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ガスロンN・OD錠2mg/ガスロンN・OD錠4mg

処方せん医薬品以外の医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
6.用法及び用量
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
11.副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
16.8その他
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2実験潰瘍に対する作用
18.3実験胃炎に対する作用
18.4細胞防御作用
18.5胃粘膜血流改善作用
18.6抗炎症作用
18.7細胞間コミュニケーション活性化作用
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

ガスロンN・OD錠2mg/ガスロンN・OD錠4mg

添付文書番号

2329020F3020_1_07

企業コード

530263

作成又は改訂年月

2021年7月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

872329

薬効分類名

粘膜防御性胃炎・胃潰瘍治療剤

承認等

ガスロンN・OD錠2mg

販売名コード

YJコード

2329020F3020

販売名英語表記

Gaslon N・OD Tablets

承認番号等

承認番号

21900AMX00509000

販売開始年月

2007年7月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

ガスロンN・OD錠4mg

販売名コード

YJコード

2329020F4026

販売名英語表記

Gaslon N・OD Tablets

承認番号等

承認番号

22100AMX01898000

販売開始年月

2009年11月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

一般的名称

イルソグラジンマレイン酸塩口腔内崩壊錠

3. 組成・性状

3.1 組成

ガスロンN・OD錠2mg

有効成分1錠中
日本薬局方イルソグラジンマレイン酸塩   2mg
添加剤乳糖水和物、D-マンニトール、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、香料、グリセリン、デキストリン

ガスロンN・OD錠4mg

有効成分1錠中
日本薬局方イルソグラジンマレイン酸塩   4mg
添加剤乳糖水和物、D-マンニトール、トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、香料、グリセリン、デキストリン

3.2 製剤の性状

ガスロンN・OD錠2mg

剤形円形の錠剤
色調白色
外形表面
裏面
側面
識別コード 255
直径(mm)8.1
厚さ(mm)2.5
重さ(mg)160

ガスロンN・OD錠4mg

剤形片面に割線を施した円形の錠剤
色調白色
外形表面
裏面
側面
識別コード 256
直径(mm)8.1
厚さ(mm)2.5
重さ(mg)160

4. 効能又は効果

  • 胃潰瘍
  • 下記疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
    急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期

6. 用法及び用量

通常成人イルソグラジンマレイン酸塩として1日4mg(ガスロンN・OD錠2mg:2錠、ガスロンN・OD錠4mg:1錠)を1~2回に分割経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

低用量(例えば2mg/日)から投与を開始するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.2 その他の副作用

1%未満

頻度不明

消化器

便秘、下痢、嘔気・嘔吐

肝臓

AST、ALT、Al-P、LDH、γ-GTP、ビリルビン等の上昇

皮膚

発疹

そう痒感、発赤、湿疹、多形滲出性紅斑、浮腫性紅斑

その他

胸部圧迫感

発熱

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意

  1. 14.1.1 PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
  2. 14.1.2 本剤は口腔内で崩壊するが、口腔の粘膜から吸収されることはないため、唾液又は水で飲み込むこと。
  3. 14.1.3 本剤は舌の上にのせて唾液を浸潤させると崩壊するため、水なしで服用可能である。また、水で服用することもできる。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

健康成人における本剤の血漿中からの消失半減期は約150時間である。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与

    健康成人男子4名にイルソグラジンマレイン酸塩4mgを単回経口投与した場合、未変化体の血漿中濃度は投与後約3.5時間で最高値(Cmax)に達し、その後、約150時間の消失半減期で減少した1)

    健康成人男子にイルソグラジンマレイン酸塩4mgを単回経口投与した後の未変化体の血漿中濃度(平均値±標準偏差、n=4)
    薬物動態パラメータ

    Tmax(hr)

    Cmax(μg/mL)

    t1/2(hr)

    AUC0-∞(μg・hr/mL)

    3.5±1.9

    0.154±0.034

    152±47

    23.0±5.0

    平均値±標準偏差、(n=4)

  2. 16.1.2 反復投与
    • 〈健康成人〉

      健康成人男子6名にイルソグラジンマレイン酸塩2mgを1日1回、28日間反復経口投与した場合、未変化体の血漿中濃度は投与14日以降ほぼ定常状態となった。投与終了後血漿中濃度は緩やかに減少し、消失半減期は約170時間であった2)

      健康成人男子にイルソグラジンマレイン酸塩2mgを1日1回28日間反復経口投与した場合の未変化体の血漿中濃度(平均値±標準偏差、n=6)
    • 〈胃潰瘍患者〉

      胃潰瘍患者10名にイルソグラジンマレイン酸塩4mgを4週間から8週間1日1回あるいは2回に分割経口投与した場合、健康成人男子にイルソグラジンマレイン酸塩2mgを反復投与した場合と同様に投与後約2週間で定常状態に達していた3)

  3. 16.1.3 生物学的同等性

    健康成人男子にガスロンN・OD錠2mg(口腔内崩壊錠:OD錠2mg)(水で服用又は水なしで服用)及びガスロンN錠2mg(普通錠)(水で服用)を空腹時に単回経口投与した場合、生物学的に同等であることが確認された。

    1. (1) OD錠2mgを水で服用した場合
      普通錠2mg及びOD錠2mgを水で服用した場合の血漿中イルソグラジン濃度
      薬物動態パラメータ

      投与量
      (mg)

      Tmax
      (hr)

      Cmax
      (μg/mL)

      t1/2
      (hr)

      AUC0-504hr
      (μg・hr/mL)

      OD錠2mg
      (水で服用)

      2

      1.53
      ±1.47

      0.0798
      ±0.0214

      140
      ±49

      10.2
      ±2.70

      普通錠2mg
      (水で服用)

      2

      1.42
      ±1.22

      0.0711
      ±0.0202

      141
      ±55

      9.60
      ±2.61

      平均値±標準偏差(n=19)

    2. (2) OD錠2mgを水なしで服用した場合
      普通錠2mgを水でOD錠2mgを水なしで服用した場合の血漿中イルソグラジン濃度
      薬物動態パラメータ

      投与量
      (mg)

      Tmax
      (hr)

      Cmax
      (μg/mL)

      t1/2
      (hr)

      AUC0-504hr
      (μg・hr/mL)

      OD錠2mg
      (水なしで服用)

      2

      4.75
      ±7.62

      0.0686
      ±0.0167

      128
      ±51

      8.30
      ±2.23

      普通錠2mg
      (水で服用)

      2

      3.19
      ±5.88

      0.0629
      ±0.0173

      133
      ±43

      7.73
      ±2.05

      平均値±標準偏差(n=16)

16.3 分布

  1. 16.3.1 作用部位への移行性

    14C-イルソグラジンを静脈内投与した後の胃粘膜での放射能濃度は血漿中より高かった(ラット)4)

  2. 16.3.2 蛋白結合

    14C-イルソグラジンの1%ヒト血清アルブミンに対する結合率は62.4%であった4)

16.4 代謝

健康成人男子にイルソグラジンマレイン酸塩4mgを経口投与した場合、尿中主代謝物は、イルソグラジンのm-OH体の抱合体であり、この他p-OH体の抱合体及びN-oxide体が検出された1)。なお、これらの代謝物の薬理作用・毒性は未変化体と比較して、著しく弱いかほとんど認められなかった5)

16.5 排泄

健康成人男子にイルソグラジンマレイン酸塩4mgを経口投与した場合、80時間までの尿中排泄率は未変化体が1.77%、m-OH体の抱合体が3.54%、p-OH体の抱合体が0.79%およびN-oxide体が0.94%であった1)

16.8 その他

「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドラインについて」に従い、ガスロンN・OD錠2mgとガスロンN・OD錠4mgの生物学的同等性を保証するために、両製剤の溶出挙動を比較した6)。溶出挙動について同等性の判定を行った結果、ガイドラインの判定基準に適合し、両製剤の溶出挙動は同等であると判定した。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  • 〈胃潰瘍〉
    1. 17.1.1 国内臨床試験

      国内165施設において胃潰瘍(病期:A1~H1)と診断された症例を対象として行われた臨床試験の結果、投与8週間における内視鏡判定での治癒率は62.6%(311/497例)であった。また全般改善度では、中等度改善以上74.4%(406/546例)であった。
      なお、二重盲検比較試験においても有効性が認められている7)

  • 〈急性胃炎・慢性胃炎の急性増悪期〉
    1. 17.1.2 国内臨床試験

      国内201施設において急性胃炎又は慢性胃炎の急性増悪期と診断された症例を対象として行われた臨床試験の結果、全般改善度は中等度改善以上85.2%(283/332例)であった8),9),10),11),12),13),14)
      なお、二重盲検比較試験においても有効性が認められている。

      疾患名

      内視鏡判定(治癒率)

      改善率(中等度改善以上)

      胃潰瘍

      311/497(62.6%)

      406/546(74.4%)

      急性胃炎・慢性
      胃炎の増悪期

      -

      283/332(85.2%)

  • 注)ガスロンN錠(普通錠)・細粒のデータ

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

胃粘膜障害物質(胃酸等)による胃粘膜表層上皮細胞の細胞間間隙開大や胃粘膜血流低下を抑制することにより細胞防御作用を示す。これらの作用には本剤の胃粘膜内cAMP増加作用や細胞間コミュニケーション活性化作用(組織の共役促進による粘膜抵抗力及びバリア機能の増強)が関与すると考えられている。

18.2 実験潰瘍に対する作用

水浸拘束ストレス潰瘍(ラット)15),16)、エタノール潰瘍(ラット)16)、Shay潰瘍(ラット)15),16)、インドメタシン潰瘍(ラット)15),16),17)、ヒスタミン潰瘍(モルモット)15)・(ラット)16)、アスピリン潰瘍(ラット)16)、モノクロラミン潰瘍(ラット)18)、虚血再灌流胃粘膜障害(ラット)19)等の急性実験潰瘍や酢酸胃潰瘍(ラット)15)及び電気焼灼潰瘍(イヌ)20)等の慢性実験潰瘍に対し、1~10mg/kgの低用量で用量依存的に抗潰瘍作用を示す。

18.3 実験胃炎に対する作用

エタノール誘起胃炎及びタウロコール酸誘起萎縮性胃炎並びにアンモニア誘起胃粘膜障害に対し、用量依存的に抑制又は治癒促進効果を示す(ラット)21)

18.4 細胞防御作用

  1. 18.4.1 0.2N塩酸の胃内注入で発生する胃粘膜上皮の剥離脱落を防止し細胞間間隙の開大を抑制する(ラット)22)
  2. 18.4.2 無水エタノール経口投与による胃粘膜損傷に対し、胃粘膜上皮細胞の剥離脱落を抑制する(ラット)23)
  3. 18.4.3 0.2N塩酸、エタノール等の胃粘膜障害物質の胃粘膜内透過を抑制する(ラット)24),25)

18.5 胃粘膜血流改善作用

酢酸潰瘍辺縁粘膜血流量を用量依存的に増加させ(イヌ)26)、モノクロラミンによる胃粘膜血流の低下を抑制する(ラット)18)

18.6 抗炎症作用

  1. 18.6.1 各種刺激剤によるヒト活性化好中球からの活性酸素産生を抑制する(in vitro27)
  2. 18.6.2 虚血再灌流胃粘膜障害においてTNF-αの産生を抑制し、MPO活性を指標とした炎症性細胞の胃粘膜への浸潤を抑制する(ラット)19)
  3. 18.6.3 ヒト胃粘膜上皮細胞とH. pyloriの共培養系において炎症性サイトカインであるIL-8、RANTESの産生を濃度依存的に抑制する(in vitro28)

18.7 細胞間コミュニケーション活性化作用

ウサギ胎児胃粘膜培養上皮細胞を用いたDye Coupling法において、細胞間コミュニケーション活性化作用を示す(in vitro29)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

イルソグラジンマレイン酸塩(Irsogladine Maleate)(JAN)

化学名

6-(2, 5-Dichlorophenyl)-1, 3, 5-triazine-2, 4-diamine monomaleate

分子式

C9H7Cl2N5・C4H4O4

分子量

372.16

性状

本品は白色の結晶又は結晶性の粉末で、味はやや苦い。
本品は酢酸(100)又はエチレングリコールにやや溶けにくく、メタノール又はエタノール(99.5)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。

化学構造式

分配係数

1.4[n-オクタノール・第1液(pH1.2)]
54.0[n-オクタノール・第2液(pH6.8)]

20. 取扱い上の注意

アルミピローの開封後は湿気を避けて保存すること。

22. 包装

  • 〈ガスロンN・OD錠2mg〉
  • 100錠[10錠(PTP)×10]、500錠[10錠(PTP)×50]、1000錠[10錠(PTP)×100]、バラ500錠[瓶、バラ]
  • 〈ガスロンN・OD錠4mg〉
  • 100錠[10錠(PTP)×10]、500錠[10錠(PTP)×50]、1000錠[10錠(PTP)×100]、バラ500錠[瓶、バラ]

23. 主要文献

1) Nakashima M, et al.:Arzneim-Forsch/Drug Res. 1984;34(Ⅰ)(4):492-8

2) 中島光好ほか:臨床薬理. 1984;15(1):45-6

3) 田村和民ほか:診療と新薬. 1987;24(4):857-66

4) Ando T, et al.:Arzneim-Forsch/Drug Res. 1986;36(Ⅱ)(8):1221-8

5) 上田房雄ほか:応用薬理. 1986;32(5):861-72

6) 社内資料:ガスロンN・OD錠の溶出挙動

7) 三好秋馬ほか:消化器科. 1986;5(1):100-20

8) 三好秋馬ほか:臨床医薬. 1993;9(2):333-55

9) 三好秋馬ほか:臨床医薬. 1993;9(2):357-85

10) 高谷 章ほか:基礎と臨床. 1992;26(14):5437-45

11) 鵜浦雅志ほか:新薬と臨床. 1992;41(11):2461-74

12) 隅井浩治ほか:基礎と臨床. 1992;26(14):5447-57

13) 児玉 正ほか:新薬と臨床. 1992;41(11):2477-94

14) 成澤林太郎ほか:基礎と臨床. 1992;26(14):5461-74

15) Ueda F, et al.:Arzneim-Forsch/Drug Res. 1984;34(Ⅰ)(4):474-7

16) 岡部 進ほか:応用薬理. 1982;24(5):683-9

17) 上田房雄ほか:薬理と治療. 2000;28(5):407-10

18) Kyoi T, et al.:J Pharmacol Sci. 2003;93(3):314-20

19) Kyoi T, et al.:J Pharmacol Sci. 2004;95(3):321-8

20) 社内資料:イヌの電気焼灼潰瘍に対するMN-1695の治癒促進効果

21) 上田房雄ほか:薬理と治療. 1990;18(5):2009-14

22) 上田房雄ほか:日薬理誌. 1987;89(5):279-84

23) 上田房雄ほか:応用薬理. 1987;33(1):143-50

24) 社内資料:MN-1695のH逆拡散に対する作用

25) Ueda F, et al.:New Trends in Peptic Ulcer and Chronic Hepatitis,Ed.International Committee of JSG, 1987;364-70

26) 平松 新ほか:薬理と治療. 1983;11(7):2481-7

27) Kyoi T, et al.:Life Sciences. 2004;76(1):71-83

28) Yamaoka Y, et al.:Gastroenterology. 1997;112(4):A336

29) Ueda F, et al.:J Pharmacol Exp Ther. 1994;271(1):397-402

24. 文献請求先及び問い合わせ先

日本新薬株式会社 製品情報担当

〒601-8550 京都市南区吉祥院西ノ庄門口町14

フリーダイヤル 0120-321-372
TEL 075-321-9064
FAX 075-321-9061

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

日本新薬株式会社

京都市南区吉祥院西ノ庄門口町14

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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