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劇薬
処方箋医薬品注)
通常、18歳未満の患者には、アトモキセチンとして1日0.5mg/kg(0.125mL/kg)より開始し、その後1日0.8mg/kg(0.2mL/kg)とし、さらに1日1.2mg/kg(0.3mL/kg)まで増量した後、1日1.2~1.8mg/kg(0.3~0.45mL/kg)で維持する。
ただし、増量は1週間以上の間隔をあけて行うこととし、いずれの投与量においても1日2回に分けて経口投与する。
なお、症状により適宜増減するが、1日量は1.8mg/kg(0.45mL/kg)又は120mg(30mL)のいずれか少ない量を超えないこと。
通常、18歳以上の患者には、アトモキセチンとして1日40mg(10mL)より開始し、その後1日80mg(20mL)まで増量した後、1日80~120mg(20~30mL)で維持する。
ただし、1日80mg(20mL)までの増量は1週間以上、その後の増量は2週間以上の間隔をあけて行うこととし、いずれの投与量においても1日1回又は1日2回に分けて経口投与する。
なお、症状により適宜増減するが、1日量は120mg(30mL)を超えないこと。
痙攣を起こすことがある。
症状を悪化又は再発させるおそれがある。,,
QT延長を起こすおそれがある。,,
本剤の投与による起立性低血圧の報告がある。
行動障害、思考障害又は躁病エピソードの症状が悪化するおそれがある。
症状を悪化させるおそれがある。
,
血中濃度が上昇するおそれがある。
血中濃度が上昇するおそれがある。,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)において胎盤通過性が認められている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)において乳汁中への移行が認められている。
低出生体重児、新生児、乳児、6歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。,,,
一般に生理機能が低下している。
両薬剤の作用が増強されることがある。MAO阻害剤の投与中止後に本剤を投与する場合には、2週間以上の間隔をあけること。また、本剤の投与中止後にMAO阻害剤を投与する場合は、2週間以上の間隔をあけること。
脳内モノアミン濃度が高まる可能性がある。
心拍数、血圧が上昇したとの報告があるので、注意して投与すること。
心血管系への作用を増強する可能性がある。
これらの薬剤の心拍数、血圧上昇作用が増強するおそれがあるので、注意して投与すること。
これらの薬剤の心血管系への作用を増強する可能性がある。
本剤の血中濃度が上昇することがあるので、経過を観察しながら時間をかけて本剤を増量すること。
これらの薬剤のCYP2D6阻害作用により本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
これらの薬剤の血圧上昇作用が増強するおそれがあるので、注意して投与すること。
これらの薬剤の血圧への作用に影響する可能性がある。
これらの薬剤の作用が増強するおそれがあるので、注意して投与すること。
これらの薬剤のノルアドレナリンへの作用を相加的又は相乗的に増強する可能性がある。
肝機能検査値の上昇を伴う肝機能障害、黄疸、肝不全があらわれることがある。
血管神経性浮腫、蕁麻疹等のアナフィラキシーがあらわれることがある。
5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
消化器
悪心(31.5%)、食欲減退(19.9%)、腹痛、嘔吐、便秘、口渇
下痢、消化不良、口内乾燥
鼓腸
精神神経系
頭痛(15.4%)、傾眠(15.8%)、浮動性めまい、不眠症
体位性めまい、睡眠障害、易刺激性、不快気分
早朝覚醒型不眠症、気分変化、振戦、抑うつ気分、錯感覚、不安、感覚鈍麻、幻覚を含む感覚障害、うつ病、攻撃性、リビドー減退、チック、激越、落ち着きのなさ
びくびく感
過敏症
そう痒症
発疹、蕁麻疹
循環器
動悸
頻脈、血圧上昇、心拍数増加
心電図QT延長、失神
レイノー現象、潮紅
皮膚
多汗症
皮膚炎
泌尿・生殖器
排尿困難、勃起不全、不規則月経
生殖器痛、尿閉、月経困難症、射精障害、前立腺炎、頻尿
持続勃起、勃起時疼痛、射精不能、精巣痛、オルガズム異常、尿意切迫
その他
体重減少
胸痛、無力症、疲労、ほてり、悪寒、味覚異常
結膜炎、胸部不快感、末梢冷感、冷感、筋痙縮
散瞳
過量投与時には、痙攣、QT延長、傾眠、興奮、運動亢進、異常行動、消化器症状、散瞳、頻脈、口渇、浮動性めまい、振戦及び血圧上昇等が認められている。また、本剤及び他剤を同時に過量投与した場合には、死亡例も報告されている。
本剤は蛋白結合率が高いため、透析は有効ではない。
内服用にのみ使用させること。
本臨床評価に際し、CYP2D6活性を遺伝子型により分類し、不活性型アレルをホモで有する場合を不活性(Poor Metabolizer、PM)、それ以外を通常活性(Extensive Metabolizer、EM)と定義した。日本人ではPMの割合が少ないことから、EMを更に細分化し、CYP2D6の活性が低下した遺伝子が関連するIntermediate Metabolizer(IM)を定義した。
CYP2D6
表現型
表現型の詳細分類
CYP2D6遺伝子型注2)
(アレル/アレル)
PM
不活性型/不活性型
EM
UM(Ultra rapid Metabolizer)
通常活性型/通常活性型注3)
通常活性型/通常活性型
IM
通常活性型/活性低下型
通常活性型/不活性型
活性低下型/活性低下型
活性低下型/不活性型
CYP2D6 EM健康成人にアトモキセチン50mgに相当する内用液又はカプセルを空腹時単回経口投与注19)したとき、内用液はカプセルと生物学的に同等であることが確認された。
製剤
投与量
Tmax
(hr)注4)
Cmax(ng/mL)
T1/2(hr)注4)
AUC0-t
(ng・h/mL)
内用液(n=40)
12.5mL
0.75
(0.50-6.00)
477 (26)
2.48
(1.85-7.12)
2650 (61)
カプセル(n=40)
25mgカプセルx2
515 (33)
2.37
(1.90-5.33)
2570 (62)
CYP2D6 EM健康成人にアトモキセチン10、40、90又は120mgを単回経口投与注19)したときの最高血漿中濃度(Cmax)及び血漿中濃度曲線下面積(AUC)は、投与量に比例して増加した。
AUC0-∞
(μg・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
(hr)注5)
T1/2
(hr)注6)
CL/F
(L/hr)
10mg
(n=22)
0.574(70.2)
110.53(33.2)
1.25
(0.50~2.00)
3.46
(1.85~6.61)
22.93(43.0)
40mg
(n=21)
2.51(68.5)
478.36(33.5)
1.00
(0.50~4.00)
4.12
(2.09~7.06)
21.18(47.0)
90mg
(n=20)
5.30(54.2)
920.03(33.1)
1.75
(0.50~6.00)
4.01
(2.16~7.03)
20.50(39.3)
120mg
(n=19)
6.43(37.5)
1086.23(30.6)
4.27
(2.86~6.23)
21.43(38.7)
CYP2D6 EM健康成人にアトモキセチン1回40mg又は60mgを1日2回7日間反復経口投与注19)したときの血漿中濃度は、初回投与約1時間後にそれぞれCmax427.34ng/mL及び615.52ng/mLに達した。反復投与開始から約24時間で定常状態に達すると予測され、反復投与時において最終投与約1時間後にCmax604.52ng/mL及び874.33ng/mLに達した。
投与
AUC0-12
Tmax(hr)注7)
40mg(n=10)
初回
1.95(38.3)
427.34(33.9)
反復
2.47(42.0)注8)
604.52(35.3)
(0.50~1.50)
60mg(n=10)
3.14(41.6)
615.52(32.3)
(1.00~2.00)
60mg(n=9)
3.73(41.8)注8)
874.33(26.2)
CYP2D6 EM健康成人と患児(7~14歳)の薬物動態を比較した結果を示した。患児と成人のCmax(投与量を体重で補正)及び消失半減期は同程度であることが示された。体重補正したクリアランスと分布容積にも両者間で大きな違いは認められなかった(外国人データ)。
集団
Cmax注9)
(ng/mL)/(mg/kg)
Cmax,ss注9)
T1/2(hr)
(L/hr/kg)
Vz/F
(L/kg)
患児EM
512
524
3.19
0.435
2.01
成人EM
569
667
3.56
0.352
1.82
CYP2D6 EM及びPM健康成人における絶対的生物学的利用率はそれぞれ約63%及び94%であった(外国人データ)。
CYP2D6 EM健康成人にアトモキセチン40mg又は60mgを空腹時又は食後に単回経口投与注19)したとき、高脂肪食摂取によって空腹時に比較してCmaxは37%減少し、Tmaxは約2時間遅延したが、AUCには差は認められなかった。CYP2D6 EM患児における母集団薬物動態解析の結果では、食事によるCmaxの減少は9%であった(外国人データ)。
アトモキセチン静脈内投与後の分布容積は0.85L/kg(CYP2D6 EM健康成人)及び0.91L/kg(CYP2D6 PM健康成人)であり、主に全体液中に広く分布すると考えられた(外国人データ)。
アトモキセチン濃度150~3000ng/mLの範囲において、in vitroヒト血漿蛋白結合率は約98%であり、主にアルブミンに結合する。
アトモキセチンは主に薬物代謝酵素CYP2D6によって代謝される。主要酸化代謝物は4-ヒドロキシ体であり、これはすぐにグルクロン酸抱合化される。4-ヒドロキシ体はアトモキセチンとほぼ同等のノルアドレナリン取り込み阻害作用を有するが血漿中濃度は非常に低い。4-ヒドロキシ体は主にCYP2D6により生成されるが、CYP2D6活性が欠損していても、他の数種のCYP酵素から低速ながら生成される(外国人データ)。また、CYP2D6活性が欠損した被験者から得たヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験では、アトモキセチンとCYP2D6阻害剤を併用しても4-ヒドロキシ体生成に対して阻害は認められなかった。ヒト肝ミクロソーム及び培養肝細胞を用いたin vitro試験により、アトモキセチンはCYP1A2又はCYP3Aを誘導しないこと、CYP1A2、CYP3A、CYP2D6又はCYP2C9を阻害しないことが確認された。,
外国のPM健康成人では、EM健康成人に比較して定常状態のアトモキセチンの平均血漿中濃度(Cav,ss)が約10倍、定常状態のCmax,ssが約5倍高値であった。
遺伝子型
Cav,ss
(ng/mL)/
(mg/kg)注10)
Cmax,ss
Tmax(hr)注11)
CL/F(L/hr/kg)
EM(n=223)
249(58.5)
667(41.3)
1.00(0.50,2.00)
3.56(27.5)
0.352(55.7)
PM(n=28)
2540(14.0)
3220(11.3)
2.50(1.00,6.00)
20.6(17.3)
0.0337(18.8)
日本人において、EMを更に3つに分類した場合(UM、EM及びIM注12))、IM注12)のAUCの算術平均値はEM注12)に比較して約1.4倍高値であった。なお、日本人にはUMは該当がなかった。,
T1/2(hr)注13)
EM注12)(n=5)
4.95(39.4)
861(23.3)
3.87(2.85~4.87)
IM注12)(n=14)
6.96(34.4)
1170(28.9)
4.41(3.04~6.23)
健康成人統合解析におけるアトモキセチンの平均消失半減期は、CYP2D6 EM及びPMでそれぞれ3.6時間及び20.6時間であった。
健康成人にアトモキセチン1回20mgを1日2回5日反復経口投与注19)した後に、14C標識アトモキセチン20mgを単回経口投与したときの放射能は、CYP2D6 EMでは投与後168時間以内に投与量の約96%が尿中にほとんど代謝物として排泄され、糞中には約2%が排泄された。CYP2D6 PMでは、投与後264時間以内に投与した放射能の約80%が尿中にほとんど代謝物として排泄され、糞中には約17%が排泄された。また、尿中から回収された放射能のうち、未変化体は約1%(EM)及び約2%(PM)であり、主代謝物の4-ヒドロキシアトモキセチン-O-グルクロン酸抱合体は84%(EM)及び31%(PM)であった(外国人データ)。
尿
糞
尿糞
EM(n=4)注14)
95.81±2.16
1.67±0.32
97.48±1.92
PM(n=3)注15)
79.92±2.39
16.91±2.50
96.83±1.09
CYP2D6 EMの成人腎不全患者にアトモキセチン20mgを単回経口投与注19)したとき、末期腎不全患者において、健康成人に比較して64%のAUCの増大が認められたが、体重で補正した投与量に換算することによって、その差は24%になった(外国人データ)。
(μg・hr/mL)/(mg/kg)注16)
(ng/mL)/(mg/kg)注16)
健康成人(n=6)
0.469
2.26
86.0
415
腎不全患者(n=6)
0.769
2.80
92.2
336
CYP2D6 EMの成人肝硬変患者にアトモキセチン20mgを単回経口投与注19)したとき、中等度(Child-Pugh分類B)及び重度(Child-Pugh分類C)肝硬変患者において、それぞれ健康成人に比較してAUCが約2倍及び約4倍に増大した(外国人データ)。,
Tmax(hr)注17)
T1/2(hr)注18)
健康成人
(n=10)
0.706
(67.9)
142
(36.0)
1.02
(0.50~1.55)
4.26
(2.35~8.03)
0.506
(53.5)
中等度肝硬変患者
(n=6)
1.17
(36.7)
116
(55.2)
3.27
11.0
(7.85~17.9)
0.208
(28.1)
重度肝硬変患者
(n=4)
2.73
(63.0)
126
(44.8)
5.98
(0.50~12.02)
16.0
(7.21~26.3)
0.155
(78.5)
アトモキセチンは、治療濃度のアセチルサリチル酸、ジアゼパム、フェニトイン、ワルファリンのヒト血漿蛋白結合率に影響を及ぼさなかった。同様に上記薬剤は、アトモキセチンのヒト血漿蛋白結合率に影響を及ぼさなかった(in vitro)。
CYP2D6 EM健康成人にメチルフェニデート60mgを1日1回5日間経口投与し、アトモキセチン60mgを3、4、5日目に1日2回3日間経口投与注19)したとき、アトモキセチンとメチルフェニデートの併用により、メチルフェニデート単剤投与時に認められた心拍数及び収縮期・拡張期血圧への影響は増強しなかった(外国人データ)。
CYP2D6 EM健康成人にアトモキセチン80mgを1日1回経口投与時注19)の定常状態で、サルブタモール200μgを吸入投与したとき、アトモキセチンと吸入サルブタモール併用により心拍数及び血圧への影響が認められたが、わずかであった。アトモキセチン存在下及び非存在下で吸入サルブタモールを反復投与した後も心拍数は変化しなかった(外国人データ)。
CYP2D6 EM健康成人においてアトモキセチン60mgを1日2回5日間経口投与注19)し、サルブタモールを1、3、5日目に5μg/minの流速で2時間かけて静脈内投与したとき、サルブタモール静脈内投与に起因する心拍数及び収縮期血圧を含む心血管変化に増強が認められた(外国人データ)。
CYP2D6 EMの健康成人にパロキセチン20mgを1日1回経口投与時の定常状態で、アトモキセチン20mgを1日2回反復経口投与注19)したとき、パロキセチンとの併用により、定常状態におけるアトモキセチンのCmax及びAUCはそれぞれ約3.5倍及び約6.5倍に増加し、そのときの血中濃度はCYP2D6 PM健康成人にアトモキセチンを単剤投与したときの血中濃度と同程度であった(外国人データ)。
AUC0-12(μg・hr/mL)
アトモキセチン単剤(n=21)
0.77
173
3.92
パロキセチン併用(n=14)
5.01
612
10.0
CYP2D6 EM健康成人にフルオキセチン(国内未承認)60mgを1日1回で7日間経口投与、次に20mgを1日1回14日間投与、最後に20mg1日1回とアトモキセチン(10、45、75mg)1日2回を15日間投与注19)したとき、EM被験者では、フルオキセチンを併用することによりPM被験者に近いアトモキセチンの血漿中濃度が認められた。,
CYP2D6 EM健康成人にアトモキセチン40mg単回経口投与注19)、あるいはオメプラゾール80mg又はマグネシウム/アルミニウム水酸化物20mLを併用投与したとき、アトモキセチンの生物学的利用率は変化しなかった(外国人データ)。
CYP2D6 PM健康成人にアトモキセチン60mgを1日2回12日間経口投与注19)し、CYP3A4の基質であるミダゾラム5mgを単回経口投与したとき、ミダゾラムのCmaxとAUC0-∞は約16%増加したが被験者内変動に含まれるものであった(外国人データ)。
CYP2D6 EM健康成人及びCYP2D6 PM健康成人にアトモキセチン40mgを1日2回5日間経口投与注19)し、エタノール2.0mL/kg(0.6mg/kg)を単回経口投与したとき、疲労スケール、複合鎮静スコア、継続的注意力で示されるエタノールの中枢作用をアトモキセチンは増強も減弱もしなかった(外国人データ)。
小児AD/HD患者(6歳以上18歳未満)を対象に実施したプラセボ対照二重盲検群間比較試験において、有効性の評価尺度であるADHD RS-IV日本語版(医師用)総スコアは下表のとおりであった2)。
投与群
N
ベースライン
最終観察時
変化量
差注20)
95%信頼区間注20)
p値注21)Williams
平均
標準偏差
信頼下限
信頼上限
プラセボ
61
32.3
9.6
24.2
11.4
-8.1
7.1
ATX 0.5注25)
62
8.4
22.7
-9.6
9.1
-1.5
-4.3
1.3
-
ATX 1.2
58
33.3
8.7
22.5
10.3
-10.8
6.8
-2.5
-5.4
0.3
0.037
ATX 1.8
60
31.5
7.8
19.8
9.0
-11.6
8.8
-3.7
-6.5
-0.8
0.010
N:最大の解析対象集団の症例数 ATX:アトモキセチン(数値の単位:mg/kg/日)
アトモキセチンを投与された183例中92例(50.3%)に副作用が認められた。主な副作用(5%以上)は頭痛(11.5%、21/183例)、食欲減退(11.5%、21/183例)、傾眠(9.3%、17/183例)、悪心(7.1%、13/183例)であった。,
小児AD/HD患者(6歳以上18歳未満)を対象に実施したプラセボ対照二重盲検群間比較試験を完了した小児患者を対象に実施した長期継続投与試験において、有効性の評価尺度であるADHD RS-IV日本語版(医師用)総スコアの推移は下表のとおりであった3)。
期間(月)
0
228
22.2
10.4
0.5
221
21.7
10.2
1
204
19.7
9.8
3
206
16.4
6
169
14.8
12
146
12.7
24
104
10.7
7.5
36
10.6
8.1
48
11
12.5
6.6
N:最大の解析対象集団の症例数
アトモキセチンを投与された228例中155例(68.0%)に副作用が認められる。主な副作用(10%以上発現)は頭痛(18.9%、43/228例)、傾眠(13.6%、31/228例)、食欲減退(11.0%、25/228例)、腹痛(10.5%、24/228例)であった。,
外国の小児AD/HD患者(8歳以上18歳未満)を対象に実施したプラセボ対照二重盲検群間比較試験において、有効性の評価尺度であるADHD RS-IV-Parent:Inv総スコアは下表のとおりであった4)。
p値注22)
83
38.3
8.9
32.5
13.8
-5.8
10.9
43
40.2
30.3
15.2
-9.9
14.6
84
39.2
9.2
25.5
-13.6
14.0
<0.001
82
39.7
26.2
-13.5
14.5
アトモキセチンを投与された211例中98例(46.4%)に副作用が認められた。主な副作用(5%以上)は頭痛(14.7%、31/211例)、食欲減退(8.5%、18/211例)、傾眠(6.6%、14/211例)、嘔吐(5.7%、12/211例)であった。,
成人AD/HD患者(18歳以上)を対象に実施したプラセボ対照二重盲検群間比較試験において、有効性の評価尺度であるCAARS-inv:SV AD/HD症状総スコアは下表のとおりであった5)。
ベース
ライン
最終
観察時
差注23)
95%信頼
区間注23)
p値注23)
標準
偏差
信頼
下限
上限
195
33.9
25.1
11.2
-8.8
ATX
191
33.2
18.9
-14.3
-5.78
-7.66
-3.91
N:最大の解析対象集団の症例数 ATX:アトモキセチン
アトモキセチンを投与された193例中142例(73.6%)に副作用が認められた。主な副作用(10%以上)は悪心(40.4%、78/193例)、食欲減退(22.8%、44/193例)、傾眠(15.0%、29/193例)、口内乾燥(10.4%、20/193例)であった。
成人AD/HD患者(18歳以上)を対象に実施したプラセボ対照二重盲検群間比較試験を完了した患者を対象に実施した長期継続投与試験において、有効性の評価尺度であるCAARS-inv:SV AD/HD症状総スコアの推移は下表のとおりであった6)。
211
20.9
19.3
9.9
1.5
203
17.9
2
200
16.7
9.5
190
9.3
4
175
15.4
5
163
15.0
7
155
14.1
8
149
13.5
9.4
9
144
14.3
10
140
138
13.2
135
13.1
LYEK試験の試験開始時点(LYEE試験での10週間時点)を投与0ヵ月とした。
アトモキセチンを投与された211例中139例(65.9%)に副作用が認められた。主な副作用(10%以上)は悪心(42.2%、89/211例)、口渇(12.8%、27/211例)であった。
CYP2D6 PM健康成人(131例)に、アトモキセチン20mg、アトモキセチン60mg、プラセボをそれぞれ1日2回反復経口投与注25)、モキシフロキサシン400mg(陽性対照)単回経口投与の4期クロスオーバーのtQT試験を行った。血中アトモキセチン濃度の上昇に伴いわずかにQTcM間隔(時点を一致させたベースラインからのQT間隔変化量を応答変数、時間を一致させたベースラインからのRR間隔変化量、時間、治療及び時間×治療を固定効果、被験者、被験者×時間及び被験者×治療を変量効果とする混合効果モデルにより算出した)の延長が認められたが、臨床使用で想定される最高血中濃度においてもアトモキセチンのQTc間隔に対する影響はプラセボと比較して臨床的に意義のある差ではなかった(外国人データ)。
投与後時間
(hr)
プラセボとの差
[90% 信頼区間](msec)
アトモキセチン20mgBID
0.5 [-1.2, 2.2]
アトモキセチン60mgBID
4.2 [2.5, 6.0]
モキシフロキサシン400mg注24)
4.8 [3.3, 6.4]
QTcM:統計モデルによる補正QT間隔
臨床における有用性には神経終末のノルアドレナリントランスポーターに対する選択的阻害作用が関与していることが可能性としては考えられるものの、明確な機序は不明である。
アトモキセチンはラット脳シナプトソームへのノルアドレナリン取り込みを強力に阻害した(Ki:4.47nM)。アトモキセチンのノルアドレナリン取り込み阻害作用はセロトニン及びドパミン取り込み阻害作用に比較して30倍以上選択的であった。なお、アトモキセチンは各種神経伝達物質受容体にはほとんど親和性を示さなかった7)。
アトモキセチンは神経毒によるノルアドレナリン枯渇を阻害したが(ED50:2.5mg/kg,p.o.)、セロトニン枯渇に対してはほとんど作用を示さなかった8)。
アトモキセチンは前頭前野におけるノルアドレナリン及びドパミンの細胞外濃度を有意に上昇させたが(0.3~3mg/kg,i.p.)、線条体や側坐核における細胞外ドパミン濃度には影響を及ぼさなかった8)。
アトモキセチン塩酸塩(Atomoxetine Hydrochloride)〔JAN〕
(3R)-N-Methyl-3-(2-methylphenoxy)-3-phenylpropan-1-amine monohydrochloride
C17H21NO・HCl
291.82
白色の粉末又は塊で、メタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けやすく、水にやや溶けにくい。
3.8(1-オクタノール-水系)
100mL[1瓶]
1) 社内資料:Analysis of the Changes in Hemodynamic Parameters of Blood Pressure and Heart Rate Associated with Atomoxetine Treatment in Pediatric and Adult Patients with ADHD in Clinical Trials and in Healthy Adult Subjects who are CYP-2D6 Poor Metabolizers
2) Takahashi M, et al.: J. Child Adolesc. Psychopharmacol. 2009; 19(4): 341-51
3) 社内資料:小児AD/HD患者に対する第III相長期継続投与臨床試験
4) Michelson D, et al.: Pediatrics. 2001; 108(5): e83
5) 社内資料:成人AD/HD患者に対する第III相短期投与プラセボ対照二重盲検比較試験 (2012年8月24日承認、CTD2.5.4.2.3)
6) 社内資料:成人AD/HD患者に対する第III相長期継続投与臨床試験 (2012年8月24日承認、CTD2.5.4.2.4)
7) 社内資料:モノアミン取り込み阻害作用の検討
8) Bymaster FP, et al.: Neuropsychopharmacology. 2002; 27(5): 699-711
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