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最適使用推進ガイドライン対象品目
生物由来製品
処方箋医薬品注)
本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴を有する患者
通常、成人にはガルカネズマブ(遺伝子組換え)として初回に240mgを皮下投与し、以降は1ヵ月間隔で120mgを皮下投与する。
本剤投与中は症状の経過を十分に観察し、本剤投与開始後3ヵ月を目安に治療上の有益性を評価して症状の改善が認められない場合には、本剤の投与中止を考慮すること。またその後も定期的に投与継続の要否について検討し、頭痛発作発現の消失・軽減等により日常生活に支障をきたさなくなった場合には、本剤の投与中止を考慮すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ヒトIgGは胎盤関門を通過することが知られている。本剤はウサギ及びラットにおいて胎児への移行が報告されているが、胎児に有害な影響は認められなかった1)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒトの乳汁中への移行及び授乳された乳児への影響は不明である。ヒトIgGは乳汁中へ移行することが知られていることから、本剤も授乳された乳児への移行の可能性が考えられる。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
アナフィラキシー、血管浮腫、蕁麻疹等があらわれることがある。異常が認められた場合には投与を直ちに中止し、適切な処置を行うこと。重篤な過敏症反応は本剤投与数日後においてもあらわれることがあり、また反応が長引くことがある。
1%以上
1%未満
頻度不明
感覚器
回転性めまい
消化器
便秘
注射部位
注射部位疼痛(10.1%)、注射部位反応(紅斑、そう痒感、内出血、腫脹等)(14.9%)
皮膚
そう痒症、蕁麻疹
発疹
投与時は以下の点を注意すること。
抗薬物抗体の存在は本剤の薬物動態、有効性及び安全性に影響を及ぼさなかった。本剤を1ヵ月間隔で投与された患者において、抗薬物抗体の陽性率は6ヵ月で7.8%(7/90)、18ヵ月で15.5%(9/58)であり、そのほとんどは中和抗体活性が陽性であったが、抗体価は低かった。
日本人健康成人に本剤5~300mg注6)を単回皮下投与したときの血清中ガルカネズマブ濃度は以下のとおりである。ガルカネズマブは、Tmax 5~9日で吸収され、消失半減期は約23~30日間であった。
日本人及び外国人健康成人の薬物動態パラメータは同程度であり、Cmax及びAUC0-∞は投与量の増加と共に上昇した2)。
投与量
(例数)
Tmax注1)
(day)
T1/2注2)
Cmax
(ng/mL)
AUC0-∞
(ng・day/mL)
CL/F
(mL/day)
Vz/F
(mL)
5mg
(N=3)
6.26
(4-7)
22.8
(17.0-29.4)
914
(11)
27900
(19)
179
5890
(12)
50mg
9
(9-11)
22.6
(18.6-27.7)
4480
(63)
180000
(48)
277
9020
(28)
120mg
(N=4)
4.62
(4-9)
28.7注3)
(24.8-32.8)
19500
(9)
829000注3)
(4)
145注3)
5990注3)
300mg
(N=5)
5
(4-5)
29.5
(21.8-47.9)
44400
1870000
160
6810
(20)
幾何平均値(変動係数%)
日本人反復性片頭痛患者及び慢性片頭痛患者に本剤を初回に240mg皮下投与し、以降は1ヵ月間隔で120mg皮下投与したときの血清中ガルカネズマブのトラフ濃度は初回投与後に定常状態に到達し、投与後6ヵ月では反復性片頭痛患者で20400ng/mL、慢性片頭痛患者で21000ng/mLであった3),4)。
2309例(日本人患者420例を含む)のデータを用いた母集団薬物動態解析に基づくと、初回に240mgを皮下投与したときのガルカネズマブのCmaxは約31μg/mL(変動係数26%)であった。以降120mg又は240mg注6)を1ヵ月間隔で皮下投与したとき、定常状態におけるCmaxはそれぞれ約30μg/mL(変動係数32%)又は58μg/mL(変動係数29%)であった5),6)。5~300mg注6)投与時に、吸収速度に用量依存性は認められなかった。母集団薬物動態解析の結果同様、投与部位によって、ガルカネズマブの吸収は大きく変わらなかった5),6)。
120mg注4)
240mg注6)
投与6ヵ月
Cmax,ss(μg/mL)
32.9 (23)
66.2 (22)
tmax,ss(h)注5)
124
Cmin,ss(μg/mL)
19.0 (32)
38.4 (31)
AUCτ,ss(μg・h/mL)
19100 (26)
38400 (26)
母集団薬物動態解析に基づくと、ガルカネズマブの見かけの分布容積は7060mLであった。見かけの分布容積に用量依存性は認められなかった5)。
ガルカネズマブはIgG4モノクローナル抗体であり、内因性IgGと同様に異化経路によりペプチド断片及びアミノ酸に分解されると考えられる。
母集団薬物動態解析に基づくと、ガルカネズマブの見かけのクリアランスは約185mL/dayであり、半減期は26日であった。見かけのクリアランスに用量依存性は認められなかった5)。
肝機能障害患者における本剤の薬物動態に関する検討は行っていない。IgGモノクローナル抗体は、主に細胞外異化経路により消失し、肝機能障害はガルカネズマブのクリアランスに影響しないと考えられる。母集団薬物動態解析に基づくと、ビリルビン濃度はガルカネズマブの見かけのクリアランスに影響を及ぼさなかった5)。
腎機能障害患者における本剤の薬物動態に関する検討は行っていない。IgGモノクローナル抗体の腎排泄は低いと考えられる。母集団薬物動態解析に基づくと、クレアチニンクリアランス(最小値~最大値:24~308mL/min)はガルカネズマブの見かけのクリアランスに影響を及ぼさなかった5)。
年齢、性別、体重、人種、又は民族はガルカネズマブの見かけのクリアランス及び見かけの分布容積に影響を及ぼさなかった5)。
ベースラインの片頭痛日数が月4日以上の日本人反復性片頭痛患者459例を対象としたプラセボ対照二重盲検試験を実施した。本剤120mg(初回のみ240mg)、240mg注16)又はプラセボを1ヵ月間隔で皮下投与した。本剤投与群における1ヵ月あたりの片頭痛日数のベースラインからの変化量は表1のとおりであり、プラセボ投与群に比較して、統計学的に有意な改善が認められた3)。以下本剤120mg投与群の有効性及び安全性の主要な結果を示す。
項目名
プラセボ
投与群
(N=230)
本剤120mg
(N=115)
ベースライン(平均値±標準偏差)
8.6±3.0
(N=230)注7)
8.6±2.8
(N=115)注7)
二重盲検投与期6ヵ月(平均値±標準偏差)
8.3±5.1
(N=225)注7)
5.6±4.4
(N=104)注7)
ベースラインからの変化量
(最小二乗平均値±標準誤差)注8)
-0.6±0.2
-3.6±0.3
群間差(95%信頼区間)注8)
-3.0
(-3.8, -2.2)
副作用発現頻度は本剤120mg投与群で29.6%(34/115例)であった。主な副作用は注射部位紅斑14.8%、注射部位腫脹10.4%、注射部位そう痒感8.7%、注射部位疼痛6.1%であった。
ベースラインの片頭痛日数が月4日以上の外国人反復性片頭痛患者1773例(CGAG試験:858例、CGAH試験:915例)を対象としたプラセボ対照二重盲検試験を実施した。本剤120mg(初回のみ240mg)、240mg注16)又はプラセボを1ヵ月間隔で皮下投与した。本剤投与群における1ヵ月あたりの片頭痛日数のベースラインからの変化量(CGAN試験と同様、二重盲検期6ヵ月)はプラセボ投与群に比較して、統計学的に有意な改善が認められた7),8)。
CGAG試験における副作用発現頻度は本剤120mg投与群で36.4%(75/206例)であった。主な副作用は注射部位疼痛16.0%であった。CGAH試験における副作用発現頻度は本剤120mg投与群で27.4%(62/226例)であった。主な副作用は注射部位疼痛9.3%であった。
外国人慢性片頭痛患者1113例を対象としたプラセボ対照二重盲検試験を実施した。本剤120mg(初回のみ240mg)、240mg注16)又はプラセボを1ヵ月間隔で皮下投与した。本剤投与群における1ヵ月あたりの片頭痛日数のベースラインからの変化量(二重盲検期3ヵ月)はプラセボ投与群に比較して、統計学的に有意な改善が認められた9)。
副作用発現頻度は本剤120mg投与群で23.1%(63/273例)であった。主な副作用は注射部位疼痛5.9%であった。
ベースラインの片頭痛日数が月4日以上かつ他剤注9)で効果不十分の反復性片頭痛患者及び慢性片頭痛患者462例(日本人42例を含む)を対象としたプラセボ対照二重盲検試験を実施した。本剤120mg(初回のみ240mg)又はプラセボを1ヵ月間隔で皮下投与した。本剤投与群における1ヵ月あたりの片頭痛日数のベースラインからの変化量は表2、3、4のとおりであり、プラセボ投与群に比較して、統計学的に有意な改善が認められた10),11)。以下本剤120mg投与群の有効性及び安全性の主要な結果を示す。
全体集団
(N=232)
12.9±5.7
(N=228)注10)
13.4±6.1
(N=230)注10)
二重盲検投与期3ヵ月(平均値±標準偏差)
11.4±6.7
(N=224)注10)
8.4±6.4
(最小二乗平均値±標準誤差)注11)
-1.0±0.3
-4.1±0.3
群間差(95%信頼区間)注11)
-3.1
(-3.9, -2.3)
反復性片頭痛部分集団
(N=132)
(N=137)
9.2±2.7
(N=132)注12)
9.5±3.0
(N=137)注12)
8.0±4.8
(N=129)注12)
5.9±4.2
(N=136)注12)
(最小二乗平均値±標準誤差)注13)
-0.3±0.3
-2.9±0.3
慢性片頭痛部分集団
(N=98)
(N=95)
18.1±4.6
(N=96)注14)
19.2±4.7
(N=93)注14)
15.9±6.3
(N=95)注14)
12.3±7.3
(N=88)注14)
(最小二乗平均値±標準誤差)注15)
-2.2±0.6
-5.9±0.7
副作用発現頻度は本剤120mg投与群で15.9%(37/232例)であった。主な副作用は注射部位紅斑3.4%であった。
継続投与試験として本剤の長期の安全性及び忍容性を検討した。CGAN試験を完了した246例の日本人反復性片頭痛患者及び新規参加の65例の日本人慢性片頭痛患者(計311例)に本剤120mg(CGAN試験のプラセボ投与群から移行した反復性片頭痛患者及び慢性片頭痛患者は初回のみ240mg)又は240mg注16)を1ヵ月間隔で皮下投与した。反復性片頭痛患者では18ヵ月、慢性片頭痛患者では12ヵ月の片頭痛日数の継続的な改善が認められ、本剤の長期の安全性及び良好な忍容性が確認された4)。以下本剤120mg投与群の有効性及び安全性の主要な結果を示す。
● 反復性片頭痛:プラセボ投与群/本剤120mg投与群:CGAN試験でプラセボを投与されCGAP試験で本剤120mgを投与された62例
▼ 反復性片頭痛:本剤120mg投与群/本剤120mg投与群:CGAN試験で本剤120mgを投与されCGAP試験で本剤120mgを投与された58例
■ 慢性片頭痛:本剤120mg投与群:CGAP試験新規参加で本剤120mgを投与された32例
副作用発現頻度は反復性片頭痛患者の本剤120mg投与群で32.5%(39/120例)であり、慢性片頭痛患者の本剤120mg投与群で28.1%(9/32例)であった。反復性片頭痛患者における主な副作用は注射部位紅斑17.5%、注射部位そう痒感14.2%、注射部位腫脹8.3%であった。慢性片頭痛患者における主な副作用は注射部位そう痒感15.6%、注射部位紅斑9.4%、注射部位疼痛6.3%であった。
ガルカネズマブはカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に結合するヒト化IgG4モノクローナル抗体であり、CGRP受容体を阻害することなくCGRPの生理活性を阻害する。ガルカネズマブはCGRPに高い親和性(KD=31pM)と選択性を有し、CGRP受容体やCGRP関連ペプチド(アドレノメデュリン、アミリン、カルシトニン及びインテルメジン)には明らかな結合性を示さない(CGRPに対する親和性はこれらペプチドに対する親和性の10000倍より大きい)。片頭痛患者では片頭痛発作の誘発に関連するとされるCGRPの血中濃度が上昇しており、ガルカネズマブのCGRP活性の阻害作用により、片頭痛発作の発症が抑制されると考えられる12)。
ガルカネズマブ(遺伝子組換え)[Galcanezumab(Genetical Recombination)]〔JAN〕
ガルカネズマブは、遺伝子組換えヒト化モノクローナル抗体であり、マウス抗ヒトα-及びβ-カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体の相補性決定部、ヒトフレームワーク部及びヒトIgG4の定常部からなる。H鎖の227,233及び234番目のアミノ酸残基は、それぞれPro、Ala及びAlaに置換されており、C末端のLysは除去されている。ガルカネズマブは、チャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される。ガルカネズマブは、445個のアミノ酸残基からなるH鎖(γ4鎖)2本及び214個のアミノ酸残基からなるL鎖(κ鎖)2本で構成される糖タンパク質(分子量:約147,000)である。
1mL[1オートインジェクター]
1mL[1シリンジ]
1) *社内資料: ガルカネズマブの毒性試験(2021年1月22日承認、CTD2.6.6)
2) *社内資料: 日本人及び外国人健康被験者を対象としたガルカネズマブの第I相試験(2021年1月22日承認、CTD2.7.6.2)
3) *Sakai F, et al.: Cephalalgia Rep. 2020; 3: 1-10
4) *Hirata K, et al.: Expert Opin. Drug Saf. 2021; (doi: 10.1080/14740338.2021.1866536)
5) *社内資料: ガルカネズマブの母集団薬物動態解析(2021年1月22日承認、CTD2.7.2.3、2.7.2.5)
6) *Stauffer VL, et al.: Patient Prefer Adherence. 2018; 12: 1785-1795
7) *Stauffer VL, et al.: JAMA Neurol. 2018; 75(9): 1080-1088
8) *Skljarevski V, et al.: Cephalalgia. 2018; 38(8): 1442-1454
9) *Detke HC, et al.: Neurology. 2018; 91(24): e2211-e2221
10) *社内資料: 他剤で効果不十分な成人片頭痛患者を対象としたガルカネズマブの第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験(2021年1月22日承認、CTD2.7.6.7)
11) *Mulleners WM, et al.: Lancet Neurol. 2020; 19(10): 814-825
12) *社内資料: ガルカネズマブの薬理試験(2021年1月22日承認、CTD2.6.2)
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