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フェノールスルホンフタレイン注0.6%「AFP」

添付文書番号

7225402A1049_1_02

企業コード

530258

作成又は改訂年月

2021年11月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

877225

薬効分類名

腎機能検査用薬

承認等

フェノールスルホンフタレイン注0.6%「AFP」

販売名コード

YJコード

7225402A1049

販売名英語表記

PHENOLSULFONPHTHALEIN Injection 0.6%「AFP」

販売名ひらがな

ふぇのーるするほんふたれいんちゅう0.6%「AFP」

承認番号等

承認番号

22100AMX01194

販売開始年月

1949年11月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

基準名

日本薬局方

フェノールスルホンフタレイン注射液

一般的名称

フェノールスルホンフタレイン注射液

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

フェノールスルホンフタレイン注0.6%「AFP」

有効成分1アンプル(1.3mL)中
フェノールスルホンフタレイン(日局)
7.8mg(0.6W/V%)  
添加剤塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム

3.2 製剤の性状

フェノールスルホンフタレイン注0.6%「AFP」

pH6.0~7.6(日本薬局方)
浸透圧比約1(生理食塩液対比)
性状橙黄色~赤色澄明の液

4. 効能又は効果

腎機能検査

6. 用法及び用量

排尿後、水300~500mLを飲ませ、30分後に通常成人ではフェノールスルホンフタレイン注射液1.0mL(フェノールスルホンフタレインとして6.0mg)を肘静脈又は筋肉内に注射する。

小児用量例

体重(kg)

3~5

5~10

10~20

20以上

注射量(mg)

2

3

4

6

8. 重要な基本的注意

注入から検査終了まで、被検者に横臥又は坐位をとらせるなど安静にさせ観察を十分に行うこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 アレルギー素因のある患者

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には診断上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

診断上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.2 その他の副作用

0.1%未満

過敏症

発赤、そう痒感、顔面潮紅、胸内苦悶、血圧低下等

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意

筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため以下の点に注意すること。

  • 神経走行部位を避けて慎重に投与すること。
  • くりかえし注射する場合には、左右交互に注射するなど、同一部位を避けること。特に、小児等には注意すること。
  • 注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。

14.2 測定時の注意

  1. 14.2.1 採尿

    注射後15、30、60及び120分の4回採尿する。尿量が少ないとき(40mL以下)成績は不正確となる。尿量が少ない場合には排尿はカテーテルで行うことが望ましい。

  2. 14.2.2 比色

    各分画採取尿をそれぞれメスシリンダーに採り、25%水酸化ナトリウム溶液数滴(10%水酸化ナトリウム溶液5mLでも良い)を加え、十分に呈色させた後1,000mLの目盛まで水で希釈し、栓をして混和する。この各分画採取呈色尿をフェノールスルホンフタレイン標準液と比色し、色素排泄量を求める。
    光電比色法による操作法は次のとおりである。

    1. (1) 各分画採取尿を1,000mLのメスシリンダーに採り、水で500mLに希釈する。それから5mLずつを採り水5mLを加え85%リン酸1滴を加え酸性とする。これを対照尿として用いる。
    2. (2) シリンダー中の残部に10%水酸化ナトリウム溶液10mLを加え、十分発色させ、水で1,000mLに希釈する。
    3. (3) 前記対照尿を用い559nmで比色し、別に作製した検量線から尿中フェノールスルホンフタレインの濃度を求める。
      なお、色素が退色するので、採尿後なるべく早く行う。
      特に水酸化ナトリウム溶液で赤変させた尿は1時間以内に測定する。
    4. (4) 検量線の作製法:本剤1.0mLを試験尿と同様の方法で1,000mLに希釈し、これを100%標準液とし、5、10、15…(%)の希釈系列を作り、上記と同様に操作して検量線を作製する。
  3. 14.2.3 標準液

    標準液の調製は、フェノールスルホンフタレイン注射液1.0mLを正確に1Lのメスフラスコに採り、精製水500mL及び10%水酸化ナトリウム溶液2.0mLを加えた後、さらに目盛まで精製水を加え希釈混和する。この液を100%標準液とし順次希釈して標準液系列を作る。(表参照)
    なお、100%標準液は冷暗所に保存すれば6ヵ月間はほとんど退色しない。

    標準液濃度(%)

    100

    80

    60

    50

    45

    40

    35

    30

    25

    20

    15

    10

    5

    100%液(mL)

    5.00

    4.00

    3.00

    2.50

    2.25

    2.00

    1.75

    1.50

    1.25

    1.00

    0.75

    0.50

    0.25

    精製水(mL)

    0

    1.00

    2.00

    2.50

    2.75

    3.00

    3.25

    3.50

    3.75

    4.00

    4.25

    4.50

    4.75

    〈参考〉健康成人の時間別フェノールスルホンフタレイン排泄率は次のとおりである。

    時間(分)

    最小(%)

    最大(%)

    平均(%)

    15
    30
    60
    120

    25
    40
    50
    55

    50
    60
    75
    85

    35
    50
    65
    70

    筋肉内注射の場合は、注射後第1時間尿に35~60%、第2時間尿に15~25%、すなわち2時間合計尿50~80%をもって正常とし、50%以下の場合は腎機能障害がある。
    また年齢別の15分値は概ね次のとおりである1)

    年齢

    平均値

    棄却限界

    小児
    20~29歳
    30~39歳
    40~49歳
    50~59歳
    60~69歳
    70~79歳

    40%
    41
    36
    36
    33
    31
    29


    52~31%
    50~22
    50~23
    47~20
    43~19
    40~18

    軽度の腎障害では120分値が正常であっても15分値は低値を示すことが多く重症の腎炎、ネフローゼ等では15分、120分ともに低値を示す。
    一般的に静脈内注射で15分値が25%以下の場合には2時間の総排泄量のいかんにかかわらず腎機能、特に尿細管の障害を意味する。

14.3 診断上の注意

下記の場合、測定値に誤差を生じることがある。

  1. 14.3.1 患者の体の状態による影響
    • 黄疸あるいは胆道閉塞がある場合
    • 循環器系の不全がある場合
    • 脱水状態又は発熱がある場合
    • 尿の着色、混濁又は血尿がある場合
  2. 14.3.2 薬剤との併用による影響
    • 抗コリン薬、アスピリン、プロベネシド、ペニシリン、サルファ剤、サイアザイド系利尿薬
      フェノールスルホンフタレインの排泄を遅らせ、測定値に誤差を生じることがある。
    • アントラキノン類、スルホブロモフタレインナトリウム(BSP)、フェノールフタレイン、ヘキサミン
      尿の変色が起こり、尿中フェノールスルホンフタレイン排泄量がみかけ上増加することが報告されている。

16. 薬物動態

16.3 分布

  1. 16.3.1 血漿蛋白結合

    血液中に入った本剤は赤血球中には入らず、血漿中に存在し、大部分が血漿蛋白、特にアルブミンと結合する。静脈内注射された本剤の80%は血漿蛋白と結合している2)

16.5 排泄

本剤と血漿蛋白との結合は強固なものではなく、非常に離れやすい性質をもっているため、腎より速やかに排泄される2),3)。その排泄の比率は糸球体で6%、尿細管で94%と考えられている2)

18. 薬効薬理

18.1 測定法

フェノールスルホンフタレインは酸性側で黄色であるが、アルカリ側で赤色に変わるので、この赤色を比色定量し、投与量に対する排泄量の百分比が求められる。
本剤を静脈又は筋肉内に注射すると、体内で酸化分解を受けることなく、大部分が腎臓の近位尿細管から尿中に速やかに排泄される。腎障害があると尿中への排泄が遅延する。したがって、フェノールスルホンフタレインが尿中に最初に排泄される時間と、一定時間内でのフェノールスルホンフタレイン排泄量を測定することで、腎機能を検査することができる4),5),6),7),8)
フェノールスルホンフタレイン試験の15分値は腎血流量とよく相関するので、日常腎機能のスクリーニングテストとして適しており、糸球体腎炎や本態性高血圧症等の腎硬化症、糖尿病性腎症等でも本試験によりおおよその腎機能の程度を知ることができる9)
また本剤は大部分近位尿細管から排泄されるので、糸球体濾過値と比較することにより、糸球体濾過値が良好であるにもかかわらず本試験の値が悪い時は、腎盂腎炎等の尿細管障害が疑われる9)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

フェノールスルホンフタレイン(Phenolsulfonphthalein)

化学名

2-[Bis(4-hydroxyphenyl)methyliumyl]benzenesulfonate

分子式

C19H14O5S

分子量

354.38

性状

鮮赤色~暗赤色の結晶性の粉末である。
水又はエタノール(95)に極めて溶けにくい。
水酸化ナトリウム試液に溶ける。

化学構造式

略名

PSP

22. 包装

1.3mL[10アンプル]

24. 文献請求先及び問い合わせ先

アルフレッサ ファーマ株式会社 製品情報部

〒540-8575 大阪市中央区石町二丁目2番9号

TEL 06-6941-0306 FAX 06-6943-8212

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

アルフレッサ ファーマ株式会社

大阪市中央区石町二丁目2番9号

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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