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モノヴァー静注500mg/モノヴァー静注1000mg

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.3肝機能障害患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
12.臨床検査結果に及ぼす影響
13.過量投与
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

モノヴァー静注500mg/モノヴァー静注1000mg

添付文書番号

3222405A1026_1_01

企業コード

530263

作成又は改訂年月

2022年3月作成(第1版)

日本標準商品分類番号

873222

薬効分類名

鉄欠乏性貧血治療剤

承認等

モノヴァー静注500mg

販売名コード

YJコード

3222405A1026

販売名英語表記

MonoVer for I.V. Injection

承認番号等

承認番号

30400AMX00183000

販売開始年月

2023年3月

貯法・有効期間

貯法

室温保存(凍結を避けて保存)

有効期間

3年

モノヴァー静注1000mg

販売名コード

YJコード

3222405A2022

販売名英語表記

MonoVer for I.V. Injection

承認番号等

承認番号

30400AMX00184000

販売開始年月

2023年3月

貯法・有効期間

貯法

室温保存(凍結を避けて保存)

有効期間

3年

一般的名称

デルイソマルトース第二鉄静注

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 2.2 鉄欠乏状態にない患者[鉄過剰を来すおそれがある。]

3. 組成・性状

3.1 組成

モノヴァー静注500mg

有効成分(1バイアル中)
デルイソマルトース第二鉄を鉄として   500mg含有する
添加剤pH調整剤(塩酸、水酸化ナトリウム)
内容量  5mL

モノヴァー静注1000mg

有効成分(1バイアル中)
デルイソマルトース第二鉄を鉄として   1000mg含有する
添加剤pH調整剤(塩酸、水酸化ナトリウム)
内容量  10mL

3.2 製剤の性状

モノヴァー静注500mg

剤形水性注射液(バイアル)
pH5.0~7.0
浸透圧比2.8
性状暗褐色の液

モノヴァー静注1000mg

剤形水性注射液(バイアル)
pH5.0~7.0
浸透圧比2.8
性状暗褐色の液

4. 効能又は効果

鉄欠乏性貧血

5. 効能又は効果に関連する注意

本剤は経口鉄剤の投与が困難又は不適当な場合に限り使用すること。

6. 用法及び用量

通常、体重50kg以上の成人には、鉄として1回あたり1000mgを上限として週1回点滴静注、又は鉄として1回あたり500mgを上限として最大週2回緩徐に静注する。
通常、体重50kg未満の成人には、鉄として1回あたり20mg/kgを上限として週1回点滴静注、又は鉄として1回あたり500mgを上限として最大週2回緩徐に静注する。
なお、治療終了時までの総投与鉄量は、患者のヘモグロビン濃度及び体重に応じるが、鉄として2000mg(体重50kg未満の成人は1000mg)を上限とする。

7. 用法及び用量に関連する注意

  1. 7.1 本剤の投与に際しては、以下を参考に、過量投与にならないよう、総投与鉄量に注意すること。また、1回投与鉄量及び投与間隔は用法及び用量を踏まえ、適切に設定すること。
    本剤の総投与鉄量

    投与前ヘモグロビン濃度

    体重

    40kg未満

    40kg以上50kg未満

    50kg以上70kg未満

    70kg以上

    10g/dL以上

    下記の計算式を用いて算出する。

    750mg

    1000mg

    1500mg

    10g/dL未満

    1000mg

    1500mg

    2000mg

    体重40kg未満の患者における総投与鉄量(mg)=[2.2×(16-投与前ヘモグロビン濃度g/dL)+10]×(体重kg)

  2. 7.2 分娩後出血に伴う鉄欠乏性貧血の患者の総投与鉄量の決定には、妊娠前の体重、本剤投与前のヘモグロビン濃度に基づき算出すること。
  3. 7.3 再治療の必要性は、投与終了後8週以降を目安にヘモグロビン濃度、血清フェリチン値、患者の状態等から、鉄過剰に留意して慎重に判断すること。
  4. 7.4 本剤を点滴静注する場合は、生理食塩液で希釈し15分以上かけて投与すること。静脈内投与する場合は、希釈せずもしくは生理食塩液で希釈して2分以上かけて緩徐に投与すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 発作性夜間ヘモグロビン尿症を合併している患者

    溶血を誘発するおそれがある。

9.3 肝機能障害患者

本剤投与による肝機能の悪化に注意すること。鉄過剰により肝機能障害が悪化する可能性がある。肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。海外で妊婦に本剤を静脈内投与したとき、胎児の徐脈が報告されている1)。ラット及びウサギを用いた生殖発生毒性試験において胎児の奇形が認められており、母動物における鉄過剰に伴う毒性の二次的影響と考えられている2),3)。デキストラン鉄が胎児へ移行することが確認されていることから4)、本剤も胎児へ移行する可能性がある。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトの母乳中へ移行することが認められている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 過敏症(頻度不明)

    ショック、アナフィラキシー等の重篤な過敏症があらわれることがある。

11.2 その他の副作用

5%以上

1~5%未満

1%未満

循環器

ほてり

消化器

腹部不快感、下痢、悪心

腹痛、上腹部痛、便秘

肝臓

肝酵素上昇

肝機能異常

代謝異常

低リン酸血症

血清フェリチン増加、高フェリチン血症

食欲減退

筋骨格系

関節痛、背部痛

筋肉痛

精神神経系

頭痛

傾眠

呼吸器

呼吸困難

皮膚

蕁麻疹

湿疹、紅斑、そう痒症、発疹

皮膚変色

その他

発熱

倦怠感、月経過多

溢出、注射部位変色、顔面浮腫、疲労、血圧上昇、CRP増加

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

  1. 12.1 血清リン値

    血清リン値は本剤投与後に低下する傾向があるため、低リン血症の発現に注意すること。,,

  2. 12.2 血清フェリチン値

    血清フェリチン値は本剤投与後に高値を示すことから、本剤投与終了後4週程度は貯蔵鉄量を正確に反映しない可能性があることに注意すること。

13. 過量投与

  1. 13.1 症状

    鉄過剰症があらわれることがある。また、長期的な低リン血症により骨軟化症に至ることがある5)

  2. 13.2 処置

    鉄排泄剤の投与等、症状に応じて適切な処置を行うこと。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意

  1. 14.1.1 本剤(100mg/mL)を希釈する場合は、生理食塩液で用時希釈すること。点滴静注の場合は総液量が最大500mLまで、静脈内投与の場合は総液量が最大20mLまでとし、鉄として1mg/mL未満に希釈してはならない。
  2. 14.1.2 本剤のバイアルは1回使い切りである。残液をその後の投与に使用しないこと。
  3. 14.1.3 調製後は速やかに使用すること。希釈後にやむを得ず保存する場合は、室温で保存し、8時間以内に投与を終了すること。

14.2 薬剤投与時の注意

  1. 14.2.1 本剤と生理食塩液以外の輸液や他の静注用薬剤等との配合又は同じラインでの同時注入は避けること。
  2. 14.2.2 注射に際しては血管外に漏出しないよう十分注意すること。血管外に漏出した場合には、漏出部位周辺に皮膚の炎症及び長期にわたる色素沈着を起こすことがある。血管外漏出が認められた場合は、適切な処置を行うこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

本剤を鉄として500mg以上投与した場合、血清が褐色を呈することが報告されている6)

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

20歳以上65歳未満で体重50kg以上の日本人鉄欠乏性貧血患者24例に、本剤を鉄として100mg又は500mgを約2分かけて単回静脈内投与、750mg又は1000mgを約15分かけて単回点滴静注したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった6)

本剤を鉄として100mg、500mgを静脈内投与、750mg、1000mgを点滴静注したときの血清中総鉄1)濃度推移(平均値)
本剤を鉄として100mg、500mgを静脈内投与、750mg、1000mgを点滴静注したときの血清中総鉄1)の薬物動態パラメータ

投与鉄量

Cmax
(µg/mL)

tmax
(hr)

t1/2
(hr)

AUC0-∞
(µg・hr/mL)

100mg

42.0(26.7)

0.209(0.167,0.500)

19.4(21.5)

1250(22.1)

500mg

208(14.1)

0.250(0.167,2.000)

22.8(14.3)

8460(9.8)

750mg

239(20.3)

1.000(0.250,1.500)

24.4(7.2)

10600(15.4)

1000mg

408(10.8)2)

1.000(0.250,2.000)2)

26.8(12.8)3)

17700(20.4)3)

6例、幾何平均(変動係数%)、tmaxは中央値(最小値、最大値)

1) 総鉄:デルイソマルトース、生体内の鉄結合性タンパク質(トランスフェリン等)と結合した鉄及び遊離鉄

2) 5例

3) 4例

16.3 分布

鉄欠乏性貧血患者24例に本剤を鉄として100~1000mgを投与したときの分布容積(平均値)は、1.940~2.475Lであった6)。分娩後出血に伴う鉄欠乏性貧血患者21例に、本剤をDay1に鉄として840~1000mg、Day8に鉄として40~1000mg投与した時の乳汁中鉄濃度(平均値)は、Day4で0.98mg/Lであり、Day15まで0.55~0.75mg/Lを推移した7)

16.4 代謝

本剤は、細網内皮系の細胞に取り込まれた後、エンドリソソーム内で鉄が分離される8)

16.5 排泄

炎症性腸疾患患者12例に本剤を鉄として100mg及び200mgを単回静脈内投与したときの尿中鉄排泄率(平均値)は約1%であった9)(外国人データ)。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  1. 17.1.1 国内第Ⅲ相試験(NS32-P3-01試験)

    18歳以上49歳以下の経口鉄剤に忍容性がない若しくは効果不十分、又は急速な鉄補給を必要とする過多月経に伴う鉄欠乏性貧血患者(ヘモグロビン濃度:11.0g/dL未満、血清フェリチン値:12ng/mL未満)355例を対象に、患者のヘモグロビン濃度及び体重に応じて総投与鉄量を決定し、本剤又は含糖酸化鉄を静脈内投与する無作為化非盲検並行群間比較試験を実施した。本剤群の初回投与は、1回あたり鉄として最大1000mg(体重50kg未満の場合は20mg/kg)を点滴静注することとし、2回目の投与は、総投与量と初回投与量の差を緩徐に静脈内投与又は点滴静注することとした。投与開始12週後までのヘモグロビン濃度の最大変化量(調整済み平均値)の群間差(本剤群-含糖酸化鉄群)[95%信頼区間]は0.06g/dL[-0.13,0.24]であり、本剤群の含糖酸化鉄群に対する非劣性が検証された(非劣性限界値-0.5g/dL)10)

    12週時までのヘモグロビン濃度の最大変化量

    本剤群
    (237例)

    含糖酸化鉄群
    (118例)

    ヘモグロビン濃度の最大変化量の調整済み平均値4)
    [95%信頼区間]

    4.33g/dL
    [4.22,4.44]

    4.27g/dL
    [4.12,4.42]

    群間差
    [95%信頼区間]

    0.06g/dL
    [-0.13,0.24]

    4) 投与群を因子、ベースラインのヘモグロビン濃度を共変量とした共分散分析

    投与開始12週後までのヘモグロビン濃度の推移図は以下のとおりであった。

    副作用の発現率は、46.8%(111/237例)であった。主な副作用(発現率5%以上)は、発熱8.4%(20/237例)、蕁麻疹8.0%(19/237例)、低リン酸血症5.9%(14/237例)、血清フェリチン増加5.5%(13/237例)であった。

  2. 17.1.2 国内第Ⅲ相試験(NS32-P3-02試験)

    18歳以上の経口鉄剤に忍容性がない若しくは効果不十分、又は急速な鉄補給を必要とする消化管障害に伴う鉄欠乏性貧血患者(ヘモグロビン濃度:11.0g/dL未満、血清フェリチン値:30ng/mL未満(CRPが基準値上限超の場合100ng/mL未満))40例を対象に、患者のヘモグロビン濃度及び体重に応じて総投与鉄量を決定し、本剤を静脈内投与(被験者をA群とB群に3:1の割合でランダム割付)するオープンラベル試験を実施した。A群では初回投与は鉄として500mgとし、その後1日1回最大500mgを1週間に2回の頻度で最小回数により、総投与量を分割して静脈内投与した。B群では初回投与は、1回あたり鉄として最大1000mg(体重50kg未満の場合は20mg/kg)を点滴静注することとし、2回目の投与は、総投与量と初回投与量の差を緩徐に静脈内投与又は点滴静注することとした。投与開始12週後までのヘモグロビン濃度の最大変化量[95%信頼区間]は全体:4.33g/dL[3.82,4.83]、A群(30例):4.27g/dL[3.83,4.71]、B群(10例):4.49g/dL[2.69,6.29]であった11)
    投与開始12週後までのヘモグロビン濃度の推移図は以下のとおりであった。

    副作用の発現率は、30.0%(12/40例)であった。主な副作用(発現率5%以上)は、低リン酸血症10.0%(4/40例)、蕁麻疹7.5%(3/40例)、発熱5.0%(2/40例)であった。

  3. 17.1.3 国内第Ⅲ相試験(NS32-P3-03試験)

    20歳以上かつ分娩予定日に40歳未満の経口鉄剤に忍容性がない若しくは効果不十分、又は急速な鉄補給を必要とする分娩後出血に伴う鉄欠乏性貧血患者(妊娠36週の血清フェリチン値:25.0ng/mL未満、分娩後24時間から48時間までのヘモグロビン濃度:10g/dL未満、分娩後24時間までの分娩に伴う出血量:500mL以上)21例を対象に、患者の分娩後(24時間以降48時間未満)のヘモグロビン濃度及び妊娠前の体重に応じて総投与鉄量を決定し、本剤を静脈内投与するオープンラベル試験を実施した。初回投与は、1回あたり鉄として最大1000mg(体重50kg未満の場合は20mg/kg)を点滴静注することとし、分娩後48時間までに点滴静注を開始することとした。2回目の投与は、総投与量と初回投与量の差を緩徐に静脈内投与又は点滴静注することとした。投与開始8週後までのヘモグロビン濃度の最大変化量[95%信頼区間]は4.77g/dL[4.34,5.20]であった7)
    投与開始8週後までのヘモグロビン濃度の推移図は以下のとおりであった。

    副作用の発現率は、33.3%(7/21例)で、主な副作用(発現率5%以上)は、肝酵素上昇14.3%(3/21例)であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

本薬は鉄とデルイソマルトースの複合体であり、静脈内投与後は細網内皮系の細胞に取り込まれる8)。デルイソマルトースから分離した鉄はトランスフェリンと結合して骨髄へと運搬され、ヘモグロビン合成に利用される12),13)

18.2 造血作用

鉄欠乏性貧血ブタに本剤を静脈内投与することにより、ヘモグロビン濃度の上昇が認められた14)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

デルイソマルトース第二鉄
(Ferric Derisomaltose)(JAN)

化学名

酸化第二鉄とオリゴ[α-D-グルコピラノシル-(1→6)]-D-グルシトールとの複合体
(Oligo[α-D-glucopyranosyl-(1→6)]-D-glucitol complex of iron(Ⅲ)oxide)

分子式

Fex(C6H11O5[C6H10O5]aC6H13O5y

分子量

130,000~180,000

性状

本品は暗赤褐色の粉末である。
本品は水に極めて溶けやすく、エタノール(96)にほとんど溶けない。

20. 取扱い上の注意

凍結を避けること。

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

  • モノヴァー静注500mg

    5mL×5バイアル

  • モノヴァー静注1000mg

    10mL×5バイアル

24. 文献請求先及び問い合わせ先

日本新薬株式会社 製品情報担当

〒601-8550 京都市南区吉祥院西ノ庄門口町14

フリーダイヤル 0120-321-372
TEL 075-321-9064
FAX 075-321-9061

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

日本新薬株式会社

京都市南区吉祥院西ノ庄門口町14



モノヴァー/MonoVerはPharmacosmos A/Sの登録商標であり、本製品はPharmacosmos A/Sからライセンスを受けています。

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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