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放射性医薬品基準
フルデオキシグルコース(18F)注射液
処方箋医薬品注)
通常,成人には本剤1バイアルを静脈内に投与し撮像する。投与量(放射能)は,年齢,体重により適宜増減するが,最小74MBq,最大370MBqまでとする。
撮像開始時間は検査目的に応じて設定すること。連続的な動態イメージングを行う場合は本剤投与直後より,静止画像を得る場合は本剤投与後30~40分以降に撮像する。
診断上の有益性が被曝による不利益を上回ると判断される場合にのみ投与することとし,投与量は最小限度にとどめること。
診断上やむを得ないと判断される場合を除き,投与しないこと。動物試験において胎児移行性が報告されている1)。
授乳を避けさせること。授乳婦に投与した場合,24時間授乳を中止し投与後12時間は乳幼児との密接な接触を避けるよう指導すること。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
膵臓ホルモンインスリン
本剤投与前4時間以内のインスリンの投与は避けること。
本剤の腫瘍への集積とバックグラウンドとのコントラストが低下する可能性がある2)。
1~2%未満
0.1~1%未満
頻度不明
血液
好中球百分率増加,リンパ球百分率減少
腎臓
尿蛋白陽性,尿潜血陽性,尿糖陽性
血中尿素窒素増加
肝臓
血中ビリルビン増加
皮膚
そう痒感,蕁麻疹
発疹,紅斑,発赤
消化器
嘔気,嘔吐
その他
血圧上昇,血圧低下,気分不良,発熱,血中カリウム増加,血中カリウム減少,血中アルブミン減少
本剤は複数の包装単位を有する製剤であることから,本剤の取り違い防止のため,投与にあたっては本剤の製剤ラベルの表示を確認し,意図した患者へ確実に投与すること。
膀胱部の被曝を軽減させるため及び骨盤部読影の妨げとなる膀胱の描出を避けるため,撮像前後にできるだけ排尿させること。
MIRD法により算出した吸収線量は次のとおりである。
臓器
吸収線量(mGy/185MBq)
脳
19.0
心臓
8.3
肺
2.0
3.7
脾臓
2.6
小腸
1.6
大腸上部壁
大腸下部壁
1.9
4.4
赤色骨髄
1.7
甲状腺
精巣
1.5
卵巣
膀胱壁
全身
2時間ごとに排尿した場合
本剤は血漿中でほとんど代謝されずに存在し,未変化体のまま尿中に排泄されることが示された。
尿中放射能累積排泄率は経時的に増加し,投与後6時間で約32%IDであった。主たる排泄経路は腎・尿路系であることが示された。
手術適応を検討する非小細胞肺癌患者での所属リンパ節転移診断において,CTに対して,CTにFDG-PETを加えた場合(以下,CT+FDG)の診断能について2試験の成績を合計した。感度はCT 65.8%,CT+FDG 92.1%,特異度はCT 72.4%,CT+FDG 86.7%であり,CTに対するFDG-PETの上乗せ効果が認められた5),6)。また,CTで悪性・良性の鑑別診断が困難な肺結節を有する患者におけるFDG-PETの診断能について2試験の成績を合計した。FDG-PETの感度は96.2%,特異度は75.6%であった7),8)。また,FDG-PETの診断目的ごとの診断能について,肺癌,乳癌,大腸癌,頭頸部癌,脳腫瘍,膵癌,悪性リンパ腫,原発不明癌及び悪性黒色腫を評価した84試験におけるFDG-PETの試験成績を以下に示す9)。
癌種
診断目的
感度
特異度
肺癌
悪性・良性鑑別診断
92.0%(310/337)
67.4%(95/141)
所属リンパ節転移診断
78.9%(296/375)
89.4%(693/775)
遠隔転移診断注
93.0%(93/100)
94.3%(199/211)
転移・再発診断注
97.8%(88/90)
78.0%(32/41)
乳癌
76.0%(168/221)
87.7%(71/81)
腋窩リンパ節転移診断
75.6%(344/455)
87.2%(565/648)
遠隔転移・再発診断注
92.6%(189/204)
89.4%(161/180)
大腸癌
95.1%(293/308)
90.3%(130/144)
頭頸部癌
頸部リンパ節転移診断
87.7%(193/220)
93.4%(1248/1336)
残存腫瘍・再発診断
96.8%(91/94)
80.3%(122/152)
遠隔転移又は重複癌の検出注
癌検出率 7.3%(6/82)
脳腫瘍
再発診断
79.3%(69/87)
82.7%(62/75)
膵癌
86.4%(184/213)
85.2%(115/135)
悪性リンパ腫
病期診断
93.8%(480/512)
99.6%(2481/2491)
骨髄浸潤診断
82.1%(32/39)
93.3%(83/89)
77.4%(48/62)
89.5%(179/200)
原発不明癌
原発巣検出
癌検出率 25.8%(42/163)
悪性黒色腫
9.4%(3/32)
94.4%(67/71)
90.9%(251/276)
71.9%(141/196)
注:転移性肝癌を含む
冠動脈疾患及び左室機能低下を示す患者を対象とした14試験におけるFDG-PETの心筋バイアビリティ診断能は感度89.9%(726/808),特異度64.2%(512/797)であった9)。
外科的治療が考慮される部分てんかん患者を対象とした20試験を評価した。全ての試験においてFDG-PETは発作間欠期に実施されていた。術後の発作予後良好例のうち,FDG-PETで示された焦点部位がてんかん焦点の手術部位と一致する例数の割合を一致率として評価した。その結果,FDG-PETの一致率は73.4%(281/383)であった。MRIで異常所見が認められない例において,FDG-PETの一致率は71.1%(32/45)であった。また,側頭葉てんかんにおけるFDG-PETの一致率は,74.4%(169/227)であった。なお,側頭葉てんかんにおける発作時脳血流検査の一致率は,75.8%(138/182)であった9)。
本剤の有効成分に含まれる放射性核種から放出される放射線(ガンマ線)が核医学検査装置により画像化される。
本剤は,グルコースと同様にグルコーストランスポーターにより細胞に取り込まれ,ヘキソキナーゼによりリン酸化を受けるが,グルコースと異なり解糖系の酵素であるホスホグルコースイソメラーゼによるフルクトースへの異性化反応を受けないことから,リン酸化体として細胞内に滞留する。したがって,その滞留した18F 由来のポジトロンを核医学検査装置で追跡することにより,腫瘍細胞の診断,虚血性心疾患における心筋バイアビリティの診断,てんかん焦点の診断,並びに大型血管炎及び心サルコイドーシスにおける炎症部位の可視化が可能となる。
(1) 腫瘍細胞及び炎症細胞においては,グルコーストランスポーターの発現による糖取り込み能の増加,解糖系の律速酵素であるヘキソキナーゼ活性の亢進並びに糖新生系の酵素であるグルコース-6-ホスファターゼ活性の低下によって,糖代謝が亢進している。(2) 心筋においては,虚血状態に陥った場合,グルコーストランスポーターの増加による糖取り込み能の増加及び解糖系の律速酵素であるヘキソキナーゼ活性亢進により,糖代謝が亢進している。(3) てんかんの脳においては,焦点及び発作に関係する部位の神経細胞の活動が増加している場合に糖代謝が亢進する一方,神経細胞の活動が減少している場合では糖代謝が低下する。
フルデオキシグルコース(18F)(Fludeoxyglucose (18F))
18Fとして:・物理的半減期:109.739分・主γ線エネルギー:0.511MeV(放出率:193.4%)・放射能減衰表(MBq):
検定時間から(分)
111MBq包装
148MBq包装
185MBq包装
-110
222.4
296.5
370.6
-100
208.8
278.3
347.9
-90
196.0
261.3
326.6
-80
184.0
245.3
306.6
-70
172.7
230.3
287.9
-60
162.1
216.2
270.2
-50
152.2
203.0
253.7
-40
142.9
190.5
238.2
-30
134.2
178.9
223.6
-20
125.9
167.9
209.9
-10
118.2
157.6
197.1
(検定時間注) )0
111.0
148.0
185.0
10
104.2
138.9
173.7
20
97.8
130.4
163.0
30
91.8
122.5
153.1
40
86.2
115.0
143.7
50
80.9
107.9
134.9
60
76.0
101.3
126.6
64
74.1
98.8
123.5
70
95.1
118.9
80
89.3
111.6
90
83.8
104.8
100
78.7
98.4
109
74.3
92.9
110
92.3
120
86.7
130
81.4
140
76.4
145
74.0
注)検定時間:規格単位を定める時間
111MBq(1.2mL)[1バイアル],148MBq(1.6mL)[1バイアル],185MBq(2mL)[1バイアル]
1) Sakuragawa N,et al.:Nucl Med Biol,1988;15:645-650
2) Minn H,et al.:J Comput Assist Tomogr,1993;17:115-123
3) 窪田和雄,他:臨床医のためのクリニカルPET,株式会社寺田国際事務所/先端医療技術研究所,東京,2001;99-103
4) 織内昇:画像診断,2003;23:1142-1150
5) Pieterman RM,et al.:N Engl J Med,2000;343:254-261
6) Marom EM,et al.:Radiology,1999;212:803-809
7) Lowe VJ,et al.:J Clin Oncol,1998;16:1075-1084
8) Gupta NC,et al.:J Nucl Med,1996;37:943-948
9) 社内資料:臨床試験成績(2005年7月25日承認,申請資料概要 トⅡ-1,Ⅲ-3,Ⅳ-3)
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