当ウェブサイトを快適にご覧いただくには、ブラウザのJavaScript設定を有効(オン)にしていただく必要がございます。
劇薬
処方箋医薬品注)
骨髄機能抑制が増悪して重症感染症等を併発し、致命的となることがある。
感染症が増悪し、致命的となることがある。
下痢が増悪して脱水、電解質異常、循環不全を起こし、致命的となることがある。
腸管からの排泄が遅れ、重篤な副作用が発現し、致命的となることがある。
症状が増悪し、致命的となることがある。
重篤な副作用が発現し、致命的となることがある。
がん化学療法後に増悪した治癒切除不能な膵癌
フルオロウラシル及びレボホリナートとの併用において、通常、成人にはイリノテカンとして1回70mg/m2(体表面積)を90分かけて2週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。
投与予定日に確認し、当該条件を満たす状態へ回復するまで投与を延期する。
種類
程度注2)
好中球数
1,500/mm3以上
発熱性好中球減少症
好中球数1,500/mm3以上かつ感染症から回復していること
血小板数
100,000/mm3以上
下痢
Grade1又はベースライン
その他の副作用注3)
前回の投与後に以下のいずれかの程度に該当する副作用が発現した場合は、該当するごとに、以下の減量方法に従って減量する(「減量時の投与量」を参考にすること)。
副作用
程度注4)
減量方法注5)
好中球減少
Grade3以上又は発熱性好中球減少症
本剤及びフルオロウラシルを1段階減量する
白血球減少
Grade3以上
血小板減少
悪心/嘔吐
Grade3以上注6)
本剤を1段階減量する
その他注7)
本剤(イリノテカンとして)
フルオロウラシル
開始用量
70mg/m2
50mg/m2
2,400mg/m2
1段階減量
43mg/m2
1,800mg/m2
2段階減量
35mg/m2
1,350mg/m2
3段階減量
中止
Gilbert症候群のようなグルクロン酸抱合異常の患者においては、本剤の代謝が遅延することにより骨髄機能抑制等の重篤な副作用が発現する可能性が高いため、十分注意すること。
本剤の活性代謝物(SN-38)の主な代謝酵素であるUDP-グルクロン酸転移酵素1A1(UGT1A1)によるSN-38の代謝が減少することにより、重篤な副作用(特に好中球減少)が発現する可能性が高いため、十分注意すること。,
腎障害が悪化及び副作用が強く発現するおそれがある。クレアチニンクリアランスが30mL/min未満の重度の腎機能障害患者は臨床試験では除外されている。
肝障害が悪化及び副作用が強く発現するおそれがある。血清総ビリルビン値が基準範囲上限値を超える患者、AST値及びALT値が基準範囲上限値の2.5倍を超える(肝転移がある場合は基準範囲上限値の5倍を超える)患者は臨床試験では除外されている。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。イリノテカン塩酸塩水和物の動物実験(ラット・ウサギ)で催奇形性作用が報告されている。
授乳しないことが望ましい。イリノテカン塩酸塩水和物の動物実験(ラット)で乳汁移行が報告されている。
小児を対象とした臨床試験は実施していない。
アタザナビル硫酸塩(レイアタッツ)
骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。
UGT1A1阻害作用のあるアタザナビル硫酸塩との併用により、イリノテカンの代謝が遅延することが考えられる。
他の抗悪性腫瘍剤、放射線照射
骨髄機能抑制、下痢等の副作用が増強するおそれがある。患者の状態を観察しながら、減量するか又は投与間隔を延長する。
併用により殺細胞作用が増強される。
末梢性筋弛緩剤の作用が減弱するおそれがある。
イリノテカン塩酸塩水和物の動物実験で筋収縮増強作用が認められている。
CYP3Aを阻害する左記薬剤等との併用により、CYP3A4による無毒化が阻害されるため、カルボキシルエステラーゼによるSN-38の生成がその分増加し、SN-38の血中濃度が上昇する可能性がある。
作用が減弱するおそれがある。本剤投与期間中は左記薬剤・食品との併用を避けることが望ましい。
CYP3Aを誘導する左記薬剤等との併用により、CYP3A4による無毒化が促進されるため、カルボキシルエステラーゼによるSN-38の生成がその分減少し、SN-38の血中濃度が低下する可能性がある。
ソラフェニブトシル酸塩
レゴラフェニブ水和物
UGT1A1阻害作用のある左記薬剤との併用により、イリノテカン及びSN-38の血中濃度が上昇する可能性がある。
ラパチニブトシル酸塩水和物
機序は不明だが、ラパチニブトシル酸塩水和物との併用により、SN-38の血中濃度が上昇する可能性がある。
好中球減少(44.8%)、白血球減少(35.0%)、貧血(17.8%)、血小板減少(9.2%)、発熱性好中球減少症(2.5%)、無顆粒球症(0.6%)、汎血球減少症(0.6%)等があらわれることがある。,,
重度の下痢の持続により、脱水、電解質異常及びショック(循環不全)等をきたすことがあり、特に重篤な白血球・好中球減少を伴った場合には、致命的な経過をたどることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、ロペラミド塩酸塩等の止瀉剤の投与等の適切な処置を行うこと。なお、本剤による重度の下痢として以下の2つの機序が考えられている。,,
敗血症(1.8%)、肺炎(0.6%)等の感染症があらわれることがある。
アナフィラキシー、発疹、蕁麻疹、過敏症等を含むinfusion reactionがあらわれることがある。
50%以上
5~50%未満
5%未満
心臓障害
頻脈、心電図QT延長
耳および迷路障害
回転性めまい
眼障害
眼脂、眼刺激
胃腸障害
悪心
嘔吐、口内炎、便秘、腹痛
口内乾燥、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、膵炎、腹部不快感、消化不良、白色便、痔核、脂肪便、地図状舌
一般・全身障害および投与部位の状態
無力症、発熱
悪寒、末梢性浮腫、易刺激性
代謝および栄養障害
食欲減退、低カリウム血症
脱水、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、高血糖、低クロール血症、低リン酸血症、高ナトリウム血症、低タンパク血症
筋骨格系および結合組織障害
筋肉痛、関節痛、筋痙縮、筋力低下、筋骨格硬直
神経系障害
味覚異常
浮動性めまい、末梢性ニューロパチー、頭痛、灼熱感、異常感覚、傾眠
精神障害
不安、うつ病、不眠症
腎および尿路障害
頻尿
呼吸器、胸郭および縦隔障害
しゃっくり、呼吸困難、発声障害、鼻出血
皮膚および皮下組織障害
脱毛症
皮膚色素過剰、手掌・足底発赤知覚不全症候群、皮膚乾燥、爪の異常、多汗症、紅斑、光線過敏性反応
血管障害
ほてり、静脈炎、高血圧、低血圧
その他
体重減少
C-反応性蛋白増加
静脈内投与に際し、投与部位の炎症の徴候をモニタリングし、薬液が血管外に漏れないように慎重に投与すること。薬液が血管外に漏れた場合は、生理食塩液や滅菌水で洗い流し、患部を氷で冷やすこと。
ゲムシタビン治療後に増悪した日本人膵癌患者を対象にレボホリナート及びフルオロウラシルとの併用下で、本剤70mg/m2を点滴静注したときのイリノテカン(リポソーム型及び従来の型)及びSN-38の血漿中濃度推移を図1に、薬物動態パラメータを表1及び表2に示す1) 。
投与量(mg/m2)
Cmax[μg/mL]
AUC0-inf[μg・h/mL]
t1/2[h]
CL[L/h]
Vd[L]
70(n=6)
30.1(9.5)
986(1030)
23.8(16.8)
0.36(0.54)
5.0(2.8)
Cmax:最高血漿中濃度、AUC0-inf:無限時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積、t1/2:消失半減期、CL:クリアランス、Vd:分布容積
Cmax[ng/mL]
AUC0-inf[ng・h/mL]
5.9(2.2)
466(203)
79.1(65.0)
Cmax:最高血漿中濃度、AUC0-inf:無限時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積、t1/2:消失半減期
固形癌患者に本剤を静脈内投与したとき、投与169.5時間後までの血漿中イリノテカンに対するリポソーム型イリノテカンの割合は86%以上であり、経時的な変化は認められなかった2) (外国人データ)。本剤の血漿タンパク結合率は0.44%未満であった3) (in vitro)。
本剤の代謝に関する試験は実施していない。イリノテカンはカルボキシルエステラーゼによって活性代謝物であるSN-38に、その後UGT1A1によってSN-38からグルクロン酸抱合体であるSN-38Gに代謝される4) 。また、イリノテカンはCYP3A4によって酸化代謝物に代謝されたあと、さらにカルボキシルエステラーゼによってSN-38に代謝される4) 。
本剤の排泄に関する試験は実施していない。固形癌患者8例に[14C]-標識イリノテカン塩酸塩水和物125mg/m2を単回静脈内投与したとき、投与168及び192時間後までに投与放射能の約32及び64%がそれぞれ尿及び糞中に排泄された。尿中に排泄された未変化体及びSN-38は投与量の約22及び0.43%、糞中に排泄された未変化体及びSN-38は投与量の約32及び8.2%であった5) (外国人データ)。
ゲムシタビンを含む化学療法後に増悪した遠隔転移を有する膵癌患者注8) を対象として、本剤(イリノテカンとして70mg/m2)注9) とフルオロウラシル及びレボホリナートの併用投与(本剤+5-FU/l-LV)と5-FU/l-LVの有効性及び安全性を比較する第II相臨床試験を実施した注10) 。主要評価項目とされた独立中央判定委員会の評価による無増悪生存期間(PFS)の結果(2017年5月4日データカットオフ)は表3及び図2のとおりであった。
本剤+5-FU/l-LV(40例)
5-FU/l-LV(39例)
中央値(月)(95%信頼区間)
1.7(1.48, 3.61)
1.6(1.41, 1.64)
ハザード比 a(95%信頼区間)
0.79(0.47, 1.32)
p値 b
0.376
a 投与群を独立変数とした非層別Cox比例ハザードモデルb 非層別両側ログランク検定
副作用発現頻度(本剤+5-FU/l-LV群)は、100%(46/46例)であった。主な副作用は悪心78.3%(36/46例)、好中球数減少63.0%(29/46例)、食欲減退及び白血球数減少が各60.9%(28/46例)並びに下痢56.5%(26/46例)であった。
ゲムシタビンを含む化学療法後に増悪した遠隔転移を有する膵癌患者注8) を対象として、本剤(イリノテカンとして70mg/m2注11) )と5-FU及びホリナートの併用投与(本剤+5-FU/LV)、本剤(イリノテカンとして100mg/m2注12) )単独投与と5-FU/LVの有効性及び安全性を比較する3群比較、第III相臨床試験を実施した注13) 。主要評価項目とされた全生存期間(OS)の結果(2014年2月14日データカットオフ)は表4及び図3のとおりであり、5-FU/LV群に対して本剤+5-FU/LV群は統計学的に有意なOSの延長を示した。一方、5-FU/LV群に対する本剤単独群の統計学的に有意なOSの延長は認められなかった。
本剤+5-FU/LV(117例)
5-FU/LV(119例)
本剤単独(151例)
5-FU/LV(149例)
6.1(4.76, 8.87)
4.2(3.29, 5.32)
4.9(4.23, 5.62)
4.2(3.58, 4.86)
0.67(0.49, 0.92)
0.99(0.77, 1.28)
0.0122
0.9416
副作用発現頻度(本剤+5-FU/LV群)は91.5%(107/117例)であった。内訳として主な副作用(20%以上)は下痢47.0%(55/117例)、悪心45.3%(53/117例)、嘔吐42.7%(50/117例)、疲労30.8%(36/117例)、食欲減退27.4%(32/117例)及び好中球減少症21.4%(25/117例)であった。
国内第II相試験(331501試験)及び海外第III相試験(NAPOLI-1試験)において、UGT1A1遺伝子多型検査が実施された。本剤+5-FU/l-LV(又はLV)群におけるGrade3以上の好中球減少及び下痢の発現率は表5のとおりであった。
UGT1A1*6又は*28遺伝子多型の種類
Grade3以上の好中球減少
Grade3以上の下痢
331501試験
UGT1A1*6又はUGT1A1*28の遺伝子多型を有しない患者
3/43例(7.0%)
8/43例(18.6%)
UGT1A1*6若しくはUGT1A1*28のホモ接合体又はUGT1A1*6及びUGT1A1*28のヘテロ接合体を有する患者
1/3例(33.3%)
0/3例(0%)
NAPOLI-1試験
UGT1A1*28のホモ接合体を有しない患者
15/110例(13.6%)
14/110例(12.7%)
UGT1A1*28のホモ接合体を有する患者
2/7例(28.6%)
1/7例(14.3%)
イリノテカンはI型トポイソメラーゼを阻害し、DNA合成を阻害することにより細胞増殖抑制作用を発現すると考えられる。本剤は、イリノテカンを封入したリポソーム製剤である。本剤が貪食作用等によりマクロファージに取り込まれると、イリノテカンが細胞外に放出される。放出されたイリノテカンは腫瘍組織において活性化代謝物であるSN-38に変換され、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられる6) 。
本剤は、ヒト膵癌由来細胞株(PANC-1、MIA PaCa-2、BxPC-3等)を皮下移植した非肥満型糖尿病/重症複合型免疫不全マウス及びヒト膵癌患者由来腫瘍組織片を皮下移植した重症免疫不全マウス等において、腫瘍増殖抑制作用を示した7),8),9) 。
イリノテカン塩酸塩水和物(Irinotecan Hydrochloride Hydrate)
(4S)-4,11-Diethyl-4-hydroxy-3,14-dioxo-3,4,12,14-tetrahydro-1H-pyrano[3',4':6,7]indolizino[1,2-b]quinolin-9-yl[1,4'-bipiperidine]-1'-carboxylate monohydrochloride trihydrate
C33H38N4O6・HCl・3H2O
677.18
微黄色~淡黄色の結晶性の粉末である。
250~263℃
メタノール又は水にやや溶けにくく、エタノールに溶けにくく、ジクロロメタン又はアセトンに極めて溶けにくく、酢酸エチル、トルエン、ヘプタン又はヘキサンにほとんど溶けない。
凍結しないこと。外箱開封後は遮光して保存すること。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
10mL 1バイアル
1) 社内資料:国内第II相臨床試験(331501試験)
2) 社内資料:海外第I相臨床試験(PEP0201試験)
3) 社内資料:Human plasma protein binding to nanoliposomal irinotecan
4) Mathijssen RHJ, et al. Clin cancer Res. 2001;7(8):2182-94
5) Slatter JG, et al. Drug Metab. Dispos. 2000;28(4):423–33
6) Kawato Y, et al. Cancer Res. 1991;51(16):4187-91
7) 社内資料:Antitumor activity against ectopic patient-derived pancreatic cancer xenograft models in CB.17 SCID mice
8) 社内資料:Antitumor activity against ectopic cell line-derived pancreatic cancer xenograft models in NOD-SCID mice
9) Kalra AV, et al. Cancer Res. 2014;74(23):7003-13
「主要文献」に記載の社内資料につきましても下記にご請求ください。日本セルヴィエ株式会社お問い合わせ窓口
〒113-0033 東京都文京区本郷1-28-34 本郷MKビル
*TEL 0120-841-002月~金 9:00-17:00(祝祭日、弊社休業日を除く)https://nihonservier.co.jp/
日本セルヴィエ株式会社
東京都文京区本郷1-28-34 本郷MKビル
Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.