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劇薬
処方箋医薬品注)
麻薬による呼吸抑制ならびに覚醒遅延の改善
ナロキソン塩酸塩として、通常成人1回0.2mgを静脈内注射する。効果不十分の場合、さらに2~3分間隔で0.2mgを1~2回追加投与する。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。
麻薬等による抑制が急激に拮抗されると血圧上昇、頻脈等を起こすことがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物(ラット、サル)において乳汁分泌に関与するプロラクチンの分泌を抑制することが報告されている。
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
1%以上
1%未満
頻度不明
循環器
血圧上昇(8.1%)、頻脈
胸部苦悶感
精神神経系
振戦、術後疼痛
消化器
悪心・嘔吐
腹痛
肝臓
AST上昇、ALT上昇、肝機能障害
健康成人9例にナロキソン塩酸塩0.4mg注1)を単回静脈内注射しラジオイムノアッセイ法により測定した結果、5分後には投与量の97%は血清中に存在せず、投与後20分から2時間にかけての平均血中半減期(mean±SE)は64±12分であった1)(外国人データ)。
ナロキソン1日1回1.0~1.8gを単回経口投与注1)した麻薬依存者の尿中に、ナロキソンの脱アルキル体及び還元体それぞれのグルクロニド、ナロキソン-3-グルクロニドが認められた2),3)(外国人データ)。
健康成人男性1例にナロキソン-7,8-3Hを単回静脈内注射した結果、最初の6時間で約38%が尿中へ排泄され、72時間までの尿中総排泄率は投与量の約65%であった4)(外国人データ)。
フェンタニルを投与した57例の術後呼吸抑制や覚醒遅延の改善を検討した。51例は0.2mg静脈内注射1回、6例は0.2mg静脈内注射2回投与であった。主な副作用は、血圧上昇12例(21.1%)、振戦2例(3.5%)、頻脈2例(3.5%)であった5)。
本剤投与直後から呼吸数、換気量の増加がみられ、投与前値に比し、呼吸数は150%、1回換気量は67%、分時換気量は200%それぞれ増加した。効果は30分後でも十分保持されていた。動脈血ガス分圧への影響については、本剤投与後6分でPaCO2は13%減少(47.5mmHg→41.5mmHg)、30分後においてもその効果は持続していた。
本剤を手術終了後に投与した場合、覚醒遅延の改善(病室へ帰ってもよいと判断する時間及び術後の呼びかけに反応を示さなかった症例への反応)が明らかに認められた。
モルヒネを投与した99例の術後呼吸抑制の改善を検討した。85例は0.2mg静脈内注射1回、14例は0.2mg静脈内注射複数回投与であった。呼吸数、1回換気量、分時換気量とも投与後のすべての値が投与前値に比べ有意に上昇しており、この傾向は特に15分までの値で著明であった。投与後5分で呼吸数は平均12.3±1.1回から17.1±0.6回(39%増)へ、1回換気量は平均323±26mLから500±29mL(52%増)、分時換気量は平均4.07±0.36Lから8.10±0.49L(99%増)へそれぞれ上昇し、120分値まで持続した。本剤の効果がピークを示すのは5~15分であるとみられ、30分後より徐々に低下した。動脈血ガス分圧への影響については、本剤投与後5分で、PaCO2は9%減少(46.8±0.9mmHg→42.6±0.7mmHg)し、15分後にはピークに達し、120分後にもその効果は持続しており、有意な低下を示した。主な副作用は、血圧上昇3例(3.0%)、悪心2例(2.0%)であった6)。
内視鏡検査時のペチジン前投与によるふらつきの改善を検討した。内視鏡検査開始時に22例はペチジン35mg、7例はペチジン35mgとジアゼパム5mgを静脈内投与し、検査終了時全例に本剤0.2mg又は0.4mgを静脈内投与した。ふらつきの改善が認められた。副作用は認められなかった7)。
ナロキソンは、オピオイド受容体において麻薬性鎮痛剤の作用を競合的に拮抗することにより、これらの薬剤に起因する呼吸抑制等の作用を改善すると言われている8)。
モルヒネの静注により惹起されたウサギの呼吸抑制作用を指標として、ナロキソンの拮抗作用の強さを他剤と比較した場合、レバロルファンの約3倍、ナロルフィンの約15倍強力であった9)。ナロキソンの呼吸抑制に対する拮抗作用の強さは、鎮痛作用に対する拮抗作用の強さに比し、2~3倍強力であり、臨床上麻薬性鎮痛剤の鎮痛作用を減弱させることなく、呼吸抑制を緩解し得ることの裏付けとなっている10)。
モルモット摘出回腸を用いた実験において、アゴニスト作用とアンタゴニスト作用の比を表す有効拮抗力(ID50(回腸縦走筋収縮を50%抑制するに要する濃度)/Ke(平衡定数))は、レバロルファンで3.8であったが、ナロキソンは56,000以上で実質的に麻薬様アゴニスト作用のないことが確認された11)。また、サルにおいて、レバロルファンには弱い麻薬様アゴニスト作用が示唆されたが、モルヒネに起因した呼吸抑制作用に拮抗する100倍量のナロキソンを単独投与しても呼吸機能を抑制せず麻薬様アゴニスト作用を有しないことが示唆された12)。
ナロキソン塩酸塩(Naloxone Hydrochloride)
(5R,14S)-17-Allyl-4,5-epoxy-3,14-dihydroxymorphinan-6-one monohydrochloride
C19H21NO4・HCl
363.84
白色~帯黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。水に溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、エタノール(99.5)又は酢酸(100)に溶けにくく、無水酢酸に極めて溶けにくい。吸湿性である。光によって着色する。
有機溶媒
水相のpH
分配係数K
logK
n-オクタノール
7.4
12.8
1.11
クロロホルム
69.4
1.84
1mL[10アンプル(褐色)]
1) Ngai, SH. et al.:Anesthesiology. 1976;44(5):398-401
2) Fujimoto, JM. et al.:Proc Soc Exp Biolo Med. 1970;133(1):317-319
3) Weinstein, SH. et al.:J Pharm Sci. 1971;60(10):1567-1568
4) Fishman, J. et al.:J Pharmacol Exp Ther. 1973;187(3):575-580
5) 橘 直矢 他:麻酔. 1983;32(1):43-52
6) 釘宮豊城 他:麻酔. 1982;31(12):1365-1375
7) 川満富裕 他:お茶の水医学雑誌. 1984;32(2):143-154
8) Martin, WR.:Ann Intern Med. 1976;85(6):765-768
9) Blumberg, H. et al.:Fed Proc. 1965;24:676
10) McGilliard, KL. et al.:J Pharmacol Exp Ther. 1978;207(2):494-503
11) Kosterlitz, HW. et al.:Br J Pharmacol Chemother. 1968;33(2):266-276
12) 飯塚宏美 他:実中研・前臨床研究報. 1982;8(1):1-10
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