
ラムシルマブ+エルロチニブ投与群
プラセボ+エルロチニブ投与群
症例数
224
225
イベント発現例数
122
158
無増悪生存期間中央値(月)(95%信頼区間)
19.35(15.38-21.55)
12.39(10.97-13.50)
ハザード比(95%信頼区間)
0.591(0.461-0.760)P<0.0001
エルロチニブとラムシルマブが併用投与された221例(日本人症例105例を含む)において発現した主な有害事象は、感染症(80.5%)、下痢(70.1%)、高血圧(45.2%)、口内炎(41.6%)、蛋白尿(34.4%)等であった。
少なくとも前化学療法1レジメンが無効であった非小細胞肺癌を対象としたエルロチニブ単独療法の国内第II相臨床試験(JO16565)における有効性評価対象例60例の成績を以下に示す14) 。
項目
JO16565(60例)
28.3%(17/60例)
50.0%(30/60例)
278日(203日−422日)
無増悪期間中央値(95%信頼区間)
77日(55日−166日)
安全性評価対象例62例中62例(100.0%)に副作用が認められた。主な副作用は、発疹61例(98.4%)、皮膚乾燥50例(80.6%)、下痢46例(74.2%)、そう痒症45例(72.6%)等であった。
少なくとも前化学療法1レジメンが無効であった非小細胞肺癌を対象としたエルロチニブ単独療法の国内第II相臨床試験(JO18396)における有効性評価対象例46例の成績を以下に示す15) 。
JO18396(46例)
28.3%(13/46例)
47.8%(22/46例)
推定不能
75日(56日−推定不能)
安全性評価対象例46例中46例(100.0%)に副作用が認められた。主な副作用は、発疹45例(97.8%)、下痢31例(67.4%)、そう痒症30例(65.2%)、皮膚乾燥27例(58.7%)等であった16) 。
少なくとも前化学療法1レジメンが無効であった非小細胞肺癌731例を対象にエルロチニブ投与群とプラセボ投与群を比較した無作為化二重盲検第III相臨床試験(BR.21)の成績を以下に示す17) (外国人データ)。
プラセボ投与群
HR(ハザード比)注14)[95%信頼区間]
p値注15)
全生存期間(中央値)
6.67ヵ月(488例)
4.70ヵ月(243例)
0.73[0.60-0.87]
0.001
1年生存率
31.2%(488例)
21.5%(243例)
9.71週(488例)
8.00週(243例)
0.61[0.51-0.73]
<0.001
8.9%(38/427例)
0.9%(2/211例)
奏効期間(中央値)
34.3週(38例)
EGFR蛋白発現状況に関する全生存期間の部分集団解析の結果は、EGFR蛋白発現陽性(エルロチニブ群117例、プラセボ群68例)HR=0.68(95%信頼区間;0.49-0.94)、EGFR蛋白発現陰性(エルロチニブ群93例、プラセボ群48例)HR=0.93(95%信頼区間;0.63-1.36)、EGFR蛋白発現不明(エルロチニブ群278例、プラセボ群127例)HR=0.77(95%信頼区間;0.61-0.98)であった。
エルロチニブ投与群の安全性評価対象例485例中481例(99%)に有害事象が認められた。主な有害事象は、ざ瘡様皮疹等の発疹366例(75%)、下痢261例(54%)、食欲不振、疲労各250例(52%)等であった18) 。
切除不能膵癌を対象とした、エルロチニブとゲムシタビンとの併用療法の国内第II相臨床試験(JO20302/JO21097)における有効性評価対象例106例の成績を以下に示す19) 。なお、本試験ではECOG Performance Status(PS):0-2の患者(実際に投与された患者のPSは0、1であった)、間質性肺疾患の合併又は既往歴のない患者を対象とした。
JO20302/JO21097注16)
全生存期間中央値(95%信頼区間)
9.23ヵ月(8.31ヵ月−10.78ヵ月)
3.48ヵ月(2.63ヵ月−3.78ヵ月)
20.3%(13/64例)
安全性評価対象例106例中、105例(99.1%)に副作用が認められた。主な副作用は、ざ瘡様皮疹等の発疹99例(93.4%)、貧血86例(81.1%)、白血球減少85例(80.2%)、血小板減少、食欲不振各77例(72.6%)、好中球減少74例(69.8%)等であった。
切除不能な局所進行又は転移性膵癌569例(登録患者数)を対象にエルロチニブ(100mg投与群261例、150mg投与群24例)又はプラセボ(284例)をゲムシタビン(GEM)と併用した無作為化二重盲検第III相臨床試験(PA.3)の成績を以下に示す20) (外国人データ)。なお、本試験におけるGEMの第一サイクルの投与スケジュールは国内で承認されている用法・用量及び国内第II相臨床試験(JO20302/JO21097)の用法・用量とは異なり、最初の8週間は7週投与、1週休薬であった。
エルロチニブ+GEM群
プラセボ+GEM群
HR(ハザード比)注18)[95%信頼区間]
p値注19)
全生存期間中央値
6.37ヵ月(285例)
5.91ヵ月(284例)
0.79[0.66-0.95]
0.011
無増悪生存期間中央値
3.75ヵ月(285例)
3.55ヵ月(284例)
0.77[0.64-0.92]
0.004
8.6%(23/268例)
8.0%(21/262例)
0.875
エルロチニブ100mg投与群の安全性評価対象例259例中256例(99%)に有害事象が認められた。主な有害事象は、疲労188例(73%)、発疹180例(69%)、悪心155例(60%)、食欲不振134例(52%)等であった21) 。
エルロチニブは上皮増殖因子受容体チロシンキナーゼ(EGFR-TK)を選択的に阻害した。IC50は精製全長型EGFR-TKに対し2nMであり、組換え型EGFR細胞内ドメインのチロシンキナーゼに対し1nMであった。一方、他のチロシンキナーゼ、c-src及びv-ablに対する阻害活性は全長型EGFR-TKの1/1000以下であり、ヒトインスリン受容体及びI型インスリン様増殖因子受容体の細胞内ドメインのキナーゼに対する阻害活性は細胞内EGFR-TKの1/10000以下であった。また、エルロチニブによる細胞周期のG1期停止及びアポトーシス誘導作用が確認された22) 。エルロチニブはEGFRチロシンリン酸化の阻害を介し、細胞増殖の抑制及びアポトーシスの誘導に基づき腫瘍増殖を抑制すると推察される。
In vitro系において、エルロチニブはヒト由来大腸癌細胞株DiFi及び頭頸部癌細胞株HN5の増殖を阻害した[DiFi細胞株でのIC50:100nM、HN5での100%阻害:250nM]22) 。ヒト由来頭頸部癌細胞株HN5、外陰部癌細胞株A431、膵癌細胞株HPAC及び非小細胞肺癌細胞株(H460a、A549)を用いたヒト悪性腫瘍移植ヌードマウス系において、エルロチニブは腫瘍増殖抑制作用を示した23),24),25) 。また、膵癌細胞株HPACを用いたヒト悪性腫瘍移植ヌードマウス系ではエルロチニブにゲムシタビンを併用することにより、腫瘍増殖抑制作用の増強が認められた25) 。
エルロチニブ塩酸塩(Erlotinib Hydrochloride)
N-(3-Ethynylphenyl)-6,7-bis(2-methoxyethoxy)quinazoline-4-amine monohydrochloride
C22H23N3O4・HCl
429.90
白色~微黄色の粉末又は塊のある粉末である。メタノールに溶けにくく、水及びエタノール(99.5)に極めて溶けにくい。
約227~231℃
10錠(PTP10錠×1)
1) 固形癌患者に対する第I相臨床試験(JO16564)(タルセバ錠:2007年10月19日承認、申請資料概要2.7.2.2.3.1)
2) 患者の母集団薬物動態解析(タルセバ錠:2007年10月19日承認、申請資料概要2.7.2.2.3.7、2.7.2.3.2.5.2)
3) 社内資料:生物学的同等性試験(25mg)
4) 健康成人を対象としたバイオアベイラビリティ及び生物学的同等性試験(タルセバ錠:2007年10月19日承認、申請資料概要2.7.1.2.1)
5) 健康成人を対象とした薬物動態に及ぼす食事の影響(タルセバ錠:2007年10月19日承認、申請資料概要2.7.1.2.2)
6) 蛋白結合のin vitro評価(タルセバ錠:2007年10月19日承認、申請資料概要2.7.2.2.1.2)
7) ラットにおける組織内分布試験(タルセバ錠:2007年10月19日承認、申請資料概要2.6.4.4.1)
8) ヒト生体試料を使ったエルロチニブの代謝解明(タルセバ錠:2007年10月19日承認、申請資料概要2.7.2.2.1.1)
9) 健康成人を対象とした代謝及び排泄を検討する試験(タルセバ錠:2007年10月19日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.1)
10) 主要代謝物の血漿中濃度(タルセバ錠:2007年10月19日承認、申請資料概要2.5.3.1-2)
11) 社内資料:生物学的同等性試験(100mg)
12) 海外第III相臨床試験(ML20650:EURTAC)(タルセバ錠:2013年6月14日承認、審査報告書)
13) Nakagawa K, et al. Lancet Oncol. 2019;20(12):1655-1669
14) Kubota K, et al. J Thorac Oncol. 2008;3(12):1439-1445
15) 進行性/転移性/再発性非小細胞肺癌に対する国内第II相臨床試験(JO18396)の有効性(タルセバ錠:2007年10月19日承認、申請資料概要2.5.4.3、2.5.4.4)
16) 進行性/転移性/再発性非小細胞肺癌に対する国内第II相臨床試験(JO18396)の安全性(タルセバ錠:2007年10月19日承認、申請資料概要2.5.5.2)
17) 標準療法無効の進行性/転移性非小細胞肺癌に対する海外第III相臨床試験(BR.21)の有効性(タルセバ錠:2007年10月19日承認、申請資料概要2.7.3.3)
18) 標準療法無効の進行性/転移性非小細胞肺癌に対する海外第III相臨床試験(BR.21)の安全性(タルセバ錠:2007年10月19日承認、申請資料概要2.7.4.2.1.1.1)
19) Okusaka T, et al. Cancer Sci. 2011;102(2):425-431
20) 切除不能な局所進行又は転移性膵癌に対するゲムシタビン併用の海外第III相臨床試験(PA.3)(タルセバ錠:2011年7月1日承認、申請資料概要2.5.4.1)
21) 海外臨床試験(PA.3)の有害事象(タルセバ錠:2011年7月1日承認、申請資料概要2.7.4.2.1.1.1)
22) Moyer JD, et al. Cancer Res. 1997;57(21):4838-4848
23) Pollack VA, et al. J Pharmacol Exp Ther. 1999;291(2):739-748
24) Higgins B, et al. Anticancer Drugs. 2004;15(5):503-512
25) Furugaki K, et al. Oncol Lett. 2010;1(2):231-235
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