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劇薬
処方箋医薬品注)
前立腺癌
通常成人1回2カプセル(エストラムスチンリン酸エステルナトリウム水和物として313.4mg)を1日2回経口投与する。症状により適宜増減する。
肝機能異常、血液障害等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。,,
体液の貯留が生じ症状を悪化又は再発させるおそれがある。
エストロゲン様作用により、時折体液貯留が生じ状態が悪化することがある。
十分な管理を行いながら投与すること。血糖値を上昇させるおそれがある。
血液障害を悪化させるおそれがある。
浮腫を生じることがあり、体液の貯留を伴うような腎疾患では症状を悪化又は再発させるおそれがある。
投与しないこと。肝障害を悪化させたとの報告がある。
肝障害を悪化させたとの報告がある。
生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
ACE阻害剤
血管浮腫
報告された多くの症例に血管浮腫の副作用が知られたACE阻害剤が併用されている。これらの薬剤との併用により血管浮腫発現の可能性が高まることが否定できない。
牛乳
乳製品
カルシウムを多量に含有する食物
カルシウム製剤
同時に服用することにより吸収が抑制され、本剤の作用を減弱させる。
カルシウムイオンとの間に不溶性の複合体が形成されるため。
血栓性静脈炎、脳血栓、肺血栓、脳梗塞(いずれも頻度不明)等があらわれることがある。
呼吸困難を伴う顔面、舌、声門、喉頭の腫脹を症状とする血管浮腫があらわれることがあるので、このような場合には、直ちに投与を中止し、アドレナリン注射、気道の確保等の適切な処置を行うこと。
5%以上
5%未満
頻度不明
血液
貧血、白血球減少
血小板減少、白血球増多
肝臓
AST、ALT上昇等の肝機能異常
代謝異常
浮腫
低蛋白血症、BUNの上昇、血清トリグリセライドの上昇
循環器
高血圧
心悸亢進
消化器
食欲不振(23.2%)、消化不良
悪心・嘔吐、腹痛、下痢
口渇
乳房
女性化乳房(71.2%)
皮膚
発疹、そう痒
呼吸器
息切れ
その他
胸痛、頭痛、疲労
発熱、性欲減退、味覚異常、全身倦怠感
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
本剤を投与した患者(ホルモン療法あるいは放射線療法等の併用例を含む)に、二次性悪性腫瘍(白血病、骨髄異形成症候群、乳癌等)が発生したとの報告がある。
前立腺癌患者4例にエストラムスチンリン酸エステル420mg注1)を単回経口投与して主要代謝物の血漿中濃度を測定した。主代謝物であるエストロムスチン濃度は投与後2.2時間で最高値に達し、その後、13.6時間の半減期で消失した。なお、未変化体は検出されなかった1)(外国人データ)。
前立腺癌患者7例にエストラムスチンリン酸エステル1日560mgを2年半にわたり投与し、4週間後、1年半後、2年半後の主要代謝物の血漿中濃度を測定したところ、各代謝物濃度の有意な変化はなかった1)(外国人データ)。
エストラムスチンリン酸エステル560~840mg/日注1)を1~9年間経口投与されている前立腺癌患者6例で、エストラムスチンリン酸エステルの主要代謝物の前立腺癌組織中及び血漿中濃度を測定した。前立腺癌組織、血漿中ともにエストロムスチンの濃度が最も高かった。エストラムスチンの前立腺癌組織中濃度は血漿中より約6倍高く、組織へ良好に移行していることが示された2)(外国人データ)。
患者No.
濃度(ng/gm)
エストラムスチン
エストロムスチン
エストラジオール
エストロン
1
105
300
14
125
2
210
480
11
100
3
370
395
36
160
4
95
310
19
120
5
180
205
6.6
63
6
185
335
8.4
エストラムスチンリン酸エステル経口投与後の前立腺癌患者の前立腺癌組織中及び血漿中代謝物はエストラムスチン、エストロムスチン、エストロン及びエストラジオールであった3),4)(外国人データ)。
前立腺癌患者3例にエストラジオール6,7位に3H、カルバメート結合部に14Cで二重標識したエストラムスチンリン酸エステル145mg注1)を経口投与し、尿中及び糞中の3H及び14Cの放射能を測定した。投与96時間後までに投与量の約60%が尿及び糞中に排泄された5)(外国人データ)。
国内24研究施設よりなるエストラサイト研究会が302例の前立腺癌を対象に臨床評価を行い、3ヵ月以上の観察により評価可能と判断された216例について研究会の統一効果判定を行った。その結果、未治療の新鮮例では約90%に有効であり、著明な前立腺腫瘍縮小効果が認められたほか、従来の内分泌療法に無効又は抵抗性を示し制御不能となった既治療例においても約40%に反応が得られた6)。超音波断層法による前立腺重量の実数計量においても同様の成績が得られた7)。
対象\効果注2)
1-C
1-B
1-A
0-C
0-B
0-A
0-0
有効率
未治療例(121例)
40
21
24
12
10
89%
61(50%)
47(39%)
13(11%)
既治療例(95例)
7
8
51
38%
14(15%)
22(23%)
59(62%)
1-C:自覚症状、他覚所見ともに著明な改善を認める。
1-B:自覚症状には著明な改善はないが、他覚所見には著明な改善を認める。
1-A:自覚症状には著明な改善を認めるが、他覚所見には著明な改善を認めない。
0-C:自覚症状、他覚所見ともに多少改善を認める。
0-B:自覚症状には改善はないが、他覚所見には多少改善を認める。
0-A:自覚症状には多少改善を認めるが、他覚所見の改善はない。
0-0:自覚症状、他覚所見ともに全く改善を認めない。
更に、2年間を超えた長期継続投与における効果を検討した結果、未治療の新鮮例で66%、従来の内分泌療法が制御不能となった既治療例でも29%に少なくとも1年以上の寛解が得られ、このうち未治療例においては34%、既治療例においても5%には、ほぼ根治的な治療効果がみられた8)。
ほぼ根治的効果
一時的な効果
無効
未治療例
34%
32%
既治療例
5%
24%
71%
エストラムスチンリン酸エステルナトリウム水和物は、卵胞ホルモン剤のエストラジオールとアルキル化剤のナイトロジェンマスタードを化学的に結合させた化合物である。前立腺癌組織に特異的に存在するestramustine binding protein(EMBP)により癌組織に集積され、マイクロチューブルの重合を阻害することにより殺細胞作用を示す。
マウス移植果糖肉腫、アンドロゲン依存性乳癌(SC-115)9)及びラットDMBA誘発乳癌10)の増殖抑制効果、Ehrlich腹水癌及びSarcoma180移植マウス11)並びに腹水肝癌(AH66、AH41C)移植ラット12)の延命効果、更にはヌードマウス移植ヒト前立腺癌の病理組織学的変性が認められている13),14)。また、ヒト前立腺癌の動物モデルとして最も類似の特性を示すラット自然発症前立腺癌(R-3327)に対しても明らかな増殖抑制、細胞変性を示す15)。
ヒト前立腺癌細胞(DU145、PC3)に対してノルナイトロジェンマスタードより低濃度からmitotic arrestにより殺細胞作用を示す16)。
内因性及び外因性アンドロゲンに拮抗して、ラット前立腺重量の抑制、前立腺DNA、RNA含量の低下を示すほか、前立腺クエン酸水和物、果糖含量の低下、5α-reductase活性の低下が認められている17),18)。更に、病理組織学的にも前立腺細胞の明らかな退行性所見が得られるなど、抗アンドロゲン作用にとどまらず細胞毒作用も認められる19)。
エストラムスチンリン酸エステルナトリウム水和物(Estramustine Phosphate Sodium Hydrate)(JAN)
1, 3, 5(10)-Estratriene-3, 17β-diol 3-[bis(2-chloroethyl)carbamate]17-disodium phosphate hydrate
C23H30Cl2NNa2O6P・H2O
582.36
本品は白色~ほとんど白色の粉末である。本品は水、メタノール又は酢酸(100)に溶けやすく、エタノール(95)、アセトン、酢酸エチル又はクロロホルムにほとんど溶けない。本品の水溶液(1→200)のpHは9.0~10.5である。
225~230℃(分解)
アルミピロー包装開封後は、湿気を避けて遮光して保存すること。
30カプセル[10カプセル(PTP)×3]、100カプセル[10カプセル(PTP)×10]
1) Gunnarsson PO, et al. : Urology. 1984;23(6):22-7
2) Norlen BJ, et al. : J Urol. 1988;140:1058-63
3) Kadohama N, et al. : New York State J Med. 1979;79:1005-9
4) Dixon R, et al. : Res Comm Chem Pathol Pharm. 1980;27(1):17-29
5) Forshell GP, et al. : Invest Urol. 1976;14(2):128-31
6) 高安久雄ほか:西日泌尿. 1980;42(4):715-31
7) Watanabe H, et al. : The Prostate. 1981;2:155-61
8) 高安久雄ほか:西日泌尿. 1982;44(3):889-99
9) Wakisaka M, et al. : Urol Res. 1979;7: 291-8
10) Fredholm B, et al. : Acta Pharmacol Toxicol. 1974;35 suppl. 1: 28
11) 尾崎正邦ほか:薬理と治療. 1980;8(10):3707-10
12) 佐藤 博:薬理と治療. 1980;8(10):3695-9
13) 由井康雄:日泌尿会誌. 1979;70(1):28-45
14) 岡田謙一郎ほか:泌尿紀要. 1981;27(5):565-75
15) Muntzing J, et al. : Urology. 1977;10(5):439-45
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17) Yamanaka H, et al.:Invest Urol. 1977;14(5):400-4
18) 山中英寿ほか:ホルモンと臨床. 1981;29(4):477-85
19) 高橋秀寿ほか:日大医誌. 1980;39(12):975-81
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