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毒薬
処方箋医薬品注)
再発又は難治性の急性前骨髄球性白血病
染色体検査〔t(15;17)転座〕又は遺伝子検査(PML-RARA遺伝子)により急性前骨髄球性白血病と診断された患者に使用すること。本剤により完全寛解を得た後に再発した急性前骨髄球性白血病に対して、本剤の有効性・安全性は確立していない。
通常、三酸化二ヒ素として、0.15mg/kgを5%ブドウ糖液あるいは生理食塩液に混合して100~250mLとし、1~2時間かけて投与する。(1)寛解導入療法:骨髄寛解が得られるまで1日1回静脈内投与する。合計の投与回数は60回を超えないこと。(2)寛解後療法:寛解が得られた場合には、寛解導入終了後3~6週間後に開始する。5週間の間に1日1回、計25回静脈内投与する。
QT延長の危険性が増大する。
症状が悪化するおそれがある。
排泄機能の低下により、本剤の体内濃度が上昇する可能性がある。
代謝機能の低下により、本剤の体内濃度が上昇する可能性がある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験で催奇形作用を示唆する所見が認められており2)、胎児等への影響が疑われる。また、無機ヒ素は胎盤通過性を有し、胚吸収の増加、神経管異常、無眼球症、小眼球症が認められている。,
*本剤投与中及び最終投与後一定期間は授乳を避けさせること。ヒ素は、乳汁中に移行するため授乳中の乳児に対する重篤な副作用があらわれるおそれがある。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状況を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすい。
QT延長を起こすことが知られている薬剤
QT延長、心室性不整脈(TdPを含む)を起こすおそれがある。
本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT延長あるいは心室性不整脈(TdPを含む)を起こすことがある。
利尿薬
アムホテリシンB
電解質異常を引き起こす。
本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT延長の原因となる電解質異常を起こすことがある。
本剤はQT延長、完全房室ブロック等の不整脈を引き起こすことがあり、QT延長は致命的となりうるtorsade de pointes(TdP)タイプの心室性不整脈を引き起こすことがある。QT間隔が500msecを超えた患者は、随伴する危険因子がある場合には直ちにこれを是正する処置を講じ、本剤による治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与を継続すること。失神や頻脈等の不整脈が認められた場合には、血清電解質を検査し、QTc間隔が460msec以下になり電解質異常が是正され、失神や頻脈等の不整脈が認められなくなるまで休薬し、症状によっては投与中止も考慮に入れること。本剤によるQT延長等の不整脈が認められた場合は、治療終了後も症状が認められなくなるまで、心電図モニターや12誘導心電図による検査を行い、適切な処置を行うこと。米国においてアムホテリシンBを併用していた1例で、本剤による寛解導入療法中にTdPが発症したとの報告がある。,,
本剤はAPL分化症候群(APL differentiation syndrome)と呼ばれるレチノイン酸症候群と類似した副作用が発現し、致死的な転帰をたどることがあるので、十分な経過観察を行うこと。このような症状があらわれた場合には休薬し、副腎皮質ホルモン剤のパルス療法等の適切な処置を行うこと。
本剤により高度の白血球増加症が引き起こされることがあるので、観察を十分に行い、末梢白血球数が30,000/mm3を超えた場合には、休薬し、経過観察や白血球数に応じた化学療法剤の使用等の適切な処置を行うこと。なお、化学療法剤の使用にあたっては、危険性を伴うので、十分注意すること(本剤と化学療法剤の併用についての有効性と安全性は確立されていない)。
意識障害、運動失調、眼球運動障害等の症状が認められた場合には、ビタミンB1の測定、MRIによる画像診断等を行うとともに、ビタミンB1の投与、本剤の中止等の適切な処置を行うこと。
5%以上
5%未満
頻度不明
循環器
心電図QT補正間隔延長、頻脈、徐脈、不整脈、動悸、心嚢液貯留、洞性頻脈、うっ血性心不全、血圧低下、潮紅
心電図異常、心筋症、心膜炎、低血圧、起立性低血圧、機能性心雑音
呼吸器
呼吸困難、労作性呼吸困難、咳嗽、肺胞出血、胸水
無気肺、呼吸困難増悪、低酸素症、胸膜痛、頻呼吸、喘鳴音、咽喉頭疼痛、捻髪音
消化器
悪心、胃不快感、嘔吐、腹部膨満、腹痛、上腹部痛、下痢、便秘、食欲不振、消化不良、腸運動過剰、口唇乾燥、歯痛、胃腸不快感、食欲減退、口内乾燥
歯肉出血、口唇潰瘍、鼓腸、便失禁、排便回数増加、軟便、血性下痢
肝臓
肝機能異常(29.7%)、ALT増加(30.3%)、AST増加(24.0%)、ALP増加、LDH増加(10.8%)、γ-GTP増加
血中ビリルビン増加
腎臓
腎機能障害、血中クレアチニン増加、BUN減少、BUN増加、乏尿
着色尿、尿中蛋白陽性
電解質異常
低カリウム血症
低カルシウム血症、血中マグネシウム減少、高マグネシウム血症、高カリウム血症、高ナトリウム血症
血液
好中球減少
貧血、発熱性好中球減少症、脾腫
点状出血、斑状出血
血液凝固系
APTT延長、APTT短縮、血中フィブリノゲン減少、FDP増加
血管障害
血管炎
蒼白
皮膚
発疹
紅斑、紅色汗疹、紅斑性皮疹、顔面浮腫、皮膚乾燥、皮膚炎、そう痒症、そう痒性皮疹、多汗症
神経皮膚炎、剥脱性皮膚炎、局所性表皮剥脱、眼窩周囲浮腫、鱗屑性皮疹、皮膚色素過剰、皮膚病変
代謝・栄養障害
高血糖
低蛋白血症、低アルブミン血症
低血糖症、ケトアシドーシス
全身状態
発熱、浮腫、体重増加、胸部不快感、悪寒、倦怠感、胸痛
疲労、疼痛、腫脹、体重減少
精神神経系
感覚減退、頭痛、振戦、うつ病、不快気分、不眠症、味覚異常、反射減弱、錯感覚、末梢性ニューロパシー、痙攣
浮動性めまい、不安、抑うつ気分、トンネル状視野、聴覚障害
感染症
咽喉頭炎、帯状疱疹、単純ヘルペス、上気道感染
副鼻腔炎
筋・骨格
背部痛、四肢痛、関節痛、骨痛、筋痛、筋骨格硬直、筋脱力
局所腫脹、関節滲出液、顎痛、重感
眼
結膜出血
眼瞼炎、眼刺激、眼瞼下垂、眼痛、霧視
その他
CRP増加(11.0%)
末梢性浮腫、血中リン増加、注入部位紅斑、注入部位疼痛、注入部位腫脹
骨髄生検異常、中耳滲出液、水疱、裂傷
重篤な急性ヒ素中毒(例:痙攣、筋脱力感、錯乱状態等)
重篤な急性ヒ素中毒を示唆する症状が発現した場合は、本剤の投与を速やかに中止し、キレート治療等を検討すること。参考:通常のキレート療法はジメルカプロール1回2.5mg/kgを最初の2日間は4時間ごとに1日6回、3日目には1日4回、以降10日間あるいは回復するまで毎日2回筋肉内注射する。その後、ペニシラミン250mgを経口で最高1日4回(≦1,000mg/day)まで投与してもよい。
米国のPhaseⅠ/Ⅱ試験で12例の再発又は難治性APL患者に本剤0.06~0.20mg/kg注1)を投与した時の総ヒ素の薬物動態パラメータは以下のとおりであった。
投与量(mg/kg)
Cmax(ng/mL)
Tmax(hr)
t1/2(hr)
AUC0-24hr(ng・hr/mL)
0.15±0.04
27.4±9
3.2±1.9
100±72
450±119
平均値±標準偏差(n=12)
日本人14名の再発又は難治性APL患者での治療研究において、本剤0.15mg/kgを1日1回最大60日間反復投与(2時間の持続注入)した12名の患者でのヒ素の形態別(無機ヒ素及びメチル化ヒ素)血漿中濃度を分離定量した。初回投与後、無機ヒ素〔ヒ素(三価)+ヒ素(五価)〕は投与終了直後にCmax(平均22.6ng/mL;米国での測定値に近似)に達し、その後二相性に消失したが、代謝物のメチル化ヒ素(メチルアルソン酸及びジメチルアルシン酸)は遅れて血中に出現し、24時間まで徐々に上昇した。また、反復投与期間中の無機ヒ素のCmax値はほぼ一定で推移したが、メチル化ヒ素濃度は投与回数に伴って上昇した4)。無機ヒ素の薬物動態パラメータは以下のとおりであった。
Day
AUC0-t(ng・hr/mL)
AUC0-∞(ng・hr/mL)
初日注2)
22.6±11.4
1.9±0.7
15.4±9.2
138.6±32.4
211.8±55.1
4週後注3)
23.2±10.2
2.0±0.3
24.2±12.5
233.3±92.8
474.8±192.6
ヒ素は血流の多い組織に迅速に分布し、肝臓、腎臓、脾臓等で高濃度となる。爪や毛髪には他の組織に比べてより長期にわたって残存するが、顕著な蓄積を示す臓器は認められない。
三酸化二ヒ素の代謝はヒ素(五価)←→ヒ素(三価)→メチルアルソン酸→ジメチルアルシン酸である5)。ヒ素(三価)は主に肝臓のメチルトランスフェラーゼで代謝される(ラット)6)。三酸化二ヒ素は、15μg/mLの濃度でヒト肝ミクロソームの主なP450分子種を阻害しなかった。
日本人の再発又は難治性APL患者に本剤0.15mg/kgを1日1回反復投与し、ヒ素の形態別の尿中排泄率(% of dose)を測定した。投与初日(0~24hr)の排泄率は、ヒ素(三価)とヒ素(五価)でそれぞれ約6%、メチルアルソン酸とジメチルアルシン酸で約3~5%であり、無機ヒ素及びメチル化ヒ素の総排泄率は約20%であった4)。
14例のトレチノイン難反応性/再発・難治APL患者に0.15mg/kgを投与した。完全寛解率は78%(11/14例)であった。副作用発現頻度は、100%(14/14例)であった、主な副作用は、心電図QT延長92.9%(13/14例)、悪心78.6%(11/14例)、不整脈64.3%(9/14例)であった7)。
0.06~0.20mg/kg注4)が12名の再発又は難治性APL患者に投与され、完全寛解率は75%(9/12例)であった(FDAによる再解析結果)。副作用発現頻度は、92%(11/12例)であった。主な副作用は、高血糖92%(11/12例)、低カリウム血症33%(4/12例)であった8)。
40例の再発又は難治性APL患者に0.15mg/kgを投与した。完全寛解率は70%(28/40例)であった。副作用発現頻度は、100%(40/40例)であった。主な副作用は、悪心48%(19/40例)、高血糖40%(16/40例)、低カリウム血症38%(15/40例)、頭痛35%(14/40例)であった9)。
本剤の作用メカニズムは完全には解明されていない。三酸化二ヒ素はin vitroでヒト前骨髄球性白血病細胞NB4の形態学的変化、アポトーシスに特徴的なDNA断片化を引き起こす10)。また、三酸化二ヒ素は融合蛋白PML-RARαの分解を引き起こす11)。
三酸化二ヒ素
Arsenic Trioxide
As2O3
197.84
本品は白色の粉末で、においはない。本品は水、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。本品は水酸化ナトリウム試液に溶ける。
6mL×5バイアル
1) Goyer RA., Casarett and Doull's Toxicology:The Basic Science of Poisons, 5th edition. Klaassen CD, ed., pp. 691-736, McGraw-Hill, New York(1996)
2) Stump DG, et al.:Teratology. 1999;60:283-91
3) Lee TC, et al.:Carcinogenesis. 1985;6:1421-6
4) Fujisawa S, et al.:Cancer Chemother Pharmacol. 2007;59:485-93
5) Aposhian HV:Annu Rev Pharmacol Toxicol. 1997;37:397-419
6) Buchet JP, et al.:Arch Toxicol. 1985;57:125-9
7) Ohnishi K, et al.:Leukemia. 2002;16(4):617-22
8) Soignet SL, et al.:N Engl J Med. 1998;339:1341-8
9) Soignet SL, et al.:J Clin Oncol. 2001;19:3852-60
10) Huang X-J, et al.:Medical Oncology. 1999;16:58-64
11) Zhu J, et al.:Proc Natl Acad Sci U S A. 1997;94(8):3978-83
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