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生物学的製剤基準
乾燥BCG膀胱内用(日本株)
生物由来製品
劇薬
処方箋医薬品注)
通常、本品1本(80mg)に添付の溶剤(日本薬局方生理食塩液)2mLを加え40mg/mLの懸濁液とする。これに日本薬局方生理食塩液39mLを更に加え均等なBCG希釈液を調製する。
通常、本品1本(40mg)に添付の溶剤(日本薬局方生理食塩液)1mLを加え40mg/mLの懸濁液とする。これに日本薬局方生理食塩液19.5mLを更に加え均等なBCG希釈液を調製する。
尿道カテーテルを膀胱内に無菌条件下で挿入し、残尿を排出した後、通常80mgのBCGを含有している希釈液を同カテーテルより膀胱内にできるだけゆっくりと注入し、原則として2時間膀胱内に保持するようにつとめる。これを通常週1回8週間繰り返す。なお、用量及び回数は症状に応じ適宜増減し、また、投与間隔も必要に応じ延長できることとする。
本剤は膀胱内注入にのみ用いられるべきで、経皮接種又はいかなる経路(皮内、皮下、筋肉内、静脈内等)でも注射をしてはならない。
本剤に対する応答が激しくあらわれるおそれがある。
妊娠する可能性のある女性には本剤による治療中は避妊させること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。本剤の動物(ラット)における生殖・発生試験については、妊娠前及び妊娠初期投与試験のみ実施し、特に異常は認められていないが1)、妊婦に対する本剤の膀胱内注入は妊娠の維持にも問題があり好ましくない。,
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤が母乳中に排泄されるかどうかは知られていないが、多くの薬剤が母乳へ排泄されており、授乳中の乳児が本剤により重篤な副作用を受ける可能性がある。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
免疫抑制剤
免疫抑制量の副腎皮質ステロイド剤抗癌療法
,
播種性BCG感染を招くおそれがある。本剤の効果が減弱するおそれがある。
免疫抑制的治療により、患者の本剤に対する免疫応答を低下させるばかりでなく、播種性BCG感染を招くおそれがある。
抗菌性物質製剤
本剤の効果が減弱するおそれがある。他の疾患のため抗菌性物質製剤療法を行っている場合、その療法が終わるまで本剤の投与は延期すべきである。
BCGに対し抗菌作用を示す薬剤との併用は、本剤の作用に影響を及ぼすおそれがある。
本剤は生菌製剤であり、播種性BCG感染、局所性BCG感染、異所性BCG感染を起こす可能性がある。また、敗血症、肝炎、脳脊髄膜炎、膀胱炎、腎盂腎炎、腎炎、前立腺炎、精巣上体炎、動脈瘤等があらわれることがある。このような症状があらわれた場合は、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うとともにイソニアジド、リファンピシン、エタンブトール等の抗結核剤併用療法を行うこと。なお、BCGはピラジナミドに感受性を示さない。
本剤の臨床試験において、カテーテル挿入等により外傷を生じた後のBCG投与による播種性BCG感染に起因したと考えられる死亡例が認められており、48時間以上続くインフルエンザ様熱性症状、39℃以上の発熱、反復投与によって激しさを増す全身症状又は肝機能検査値異常の持続は播種性BCG感染を示唆するものである。
投与局所の膀胱(2.0%)及び管腔等で連続する前立腺(0.5%)、尿管(頻度不明)、腎盂(頻度不明)、腎(頻度不明)、精巣上体(頻度不明)等でのBCG感染が報告されている。
動脈瘤等での異所性BCG感染が報告されている。
本剤の投与中に、発熱、咳嗽、呼吸困難等の自覚症状とともに胸部X線異常と低酸素血症を伴う死亡例を含む重篤な間質性肺炎があらわれることがある。このような場合には本剤の投与を中止し、速やかにステロイド剤の投与等適切な処置を行うこと。しかし、播種性BCG感染との鑑別が困難な場合にはステロイド剤とともに抗結核剤投与を行うことが望ましい。
本剤の臨床試験において、咳嗽及び皮疹等を伴ったアナフィラキシーに起因したと考えられる死亡例が認められている。全身性遅延型過敏性反応によると思われる副作用が認められた場合は本剤の投与を中止し、直ちに抗ヒスタミン剤又はステロイド剤の投与とともに抗結核剤による治療が必要である。
腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがある。
10%以上
10%未満
頻度不明
泌尿器注3)
排尿痛(57.6%)頻尿(56.6%)肉眼的血尿(29.3%)尿混濁(21.2%)膀胱容量減少(18.7%)排尿困難(15.2%)
尿道痛、残尿感
膀胱タンポナーデ(膀胱内血腫による)、尿道狭窄、切迫性尿失禁
尿沈渣〔白血球〕(59.1%)尿沈渣〔赤血球〕(38.1%)尿蛋白(29.8%)尿潜血(28.7%)尿糖(10.1%)
生殖器注4)
陰茎浮腫
腎臓注5)
血清クレアチニン上昇、BUN上昇
肝臓注6)
肝機能検査値異常[Al-P、AST、ALT、γ-GTP、LDHの上昇]
肝機能障害
血液
白血球数の増加又は減少(17.5%)赤血球沈降速度の異常(14.1%)
赤血球数の増加又は減少、血色素量減少
ヘマトクリット減少、血小板数減少、血清総蛋白低下、血清電解質異常[Na、K、Cl]
皮膚注7)
蕁麻疹、発疹、皮疹
精神神経系
倦怠感
頭痛、頭重感
呼吸器
肺炎
咳嗽
消化器
悪心、食欲不振、口内炎、ストレス性胃潰瘍による出血
嘔吐、下痢
発熱注8)
発熱(33.8%)
悪寒戦慄
体熱感
その他注9)
関節痛、下腹部痛、下腹部重圧感、消耗、衰弱
腰痛、筋肉痛、鼠径部リンパ節腫脹、結膜炎
BCGは膀胱内注入の場合、正常な膀胱にはほとんど付着しないが2)(イヌ)、膀胱腫瘍により、あるいは、生検又はカテーテル挿入により損傷を受けた場合は、その損傷の場所に付着し3)(マウス)、そこである程度増殖し、リンパ流を介して所属リンパ節に運ばれ、ある程度増殖し、さらに遠隔リンパ節や臓器に分布すると考えられるが、その間BCGはマクロファージに貪食され、その結果Tリンパ球のBCG抗原特異感作が成立し、リンフォカインを産生放出する。これによって活性化されたマクロファージがBCGを貪食・溶菌・分解するものと考えられる。
表在性膀胱癌患者の膀胱内にBCG80mgを注入したとき、大部分は2時間後の尿中に排出されたが、24時間後でもなお排泄が認められた。4)(n=2)
原発性又は再発性表在性膀胱腫瘍あるいは膀胱上皮内癌(CIS)の患者を対象とし、本剤80mg及び120mgを日局生理食塩液40mLに懸濁し注10)膀胱内注入後、原則として2時間膀胱内に保持、これを週1回、原則として8週投与を行い、有効性及び安全性を検討した。本剤の承認用量である80mg投与群での有効性及び安全性は以下のとおりである。5)
症例数
CRa)
PRb)
有効例数(CR+PR)
有効率%
例数(%)
表在性膀胱癌
25
17(68.0)
7(28.0)
24
96.0
膀胱上皮内癌※
11
7(63.6)
3(27.3)
10
90.9
計
36
24(66.7)
10(27.8)
34
94.4
※表在性膀胱癌との合併症例を含む。
a)CR:(表在性膀胱癌)腫瘍の完全消失、尿細胞診陰性(膀胱上皮内癌)膀胱鏡所見陰性、尿細胞診陰性、同部位の生検で腫瘍病変を認めない
b)PR:(表在性膀胱癌)腫瘍の縮小が50%以上(膀胱上皮内癌)同部位の生検では腫瘍病変を認めないが、尿細胞診では陽性を示した場合
国内第Ⅱ相試験において、対象症例38例中の副作用発現率は86.8%(33例)であった。主な副作用としては膀胱刺激症状が主体であり、頻尿65.8%、排尿痛57.9%、肉眼的血尿36.8%、尿混濁23.7%、排尿困難18.4%であった。その他の副作用は発熱42.1%、膀胱容量減少23.7%であった。臨床検査値異常では尿沈渣〔白血球〕56.8%、尿沈渣〔赤血球〕54.1%、尿潜血44.2%、尿蛋白42.9%等であった。
原発性又は再発性表在性膀胱腫瘍あるいは膀胱上皮内癌(CIS)の患者を対象とし、本剤80mgを日局生理食塩液40mLに懸濁し注10)膀胱内注入後、原則として2時間膀胱内に保持、これを週1回、原則として8週投与を行い、有効性及び安全性を検討した。治療投与試験パートにおける有効性及び安全性は以下のとおりである。5),6)
125
82(65.6)
27(21.6)
109
87.2
32
27(84.4)
2(6.3)
29
90.6
157
109(69.4)
29(18.5)
138
87.9
国内第Ⅲ相試験において、対象症例160例中の副作用発現率は76.3%(122例)であった。主な副作用としては膀胱刺激症状が主体であり、排尿痛57.5%、頻尿54.4%、肉眼的血尿27.5%、尿混濁20.6%、排尿困難14.4%であった。その他の副作用は発熱31.9%、膀胱容量減少17.5%であった。臨床検査値異常では尿沈渣〔白血球〕59.7%、尿沈渣〔赤血球〕34.0%、尿蛋白26.6%、尿潜血24.2%等であった。
表在性膀胱癌(単発かつ初発例及び異型度G3症例を除く)に対する、TURBT実施後の補助療法における、本剤の有効性を検討することを目的として、本剤群39例(80mgを週1回、6回膀胱内投与)及びドキソルビシン塩酸塩群40例(20mg/40mLを週1回、2回膀胱内投与後、2週間毎に1回、7回膀胱内投与し、さらに月1回、8回投与)の無作為化比較試験が行われた。本試験では、事前に計画されていない中間解析が行われた結果、非再発率は本剤群で71.8%(95%信頼区間:55.1%、85.0%)、ドキソルビシン塩酸塩群で42.5%(95%信頼区間:27.0%、59.1%)であった(カットオフ日:2003年3月31日)。ただし、本中間解析における有意水準の設定根拠は不明であるため、本剤の有効性について統計学的に意味を示すことはできない。
明確な作用機序は未解明であるが、BCGはフィブロネクチンを介して腫瘍細胞内に取り込まれ7)(in vitro)、BCGを取り込んだ腫瘍細胞は直接的に抗原提示細胞として、あるいは間接的にマクロファージに貪食されることにより、BCG抗原及び/又は腫瘍特異抗原をTリンパ球に提示し、Tリンパ球の感作が成立する。細胞傷害性Tリンパ球は標的腫瘍細胞を直接に傷害し、Tリンパ球の産生する種々のサイトカインもまた、腫瘍細胞に傷害的に作用する。また、サイトカインの一部はマクロファージを活性化し、腫瘍細胞の貪食、破壊を効果的に行うようになると考えられる。8)
各濃度のBCGはMBT-2細胞(マウス膀胱移行上皮癌細胞)と混合移植することによってマウス皮下でのMBT-2細胞の増殖を用量依存的に抑制し、実験終了時に行った組織学的検査で移植局所周囲にマクロファージやリンパ球の浸潤がみられた。9)
80mg 1バイアル(添付溶剤:日本薬局方生理食塩液 2mL 1アンプル)
40mg 1バイアル(添付溶剤:日本薬局方生理食塩液 1mL 1アンプル)
1) 高島 宏昌, 他.:医薬品研究. 1994;25:25-36
2) 渋谷 清, 他.:BCG・BRM療法研究会会誌. 1992;16:103-105
3) T.L.Ratliff, et al.:Cancer Research. 1987;47:1762-1766
4) 戸井田 一郎, 他.:BCG・BRM療法研究会会誌. 1994;18:105-107
5) 赤座 英之, 他.:日本泌尿器科学会雑誌. 1989;80:167-174
6) 赤座 英之, 他.:日本泌尿器科学会雑誌. 1992;83:183-189
7) 池田 のりこ, 他.:BCG・BRM療法研究会会誌. 1992;16:55-64
8) T.L.Ratliff.:EORTC Genitourinary Group Monograph. 1989;6:107-122
9) 赤座 英之, 他.:BCG免疫療法研究会会誌. 1991;15:69-75
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