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劇薬
処方箋医薬品注)
うつ病・うつ状態、自殺念慮、自殺企図が発現又は悪化することがあるので、本剤を投与する場合には、個々の患者における治療上の有益性と危険性を慎重に判断した上で投与を開始し、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察すること。また、患者及びその家族等に対して、関連する症状があらわれた場合にはただちに医師に連絡するよう指導すること。,,,,,,
ハンチントン病に伴う舞踏運動
本剤の効果はハンチントン病に伴う舞踏運動の改善に限定されており、舞踏運動以外の症状改善は期待できないことに留意すること。
通常、成人にはテトラベナジンとして1日量12.5mg(12.5mgの1日1回投与)から経口投与を開始し、以後症状を観察しながら1週毎に1日量として12.5mgずつ増量し、維持量を定める。その後は、症状により適宜増減するが、1日最高投与量は100mgとする。なお、1日量が25mgの場合は1日2回、1日量が37.5mg以上の場合には1日3回に分けて投与することとし、1回最高投与量は37.5mgとする。
自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。,,,,,
QT間隔が過度に延長するおそれがある。,
悪性症候群(Syndrome malin)が起こりやすい。
投与に際しては、忍容性に問題がない場合にのみ徐々に増量する等、患者の状態を注意深く観察し、慎重に投与すること。本剤の活性代謝物の血中濃度が上昇し、副作用が発現しやすいおそれがある。,,
排泄が遅延するおそれがある。,
投与しないこと。代謝が遅延し、作用が増強されるおそれがある。,
代謝が遅延し、作用が増強されるおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
一般に生理機能が低下していることが多い。
MAO阻害剤
MAO阻害剤の作用が増強することがある。MAO阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合は、少なくとも2週間の間隔をおくこと。
併用によりMAO阻害剤の作用が増強されるおそれがある。
*レセルピン
相互に作用を増強することがある。レセルピンの投与を受けた患者に本剤を投与する場合は、少なくとも3週間の間隔をおくこと。
本剤と類似した作用メカニズムを有する。
CYP2D6を阻害する薬剤
,
本剤の活性代謝物の血中濃度が上昇することがあるので、本剤を減量するなど考慮すること。
これらの薬剤の薬物代謝酵素阻害作用による。
QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤
QT間隔延長、心室性不整脈(Torsade de pointesを含む)等の重篤な副作用を起こすおそれがある。
いずれもQT間隔を延長させるおそれがある。
レボドパ
相互に作用を減弱することがある。
本剤はモノアミン涸渇作用を有していることから、ドパミン作動性神経において作用が拮抗する可能性がある。
ドパミン拮抗剤
相互に作用を増強することがある。
本剤はモノアミン涸渇作用を有していることから、併用により作用が増強されるおそれがある。
降圧剤
起立性低血圧等を起こすおそれがある。
降圧剤の作用を増強する可能性がある。
アルコール中枢神経抑制剤
併用により作用が増強されたり、鎮静及び傾眠を悪化させるおそれがある。
*バルベナジン
*相互に作用を増強することがあるため併用は推奨されない。併用する場合は観察を十分に行い、副作用の発現に注意すること。
*本剤と類似した作用機序を有することから、併用により作用が増強されるおそれがある。
,,,,,,
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行う。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。
5%以上
5%未満
頻度不明
過敏症
――
発疹、そう痒
精神神経系
傾眠(26.1%)、パーキンソニズム、アカシジア、不眠症、睡眠障害、落ち着きのなさ、気力低下、鎮静
怒り、頭痛、すくみ現象、認知障害
激越、不安、錯乱、失見当識、神経過敏、平衡障害、運動緩慢、めまい、ジストニー、振戦
消化器
便秘(21.7%)
下痢、口渇、嚥下障害、悪心・嘔吐、流涎過多
肝 臓
AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、LDH上昇
腎 臓
クレアチニン上昇
内分泌
プロラクチン上昇(39.1%)
月経異常
血 液
血小板数減少
その他
CK上昇、疼痛、体重増加
熱感、転倒、体重減少
疲労
過量投与による有害事象として、急性ジストニー、眼球回転発作、悪心・嘔吐、発汗、鎮静、低血圧、錯乱、下痢、幻覚、発赤及び振戦が報告されている。
心血管系のモニタリングを行いながら、必要に応じて対症療法を行う。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
健康成人男子17例にテトラベナジン(TBZ)12.5、25及び50mg注1)を空腹時単回経口投与したとき、テトラベナジンは速やかに吸収され、投与0.6~0.7時間後に最高血漿中濃度(Cmax)に達し、投与後4時間以降は血漿中より検出されなかった。循環血液中の活性代謝物であるα-HTBZ及びβ-HTBZ並びに主要代謝物である9-デスメチルβ-HTBZはそれぞれ投与0.8~1.3時間後、1.1~1.3時間後及び1.3~1.7時間後にCmaxに達した。これら代謝物のCmax及びAUC0-∞には用量直線性が認められた1)。
投与量(mg)
例数
測定対象
Cmax(ng/mL)
Tmax(hr)
t1/2(hr)
AUC0-∞(ng・hr/mL)
12.5
6
TBZa)
0.6±0.4
0.7±0.3b)
0.7c)
1.7c)
α-HTBZ
21.4±7.6
1.3±0.4
4.9±1.5
96.4±58.2
β-HTBZ
12.4±9.4
1.3±0.6
3.2±1.7
42.7±49.4
9-デスメチルβ-HTBZ
7.8±2.6
1.6±0.5
12.5±2.3
92.9±18.0
25
1.3±1.6
0.7±0.2d)
3.3±2.3d)
48.8±7.3
1.2±0.3
5.2±0.8
214.7±49.6
29.7±14.6
1.3±0.3
3.7±1.4
85.7±39.4
17.2±2.5
1.7±0.5
11.1±1.8
198.8±29.6
50
5
3.6±3.4
0.6±0.2
1.1±0.3
4.3±3.3
92.3±10.6
0.8±0.3
4.5±0.9
341.7±81.9
45.2±9.5
1.1±0.2
3.8±1.2
119.9±32.8
40.1±9.6
9.5±0.7
379.9±28.8
平均値±標準偏差a:参考値、b:5例、c:1例、d:3例
健康成人24例(外国人)にテトラベナジン25mgを空腹時1日1回5日間反復経口投与したとき、血漿中HTBZ(α-HTBZとβ-HTBZ)濃度が定常状態にあると予測される5日目のAUC0-24(551.64±738.62ng・hr/mL)は、1日目のAUC0-∞(538.37±828.47ng・hr/mL)の約1.1倍であった。t1/2は1日目及び5日目でそれぞれ約5.4時間及び約6.4時間であり、大きな違いは認められなかった2)。
健康成人25例(外国人)にテトラベナジン25mgを空腹時あるいは高脂肪高カロリー食摂取30分後に単回経口投与したとき、α-HTBZ及びβ-HTBZのCmax及びAUCに顕著な差はなく、食事の影響は認められなかった3)。
Tmaxa)(hr)
AUC0-t(ng・hr/mL)
空腹時
32.2±13.0
1.00
6.82±2.42b)
175±76.4
196±97.5b)
食後
30.6±10.0
2.00
5.98±1.83
197±83.9
215±105
18.4±14.1
1.50
3.40±2.10c)
89.5±105
102±134c)
17.5±12.1
2.50
3.50±1.76b)
97.8±114
107±146b)
平均値±標準偏差a:中央値、b:23例、c:22例
注1)本剤の承認された1回最高投与量は37.5mgである。
平衡透析法により、テトラベナジン、α-HTBZ、β-HTBZのin vitroでのヒト血漿蛋白結合率は、テトラベナジンが82~85%、α-HTBZが60~68%、β-HTBZが59~63%であった4)。有色ラットにおいて、テトラベナジンのメラニン含有組織(眼、有色毛及びブドウ膜)への親和性が示唆された5)。
テトラベナジンはカルボニル還元酵素により活性代謝物であるα-HTBZ及びβ-HTBZへ代謝される。その他、チトクロームP450(CYP1A2)等で水酸化やデスメチル化を受けることが示唆されている6)。α-HTBZは、CYP2D6及びCYP1A2により9-デスメチルα-HTBZと10-デスメチルα-HTBZへ代謝され、一部はCYP3A4の代謝を受けることが示唆された。β-HTBZはCYP2D6により9-デスメチルβ-HTBZや10-デスメチルβ-HTBZ等に代謝され、一部はCYP3A4による水酸化を受けることが示唆された6)。テトラベナジンを投与されたヒトの血漿中及び尿中には、これらの代謝物の硫酸抱合体やグルクロン酸抱合体が存在することが確認された7)。,
健康成人男子6例(外国人)に、14C標識したテトラベナジン25mgを単回経口投与したとき、投与後216時間までに尿中及び糞中から回収された総放射能は投与量の87.5%であった。その内訳は尿中が75.4%、糞中が12.1%であり、主要排泄経路は尿中であった7)。健康成人男子17例にテトラベナジン12.5mg、25mg及び50mgを空腹時単回経口投与したとき、投与後24時間までに、α-HTBZ、β-HTBZ及び9-デスメチルβ-HTBZはそれぞれ投与量の0.6~1.1%、0.3~0.7%及び1.8~2.1%が尿中に排泄された。テトラベナジンは尿中に検出されなかった1)。
健康成人男子17例にテトラベナジン12.5、25及び50mg注1)を空腹時単回経口投与したとき、CYP2D6のIntermediate Metabolizer(IM)におけるα-HTBZ及びβ-HTBZのCmax及びAUC0-∞はExtensive Metabolizer(EM)よりいずれも高値を示し、9-デスメチルβ-HTBZのCmax及びAUC0-∞は低値を示した。血漿中α-HTBZ、β-HTBZ及び9-デスメチルβ-HTBZ濃度はCYP2D6表現型によって影響されることが示唆された1)。,,,
TBZ投与量(mg)
CYP2D6表現型
EM
19.0±5.4
4.5±1.2
75.2±29.4
IM
1
33.2
1.0
7.1
202.4
46.8±6.0
4.9±0.5
204.2±47.5
59.1
6.5
267.1
9.0±5.1
1.4±0.7
2.5±0.9
23.0±12.5
29.2
6.2
141.0
24.1±5.1
3.5±1.5
71.2±19.2
58.0
4.5
158.2
8.6±1.7
11.7±1.4
95.1±19.3
3.6
1.5
16.3
82.1
17.9±2.0
1.8±0.4
10.6±1.3
205.2±28.1
13.4
13.9
166.9
平均値±標準偏差TBZ50mg投与群のIM(1例)は薬物動態解析除外例
テトラベナジンとその代謝物の薬物動態に及ぼす腎機能障害の影響については検討されていない。
軽度又は中等度の肝機能障害(Child-Pughスコア:5~9)患者及び健康成人各12例(外国人)に、テトラベナジン25mgを空腹時単回経口投与したとき、健康成人では多くの測定時点において血漿中のテトラベナジンは定量限界未満であったのに対して、肝機能障害患者ではテトラベナジンのCmaxは43.8ng/mLを示し、活性代謝物(α-HTBZとβ-HTBZ)のTmax及びt1/2は健康成人に比べて延長し、AUC0-tは増加した。また、肝機能障害患者では、Child-Pughスコアの増加に伴ってテトラベナジン及び活性代謝物(α-HTBZとβ-HTBZ)のAUC0-tは増加し、t1/2は延長した8)。,,
TBZ
健康成人b)
-
肝機能障害患者
43.8±35.3c)
1.00c)
17.5±7.81d)
151±109c)
健康成人
35.0±11.2
6.10±2.40
182±96.0
30.5±15.0
1.75
10.1±5.53e)
247±114
18.8±9.83
3.68±1.43
81.6±71.2
17.4±12.8
8.42±6.09d)
107±51.7
平均値±標準偏差a:中央値、b:多くの測定時点において定量限界未満であり算出できず、c:9例、d:8例、e:11例
健康成人12例(外国人)に、テトラベナジン50mg注1)とP-糖蛋白質の基質であるジゴキシン0.25mgを併用したとき、テトラベナジンはジゴキシンの薬物動態に影響を与えなかった9)。In vitro試験から、テトラベナジン及びα-HTBZはP-糖蛋白質の基質ではないが、β-HTBZは基質であることが示唆された10)。
健康成人30例(外国人)に、強力なCYP2D6阻害薬であるパロキセチン20mgの反復投与時(血漿中濃度が定常状態のとき)にテトラベナジン50mg注1)を併用投与したとき、テトラベナジンを単独投与したときに比べ、α-HTBZ及びβ-HTBZのCmaxはそれぞれ約1.4倍、約2.4倍に、AUC0-∞はそれぞれ約3.2倍、約8.9倍に増加した。t1/2は、α-HTBZで約2倍、β-HTBZで約3倍遅延した11)。 ,,,注1)本剤の承認された1回最高投与量は37.5mgである。
ハンチントン病患者23例を対象にテトラベナジン12.5mg~100mg/日を1日1~3回(経口)で12週間(8週間は漸増法による用量設定期)投与した結果、投与後におけるUHDRS(ハンチントン病統一評価尺度)のTCS(舞踏運動合計スコア)におけるベースライン(16.5±4.8)からの変化量(平均値±標準偏差)は、-9.7±4.8であり、海外試験から想定されたプラセボの変化量(-1.13)に比し有意に減少した。副作用発現頻度は73.9%(17例/23例)であり、主な副作用は、不眠症、パーキンソニズム、傾眠、便秘各13.0%(3例/23例)であった12)。
平均値±標準偏差
95%信頼区間
p値a)
23
-9.7±4.8
-11.7~-7.6
<0.0001
a:帰無仮説を「-1.13」としたt分布に基づく一標本の検定
短期投与試験を終了したハンチントン病患者19例を対象に実施した長期継続投与試験の結果、UHDRSのTCSにおけるベースライン(17.2±5.0)からの変化量(平均値±標準偏差)は、それぞれ24週で-11.1±4.5、48週で-11.9±5.4であり、効果は48週目まで維持された。副作用発現頻度は73.7%(14例/19例)であり、主な副作用は、血中プロラクチン増加26.3%(5例/19例)、傾眠及び便秘各15.8%(3例/19例)、血中LDH増加及び尿中血陽性10.5%(2例/19例)であった13)。
評価時期
12週
19
-11.1±3.7
-12.9~-9.2
16週
-11.5±4.7
-13.8~-9.3
24週
-11.1±4.5
-13.3~-8.9
32週
-11.1±5.4
-13.7~-8.5
40週
17
-11.8±4.9
-14.3~-9.3
48週
-11.9±5.4
-14.7~-9.1
ハンチントン病患者84例を対象にテトラベナジン12.5mg~100mg/日又はプラセボを1日1~3回(経口)で12週間(7週間は漸増法による用量設定期)投与した結果、UHDRSのTCSにおけるベースラインからの平均変化量(最小二乗平均値±標準誤差)は、テトラベナジン群で-5.04±0.49、プラセボ群で-1.52±0.67であり、テトラベナジン群ではプラセボ群に比し有意に減少した。UHDRSの機能評価(Part Ⅳ)において、テトラベナジン群ではプラセボ群に比し有意な悪化がみられたが、臨床上問題となる変化ではなかった。副作用発現頻度は、テトラベナジン群は85.2%(46例/54例)、プラセボ群は46.7%(14例/30例)であり、テトラベナジン群の主な副作用は、疲労20.4%(11例/54例)、不眠症18.5%(10例/54例)、傾眠16.7%(9例/54例)、うつ病、鎮静、転倒各14.8%(8例/54例)、悪心13.0%(7例/54例)、不安11.1%(6例/54例)等であった14)。
群
推定値±標準誤差
54
-5.04±0.49
-6.02~-4.07
プラセボ
30
-1.52±0.67
-2.86~-0.19
群間差
-3.52±0.82
-5.15~-1.89
注:欠測値は最終評価値を用いて補填した。a:投与群及び施設を要因、ベースライン値を共変量とした共分散分析
ハンチントン病患者75例を対象にテトラベナジン12.5mg~200mg/日注1)を1日1~3回(経口)で80週間(11週間は漸増法による用量設定期)投与した結果、UHDRSのTCSにおけるベースライン(14.95±3.67)からの変化量(平均値±標準偏差)は、それぞれ投与24週で-5.75±4.98、48週で-5.49±5.44、80週で-4.60±5.55であり、いずれの評価時期においてもベースラインに比し、有意な減少が認められた。81週は離脱期(テトラベナジン未服用)であり、TCSは服用前のベースライン値とほぼ同程度まで増加した。副作用発現頻度は94.7%(71例/75例)であり、主な副作用は、鎮静40.0%(30例/75例)、うつ病28.0%(21例/75例)、不眠症26.7%(20例/75例)、不安25.3%(19例/75例)、アカシジア、転倒各20.0%(15例/75例)等であった15)。
2週
73
-3.60±3.07
-4.32~-2.89
6週
74
-5.09±4.13
-6.05~-4.14
-5.78±3.69
-6.64~-4.92
72
-5.75±4.98
-6.92~-4.58
36週
58
-6.12±4.61
-7.33~-4.91
57
-5.49±5.44
-6.93~-4.05
64週
12
-5.92±5.09
-9.15~-2.68
0.0020
80週
45
-4.60±5.55
-6.27~-2.93
81週(離脱期)
41
-0.17±4.82
-1.69~1.35
0.8216
a:paired t-test
注1)本剤の承認された1日最高投与量は100mgである。
健康成人51例(外国人)に、テトラベナジン25、50mg注1)、モキシフロキサシン400mg又はプラセボを空腹時に単回経口投与したとき、投与後2.5時間における、QTcI間隔の時間を一致させたベースラインからの変化量のプラセボとの差はモキシフロキサシン400mg投与時で12.5msec延長したのに対し、テトラベナジン25mg及び50mg投与時ではそれぞれ3.6msec及び7.7msec延長した。また、50mg投与時の90%信頼区間の上限は10.4msecであり、10msecを上回っていたことから、テトラベナジンはモキシフロキサシンと比較して程度は小さいものの、QTc間隔を延長する可能性が示唆された16)。注1)本剤の承認された1回最高投与量は37.5mgである。
テトラベナジンは中枢神経系前シナプスにおいて、モノアミン小胞トランスポーター2(VMAT2)を選択的に阻害することにより、神経終末のモノアミン類(ドパミン、セロトニン、ノルアドレナリン)を涸渇させる。テトラベナジンの抗舞踏運動作用は主としてハンチントン病の主病変部位である線条体においてドパミンを涸渇することによるものであると推察される。テトラベナジンの活性代謝物であるα-HTBZ及びβ-HTBZも、テトラベナジンと同程度のヒトVMAT2阻害作用を示した。テトラベナジンは、ラット脳内(視床下部、前頭皮質、線条体)のモノアミンを涸渇し、その作用は2時間持続した。モノアミン涸渇作用は線条体ドパミンに対して最も選択性が高かった17)。HTBZは、ウシ副腎髄質クロム親和性顆粒細胞膜上の[3H]-HTBZ結合部位に対して、テトラベナジンと同程度の親和性及び選択性を示した18),19)。また、ヒト脳において、黒質緻密部、青斑核、背側縫線核での結合が高かった20)。
ハンチントン病モデルマウス(BACHD)にテトラベナジンを単回皮下投与すると、常同行動の抑制が認められた21)。ハンチントン病モデルマウス(YAC128、BACHD)のD1受容体発現細胞において認められるPaired-Pulse Facilitationの抑制は、テトラベナジンにより回復した22)。
テトラベナジン(Tetrabenazine)
9,10-dimethoxy-3-(2-methylpropyl)-1,3,4,6,7,11b-hexahydrobenzo[a]quinolizin-2-one
C19H27NO3
317.42
白色~微黄色の粉末である。
127~131℃
PTP包装開封後は遮光して保存すること。
100錠[10錠(PTP)×10]
1) 社内資料:国内第Ⅰ相単回投与時の薬物動態に関する資料(2012年12月25日承認、CTD2.7.2.2.2.1.1)
2) 社内資料:テトラベナジンの単回及び反復経口投与による薬物動態試験に関する資料(2012年12月25日承認、CTD2.7.2.2.2.1.2)
3) 社内資料:テトラベナジンの薬物動態に対する食事の影響に関する資料(2012年12月25日承認、CTD2.7.1.2.1)
4) 社内資料:テトラベナジンの血漿蛋白結合率に関する資料(2012年12月25日承認、CTD2.7.2.2.1.1)
5) 社内資料:テトラベナジンの組織内分布に関する資料(2012年12月25日承認、CTD2.6.4.4.2)
6) 社内資料:テトラベナジンの代謝に関する資料(2012年12月25日承認、CTD2.7.2.2.1.4,2.7.2.2.2.1.5)
7) 社内資料:マスバランス試験に関する資料(2012年12月25日承認、CTD2.7.2.2.2.1.2)
8) 社内資料:肝機能障害患者における薬物動態試験に関する資料(2012年12月25日承認、CTD2.7.2.2.2.3.1)
9) 社内資料:ジゴキシンとの併用時の薬物相互作用に関する資料(2012年12月25日承認、CTD2.7.2.2.2.4.1)
10) 社内資料:P-糖蛋白質試験に関する資料(2012年12月25日承認、CTD2.6.4.7.1)
11) 社内資料:パロキセチン反復併用時の相互作用に関する資料(2012年12月25日承認、CTD2.7.2.2.2.4.2)
12) 社内資料:ハンチントン病患者を対象とした国内第Ⅲ相試験(短期投与試験)に関する資料(2012年12月25日承認、CTD.2.7.6.16)
13) 社内資料:ハンチントン病患者を対象とした国内第Ⅲ相試験(長期投与試験)に関する資料
14) Huntington Study Group:Neurology.2006;66(3):366-372
15) Frank S.:BMC Neurol.2009;9:62-71
16) 社内資料:QT/QTc間隔に及ぼす影響に関する資料(2012年12月25日承認、CTD2.7.2.2.2.5.2)
17) Pettibone, DJ. et al.:Eur J Pharmacol.1984;102(3-4):425-430
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