当ウェブサイトを快適にご覧いただくには、ブラウザのJavaScript設定を有効(オン)にしていただく必要がございます。
放射性医薬品基準
イオマゼニル(123I)注射液
劇薬
処方箋医薬品注)
外科的治療が考慮される部分てんかん患者におけるてんかん焦点の診断
通常,成人には本剤167MBqを静脈内投与し,投与後約3時間に頭部のシンチグラムを得る。投与量は,年齢,体重により適宜増減するが,最大222MBqまでとする。
診断上の有益性が被曝による不利益を上回ると判断される場合にのみ投与することとし,投与量は最小限度にとどめること。
膀胱部の被曝が増加することがある。
血中に滞留することがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には,診断上の有益性が被曝による不利益を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
診断上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し,授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁移行性が認められている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
ベンゾジアゼピン系薬剤
画像が劣化する原因となる可能性がある。可能であれば投与前数日間の休薬を行うこと。
本剤の脳内薬物動態が影響を受ける場合がある。
5%以上
1~5%未満
頻度不明
過敏症
注射部位紅斑
呼吸器
息詰まり感
肝臓
AST,ALT,Al-P,γ-GTP,LDH上昇
腎臓
尿pH上昇
乏尿,尿意切迫,尿潜血
血液
白血球数減少,好酸球百分率増加,好中球百分率増加又は減少,リンパ球百分率減少
白血球数増加,好塩基球百分率増加
その他
嗅覚錯誤
疼痛(注射部位等),ほてり,筋攣縮,血中カリウム増加,血中カルシウム減少,血清総蛋白減少
血中尿酸増加,尿糖陽性
本剤を投与するにあたっては,放射性ヨウ素が甲状腺に摂取されることを防止するため,投与前から試験後も数日無機ヨウ素1日20mg以上を投与し,甲状腺ヨウ素摂取能を抑制しておくことが望ましい。ただし,無機ヨウ素の投与に際しては,ヨウ素過敏症の患者が禁忌とされているため,使用するヨウ素製剤の添付文書に従うこと。
本剤SPECT像によるてんかん焦点の診断は,患者背景及びその他の検査等の情報も併せて実施すること。
MIRD法により算出した吸収線量は次のとおりである。
吸収線量(mGy/37MBq)
脳
0.44
0.16
胆のう
0.69
小腸
0.47
大腸上部壁
0.84
大腸下部壁
1.1
0.33
膀胱壁
7.5
脾臓
0.11
赤色骨髄
0.20
卵巣
0.46
精巣
0.22
甲状腺
1.4
全身
0.17
4.8 時間ごとに排尿した場合
本薬は肝臓で代謝を受け,主な代謝物は,本薬の脱エステル体,脱エステル体のグルクロン酸抱合体と推定される成分及び遊離のヨウ素イオン(123I-)であった3)。
主要排泄経路は腎・尿路系であり,投与後24時間で93%が尿中へ排泄された1)。
外科的治療が考慮される部分てんかん症例(発作症状,発作間欠期脳波所見及びMRI所見により局在性の焦点診断が確定的でない患者)を対象とした非盲検非対照試験(追加第Ⅲ相臨床試験)において,本剤SPECT像又は発作間欠期脳血流SPECT像を加味して判定したてんかん診断体系への貢献度の検討(78例)の結果,本剤SPECT像と発作間欠期脳血流SPECT像には相補的な関係が成立し,かつ,本剤SPECT像は脳血流像に比して貢献度が高かった(p=0.001)4)。
症例数
てんかん診断体系における貢献度(追加第Ⅲ相臨床試験)
評価対象\貢献度※
1
2
3
検定結果(Wilcoxonの符号付き順位和検定)
78
本剤SPECT像
13例
41例
24例
貢献度:本剤SPECT像>発作間欠期脳血流SPECT像 p=0.001
発作間欠期脳血流SPECT像
4例
26例
48例
※ 貢献度1:焦点部位がほぼ特定され,特殊検査の省略も可能であると判断された 貢献度2:焦点部位がある程度絞り込まれ,特殊検査を実施する上で有効な情報が得られた 貢献度3:焦点部位の特定が不十分であり,特殊検査が必要であると判断された
また,患者背景等を非開示としたブラインド読影の結果,発作間欠期脳血流SPECT像の方が本剤SPECT像よりも特異度が高かった(p<0.05)。本剤SPECT像の異常所見がてんかん焦点部位と一致しなかった症例,即ち偽陽性例は73例中15例であり,このうち11例が側頭葉外てんかんであった。以上のことから,特に側頭葉外てんかんにおいて,患者の臨床的背景が開示されない条件下では,本剤SPECT像は偽陽性所見を示す可能性が高いことが示され,診断上注意を要するものと考えられた4)。
ブラインド読影※1による焦点診断能※2(追加第Ⅲ相臨床試験)
評価対象\診断能
感度
特異度
精度※3
検定結果(McNemar検定)
73
27.4%
79.5%
特異度:発作間欠期脳血流SPECT像>本剤SPECT像 p<0.05
26.0%
95.9%
※1 ブラインド読影:患者背景等を非開示とした読影※2 参照基準に対する診断能(参照基準:発作症状,間欠期脳波,MRI,発作時CBF-SPECT,FDG-PET,発作時頭皮上脳波検査,特殊誘導による脳波検査,脳磁図,頭蓋内電極による脳波検査,術中所見及び病理所見等を基に総合的に設定した基準)※3 焦点部位で真陽性かつ非焦点部位で真陰性である症例の割合
80例中13例(16.3%)14件の副作用が認められた。主な副作用は,嗅覚錯誤7.5%(6/80),疼痛(注射部位等)3.8%(3/80)等であった。また,主な臨床検査値異常としては,尿pH上昇11.3%(9/80),好中球百分率減少3.8%(3/79),血中カルシウム減少2.5%(2/80)等が認められた。
本剤の有効成分に含まれる放射性核種から放出される放射線(ガンマ線)が核医学検査装置により画像化される。
本薬は,脳内に広く分布する中枢性BZRに高い親和性を示し,選択的に結合する性質を有する5)。投与後早期には局所脳血流に従って脳内に分布し,その後3時間までの分布は脳血流の影響を受けることが知られている2)。したがって,投与後約3時間に撮像した脳SPECT像は中枢性BZRに結合した本薬の分布を反映し,本剤を用いた検査により局所脳内中枢性BZR分布を評価することができる。
部分てんかん発作は,興奮系及び抑制系神経伝達の不均衡によって生じる神経細胞の過剰興奮状態である6)。抑制系神経伝達の主要な部分をになうGABAA受容体と複合体を形成している中枢性BZRは,てんかん焦点において減少することが知られている7)。
動物実験(マウス)で本薬10μg/kg(臨床最大投与量である222MBq包装品に含まれる量の600倍注1))とペンテトラゾールとの併用において,痙攣誘発作用が認められた8)。
イオマゼニル(123I)(Iomazenil (123I))
123I として:・物理的半減期:13.2235 時間・主γ線エネルギー:159keV(83.3%)
本剤は,医療法その他の放射線防護に関する法令,関連する告示及び通知等を遵守し,適正に使用すること。
167MBq(1.5mL)[1シリンジ],222MBq(2mL)[1シリンジ]
1) 米倉義晴,他:核医学,1995;32:87-97
2) Onishi Y,et al.:Eur J Nucl Med,1996;23:1491-1497
3) 吉村弘一,他:核医学,1995;32:1037-1043
4) 社内資料:追加第Ⅲ相臨床試験(2004年4月23日承認,申請資料概要トⅤ)
5) 社内資料:(2004年4月23日承認,申請資料概要ホ)
6) During MJ,et al.:Lancet,1993;341:1607-1610
7) Sata Y,et al.:Epilepsia,2002;43:1039-1048
8) 山口和政,他:応用薬理,1995;50:223-234
日本メジフィジックス株式会社メディカルインフォメーション担当
〒136-0075 東京都江東区新砂3丁目4番10号
0120-07-6941(フリーダイヤル)
日本メジフィジックス株式会社
東京都江東区新砂3丁目4番10号
Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.