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処方箋医薬品注)
肺動脈性肺高血圧症
通常、2歳以上の幼児又は小児には、セレキシパグとして下表の開始用量を1日2回食後に経口投与する。忍容性を確認しながら、7日以上の間隔で、下表の増量幅で最大耐用量まで増量して維持用量を決定する。なお、下表の最高用量は超えないこととし、いずれの用量においても1日2回食後に経口投与する。
体重
開始用量(1回量)
増量幅(1回量)
最高用量(1回量)
9kg以上25kg未満
0.1mg
0.8mg
25kg以上50kg未満
0.15mg
1.2mg
50kg以上
0.2mg
1.6mg
血圧を更に低下させるおそれがある。本剤は血管拡張作用を有する。
出血傾向を助長するおそれがある。本剤は血小板凝集抑制作用を有する。
本剤の血中濃度が上昇することが認められている。また、透析中の患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
投与しないこと。本剤の血中濃度が著しく上昇するおそれがある。,
本剤の血中濃度が上昇する。,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物試験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。
低出生体重児、新生児、乳児、2歳未満又は体重9kg未満の幼児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
降圧作用を有する薬剤
過度の血圧低下が起こるおそれがある。併用薬もしくは本剤を増量する場合は血圧を十分観察すること。
相互に降圧作用を増強することが考えられる。
抗凝血剤
血栓溶解剤
血小板凝集抑制作用を有する薬剤
出血の危険性が増大するおそれがある。定期的にプロトロンビン時間等の血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。
本剤はin vitroで血小板凝集抑制作用を有するため、相互に抗凝血作用を増強することが考えられる。
CYP2C8の阻害作用を有する薬剤
クロピドグレルとの併用で、本剤の活性代謝物のCmax及びAUCが増加したとの報告がある。本剤の投与中にこれらの薬剤を開始する場合には、本剤の減量を考慮すること。これらの薬剤の投与中に本剤を開始する場合には、本剤を1日1回に減量して投与を開始すること。
CYP2C8を阻害することにより、本剤の活性代謝物の代謝が抑制されると考えられる。
ロピナビル・リトナビル
本剤の血中濃度が上昇したとの報告があり、本剤の副作用が発現するおそれがある。
本剤の代謝酵素であるCYP3A4や、本剤が基質となるOATP1B1、OATP1B3及びP糖タンパクを阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇すると考えられる。
CYP2C8の誘導作用を有する薬剤
本剤の活性代謝物のAUCが低下するおそれがある。
CYP2C8を誘導することにより、本剤及び活性代謝物の代謝が促進されると考えられる。
過度の血圧低下〔低血圧(3.6%)、起立性低血圧(0.7%)等〕があらわれることがある。
出血〔鼻出血(1.6%)、網膜出血(0.3%)等〕があらわれることがある。
甲状腺機能異常〔甲状腺機能亢進症(0.7%)、甲状腺機能低下症(0.4%)等〕があらわれることがある。
5%以上
0.5~5%未満
0.5%未満
頻度不明
血液
貧血
鉄欠乏性貧血、血小板数減少
ヘモグロビン減少
代謝異常
食欲減退、体液貯留
低カリウム血症、脱水
精神神経系
頭痛(58.3%)、浮動性めまい
失神、体位性めまい、頭部不快感、傾眠、不眠症、灼熱感、感覚鈍麻、嗜眠
錯感覚、味覚消失、片頭痛
眼
眼痛
羞明、霧視、眼瞼浮腫、流涙増加
耳
回転性めまい
耳鳴
循環器
潮紅(12.3%)
ほてり、動悸
頻脈、心房細動、心不全、右室不全、心室性期外収縮、狭心症、心電図QT延長、紅痛症(四肢の熱感・発赤・痛みを伴う腫れ)
呼吸器
呼吸困難、鼻閉、咳嗽
低酸素症、口腔咽頭不快感
消化器
下痢(37.9%)、悪心(27.2%)、嘔吐(15.0%)、腹痛
腹部不快感、消化不良、胃食道逆流性疾患、腹部膨満、便秘、排便回数増加、胃炎
口内乾燥、胃拡張、消化性潰瘍
肝臓
肝酵素上昇、肝機能異常
血中ビリルビン増加、Al-P増加
皮膚
発疹、紅斑、そう痒症
光線過敏性反応、脱毛症、多汗症
蕁麻疹、血管浮腫
筋骨格系
顎痛(23.6%)、筋肉痛(13.2%)、四肢痛(12.1%)、関節痛
背部痛、顎関節症候群、頚部痛、筋痙縮、骨痛、四肢不快感、関節腫脹、筋骨格硬直
開口障害、筋力低下、筋肉疲労、脊椎痛
腎臓
腎機能障害
頻尿
その他
倦怠感、浮腫(末梢性浮腫、顔面浮腫等)、疼痛、無力症、疲労、胸部不快感、体重減少、胸痛
異常感、発熱、胃腸炎、上咽頭炎、副鼻腔炎、インフルエンザ様疾患、転倒、月経過多、非心臓性胸痛、血中甲状腺刺激ホルモン増加
血中甲状腺刺激ホルモン減少、過敏症
ウプトラビ錠を1回3.2mg投与された成人患者に一過性の悪心が発現したとの報告がある(外国人データ)。
特異的な解毒薬はない。本剤はタンパク結合率が高いため、透析が有効である可能性は低い。
通常の錠剤に比べて小さく規定量を計数できないおそれがあるため、自動分包機には適さない。
イヌを用いた毒性試験において、本剤の薬理作用に起因する、腸管の蠕動運動の抑制によると考えられる腸重積が認められた。
小児の肺動脈性肺高血圧症患者6例にセレキシパグ0.1、0.15又は0.2mgを1日2回食後反復経口投与したとき、セレキシパグ及びMRE-269の定常状態における薬物動態パラメータは下表のとおりであった1)。
1回投与量
Cmax(ng/mL)
tmax(hr)
t1/2(hr)
AUC0-12hr(ng・hr/mL)
セレキシパグ
2.37,2.97
1.98
0.771,1.11
9.31,9.65
2.73,5.10
1.45
0.888,1.32
8.74,12.9
1.49,1.70
1.89
0.824,1.20
4.57,6.03
MRE-269
3.44,3.79
4.01
2.86,3.18
17.8,28.5
4.96,10.9
2.92
2.68,5.36
45.4,48.2
2.39,2.81
3.90
2.74,3.25
14.8,17.1
各体重分類でn=2、個別値、tmaxは中央値
健康成人男性48例に小児用0.05mg錠を4錠及び0.2mg錠を1錠(セレキシパグとして0.2mg)、クロスオーバー法により空腹時単回経口投与したとき、セレキシパグ及びMRE-269の薬物動態パラメータは下表のとおりであった。得られた薬物動態パラメータ(Cmax及びAUC0-last)について統計解析を行った結果、幾何平均値の比の90%信頼区間は0.80~1.25の範囲内であり、両製剤の生物学的同等性が確認された2)。
AUC0-last(ng・hr/mL)
3.93±1.47
10.2±3.7
3.93±1.42
10.0±3.5
6.05±1.83
37.0±12.6
6.04±1.84
37.6±13.9
n=48、平均値±標準偏差
健康成人男性15例にセレキシパグ0.2mgを空腹時に単回静脈内投与したとき、セレキシパグの全身クリアランス及び定常状態の分布容積の幾何平均値はそれぞれ17.9L/hr及び11.7Lであった。また、セレキシパグ0.4mgを空腹時に単回経口投与したとき、セレキシパグの絶対バイオアベイラビリティは49.4%であった3)(外国人データ)。
健康成人男性4例にセレキシパグ0.4mgを空腹時及び食後30分に単回経口投与したとき、空腹時と比較してセレキシパグのCmaxは32%、AUC0-∞は15%低下した。MRE-269のCmaxは7%、AUC0-∞は12%低下した4)。
健康成人男性12例にセレキシパグ0.4mgを空腹時及び食後に単回経口投与したとき、空腹時と比較してセレキシパグのCmaxは35%低下し、AUC0-∞は10%増大した。MRE-269のCmaxは48%、AUC0-∞は27%低下した5)(外国人データ)。
14C-セレキシパグ及び14C-MRE-269の血清タンパクに対する結合率は、0.1~1μg/mLの範囲でいずれも98~99%であった6)。
セレキシパグは、主に生体内でカルボン酸アミド部位が加水分解され、活性代謝物MRE-269を生成した。MRE-269はその後複数種の酸化的代謝物やアシルグルクロン酸抱合体に代謝された。加水分解にはカルボキシルエステラーゼ1が、酸化的代謝にはCYP2C8及びCYP3A4が、グルクロン酸抱合にはUGT1A3及びUGT2B7が主に関与していた6)。
健康成人男性6例にセレキシパグ0.2~0.6mgを空腹時に単回経口投与したとき、投与後48時間までに尿中には未変化体は検出されず、MRE-269及びそのグルクロン酸抱合体として、投与量の0.22~0.27%が排泄された4)。健康成人男性6例に14C-セレキシパグ0.4mgを単回経口投与した場合、投与後168時間までに投与された放射能の12%が尿中に、93%が糞中に排泄された7)(外国人データ)。
重度の腎障害患者8例(eGFR:15~29mL/min/1.73m2)及び健康成人8例にセレキシパグ0.4mgを単回経口投与したとき、重度の腎障害患者では、健康成人と比較してセレキシパグのCmax及びAUC0-∞は1.7倍に、MRE-269のCmaxは1.4倍、AUC0-∞は1.6倍に増加した。また、セレキシパグ及びMRE-269の血漿中非結合型分率に大きな相違はなかった8)(外国人データ)。
軽度の肝障害患者8例(Child-Pughスコア:5~6)、中等度の肝障害患者8例(Child-Pughスコア:7~9)及び重度の肝障害患者2例(Child-Pughスコア:10~15)並びに健康成人8例にセレキシパグ0.2~0.4mgを単回経口投与した。軽度の肝障害患者は健康成人と比較して、セレキシパグのCmax及びAUC0-∞が2倍に増加し、MRE-269のCmax及びAUC0-∞に大きな相違はなかった。また、セレキシパグ及びMRE-269の血漿中非結合型分率にも大きな相違はなかった。中等度の肝障害患者では健康成人と比較して、セレキシパグのCmaxは2倍以上、AUC0-∞は4倍以上に増加した。MRE-269のCmaxに大きな相違はなく、AUC0-∞は2倍以上に増加した。また、セレキシパグ及びMRE-269の血漿中非結合型分率は1.3倍に増加した。重度の肝障害患者は、中等度の肝障害患者と同様の血漿中濃度推移の傾向を示したが、セレキシパグ及びMRE-269の血漿中非結合型分率は2倍に増加した8)(外国人データ)。,,,
セレキシパグ及びMRE-269は、OATP1B1及びOATP1B3の基質であることが示された。また、セレキシパグはP糖タンパク、MRE-269はBCRPの基質であることが示された6),9)。
健康成人男性22例にセレキシパグ0.2mgを1日2回10日間経口投与し、CYP2C8の阻害作用を有するクロピドグレルを投与4日目に300mg(n=21)、投与5日目から10日目に75mg(n=20)を経口投与したとき、単独投与と比較して、セレキシパグのCmax及びAUC0-12は、投与4日目では1.3倍及び1.4倍に増加し、投与10日目では0.98倍及び1.1倍であった。同様に、MRE-269のCmax及びAUC0-12は、投与4日目では1.7倍及び2.2倍、投与10日目では1.9倍及び2.7倍に増加した10)(外国人データ)。
健康成人男性20例に強いCYP2C8の阻害剤であるゲムフィブロジル(国内未承認)600mgを1日2回9日間経口投与し、投与4日目にセレキシパグ0.4mgを単回経口投与したとき、単独投与と比較して、セレキシパグのCmaxは1.4倍、AUC0-∞は2.0倍に増加した。MRE-269のCmaxは3.6倍、AUC0-∞は11倍に増加した11)(外国人データ)。
健康成人男性17例にセレキシパグ0.4mgを1日2回12日間経口投与し、投与8日目にワルファリン20mgを経口投与したとき、セレキシパグ及びMRE-269の薬物動態に及ぼすワルファリンの影響は認められなかった。ワルファリンの薬物動態に及ぼすセレキシパグの影響は認められなかった12)(外国人データ)。
健康成人男性20例にロピナビル・リトナビル配合錠400mg/100mgを1日2回12日間経口投与し、投与10日目にセレキシパグ0.4mgを単回経口投与したとき、単独投与と比較して、セレキシパグのCmaxは2.07倍、AUC0-∞は2.24倍に増加した。MRE-269のCmaxは1.33倍、AUC0-∞は1.08倍に増加した13)(外国人データ)。
健康成人男性19例にCYP2C8の誘導剤であるリファンピシン600mgを1日1回9日間経口投与し、投与7日目にセレキシパグ0.4mgを単回経口投与したとき、単独投与と比較して、セレキシパグのCmaxは1.8倍、AUC0-∞は1.3倍に増加した。MRE-269のCmaxは1.3倍に増加し、AUC0-∞は0.52倍に減少した11)(外国人データ)。
非盲検非対照試験として、2歳以上15歳未満の肺動脈性肺高血圧症患者6例を対象に、セレキシパグ0.1~0.8mg(体重9kg以上25kg未満)、0.15~1.2mg(体重25kg以上50kg未満)又は0.2~1.6mg(体重50kg以上)を1日2回投与した。主要評価項目であるベースラインから16週時までの肺血管抵抗係数の個別値は下表のとおりであり、全症例(n=6)の変化量(平均値±標準偏差、中央値)は、-5.548±6.876、-4.310Wood単位・m2であった1)。副作用発現頻度は100.0%(6例中6例)であった。主な副作用は、嘔吐5例(83.3%)、頭痛4例(66.7%)、下痢3例(50.0%)、顎痛、悪心、便秘 各2例(33.3%)であった。
肺血管抵抗係数(Wood単位・m2)
投与開始前
投与16週時
投与開始前からの変化量
14.00
7.67
-6.33
16.79
7.19
-9.60
17.05
16.01
-1.04
37.50
20.89
-16.61
9.52
7.23
-2.29
12.90
15.48
2.58
セレキシパグ(Selexipag)(JAN)
2-{4-[(5,6-Diphenylpyrazin-2-yl)(propan-2-yl)amino]butoxy}-N-(methanesulfonyl)acetamide
C26H32N4O4S
496.62
本品は白色~黄色の結晶又は結晶性の粉末である。本品はジメチルスルホキシドに溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
3.0[1-オクタノール・第1液(pH1.2)]2.1[1-オクタノール・第2液(pH6.8)]2.2[1-オクタノール・水]
開封後は湿気を避けて保管すること。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
500錠[瓶、バラ、乾燥剤入り]
1) 社内資料:国内第Ⅱ相:小児PAH患者を対象としたオープンラベル試験(2024年12月27日承認、CTD2.7.6.3)
2) 社内資料:国内第Ⅰ相:健康成人男性を対象とした生物学的同等性試験(2024年12月27日承認、CTD2.7.6.1)
3) Kaufmann P, et al. Eur J Clin Pharmacol. 2017;73:151-6
4) 社内資料:国内第Ⅰ相:健康成人男性及び健康高齢男性における単回・反復投与試験(2016年9月28日承認、CTD2.7.6.2)
5) Kaufmann P, et al. Am J Cardiovasc Drugs. 2015;15:195-203
6) 社内資料:セレキシパグの非臨床薬物動態試験(2016年9月28日承認、CTD2.6.4.4及びCTD2.6.4.5)
7) 社内資料:海外第Ⅰ相:単回投与時の吸収、代謝及び排泄の検討(2016年9月28日承認、CTD2.7.6.5)
8) Kaufmann P, et al. Br J Clin Pharmacol. 2016;82:369-79
9) 社内資料:トランスポーター相互作用試験(2016年9月28日承認、CTD2.6.4.7)
10) Axelsen L, et al. Br J Clin Pharmacol. 2021;87(1):119-28
11) Bruderer S, et al. Br J Clin Pharmacol. 2017;83:2778-88
12) Bruderer S, et al. Clin Ther. 2016;38(5):1228-36
13) Kaufmann P, et al. Br J Clin Pharmacol. 2015;80(4):670-7
14) Kuwano K, et al. J Pharmacol Exp. Ther. 2007;322(3):1181-8
15) 社内資料:ヒトプロスタサイクリン受容体過剰発現CHO細胞におけるセレキシパグ及びMRE-269のcyclic AMP産生増加作用(2016年9月28日承認、CTD2.6.2.2.1.3)
16) 社内資料:セレキシパグ及びMRE-269のラット肺葉内動脈に対する弛緩作用(2016年9月28日承認、CTD2.6.2.2.3.1)
17) 社内資料:U46619誘発肺高血圧症ラットにおけるセレキシパグの右心室圧低下作用(2016年9月28日承認、CTD2.6.2.2.6.4)
18) Kuwano K, et al. J Pharmacol Exp Ther. 2008;326(3):691-9
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