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日本薬局方
ザルトプロフェン錠
劇薬
通常、成人にザルトプロフェン1回80mg、1日3回経口投与する。頓用の場合は、1回80~160mgを経口投与する。
消化性潰瘍を再発させることがある。
本剤を継続投与する場合には、十分経過を観察し、慎重に投与すること。ミソプロストールは非ステロイド性消炎鎮痛剤により生じた消化性潰瘍を効能・効果としているが、ミソプロストールによる治療に抵抗性を示す消化性潰瘍もある。
血液の異常を悪化又は再発させるおそれがある。
心機能障害を悪化させるおそれがある。
喘息発作を誘発させるおそれがある。
症状を悪化させるおそれがある。
必要に応じて適切な抗菌剤を併用し、観察を十分に行い慎重に投与すること。感染症を不顕性化するおそれがある。
投与しないこと。腎機能障害をさらに悪化させるおそれがある。
腎機能障害を悪化又は再発させるおそれがある。
投与しないこと。肝機能障害をさらに悪化させるおそれがある。
肝機能障害を悪化又は再発させるおそれがある。
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。投与する際には、必要最小限にとどめ、羊水量、胎児の動脈管収縮を疑う所見を妊娠週数や投与日数を考慮して適宜確認するなど慎重に投与すること。シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)を妊婦に使用し、胎児の腎機能障害及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が起きたとの報告がある。シクロオキシゲナーゼ阻害剤を妊娠中期以降の妊婦に使用し、胎児の動脈管収縮が起きたとの報告があり、また妊娠後期はその発現リスクがより高くなることが知られている。妊娠末期のラットに投与した実験で、胎児の動脈管収縮が報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている1)。
副作用の発現に特に注意し、必要最小限の使用にとどめるなど慎重に投与すること。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
ニューキノロン系抗菌剤
痙攣を誘発することがあるので、用量を調節するなど注意すること。
ニューキノロン系抗菌剤は中枢神経系の抑制性伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)の受容体への結合を阻害することにより痙攣を誘発する。本剤はその阻害作用を増強すると考えられている2)。
クマリン系抗凝血剤
抗凝血作用を増強するおそれがあるので、用量を調節するなど注意すること。
本剤のヒトにおける血漿蛋白結合率(in vitro)は99%以上と高く、血漿蛋白結合率の高い薬剤と併用すると、血中の遊離型薬剤の濃度が上昇するためと考えられている3)。
スルホニル尿素系血糖降下剤
血糖降下作用を増強するおそれがあるので、用量を調節するなど注意すること。
チアジド系利尿剤
チアジド系利尿剤の作用を減弱するとの報告がある。
本剤のプロスタグランジン生合成抑制作用により、水・塩類の排泄を低下させる可能性が考えられている。
リチウム製剤
リチウム製剤の作用を増強するとの報告があるので、リチウム製剤の用量を調節するなど注意すること。
本剤の腎におけるプロスタグランジン生合成抑制作用により、これらの薬剤の腎排泄が減少し、血中濃度が高くなる可能性が考えられている。
メトトレキサート
メトトレキサートの作用を増強するとの報告があるので、メトトレキサートの用量を調節するなど注意すること。
呼吸困難、血圧低下、冷汗、悪寒、発疹、かゆみ、紅潮、顔面浮腫、蕁麻疹等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
急性腎障害、ネフローゼ症候群等の腎機能障害があらわれることがあるので、BUN・血中クレアチニンの上昇、乏尿、浮腫、蛋白尿、低蛋白血症等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
黄疸、AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇があらわれることがある。
消化性潰瘍及び小腸・大腸潰瘍(出血や穿孔を伴うことがある)、出血性大腸炎があらわれることがある。
心筋梗塞、脳血管障害等の心血管系血栓塞栓性事象があらわれることがある4)。
0.1%~1%
0.1%未満
頻度不明
消化器
胃不快感、胃痛、嘔気、心窩部痛、下痢、胃重感、胸やけ、口内炎、悪心、食欲不振、腹痛、嘔吐
便秘、腹部膨満感、舌炎、口渇
精神神経系
眠気、めまい、頭痛、しびれ(感)
過敏症
発疹、皮疹
湿疹、そう痒
光線過敏症
血液
ヘモグロビン減少、ヘマトクリット値低下、赤血球減少、好酸球増加
血小板増加、白血球増加
肝臓
ALT上昇、AST上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇
腎臓
BUN上昇
血中クレアチニン上昇、血尿
その他
浮腫
倦怠感、排尿痛、排尿障害、発熱
ほてり、頻尿
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
非ステロイド性消炎鎮痛剤を長期間投与されている女性において、一時的な不妊が認められたとの報告がある5),6),7),8)。
健康成人男子6例にザルトプロフェン80mgを単回経口投与した結果、未変化体の血漿中濃度は速やかに上昇し、投与約1.2時間後に最高値(5.00μg/mL)に達し、その後二相性(T1/2α約0.9時間、T1/2β約9時間)で低下した9)。
Tmax(hr)
Cmax(μg/mL)
T1/2α(hr)
T1/2β(hr)
AUC(μg・hr/mL)
1.17±0.49
5.00±1.65
0.87±0.36
9.08±6.79
12.77±1.56
(平均値±標準偏差, n=6)
健康成人男子6例にザルトプロフェンを1回100mg 7日間反復投与注)(1日目は朝食1時間後に1回投与、2~6日目は1日3回投与、7日目は絶食下、朝1回投与)した結果、蓄積性は認められていない10)。注)本剤の承認された用量は1回80mg、1日3回、頓用の場合は1回80~160mgである。
健康成人男子6例にザルトプロフェン80mgを単回経口投与した結果、吸収率は82%以上と推察された9)。
ラット、ウサギ、イヌ及びヒトの血清に、14C-ザルトプロフェンを3μg/mLおよび30μg/mLの濃度で添加して血清蛋白結合率を求めた結果、いずれの種および濃度でも血清蛋白結合率(in vitro)は98%以上であった1)。
健康成人男子6例にザルトプロフェン80mgを単回経口投与した結果、投与24時間以内に投与量の約82%が尿中に排泄され、その大部分は未変化体の抱合体であった9)。
国内で実施された、二重盲検比較試験を含む臨床試験で効果判定が行われた総症例1,393例(一般臨床試験793例、二重盲検試験600例)の臨床成績の概要は次のとおりである11),12),13),14),15),16),17),18),19),20),21),22),23),24),25),26),27),28),29),30),31),32),33),34),35)。
疾患名
投与量(mg/日)
投与期間
改善率(%)
改善以上
やや改善以上
関節リウマチ
240
~52週
90/334(26.9)
183/334(54.8)
変形性関節症
4週
144/229(62.9)
193/229(84.3)
腰痛症
2週
120/168(71.4)
147/168(87.5)
肩関節周囲炎
71/120(59.2)
93/120(77.5)
頸肩腕症候群
81/118(68.6)
101/118(85.6)
手術後・外傷後
7日
173/210(82.4)
202/210(96.2)
抜歯後
160
頓用
195/214(91.1)*
210/214(98.1)**
*有効以上 **やや有効以上
アラキドン酸代謝系におけるシクロオキシゲナーゼ阻害によりプロスタグランジン生合成を抑制することで鎮痛及び抗炎症作用をあらわす。また、白血球遊走抑制作用及びライソゾーム酵素遊離抑制作用等の白血球細胞膜安定化作用も抗炎症作用の一機序になっているものと考えられる36),37),38)。
選択的に炎症反応にかかわる細胞からのプロスタグランジン生合成を強く抑制し(in vitro)、ラット胃組織のプロスタグランジン生合成抑制作用はインドメタシンより弱く、尿中プロスタグランジン排泄の抑制も軽度であった36)。
酢酸ライジング法(マウス、ラット)、ブラジキニン動注法(ラット)、ランダル-セリット法(ラット)及びアジュバント関節痛(ラット)の各種疼痛モデルに対して鎮痛作用を示した。特にブラジキニンによる疼痛反応に対しては、インドメタシン、プラノプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、ケトプロフェン、メフェナム酸、ロキソプロフェンナトリウムよりも約3倍~28倍の強い効果を示した39),40)。
カラゲニン足蹠浮腫(ラット)、血管透過性亢進(ラット)、紫外線紅斑(モルモット)、コットンペレット法(ラット)、CMC空気嚢炎モデル(ラット)及びアレルギー性空気嚢炎モデル(ラット)等の急性、亜急性及び慢性の各種炎症モデルにおいて抗炎症作用を示した。また、関節リウマチの病態モデルであるアジュバント関節炎モデル(ラット)に対して治療効果が認められた36),40),41),42)。
ザルトプロフェン(Zaltoprofen)
(2RS)-2-(10-Oxo-10,11-dihydrodibenzo[b,f]thiepin-2-yl)propanoic acid
C17H14O3S
298.36
ザルトプロフェンは白色~淡黄色の結晶又は結晶性の粉末である。本品はアセトンに溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)にやや溶けやすく、水にほとんど溶けない。本品は光によって徐々に分解する。本品のアセトン溶液(1→10)は旋光性を示さない。
135~139℃
測定温度25℃
pH
クロロホルム/緩衝液*
オクチルアルコール/緩衝液*
2.0~5.0
1,000以上
6.0
739
7.0
11.1
14.5
8.0
1.11
4.41
*Britton-Robinson緩衝液
100錠[10錠(PTP)×10]500錠[10錠(PTP)×50]500錠[ポリエチレン瓶、バラ]1,000錠[10錠(PTP)×100]1,050錠[21錠(PTP)×50]
1) 春木左千夫、他:薬理と治療. 1990;18:3843-3863
2) 河野健一、他:応用薬理. 1994;48:289-296
3) 佐野廣、他:薬理と治療. 1995;23:1477-1487
4) **データベース調査結果の概要(NDBを用いた非ステロイド性抗炎症薬による心血管系イベント発現のリスク評価):https://www.pmda.go.jp/files/000270714.pdf
5) Mendonca, L. L. F. et al.:Rheumatology. 2000;39:880-882
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17) 小松原良雄、他:薬理と治療. 1990;18:4945-4962
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