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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、本剤による治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
本剤に対する重篤な過敏症の既往歴のある患者
急性白血病の寛解導入には、シタラビンとして通常1日小児0.6~2.3mg/kg、成人0.8~1.6mg/kgを250~500mLの5%ブドウ糖液あるいは生理食塩液に混合して、点滴で静脈内投与するか、又は20mLの20%ブドウ糖液あるいは生理食塩液に混合して、ワンショットで静脈内投与する。通常2~3週間連続投与を行う。
寛解が得られた場合は、維持療法として上記用量を1週1回そのまま皮下、筋肉内投与するか、あるいは上記用法に従い静脈内投与する。
通常、成人にはシタラビンとして以下の用量を10~14日間皮下又は静脈内投与する。
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人及び小児には、シタラビンとして1日100~200mg/m2を5~7日間点滴で静脈内投与する。
通常、成人にはシタラビンとして1回25~40mgを1週間に1~2回髄腔内に投与する。小児に投与する場合には、下記を参考に年齢・体格等に応じて投与量を調節する。なお、併用する他の抗腫瘍剤及び患者の状態により投与間隔は適宜延長すること。髄液に異常所見を認める場合は、正常化するまで投与を継続すること。
1歳
2歳
3歳以上
15~20mg
20~30mg
25~40mg
消化器癌、肺癌、乳癌、女性性器癌等に他の抗腫瘍剤(フルオロウラシル、マイトマイシンC、シクロホスファミド水和物、メトトレキサート、ビンクリスチン硫酸塩等)と併用するときは、シタラビンとして通常1回0.2~0.8mg/kgを1週間に1~2回点滴で静脈内投与するか、又はワンショットで静脈内投与する。
*局所動脈内注入の場合は、シタラビンとして通常1日0.2~0.4mg/kgを他の抗腫瘍剤(フルオロウラシル、シクロホスファミド水和物、ビンクリスチン硫酸塩、ビンブラスチン硫酸塩等)と併用して持続注入ポンプで投与する。
骨髄機能抑制を増悪させるおそれがある。,
骨髄機能抑制により、感染を増悪させるおそれがある。
副作用が強くあらわれるおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。催奇形性を疑う症例報告があり、また、動物実験(マウス、ラット)で催奇形作用が報告されている。
授乳しないことが望ましい。本剤が乳汁に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。
副作用の発現に特に注意すること。髄腔内化学療法の場合、低出生体重児、新生児又は乳児(1歳未満)に対する臨床試験は実施していない。
用量及び投与間隔に留意するなど患者の状況を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
他の抗腫瘍剤放射線照射
骨髄機能抑制等の副作用が増強することがあるので、併用療法を行う場合には患者の状態を観察しながら、減量するなど慎重に行うこと。
骨髄機能抑制等の相加・相乗作用による。
他剤併用療法
副作用の項に記載したもの以外に、静脈炎、脱毛があらわれることがある。
フルシトシン
骨髄機能抑制の副作用が増強することがあるので、患者の状態を観察しながら、減量するなど慎重に投与すること。
骨髄機能抑制の相加・相乗作用による。
フルシトシンの効果を減弱させるとの報告がある。
フルシトシンの血中濃度の低下による。
フルダラビン
骨髄機能抑制等の副作用が増強するおそれがある。
in vivo試験及びin vitro試験において、シタラビンの活性代謝物であるAra-CTPの細胞内濃度の上昇が認められている。
汎血球減少(頻度不明)、白血球減少(12.9%)、血小板減少(4.0%)、貧血(1.8%)、網赤血球減少(頻度不明)、巨赤芽球様細胞の発現(頻度不明)等があらわれることがある。,
呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹等のアナフィラキシーを伴うことがある。異常が認められた場合は投与を中止し、血圧の維持、体液の補充管理、気道の確保等の適切な処置を行うこと。
消化管潰瘍、出血、好中球減少性腸炎等の消化管障害があらわれたとの報告がある。
脳症(白質脳症を含む)、麻痺、痙攣、小脳失調、意識障害(意識消失を含む)等の中枢神経系障害があらわれることがある。
シタラビン症候群として発熱、筋肉痛、骨痛、ときに斑状丘疹性皮疹、胸痛、結膜炎及び倦怠感があらわれることがある。この症候群は通常薬剤投与後6~12時間で発現する。なお、このような症状があらわれた場合には副腎皮質ホルモン剤の投与等、適切な処置を行うこと。
10~20%未満
5~10%未満
5%未満
頻度不明
皮膚
発疹
脱毛(症)、有痛性紅斑
消化器
悪心・嘔吐、食欲不振
腹痛・下痢
口内炎
精神神経系
倦怠感、頭痛
肝臓
肝障害
腎臓
腎機能異常
泌尿器
膀胱内注入療法の場合、頻尿、排尿痛、膀胱炎、血尿等の膀胱刺激症状
その他
発熱
結膜炎、血栓性静脈炎
本剤は細胞毒性を有するため、調製時には手袋を着用することが望ましい。皮膚に薬液が付着した場合は、直ちに多量の流水でよく洗い流すこと。
本剤と他の抗腫瘍剤を併用した患者に、白血病、肺腺癌等の二次性悪性腫瘍が発生したとの報告がある。
染色分体の切断を含む重度の染色体異常及びげっ歯類の培養細胞の悪性形質転換が報告されている1),2)。また、細菌を用いた復帰突然変異試験において、変異原性が報告されている。,
3H-シタラビン67~3000mg/m2 注1)を癌患者に単回静脈内注射した場合、血漿中のシタラビン濃度は二相性を示し、第一相10~20分、第二相2~3時間の半減期で消失した3)(外国人データ)。
シタラビン20mg/m2/日を非定型性白血病患者3例に14日間持続点滴静脈内注射した場合の血漿中濃度推移を示す4)(外国人データ)。
ウサギ膀胱内注入時シタラビンは安定であり、膀胱粘膜からの吸収率は0.2%であった5)。
シタラビン(Ara-C)を癌患者に静脈内注射あるいは持続点滴静脈内注射すると90%以上が肝臓、血液中等でuracil arabinoside(Ara-U)に代謝される3)(外国人データ)。
大部分が24時間以内に尿中に排泄される3)(外国人データ)。
投与経路
投与量(mg/m2)
患者数
24時間累積尿中排泄(%、平均値)
合計
Ara-C
Ara-U
静脈内注射
47~3000注1)
8
78.0
7.1
70.9
持続点滴静脈内注射
100~400注1)
4
83.8
7.8
76.0
22施設において小児急性白血病、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、単球性白血病、赤白血病及び慢性骨髄性白血病の急性転化例を対象に臨床試験を実施した6),7),8),9),10),11)。
完全寛解率
部分寛解率
寛解率(「部分寛解」以上)
30.1%(43/143)
31.5%(45/143)
61.5%(88/143)
9施設において各種固形癌を対象に、本剤を組み入れたMFC、FCMT、FAMC、METVFC等の多剤併用療法を実施した12),13),14),15)。
疾患名
有効率(有効以上例数/評価対象例数)
消化器癌
41.0%(68/166)
肺癌
26.6%(17/64)
乳癌
33.3%(4/12)
女性性器癌
65.6%(21/32)
全体
38.7%(128/331)
*膀胱腫瘍患者36例中11例(30.6%)に腫瘍の消失又は縮小効果がみられた16),17),18),19),20)。また、術後の再発防止の検討では、113例の4年間の観察において再発防止効果(再発率:54.3%)が認められた21)。
シタラビンの代謝拮抗性作用機序は、DNA合成過程におけるCDP reductaseレベルとDNA polymeraseレベルでの阻害によると考えられている22)。また、シタラビンがDNA合成能の低下したstationary phaseの白血病細胞に対しても、濃度依存的な殺細胞作用を示すことや23)、殺細胞作用以下の作用濃度で白血病細胞の分化を誘導することも報告されている24)。
シタラビンはL1210白血病25)をはじめとする各種マウス腫瘍に抑制効果を示す26)。更に腹水肝癌AH66を移植したラットの生存日数を延長するのみならず27)、ヒト膀胱腫瘍株KU-1の増殖をも抑制する28)(in vitro)。
*シタラビンはマイトマイシンC、フルオロウラシル、メルカプトプリン水和物、ダウノルビシン塩酸塩、ドキソルビシン塩酸塩と相乗的、メトトレキサート、ビンクリスチン硫酸塩、ビンブラスチン硫酸塩、シクロホスファミド水和物と相加的抗腫瘍効果を示す25),29)。更にマイトマイシンC、フルオロウラシルとの3剤併用MFC29),30)及びダウノルビシン塩酸塩、メルカプトプリン水和物との3剤併用DPC30),31)は相乗効果を示す(L1210マウス白血病)。またシタラビンはドキソルビシン塩酸塩と併用することにより、ラット膀胱腫瘍株BC-50に対して抗腫瘍効果を増強する32)。株化ヒト結腸癌細胞を用いた実験で、シスプラチンと相乗効果のあることも認められている33)。
シタラビン(Cytarabine)(JAN)
1-β-D-Arabinofuranosylcytosine
C9H13N3O5
243.22
本品は白色の結晶又は結晶性の粉末である。本品は水に溶けやすく、酢酸(100)にやや溶けやすく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくい。本品は0.1mol/L塩酸試液に溶ける。
約214℃(分解)
シトシンアラビノシド(Cytosine arabinoside)
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