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日本薬局方
メトホルミン塩酸塩錠
劇薬
処方箋医薬品注)
2型糖尿病ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る。(1)食事療法・運動療法のみ(2)食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用
通常、成人にはメトホルミン塩酸塩として1日量500mgより開始し、1日2~3回食後に分割経口投与する。維持量は効果を観察しながら決めるが、1日最高投与量は750mgとする。
中等度の腎機能障害患者(eGFR 30mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)では、メトホルミンの血中濃度が上昇し、乳酸アシドーシスの発現リスクが高くなる可能性があるため、以下の点に注意すること。特に、eGFRが30mL/min/1.73m2以上45mL/min/1.73m2未満の患者では、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。,,,
乳酸アシドーシスを起こすおそれがある。,
腎臓における排泄が減少しメトホルミンの血中濃度が上昇するため、乳酸アシドーシス等の発現リスクが高くなる可能性がある。,,,,
投与しないこと。
慎重に経過を観察し、投与の適否及び投与量の調節を検討すること。特に、eGFRが30mL/min/1.73m2以上45mL/min/1.73m2未満の患者には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。,
肝臓における乳酸の代謝能が低下し、乳酸アシドーシスの発現リスクが高くなる可能性がある。,,,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ラット、ウサギ)で胎児への移行が認められており、一部の動物実験(ラット)で催奇形作用が報告されている。また、妊婦は乳酸アシドーシスを起こしやすい。,
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
高齢者では、腎機能、肝機能等が低下していることが多く、また脱水症状を起こしやすい。これらの状態では乳酸アシドーシスを起こしやすいので、以下の点に注意すること。,,,,
アルコール(過度の摂取)
,,
乳酸アシドーシスを起こすことがある。本剤投与中は過度のアルコール摂取(飲酒)を避けること。
肝臓における乳酸の代謝能が低下する。また、脱水状態を来すことがある。
(1)
ヨード造影剤
,
乳酸アシドーシスを起こすことがある。ヨード造影剤を用いて検査を行う場合には、本剤の投与を一時的に中止すること。
腎機能が低下し、本剤の排泄が低下することが考えられている。
腎毒性の強い抗生物質
乳酸アシドーシスを起こすことがある。本剤の投与を一時的に減量・中止するなど適切な処置を行うこと。
利尿作用を有する薬剤
脱水により乳酸アシドーシスを起こすことがある。脱水症状があらわれた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
利尿作用を有する薬剤により、体液量が減少し脱水状態になることがある。
(2)血糖降下作用を増強する薬剤
糖尿病用薬
低血糖が起こることがある。スルホニルウレア剤併用時に低血糖のリスクが増加するおそれがある。患者の状態を十分観察しながら投与すること。
血糖降下作用の増強
たん白同化ホルモン剤
機序不明
サリチル酸剤
サリチル酸剤の血糖降下作用が考えられている。
β-遮断剤
β遮断作用によりアドレナリンを介した低血糖からの回復を遅らせることが考えられている。
モノアミン酸化酵素阻害剤
モノアミン酸化酵素阻害剤によるインスリン分泌促進、糖新生抑制が考えられている。
(3)血糖降下作用を減弱する薬剤
アドレナリン
血糖降下作用が減弱することがある。患者の状態を十分観察しながら投与すること。
アドレナリンによる末梢での糖利用抑制、肝での糖新生促進、インスリン分泌抑制が考えられている。
副腎皮質ホルモン
副腎皮質ホルモンによる肝での糖新生促進等が考えられている。
甲状腺ホルモン
甲状腺ホルモンは糖代謝全般に作用し血糖値を変動させると考えられている。
卵胞ホルモン
卵胞ホルモンには耐糖能を変化させ、血糖を上昇させる作用が認められている。
利尿剤
利尿剤によるカリウム喪失によりインスリン分泌の低下が考えられている。
ピラジナミド
イソニアジド
イソニアジドによる炭水化物代謝阻害が考えられている。
ニコチン酸
ニコチン酸による血糖上昇作用が考えられている。
フェノチアジン系薬剤
フェノチアジン系薬剤によるインスリン分泌抑制、副腎からのアドレナリン遊離が考えられている。
*(4)その他
**OCT2、MATE1、又はMATE2-Kを阻害する薬剤
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。観察を十分に行い、必要に応じて本剤を減量するなど慎重に投与すること。
**OCT2、MATE1、又はMATE2-Kを介した本剤の腎排泄が阻害されると考えられている。
*イメグリミン塩酸塩
*消化器症状の発現に注意すること。
*特に併用初期に多く発現する傾向が認められている。
乳酸アシドーシス(血中乳酸値の上昇、乳酸/ピルビン酸比の上昇、血液pHの低下等を示す)は予後不良のことが多い。一般的に発現する臨床症状は様々であるが、胃腸症状、倦怠感、筋肉痛、過呼吸等の症状がみられることが多く、これらの症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、必要な検査を行うこと。なお、乳酸アシドーシスの疑いが大きい場合には、乳酸の測定結果等を待つことなく適切な処置を行うこと。,,,,,,,,,,,,,
低血糖症状(初期症状:脱力感、高度の空腹感、発汗等)が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース、ボグリボース、ミグリトール)との併用により低血糖症状が認められた場合にはブドウ糖を投与すること。,,,,
AST、ALT、Al-P、γ-GTP、ビリルビンの著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。
5%以上
0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明
消化器注1)
下痢
食欲不振、腹痛、悪心、嘔吐、腹部膨満感、便秘
消化不良
胃炎、胃腸障害、放屁増加
血液
貧血、白血球減少、血小板減少、白血球増加、好酸球増加
過敏症
発疹
そう痒
肝臓
肝機能異常
腎臓
BUN上昇、クレアチニン上昇
代謝異常
CK上昇、ケトーシス、乳酸上昇、血中カリウム上昇、血中尿酸増加
その他
全身倦怠感注1)、頭痛、頭重
眠気
筋肉痛注1)、めまい・ふらつき、味覚異常、浮腫、動悸、発汗、脱力感、空腹感、ビタミンB12減少注2)
乳酸アシドーシスが起こることがある。
アシドーシスの補正(炭酸水素ナトリウム静注等)、輸液(強制利尿)、血液透析等の適切な処置を行う。
本剤とオルメサルタン メドキソミル製剤等との一包化は避けること。一包化して高温高湿度条件下にて保存した場合、本剤が変色することがある。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより、低血糖が起こりやすいとの報告がある。
健康成人21例に本剤1錠(メトホルミン塩酸塩250mg)を空腹時注3)に経口投与した場合、血漿中未変化体濃度は投与後約2.4時間で最高値に達し、その後約3.6時間の半減期で消失した2)。
Dose(mg/body)
Tmax(hr)
Cmax(ng/mL)
AUC0-24hr(ng・hr/mL)
t1/2(hr)
250
2.36±0.96
997±255
6680±1410
3.61±0.54
平均値±標準偏差、n=21
腎機能正常者(クレアチニンクリアランス:>90mL/min)、軽度(クレアチニンクリアランス:61~90mL/min)及び中等度(クレアチニンクリアランス:31~60mL/min)の腎機能障害者にメトホルミン塩酸塩850mg注3)を空腹時に単回経口投与したときの薬物動態パラメータは以下のとおりであった3)(外国人データ)。,
Cmax(μg/mL)
AUC0-∞(μg・hr/mL)
CLR(mL/min)
腎機能正常者(3例)
1.64±0.50
11.22±3.19
11.2±5.2
394.7±83.8
軽度腎機能障害者(5例)
1.86±0.52
13.22±2.00
17.3±21.2
383.6±122.3
中等度腎機能障害者(4例)
4.12±1.83
58.30±36.58
16.2±7.6
108.3±57.2
平均値±標準偏差、CLR:腎クリアランス
健康成人に対し本剤とドルテグラビル50mg/日及び100mg/日を併用して反復投与した場合、メトホルミンのCmaxがそれぞれ66%及び111%上昇し、AUCがそれぞれ79%及び145%増加した4)(外国人データ)。
健康成人に対し本剤とバンデタニブを併用して単回投与した場合、メトホルミンのCmax及びAUC0-∞がそれぞれ50%及び74%増加し、腎クリアランスが52%減少した5)(外国人データ)。
糖尿病患者684例を対象として、単独あるいは他剤との併用投与により実施され、有効率65.6%(425/648例)であった。副作用発現頻度は23.7%(137/577例)であった。主な副作用は、下痢6.8%(39/577例)、胃腸症状6.1%(35/577例)、食欲不振4.0%(23/577例)であった。
膵β細胞のインスリン分泌を介することなく血糖降下作用を示す。血糖降下作用の主な機序として、(1)肝での糖新生抑制、(2)末梢での糖利用促進、(3)腸管からのグルコース吸収抑制が提唱されている6)。
メトホルミン塩酸塩は各種動物(マウス7)、ラット8),9)、ウサギ9)等)において血糖低下作用を示す。この血糖低下作用はエタノール(ウサギ10))、クロルプロマジン、クロルプロチキセン(ラット8))により抑制され、水素化麦角アルカロイド(ウサギ11))により増強される。
メトホルミン塩酸塩(Metformin Hydrochloride) (JAN)
1,1-Dimethylbiguanide monohydrochloride
C4H11N5・HCl
165.62
本品は白色の結晶又は結晶性の粉末である。本品は水に溶けやすく、酢酸(100)にやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくい。
約221℃(分解)
100錠[10錠(PTP)×10]、210錠[21錠(PTP)×10]、1000錠[10錠(PTP)×100]、500錠[瓶、バラ]
1) *Dubourg J, et al. Diabetes Obes Metab. 2022;24(4):609-19
2) 社内資料:グリコランフィルムコーティング錠(GLY-F錠)を健康成人男性に経口投与した後の血漿中濃度の測定および解析
3) Sambol NC, et al. J Clin Pharmacol. 1995;35(11):1094-102
4) Song IH, et al. J Acquir Immune Defic Syndr. 2016;72(4):400-7
5) Johansson S, et al. Clin Pharmacokinet. 2014;53(9):837-47
6) Lee AJ. Pharmacotherapy. 1996;16(3):327-51
7) Proske G, et al. Arzneimittel-Forsch. 1962;12(3):314-8
8) Opitz K, et al. Deut Med Wochenschr. 1962;87(2):105-6
9) Sterne J. Therapie. 1958;13:650-9
10) 小澤 光, 他. 日薬理誌. 1971;67(2):12-3
11) Kroneberg G, et al. Arzneimittel-Forsch. 1958;8(7a):470-5
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