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劇薬
処方箋医薬品注)
急性期症状において緊急を要する場合および経口投与が困難な場合に用いる。チミペロンとして、通常成人1回4mgを1日1回もしくは2回、筋肉内または静脈内注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
一過性の血圧低下があらわれることがある。
痙攣閾値を低下させることがある。
錐体外路症状が起こりやすい。
著しい血圧低下、Syndrome malin(悪性症候群)が起こるおそれがある。
本剤の添加剤D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発されるおそれがある。
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。
症状が悪化するおそれがある。また、血中濃度が上昇するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。類似化合物(ハロペリドール)で催奇形性を疑う症例が報告されている。また、妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。
投与中及び投与後一定期間は授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されており、また類似化合物(ハロペリドール)でヒト母乳中へ移行することがある。
錐体外路症状等、中枢神経系の副作用が起こりやすい。
少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。錐体外路症状等の副作用があらわれやすい。
*アドレナリン(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)
アドレナリンの作用を反転させ、重篤な血圧低下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α及びβ刺激薬であるが、本剤のα遮断作用により、β刺激作用が優位となり、血圧降下作用が増強されると考えられている。
*アドレナリン含有歯科麻酔剤
重篤な血圧低下を起こすことがある。
中枢神経抑制薬
中枢神経抑制作用が増強することがある。用量を調節する。
相互に中枢神経抑制作用を増強すると考えられている。
アルコール
中枢神経抑制作用が増強することがある。
リチウム
類似化合物で心電図変化、重症の錐体外路症状、持続性のジスキネジア、突発性のSyndrome malin(悪性症候群)、非可逆性の脳障害を起こすとの報告がある。
観察を十分に行う。
機序は明らかでないが、ブチロフェノン系薬剤は脳内ドパミン受容体とアデニルシクラーゼ活性を遮断し、リチウムもアデニルシクラーゼ活性を抑制して、相互に中枢神経抑制作用を増強すると考えられている。
メトクロプラミド、ドンペリドン
内分泌機能異常、錐体外路症状が発現しやすくなる。
相互に抗ドパミン作用を増強すると考えられている。
タンドスピロンクエン酸塩
錐体外路症状を増強するおそれがある。
タンドスピロンクエン酸塩が弱い抗ドパミン作用(D2)を有すると考えられている。
ドパミン作動薬
ドパミン作動薬の作用を減弱することがある。
抗ドパミン作用を有するため、ドパミン作動性神経において、作用が拮抗すると考えられている。
カルバマゼピン
類似化合物(ハロペリドール)で作用が減弱し、運動性興奮や譫妄状態を起こすとの報告がある。観察を十分に行う。
カルバマゼピンの肝薬物代謝酵素誘導作用により、類似化合物(ハロペリドール)の代謝が促進され、血中濃度が減少(平均60%)するとの報告がある。
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。
腸管麻痺(初期症状:食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩、腸内容物のうっ滞等)をきたし、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺が認められた場合には投与を中止すること。なお、この悪心・嘔吐は本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。
長期投与により、口周部等の不随意運動があらわれ、投与中止後も持続することがある。
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5%以上
0.1〜5%未満
0.1%未満
頻度不明
循環器
血圧低下、頻脈、徐脈、胸内苦悶感、心電図変化(洞性徐脈、洞性頻脈、洞性不整脈、不完全脚ブロック、T波の変化、QT間隔の延長等)
血圧上昇
肝臓
ALT上昇等
AST上昇、LDH上昇等
錐体外路症状
アカシジア(静坐不能)、パーキンソン症候群(手指振戦、固縮、流涎等)
ジスキネジア(痙攣性斜頸、顔面及び頸部の攣縮、後弓反張、眼球回転発作、構音障害、舌のもつれ等)、歩行異常
嚥下困難
眼
視調節障害、かすみ目
過敏症
発疹等
血液
白血球増加、血小板減少、血小板増加、血糖値低下、血糖値上昇等
消化器
口渇、便秘、食欲不振、悪心、嘔吐、下痢
内分泌
乳汁分泌、月経異常
血中プロラクチン値上昇
精神神経系
眠気、めまい、ふらつき
痙攣、意識障害、錯乱、睡眠障害、不安・焦燥、頭痛、興奮・易刺激性、知覚異常等
その他
倦怠感、CK上昇
脱力感、立ちくらみ、発熱、発汗、鼻閉、排尿障害、総コレステロール上昇、BUN上昇、クレアチニン値上昇、尿蛋白・ウロビリノーゲン・尿糖等の判定が偽陽性ないし陽性化
浮腫
主な症状は、低血圧、過度の鎮静、重症の錐体外路症状(筋強剛、振戦、ジストニア症状)等である。また、呼吸抑制及び低血圧を伴う昏睡状態や心電図異常(Torsades de pointesを含む)があらわれることがある。小児では血圧上昇があらわれたとの報告もある。
低血圧や循環虚脱があらわれた場合には、輸液・血漿製剤、アルブミン製剤、ノルアドレナリン等の昇圧薬(アドレナリンは禁忌)等による血圧の確保等の処置を行う。重症の錐体外路症状に対しては、抗パーキンソン病薬を投与する。
ジアゼパムと混合しないこと(白濁が認められる)。
マウスの雄で臨床最大用量の30倍(6.2mg/kg/日)以上、雌で115倍(23.2mg/kg/日)以上をそれぞれ長期間経口投与した試験において、下垂体、乳腺等での腫瘍発生頻度が対照群に比し高いとの報告がある。
統合失調症患者7例にチミペロン4mgを単回筋肉内投与した場合、血漿中濃度は0.5~8時間(平均3.7時間)で最高濃度8~21ng/mL(平均13.6ng/mL)に達し、その後半減期平均15.7時間で消失した。なお、本剤の血漿中濃度の推移には個人差が認められた。
統合失調症患者7例にチミペロン4mgを1日1回7日間連続筋肉内投与した場合、3、5、7日目の投薬前における平均血漿中濃度は2.4~3.1ng/mLで推移し、単回投与後24時間値(3.6ng/mL)と比較し濃度の上昇は認められなかった。また、連続投与3、5、7日目の投薬後30分値も11.9~14.0ng/mLで、単回投与30分値(10.5ng/mL)にほぼ一致し、連続投与による血漿中濃度の上昇傾向は認められなかった。
14C-チミペロンのin vitroでのヒト血漿蛋白結合率は超遠心分離法で95%以上、平衡透析法で約90~96%、ゲル濾過法では約77~79%であった。なお、14C-チミペロンとヒト血漿蛋白との結合は可逆的であった1)。
ラットに14C-チミペロンを静脈内あるいは筋肉内に単回投与した場合、放射能は速やかに血中より組織に移行し、血中からの消失に類似して組織からも速やかに消失した。脳内には、抗精神病作用発現本体である未変化体が主として存在し、脳内放射能濃度は投与後4時間まで血漿中濃度の1~4倍を示し、大脳皮質に高く、次いで大脳辺縁系及び脳幹に分布が認められた2),3)。
ラットでチミペロンはN-脱アルキル化とブチロフェノン側鎖の還元により代謝され、3種の代謝物を生成することが確認されている。ラットでは、脳、血漿及び組織内に未変化体が主として、尿中に主要代謝物として2,3-dihydro-1-(4-piperidinyl)-2-thioxo-1H-benzimidazoleが存在した4)。
ラットに14C-チミペロンを静脈内(0.1mg/kg、2mg/kg)あるいは筋肉内(0.1mg/kg)に単回投与した場合、尿及び糞中への排泄は投与後48時間までにほぼ終了し、投与量の51~54%が尿中に、39~42%が糞中に認められた。また排泄率には投与経路、投与量による相違は認められなかった3)。また、胆汁中へは投与後24時間で投与量の33%が排泄され、胆汁中に排泄されたチミペロンは腸管から再吸収されることが認められている。
国内89施設で実施された統合失調症患者480例(主に激しい興奮状態、幻覚・妄想に左右された精神運動興奮状態の患者)を対象とした臨床試験において、改善率は著明改善及び中等度改善では51%、軽度改善を含めると81%であり、特に短期治療で優れた臨床効果が認められた。また、3種の二重盲検比較試験で本剤の有用性が確認されている。承認前の調査648例中報告された副作用は50.5%(327例)で、主な副作用はパーキンソン症候群15.6%(101件)、アカシジア11.7%(76件)、構音障害7.9%(51件)、ジスキネジア5.7%(37件)等の錐体外路症状、口渇6.8%(44件)、便秘6.5%(42件)、食欲不振6.0%(39件)、嘔気・嘔吐5.4%(35件)等の消化器症状、眠気13.3%(86件)、睡眠障害9.6%(62件)、不安・焦燥6.8%(44件)等の精神神経症状であった。
躁病患者41例[内因性躁病(躁病相)]を対象とした臨床試験において、改善率は著明改善及び中等度改善では76%、軽度改善を含めると93%であり、特に躁症状の早期安定化に優れた臨床効果が認められた。また、二重盲検比較試験で本剤の有用性が確認されている。承認前の調査64例中報告された副作用は73.4%(47例)で、主な副作用はパーキンソン症候群21.9%(14件)、構音障害20.3%(13件)、アカシジア14.1%(9件)、ジスキネジア12.5%(8件)等の錐体外路症状、口渇26.6%(17件)、食欲不振14.1%(9件)、嘔気・嘔吐9.4%(6件)、便秘7.8%(5件)等の消化器症状、眠気32.8%(21件)、不安・焦燥7.8%(5件)等の精神神経症状であった。
トロペロンはブチロフェノン系の抗精神病剤であり、中枢神経系におけるドパミン作動性神経等に対する抑制作用が考えられている。
チミペロンの行動薬理学的特長は主薬効である抗メタンフェタミン作用、抗アポモルフィン作用及び条件回避反応抑制作用が強いのに対して、錐体外路系副作用と関連するカタレプシー惹起作用等が弱いことである。また、チミペロン注射剤のラット及びマウスにおける主薬理作用(抗精神病作用)発現用量は、静脈内投与及び筋肉内投与ともほぼ0.005~0.01mg/kgであり、両投与経路間で差はなかったが、経口投与(0.05~0.1mg/kg)に比べて約5~11倍強い効力を示した。
ラットにおける抗メタンフェタミン常同行動作用はハロペリドールの約6~7倍であり、マウスにおける抗メタンフェタミン運動亢進作用はハロペリドールの約6~12倍である5)。
ラットにおける抗アポモルフィン常同行動作用はハロペリドールの約4~5倍、イヌにおける抗アポモルフィン嘔吐作用はハロペリドールの約12~24倍である5)。
ラットにおける条件回避反応に対する抑制作用は、ハロペリドールの約4倍である5)。
ラットにおけるカタレプシー惹起用量は0.04~0.1mg/kg(抗精神病作用発現用量の約4~10倍)であり、主薬効発現用量との間に乖離がみられた5)。
チミペロン(Timiperone)
1-(4-fluorophenyl)-4-[4-(2-sulfanylidene-3H-benzimidazol-1-yl)piperidin-1-yl]butan-1-one
C22H24FN3OS
397.51
白色~微黄白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。クロロホルムに溶けやすく、酢酸(100)にやや溶けやすく、アセトンにやや溶けにくく、メタノール又はエタノール(95)に溶けにくく、ジエチルエーテルに極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
200~203℃
2mL[10アンプル(褐色)]
1) Sudo K, et al.:Chem Pharm Bull. 1983;31(4):1411-1414
2) 須藤賢一 他:薬理と治療. 1985;13(S-5):1137-1147
3) 大藪新太郎 他:薬理と治療. 1985;13(S-5):1121-1135
4) Tachizawa H, et al.:Drug Metab Dispos. 1981;9(5):442-448
5) 桜井武男 他:薬理と治療. 1985;13(S-5):1111-1120
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