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毒薬
処方箋医薬品注)
本剤は、緊急時に十分に措置できる医療施設において、癌化学療法及び肝動注化学療法に十分な経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。
肝細胞癌
シスプラチン100mgあたり70mLの生理食塩液を加えて溶解し、65mg/m2(体表面積)を肝動脈内に挿入されたカテーテルから、1日1回肝動脈内に20~40分間で投与し、4~6週間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。なお、投与量は症状等により適宜減量する。本剤の投与時には腎毒性を軽減するために下記の処置を行うこと。
骨髄抑制を増悪させることがある。
聴器障害を増悪させることがある。
骨髄抑制により、感染症を増悪させることがある。
致命的全身症状があらわれるおそれがある。
投与しないこと。
副作用が強くあらわれることがある。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。やむを得ず投与する場合には適宜減量又は亜区域投与等を行うこと。肝障害を増悪させるおそれがある。
肝細胞癌患者の多くは肝硬変等により代謝機能等が低下しているので、副作用が強くあらわれることがある。
*妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。妊娠中にシスプラチンと他の抗悪性腫瘍剤を併用された患者で、児の奇形及び胎児毒性1)が報告されている。また、動物実験で、ラットにおいて催奇形性、胎児致死率の増加、ウサギにおいて胎児致死率の増加が認められ、マウスにおいて催奇形性、胎児致死作用が報告されている。,
授乳しないことが望ましい。ヒト母乳中に移行することが報告されている。
用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能(骨髄機能、肝機能、腎機能等)が低下している。
抗悪性腫瘍剤放射線照射
骨髄抑制を増強することがある。患者の状態を観察しながら、減量するなど用量に注意すること。
骨髄抑制作用を有する。
パクリタキセル
本剤をパクリタキセルの前に投与した場合、逆の順序で投与した場合より骨髄抑制が増強するおそれがある。本剤をパクリタキセルの後に投与すること。
本剤をパクリタキセルの前に投与した場合、パクリタキセルのクリアランスが低下し、パクリタキセルの血中濃度が上昇する。
末梢神経障害が増強するおそれがある。患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長すること。
末梢神経障害を有する。
アミノグリコシド系抗生物質
バンコマイシンフロセミド
腎障害及び聴器障害が増強されることがある。
腎障害及び聴覚障害を有する。
アムホテリシンB(注射剤)
腎障害が増強されることがある。
腎障害を有する。
頭蓋内放射線照射
聴器障害が増強することがある。
機序不明
ピレタニド
聴覚障害を有する。
フェニトイン
フェニトインの血漿中濃度が低下したとの報告がある。
急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがある。BUN、血清クレアチニン、クレアチニン・クリアランス値等に異常が認められた場合は投与を中止すること。その他、血尿、尿蛋白、乏尿、無尿があらわれることがある。
汎血球減少(頻度不明)、貧血(頻度不明)、白血球減少(77.9%)、好中球減少(78.3%)、血小板減少(76.8%)等があらわれることがある。
本剤投与1~4日後に急激な血小板減少があらわれることがある。
顔面浮腫、気管支痙攣、チアノーゼ、呼吸困難、胸痛、血圧低下等の症状があらわれた場合には投与を中止すること。
AST、ALT、Al-P、LDH、γ-GTP、血清ビリルビン値上昇等を伴う重篤な劇症肝炎、肝機能障害、黄疸があらわれることがある。その他、血清アルブミン、血清総蛋白、ICG値等に異常があらわれることがある。また、本剤の反復投与等により胆汁うっ滞があらわれるおそれがある。
胆嚢炎、胆汁性嚢胞、肝膿瘍等の肝・胆道障害があらわれることがある。
心筋梗塞、狭心症(異型狭心症を含む)、うっ血性心不全、不整脈(心室細動、心停止、心房細動、徐脈等)があらわれることがあるので、胸痛、失神、息切れ、動悸、心電図異常等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
肺結核等の重大な感染症があらわれることがある。
高音域の聴力低下、難聴、耳鳴等があらわれることがある。
うっ血乳頭、球後視神経炎、皮質盲等の視覚障害があらわれることがある。
血小板減少、溶血性貧血、腎不全を主徴とする溶血性尿毒症症候群があらわれるおそれがある。
クームス試験陽性の溶血性貧血があらわれるおそれがある。
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う間質性肺炎があらわれるおそれがある。異常が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれるおそれがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等の適切な処置を行うこと。
血清アミラーゼ値、血清リパーゼ値等に異常が認められた場合には投与を中止すること。
昏睡、ケトアシドーシスを伴う重篤な症例も報告されている。
CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
10%以上
10%未満
頻度不明注2)
消化器
食欲不振(79.8%)、悪心・嘔吐注3)(76.0%)、下痢、便秘
上腹部痛、口内炎、腹痛、胃不快感、腹部不快感、腹部膨満、しゃっくり、十二指腸潰瘍
麻痺性イレウス、口角炎
全身症状
発熱(63.5%)、倦怠感(26.9%)、頭痛
腹水
過敏症
発疹
ほてり、発赤
皮膚
脱毛症
色素沈着障害、そう痒症
筋・骨格系
背部痛
精神神経系
不眠症、浮動性めまい、血圧上昇、味覚異常、失見当識
末梢神経障害(感覚減退、麻痺等)、表出性言語障害、意識レベルの低下、痙攣、レルミット徴候
呼吸器
鼻咽頭炎、咽頭炎、鼻出血、呼吸困難
循環器
動悸、頻脈、心電図異常、レイノー現象、血圧低下
電解質
血中ナトリウム異常(20.2%)、血中カリウム異常(23.1%)
血中塩化物異常
血中カルシウム異常、血中リン酸塩異常、血中マグネシウム異常、テタニー
泌尿器
尿中蛋白陽性(21.8%)、尿糖陽性
高尿酸血症
線溶系
フィブリン分解産物増加
プロトロンビン量増加
その他
総蛋白減少(29.8%)
疼痛、全身浮腫、胸痛、脱水
肝細胞癌患者に本剤を65mg/m2(体表面積)で肝動注したとき、投与終了後の血漿中total濃度(シスプラチン換算)は二相性の消失を示し、α相及びβ相の半減期はそれぞれ0.47及び85.03時間であった。血漿中free濃度(シスプラチン換算)は一相性で、0.51時間の半減期で速やかに消失した。
C0.5hr(μg/mL)
t1/2α(hr)
t1/2β(hr)
AUC0-t(μg・hr/mL)
total
4.19±0.02
0.47±0.11
85.03±9.40
182.04±28.25注5)
free
1.30±0.33
0.51±0.09注4)
1.56±0.26注6)
主に腎から排泄される。癌患者に点滴静注したときの尿中排泄は緩慢であり、その排泄率は、投与後24時間で15.6~51.3%、投与後5日目では排泄率の高い例において45~75%であった2),3),4)。
肝細胞癌患者95例を対象に本剤65mg/m2を肝動注し、本剤の有用性および安全性を検討した。肝癌化学療法効果判定基準による奏効率は32.6%(31/95例)であった5),6)。主な副作用は、食欲不振82.1%(78/95例)、悪心・嘔吐76.8%(73/95例)、発熱66.3%(63/95例)等の自他覚症状と好中球減少症78.3%(72/92例)、白血球減少症77.9%(74/95例)、血小板減少症76.8%(73/95例)等の臨床検査値異常であった5),7)。〈参考〉本剤の主な投与血管と抗腫瘍効果は次のとおりである。
投与血管
奏効率
総肝動脈、固有肝動脈
22.7%(5/22)
右、左、中肝動脈
37.0%(17/46)
区域、亜区域動脈
44.4%(4/9)
不明
33.3%(1/3)
合計
33.8%(27/80)
癌細胞のDNAと結合し、DNA合成及びそれに引き続く癌細胞の分裂を阻害するものと考えられている8)。
本剤は5株のヒト肝癌培養細胞に対し、0.21~3.6μg/mLのIC50値を示した。
シスプラチン(Cisplatin)
(SP-4-2)-Diamminedichloroplatinum
Cl2H6N2Pt
300.05
シスプラチンは、黄色の結晶性の粉末である。N,N-ジメチルホルムアミドにやや溶けにくく、水に溶けにくく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
1バイアル
1) *西村一記ほか:日本周産期・新生児医学会雑誌 2015;50:1322-1326
2) 岩崎武輝ほか:医学のあゆみ 1982;121:963-965
3) 澤田益臣ほか:癌と化学療法 1982;9:55-65
4) 堀内正敏ほか:癌と化学療法 1982;9:632-637
5) 前期第Ⅱ相試験における有効性および安全性(2004.01.29承認、申請資料概要 ト.1.(2).3))
6) 後期第Ⅱ相試験における有効性(2004.01.29承認、申請資料概要 ト.2.(2).2))
7) 後期第Ⅱ相試験における安全性(2004.01.29承認、申請資料概要 ト.2.(2).3))
8) Zwelling LA, et al.:Cancer Treat Rep. 1979;63:1439-1444
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