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イズカーゴ点滴静注用10mg

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
1.警告
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

イズカーゴ点滴静注用10mg

添付文書番号

3959424D1023_1_03

企業コード

530210

作成又は改訂年月

**2024年7月改訂(第3版)
2024年1月改訂(第2版)

日本標準商品分類番号

873959

薬効分類名

遺伝子組換えムコ多糖症Ⅱ型治療剤

承認等

イズカーゴ点滴静注用10mg

販売名コード

YJコード

3959424D1023

販売名英語表記

IZCARGO for I.V. infusion 10mg

販売名ひらがな

いずかーごてんてきじょうちゅうよう10mg

承認番号等

承認番号

30300AMX00260000

貯法・有効期間

貯法

凍結を避け、2~8℃で保存

有効期間

36ヵ月

規制区分

一般的名称

パビナフスプ アルファ(遺伝子組換え)

1. 警告

  1. 1.1 本剤の投与により重篤なアナフィラキシー、ショックが発現する可能性があるので、緊急時に十分な対応のできる準備をした上で投与を開始し、投与終了後も十分な観察を行うこと。また、重篤なinfusion reactionが発現した場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。,,,
  2. 1.2 重症な呼吸不全又は急性呼吸器疾患のある患者に投与した場合、infusion reactionによって症状の急性増悪が起こる可能性があるので、患者の状態を十分に観察し、必要に応じて適切な処置を行うこと。,

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対しアナフィラキシーショックの既往歴のある患者,,

3. 組成・性状

3.1 組成

イズカーゴ点滴静注用10mg

(1バイアル中)

有効成分パビナフスプ アルファ(遺伝子組換え)1),2)   12.5mg
添加剤塩化ナトリウム   2.0mg
精製白糖   187.5mg
リン酸二水素ナトリウム水和物   5.34mg
リン酸水素ナトリウム水和物   5.64mg
*ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール3)   0.8125mg
水酸化ナトリウム   適量
塩酸   適量

1) チャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。
2) 本剤は、調製時の損失を考慮し、1バイアルからパビナフスプ アルファ(遺伝子組換え)10mgを注射可能な量として確保するために過量充填されている。
3) *抗酸化剤としてジブチルヒドロキシトルエンを含有。

3.2 製剤の性状

イズカーゴ点滴静注用10mg

色・性状白色の塊又は粉末(凍結乾燥製剤)
溶解時のpH6.2~6.8(5mg/mL日局注射用水)
浸透圧比
(生理食塩液に対する比)
0.9~1.2(5mg/mL日局注射用水)

4. 効能又は効果

ムコ多糖症Ⅱ型

5. 効能又は効果に関連する注意

中枢神経系症状の改善又は進行の抑制が必要と考えられる患者に対して投与を検討すること。

6. 用法及び用量

通常、パビナフスプ アルファ(遺伝子組換え)として、1回体重1kgあたり2.0mgを週1回、点滴静注する。

7. 用法及び用量に関連する注意

**日局注射用水で溶解し、日局生理食塩液で希釈した後に投与すること。infusion reactionが発現するおそれがあるため、初回投与の際は、8mL/時を目安に投与を開始すること。患者の忍容性が十分に確認された場合、徐々に投与速度を上げてもよい。,,,,,

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 本剤はタンパク質製剤であり、アナフィラキシーショックを発現する可能性が否定できないため、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、このような症状の発現に備え、緊急処置を取れる準備をしておくこと。,,,,
  2. 8.2 本剤投与によりinfusion reaction(頭痛、悪寒、失神、疲労、浮動性めまい、発熱、発疹、紅斑、蕁麻疹等)が発現することがある。infusion reactionがあらわれた場合、投与速度の減速又は投与の一時中止、適切な薬剤治療(副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤又は抗炎症剤等)、もしくは緊急処置(酸素投与、気道確保、アドレナリンの投与等)を行うこと。なお、次回投与以降は、本剤投与前に抗ヒスタミン剤や副腎皮質ホルモン剤等の投与を考慮すること。,,,
  3. 8.3 本剤投与によりIgG抗体産生が予測されるため、定期的にパビナフスプ アルファ(遺伝子組換え)に対する抗薬物抗体検査を行うことが望ましい。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 本剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者

    ,,

  2. 9.1.2 重症な呼吸不全又は急性呼吸器疾患のある患者

    患者の状態を十分に観察し、必要に応じて適切な処置を行うこと。また、急性呼吸器疾患のある患者では、投与日を遅らせることを考慮すること。infusion reactionによって症状の急性増悪が起こる可能性がある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。乳汁移行に関するデータはない。

9.7 小児等

9ヵ月未満の患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 重度のinfusion reaction(頻度不明)

    アナフィラキシーを起こすことがある。投与中あるいは投与終了後は、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ホルモン剤の投与及び気道確保等の適切な処置を行うこと。また、重度及び難治性のアナフィラキシーが発現した患者は、初回発現24時間以降にも、アナフィラキシーが発現する可能性があるので、観察期間を延長し、適切な薬剤治療を行うこと。,,,,,,

11.2 その他の副作用

5%以上

1%以上~5%未満

神経系障害

頭痛、浮動性めまい、失神

皮膚および皮下組織障害

蕁麻疹

紅斑、発疹

一般・全身障害および投与部位の状態

発熱(39.3%)、悪寒

疲労

臨床検査

心電図QT延長

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意

  1. 14.1.1 1バイアルを日局注射用水2.4mLで溶解し、パビナフスプ アルファ(遺伝子組換え)として5mg/mLの溶液とすること。患者の体重あたりで計算した必要量を採取し、日局生理食塩液で希釈して100mLとすること。
  2. 14.1.2 溶解時は静かにバイアルを回転させ、完全に溶解すること。また、激しく振とうしないこと。
  3. 14.1.3 日局生理食塩液で希釈する際は、溶解液を緩徐に注入し、静かに混和すること。希釈時、沈殿の認められるもの又は混濁しているものは使用しないこと。
  4. 14.1.4 用時調製し、調製後は速やかに使用すること。また、必要量を抜き取った後のバイアル内の残液は、施設の手順に従って廃棄すること。
  5. 14.1.5 バイアルは一回限りの使用とすること。

14.2 薬剤投与時の注意

  1. 14.2.1 0.2μmのインラインフィルターを通して投与すること。
  2. 14.2.2 他剤との混注を行わないこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

  1. 15.1.1 本剤はタンパク質製剤であり、本剤に対するIgG抗体が産生される可能性がある。国内外の臨床試験において61例中34例に抗パビナフスプ アルファ抗体の産生が認められ、そのうち31例でトランスフェリン受容体への本剤の結合に対する阻害活性が、19例でマンノース-6-リン酸受容体への本剤の結合に対する阻害活性が認められた。
  2. 15.1.2 ムコ多糖症Ⅱ型はX連鎖劣性遺伝疾患であるが、稀に女性患者の報告がある。臨床試験に女性患者の参加はなく、女性における本剤の安全性は確立していない。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

国内第Ⅰ/Ⅱ相試験において、6歳以上のムコ多糖症Ⅱ型患者6例に、本剤2.0mg/kgを週1回、計4回静脈内反復投与を行ったときの薬物動態パラメータを表1に示す。1)

表1 6歳以上のムコ多糖症Ⅱ型患者における本剤初回投与時及び3週後(4回目投与時)の薬物動態パラメータ

初回投与時

3週後
(4回目投与時)

例数

平均値±標準偏差

例数

平均値±標準偏差

Cmax
(ng/mL)

6

11338.3±6838.9

6

13083.3±9906.6

tmax
(h)

6

3.275±0.250

6

3.200±0.226

AUC0-t
(ng・h/mL)

6

37473.8±13580.8

6

39186.9±19294.9

t1/2(h)

3

4.099±0.513

2

4.482±1.085

Vd(L)

5

9.272±5.510

5

9.416±8.937

CL(L/h)

5

1.984±0.355

5

2.107±0.722

16.3 分布

国内第Ⅱ/Ⅲ相試験において、ムコ多糖症Ⅱ型患者28例に、本剤2.0mg/kgを週1回、52週間、点滴静脈内投与を行った。各投与の終了時刻から4時間以内に脳脊髄液(CSF)を採取し薬物濃度を測定した結果、投与25週後には1例(1.44ng/mL)、52週後では2例(1.47及び3.10ng/mL)においてパビナフスプ アルファが検出された。1)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  1. 17.1.1 国内第Ⅱ/Ⅲ相試験

    ムコ多糖症Ⅱ型患者(28例、1~26歳)を対象とした非盲検非対照試験を実施した。本剤2.0mg/kgを週1回、52週間(1例は14週後投与まで)点滴静脈内投与を行った結果、CSF中ヘパラン硫酸(HS)濃度及びデルマタン硫酸(DS)濃度それぞれの各検査時期における測定値の要約統計量は、表2のとおりであった。2)

    表2 脳脊髄液中HS濃度及びDS濃度の要約統計量
    (ng/mL)

    例数

    平均値±標準偏差

    HS

    Baseline

    28

    5948±2611

    25

    27

    2358±1024

    52

    22

    2139±968.1

    DS

    Baseline

    28

    1174±417.6

    25

    27

    685.4±241.6

    52

    22

    593.4±277.7

    また、イデュルスルファーゼ(遺伝子組換え)による治療歴の有無別の、血清中HS濃度及びDS濃度のそれぞれの各検査時期における測定値の要約統計量は表3のとおりであった。

    表3 血清中HS濃度及びDS濃度の要約統計量
    (ng/mL)

    週*

    イデュルスルファーゼによる治療歴あり

    イデュルスルファーゼによる治療歴なし

    例数

    平均値±標準偏差

    例数

    平均値±標準偏差

    HS

    Baseline

    25

    847.0±631.1

    3

    4997±1766

    26

    24

    539.0±241.9

    3

    1102±527.3

    52

    24

    507.2±276.8

    3

    965.0±473.4

    DS

    Baseline

    25

    937.1±452.7

    3

    4843±2141

    26

    24

    1061±473.7

    3

    1669±892.6

    52

    24

    959.4±443.7

    3

    1427±733.8

    *Baseline:本剤投与開始前2週、1週、初回投与時の値の平均
    26週:本剤投与後24週、25週、26週の値の平均
    52週:本剤投与後50週、51週、52週の値の平均

    副作用発現頻度は53.6%(15/28例)であった。主な副作用(2例以上に発現)は、発熱39.3%(11/28例)、蕁麻疹10.7%(3/28例)、悪寒7.1%(2/28例)であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

本剤は、末梢組織・臓器では、主にカチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体とトランスフェリン受容体1(TfR)を介して細胞内に取り込まれた後、ライソゾームへ運ばれ、蓄積したGAGを分解する。また、TfRを介したトランスサイトーシス3)によって血液脳関門(BBB)を通過し、脳実質の細胞についても、末梢組織と同様にカチオン非依存性マンノース-6-リン酸受容体とTfRを介して取り込まれた後、蓄積したGAGを分解する。

18.2 基質減少効果及び中枢神経系症状に対する作用

本剤をムコ多糖症Ⅱ型モデルマウス4)に反復静脈内投与した結果、CSF、脳、血清、心臓、肝臓及び脾臓中のGAGの減少が認められた。また、中枢神経変性の抑制効果及びモリス型水迷路課題の獲得能の改善が認められた。

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

パビナフスプ アルファ(遺伝子組換え)
Pabinafusp Alfa(Genetical Recombination)

本質

パビナフスプ アルファは、ヒト化抗ヒトトランスフェリン受容体モノクローナル抗体及びヒトイズロン酸-2-スルファターゼからなる遺伝子組換え融合糖タンパク質(分子量:約300,000)である。パビナフスプ アルファは、チャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される。パビナフスプ アルファは、219個のアミノ酸残基からなるA鎖2本と、975個のアミノ酸残基からなるB鎖2本からなる。そのA鎖は、抗ヒトトランスフェリン受容体抗体のL鎖(κ鎖)からなり、またそのB鎖の1~448、449~450、及び451~975番目は、それぞれ抗ヒトトランスフェリン受容体抗体のH鎖(γ1鎖)、リンカー及びヒトイズロン酸-2-スルファターゼからなる。

20. 取扱い上の注意

外箱開封後は遮光して保存すること。

21. 承認条件

  1. 21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
  2. 21.2 国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、再審査期間中の全投与症例を対象に製造販売後臨床試験又は使用成績調査を実施することにより、本剤の使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集すること。
  3. 21.3 本剤の有効性及び安全性の確認を目的とした臨床試験及び使用成績調査について、定期的に試験成績及び解析結果を提出すること。
  4. 21.4 本剤の有効性及び安全性に関する追加的に実施された評価に基づき、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

22. 包装

イズカーゴ点滴静注用10mg[1バイアル]

24. 文献請求先及び問い合わせ先

JCRファーマ株式会社

〒659-0021 兵庫県芦屋市春日町3番19号

TEL:0800-100-8100

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

JCRファーマ株式会社

兵庫県芦屋市春日町3番19号

26.2 *プロモーション提携

*住友ファーマ株式会社

*大阪市中央区道修町2-6-8

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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