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劇薬
処方箋医薬品注)
生物由来製品
2型糖尿病
本剤の適用は、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること。
*通常、成人には、デュラグルチド(遺伝子組換え)として、0.75mgを週に1回、皮下注射する。なお、患者の状態に応じて1.5mgを週に1回投与に増量できる。
使用経験がなく、胃腸障害の症状が悪化するおそれがある。
,,
腸閉塞を起こすおそれがある。
*妊婦又は妊娠している可能性のある女性には本剤を投与せず、インスリン製剤を使用すること。妊娠ラット又はウサギに本剤(ヒトに週1回本剤1.5mgを皮下投与した場合の血漿中曝露量の34又は10倍以上)を投与した場合、母動物の摂餌量の減少及び体重の低下に起因した胎児の発育遅延や骨格への影響が認められた1),2),5)。妊娠及び授乳期のラットに本剤(ヒトに週1回本剤1.5mgを皮下投与した場合の血漿中曝露量の13倍)を投与した場合、雌出生児に記憶障害が認められたが3),5)、新生児ラットに本剤(ヒトに週1回本剤1.5mgを皮下投与した場合の血漿中曝露量の71倍)を投与した場合、記憶障害は認められなかった4),5)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤の乳汁中への移行は不明である。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
低血糖の発現に注意すること。特にスルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。これらの薬剤と併用する場合、低血糖のリスクを軽減するため、これらの薬剤の減量を検討すること。
血糖降下作用が増強される。
血糖値、その他患者の状態を十分に観察しながら投与すること。
血糖降下作用が減弱される。
ワルファリンのtmaxが4~5.5時間遅延したとの報告がある。類薬(エキセナチド)で出血を伴うINR増加が報告されている。
本剤の胃内容物排出遅延作用による。
低血糖症状(脱力感、高度の空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、知覚異常等)があらわれることがある。また、DPP-4阻害剤で、スルホニルウレア剤との併用で重篤な低血糖症状があらわれ、意識消失を来す例も報告されている。低血糖症状が認められた場合は、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用時はブドウ糖を投与すること。,,,,,,,,,
蕁麻疹、口唇腫脹、咽・喉頭浮腫、呼吸困難等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、膵炎と診断された場合には、本剤を再投与しないこと。,,
高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
重度の下痢、嘔吐から脱水を続発し、急性腎障害に至った例も報告されている。
5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
循環器
心拍数増加注1)
洞性頻脈、PR間隔延長/第一度房室ブロック注2)
消化器
便秘、悪心、下痢
食欲減退、消化不良、嘔吐、腹部不快感、腹痛、腹部膨満
胃食道逆流性疾患、おくび、胃炎
肝胆道
胆石症
*眼
糖尿病網膜症
注射部位
注射部位反応(紅斑、炎症、そう痒感、腫脹、発疹等)
過敏症
過敏症反応(浮腫、蕁麻疹等)
その他
疲労
注入器の破損又は異常がないこと、薬液が無色澄明で浮遊物がないことを確認すること。
*0.75mg製剤承認時の国内第III相臨床試験における抗デュラグルチド抗体の発現割合は1.4%(13/910例)であった。
*ラットを用いた長期がん原性試験において、甲状腺C細胞腺腫及び腫瘍(腺腫及び癌の合算)の発生頻度の増加が認められた(ヒトに週1回本剤1.5mgを皮下投与した場合の血漿中曝露量の5.8倍以上)。rasH2トランスジェニックマウスを用いた短期がん原性試験では、腫瘍の発生は認められなかった5),6)。甲状腺髄様癌の既往のある患者及び甲状腺髄様癌又は多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴のある患者に対する本剤の安全性は確立していない。
*日本人2型糖尿病患者24例に本剤0.75mgを週1回反復皮下投与したとき、1回目及び5回目投与後の薬物動態を評価した。デュラグルチドの半減期(t1/2)は4.5日(108時間)であり、投与5回目におけるAUC0-168hrの累積係数は1.45であった。
薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移を以下に示す7)。
本剤投与
N
AUC0-168hr(ng・hr/mL)
Cmax(ng/mL)
tmax注3)(hr)
t1/2注4)(hr)
CL/F(L/hr)
Vz/F(L)
1回目
24
5860(21)
46.3(22)
50.33(45.87-94.67)
108(71.3-145)
0.0764(22)
11.9(24)
5回目
8570注5)(21)
67.7(24)
48.00(22.67-96.48)
108注5)(71.7-167)
0.0875注5)(21)
13.6注5)(35)
CL/F:見かけのクリアランス、Vz/F:見かけの分布容積
幾何平均値(変動係数%)
図1)日本人2型糖尿病患者に本剤0.75mgを週1回反復皮下投与したときの1回目及び5回目投与後の血漿中デュラグルチド濃度推移(平均値+標準偏差)
日本人2型糖尿病患者7例に本剤1.5mgを週1回5週間反復皮下投与し、1回目及び5回目投与後の薬物動態を評価した。薬物動態パラメータを以下に示す8)。
tmax注6)(hr)
t1/2注7)(hr)
7
10900注8)(33)
87.8(39)
72.00(48.00-72.00)
-
18000(31)
152(40)
48.00(48.00-72.00)
108(94.3-131)
0.0834(31)
15.0(38)
*健康成人45例に3つの異なる投与部位(腹部、上腕部及び大腿部)に本剤1.5mgを単回皮下投与したとき、腹部投与に対する相対的バイオアベイラビリティ[AUC0-∞比(90%信頼区間)]は、上腕部で0.973(0.941、1.01)、大腿部で0.989(0.956、1.02)であった9)(外国人データ)。健康成人に本剤0.75mg又は1.5mgを単回皮下投与したときの絶対的バイオアベイラビリティの推定値は65%及び47%であった10)(外国人データ)。
本剤は、一般的なタンパク異化経路によってアミノ酸に分解されると推定される。
腎機能正常被験者(クレアチニンクリアランス>80mL/min)16例、軽度腎機能障害患者(50<クレアチニンクリアランス≦80mL/min)8例、中等度腎機能障害患者(30≦クレアチニンクリアランス≦50mL/min)8例、高度腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス<30mL/min)8例及び血液透析を受けている末期腎疾患患者(3ヵ月以上血液透析を受けている)8例に本剤1.5mgを単回皮下投与した試験において、腎機能正常被験者に対する軽度、中等度及び高度腎機能障害患者、血液透析を受けている末期腎疾患患者の本剤のAUC0-∞の比(90%信頼区間)は、それぞれ1.20(1.06、1.35)、1.28(1.13、1.44)、1.14(1.00、1.29)及び1.12(0.995、1.26)であった。また、Cmaxの比(90%信頼区間)は、それぞれ1.13(0.963、1.31)、1.23(1.05、1.43)、1.20(1.02、1.40)及び1.11(0.950、1.30)であった11)(外国人データ)。
肝機能正常被験者11例、軽度肝機能障害患者(Child-Pugh分類A)6例、中等度肝機能障害患者(Child-Pugh分類B)6例、高度肝機能障害患者(Child-Pugh分類C)3例に本剤1.5mgを単回皮下投与した試験において、肝機能正常被験者に対する軽度、中等度及び高度肝機能障害患者の本剤のAUC0-∞の比(90%信頼区間)は、それぞれ0.774(0.649、0.922)、0.669(0.556、0.805)及び0.791(0.632、0.989)であった。また、Cmaxの比(90%信頼区間)は、それぞれ0.791(0.654、0.957)、0.703(0.582、0.849)及び0.761(0.597、0.971)であった12)(外国人データ)。
高齢2型糖尿病患者(29例、65~76歳)に本剤0.5注15)、0.75又は1.5mgを週1回6週間反復皮下投与した試験を行った(外国人データ)。高齢2型糖尿病患者に本剤0.75mgを投与したときのデュラグルチドの薬物動態パラメータを以下に示す13)(外国人データ)。
tmax注9)(hr)
t1/2注10)(hr)
11
4630(31)
37.7(33)
71.7(12.0-95.2)
6回目
6730(32)
51.6(30)
48.0(24.0-72.5)
131注11)(107-189)
0.111(32)
19.2注11)(19)
CL/F:見かけのクリアランス、Vz/F:見かけの分布容積幾何平均値(変動係数%)
母集団薬物動態解析(2型糖尿病患者487例、うち日本人152例)において、65歳未満及び65歳以上の患者の薬物動態の間に大きな違いは認められないものと推定された13)。
本剤とアセトアミノフェン14)、リシノプリル15)、メトプロロール15)、ワルファリン16)、メトホルミン17)、ジゴキシン18)、アトルバスタチン19)、経口避妊薬20)及びシタグリプチン21)を併用した薬物相互作用試験の結果を下表に示す(外国人データ)。
併用薬
併用薬に対する影響
AUC比[90%信頼区間]
Cmax比[90%信頼区間]
tmax差(hr)[90%信頼区間]
本剤1mg注15)を週1回反復皮下投与
アセトアミノフェン1000mg注12)
22/22
0.88[0.85,0.92]
0.64[0.59,0.70]
1.00[0.73,1.73]
4回目
22/21
1.05[1.01,1.08]
0.94[0.87,1.03]
0.02[-0.50,0.53]
4回目2週後
1.00[0.96,1.03]
1.04[0.96,1.14]
-0.02[-0.50,0.09]
本剤3mg注15)を週1回反復皮下投与
8/8
0.89[0.83,0.95]
0.50[0.43,0.59]
2.15[1.02,1.73]
8/6
1.13[1.05,1.23]
0.96[0.82,1.14]
0.97[0.00,1.48]
1.05[0.97,1.14]
0.97[0.82,1.14]
0.49[-0.03,1.02]
本剤1.5mgを単回皮下投与又は週1回反復皮下投与
リシノプリル5~40mg
23/22
1.06[0.91,1.24]
0.95[0.81,1.12]
-0.50[-1.00,0.00]
23/18
1.05[0.89,1.24]
1.02[0.86,1.21]
1.00[1.00,1.00]
メトプロロール100mg
単回
20/19
1.19[1.11,1.28]
1.32[1.20,1.45]
1.00[0.00,3.00]
ワルファリン10mg
S-ワルファリン
28/25
0.99[0.96,1.01]
0.78[0.74,0.83]
4.02[3.00,5.00]
R-ワルファリン
0.99[0.96,1.02]
0.86[0.82,0.90]
5.50[4.00,8.00]
メトホルミン速放性製剤
2回目
12/12
1.12[1.02,1.22]
0.88[0.80,0.98]
0.02[-0.05,1.03]
12/11
1.15[1.05,1.26]
0.99[0.89,1.10]
-0.02[-1.03,1.02]
ジゴキシン0.25mg
21/21
0.96[0.88,1.03]
0.78[0.67,0.92]
0.50[0.00,1.50]
21/20
0.96[0.89,1.04]
0.83[0.71,0.98]
0.50[0.00,0.50]
アトルバスタチン40mg
27/27
0.79[0.75,0.82]
0.30[0.25,0.36]
経口避妊薬注13)
ノルエルゲストロミン注14)
19/14
0.90[0.83,0.98]
0.74[0.65,0.85]
2.00[0.00,2.00]
エチニルエストラジオール
0.99[0.90,1.09]
0.87[0.79,0.97]
0.30[0.00,2.00]
シタグリプチン100mg
28/29
1.01[0.86,1.17]
0.89[0.73,1.08]
0.50[0.00,1.02]
28/27
0.93[0.79,1.09]
0.77[0.63,0.94]
0.50[0.00,1.00]
本剤投与:アセトアミノフェンとシタグリプチン以外の併用薬の薬物動態は、本剤単回皮下投与又は週1回反復皮下投与2日後(約48時間後:本剤tmaxに相当)に評価した。アセトアミノフェンは注10)参照。シタグリプチンは本剤投与1日後に評価した。
N:本剤非投与時/本剤併用投与時
AUC:AUC0-24hr(ワルファリンとアトルバスタチンはAUC0-∞)
AUC比、Cmax比:本剤併用投与時/本剤非投与時
tmax差:本剤併用投与時-本剤非投与時
*
食事・運動療法、又は食事・運動療法に加え経口血糖降下薬単剤投与(試験開始前にウォッシュアウト)にて治療中の2型糖尿病患者145例を対象に、本剤0.25注16)、0.5注16)、0.75mg又はプラセボを週1回(二重盲検)12週間皮下投与した。主要評価項目のベースラインから投与12週時までのHbA1c変化量(最小二乗平均値±標準誤差)は、本剤0.25mg注16)群-0.90±0.09%、本剤0.5mg注16)群-1.15±0.08%、本剤0.75mg群-1.35±0.09%、プラセボ群-0.18±0.09%であり、本剤0.75mg群でより低下した(p<0.001、t検定)22)。投与12週時までの副作用発現割合は、本剤0.25mg注16)群3/36例(8.3%)、本剤0.5mg注16)群9/37例(24.3%)、本剤0.75mg群5/35例(14.3%)、プラセボ群2/37例(5.4%)であった。主な副作用(発現割合5%以上)は、本剤0.5mg注16)群では悪心
6/37例(16.2%)、上腹部痛2/37例(5.4%)、本剤0.75mg群では便秘及び悪心が各
2/35例(5.7%)であった。投与12週時までの低血糖(症候性低血糖又は血糖値が70mg/dL以下)は本剤0.5mg注16)群1/37例(2.7%)、本剤0.75mg群2/35例(5.7%)に認められたが、第三者の手助けを必要とする低血糖は認められなかった。
食事・運動療法、又は食事・運動療法に加え経口血糖降下薬単剤投与(試験開始前にウォッシュアウト)にて治療中の2型糖尿病患者487例(本剤群:280例、プラセボ群:70例、リラグルチド群:137例)を対象とし、本剤0.75mg又はプラセボを週1回(二重盲検)、又はリラグルチド0.9mgを1日1回(非盲検)26週間皮下投与した。主要評価項目のベースラインから投与26週時までのHbA1c変化量(最小二乗平均値±標準誤差)は、本剤群-1.43±0.05%、プラセボ群0.14±0.10%、群間差-1.57%(95%信頼区間:-1.79%、-1.35%)であった。またHbA1c変化量のリラグルチド群との群間差は
-0.10%(95%信頼区間:-0.27%、0.07%)であり、群間差の95%信頼区間の上限が0.4%未満であることから、本剤のリラグルチドに対する非劣性が示された。なお、ベースラインから投与52週時までのHbA1c変化量(最小二乗平均値±標準誤差)は、本剤群-1.39±0.06%、リラグルチド群-1.19±0.08%、群間差-0.20%(95%信頼区間:-0.39%、-0.01%)であった23),24)。投与52週時までの副作用発現割合は、本剤群68/280例(24.3%)、リラグルチド群
39/137例(28.5%)であった。主な副作用(発現割合2%以上)は、本剤群では便秘6.1%、悪心4.3%、下痢3.9%、腹部膨満3.2%、腹部不快感3.2%、リラグルチド群では悪心7.3%、便秘5.8%、食欲減退5.8%、腹部膨満5.1%、注射部位そう痒感3.6%、下痢2.2%、腹部不快感2.2%であった。投与52週時までの低血糖(症候性低血糖又は血糖値が70mg/dL以下)は、本剤群
8/280例(2.9%)、リラグルチド群4/137例(2.9%)に認められたが、第三者の手助けを必要とする低血糖は認められなかった。
食事・運動療法に加えスルホニルウレア剤、ビグアナイド系薬剤の単剤又は両剤で血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者361例(本剤群:181例、インスリングラルギン群:180例)を対象に、本剤0.75mgを週1回又はインスリングラルギンを1日1回26週間皮下投与した。主要評価項目のベースラインから投与26週時までのHbA1c変化量(最小二乗平均値±標準誤差)は、本剤群-1.44±0.05%、インスリングラルギン群-0.90±0.05%であった。HbA1c変化量の群間差は-0.54%(95%信頼区間:-0.67%、
-0.41%)であり、群間差の95%信頼区間の上限が0.4%未満であることから、本剤のインスリングラルギンに対する非劣性が示された25)。投与26週時までの副作用発現割合は、本剤群54/181例(29.8%)、インスリングラルギン群4/180例(2.2%)であった。主な副作用は、本剤群(発現割合2%以上)では下痢8.3%、悪心7.7%、便秘6.6%、リパーゼ増加3.3%、嘔吐2.8%、食欲低下2.8%、インスリングラルギン群では便秘、糖尿病神経障害、異常感、注射部位内出血、末梢性浮腫が各0.6%であった。投与26週時までの低血糖(症候性低血糖又は血糖値が70mg/dL以下)は本剤群
47/181例(26.0%)、インスリングラルギン群86/180例(47.8%)に認められたが、第三者の手助けを必要とする低血糖は認められなかった。体重のベースラインから26週までの変化量(最小二乗平均値±標準誤差)は本剤群
-0.48±0.17kg、インスリングラルギン群0.94±0.17kgであった。
食事・運動療法に加えて、経口血糖降下薬単剤で血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者を対象に、本剤0.75mgを週1回52週間併用投与した。いずれの併用療法においても、投与開始初期からHbA1c及び空腹時血糖が低下し始め、52週間にわたって効果が持続した26)。体重はα-グルコシダーゼ阻害剤併用群及びビグアナイド系薬剤併用群で減少、スルホニルウレア剤併用群及び速効型インスリン分泌促進剤併用群で不変、チアゾリジン系薬剤併用群で増加した。投与52週時までの主な副作用(発現割合2%以上)は、悪心7.4%、便秘7.1%、下痢6.3%、リパーゼ増加4.8%、食欲減退3.6%、消化不良3.3%、嘔吐3.0%、腹部膨満2.5%、腹部不快感2.0%、注射部位そう痒感2.0%であった。投与52週時までの低血糖(症候性低血糖又は血糖値が70mg/dL以下)は、スルホニルウレア剤併用時に増加する傾向が認められたが、第三者の手助けを必要とする低血糖は認められなかった。
HbA1c注17)(%)
体重注17)(kg)
副作用注18)(%)
低血糖注18)(%)
スルホニルウレア剤
131
-1.67±0.09
0.10±0.24
44.3
33.6
α-グルコシダーゼ阻害剤
65
-1.65±0.11
-1.24±0.42
32.3
6.2
ビグアナイド系薬剤
61
-1.57±0.11
-0.87±0.40
23.0
3.3
チアゾリジン系薬剤
66
-1.69±0.13
1.02±0.35
25.8
6.1
速効型インスリン分泌促進剤
71
-1.65±0.13
0.04±0.26
36.6
9.9
食事・運動療法に加えて、経口血糖降下薬単剤で血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者586例(本剤1.5mg群:391例、本剤0.75mg群:195例)を対象に、本剤1.5mg又は0.75mgを週1回52週間皮下投与した。前治療がDPP-4阻害剤の場合は本剤投与開始時にDPP-4阻害剤の投与を中止し、他の経口血糖降下薬の場合は当該薬剤の投与を継続した。主要評価項目のベースラインから投与26週時までのHbA1c変化量(最小二乗平均値±標準誤差)は、本剤1.5mg群-1.53±0.04%、本剤0.75mg群-1.25±0.06%で、群間差は-0.29%(95%信頼区間:-0.43%、-0.14%)であり、本剤1.5mgの本剤0.75mgに対する優越性が示された。また、本剤1.5mg群及び本剤0.75mg群でともに、ベースラインからのHbA1cの低下は、投与52週時まで持続した27)。
投与52週時までの副作用発現割合は、本剤1.5mg群147/391例(37.6%)、本剤0.75mg群54/195例(27.7%)であった。主な副作用(発現割合5%以上)とその発現割合は、本剤1.5mg群では便秘10.7%、悪心8.4%、下痢7.7%、腹部不快感6.1%、本剤0.75mg群では便秘8.2%であった。
投与52週時までの低血糖(血糖値54mg/dL以上70mg/dL未満)の発現割合は、いずれの群においても、スルホニルウレア剤又は速効型インスリン分泌促進剤併用時に、他の経口血糖降下薬併用時又は本剤単独投与時に比較して高い傾向が認められたが、第三者の手助けを必要とする低血糖は認められなかった。
インスリン製剤(基礎インスリン療法、混合型インスリン療法、又は基礎/食前インスリン療法)にて治療中の2型糖尿病患者159例(本剤群:120例、プラセボ群:39例)を対象に、本剤0.75mg又はプラセボを週1回16週間皮下投与(二重盲検)、その後本剤0.75mgを週1回36週間皮下投与(非盲検)した。主要評価項目のベースラインから投与16週時までのHbA1c変化量(最小二乗平均値±標準誤差)は、本剤群-1.45±0.06%、プラセボ群0.06±0.10%、群間差-1.50%(95%信頼区間:-1.73%、-1.28%)であり、本剤のプラセボに対する優越性が示された。なお、ベースラインから投与52週時までの本剤群のHbA1c変化量(最小二乗平均値±標準誤差)は-1.09±0.07%であった28)。
投与52週時までに本剤群で認められた主な副作用(発現割合5%以上)は、便秘9.2%、食欲減退7.5%、腹部不快感6.7%、悪心5.8%、下痢5.0%、リパーゼ増加5.0%であった。
低血糖(症候性低血糖又は血糖値が70mg/dL以下)は、投与16週時までに、本剤群
51/120例(42.5%)、プラセボ群12/39例(30.8%)で認められ、本剤と混合型インスリン療法が併用された1例で第三者の手助けを必要とする低血糖が報告された。
本剤はアミノ酸を置換したヒトGLP-1アナログと改変ヒトIgG4 Fc領域との融合タンパク質であり、アミノ酸置換によりDPP-4による分解に抵抗性を示し、分子量の増加により吸収速度及び腎クリアランスが低下することで作用が持続する29),30)。本剤は膵β細胞のGLP-1受容体に結合し、細胞内cAMP濃度を上昇させ、グルコース濃度依存的にインスリン分泌を亢進する30)。
2型糖尿病患者に本剤0.3注19)、1.0注19)、3.0注19)及び6.0mg注19)を単回皮下投与したとき、いずれの用量においてもプラセボ群に対して投与3日目の空腹時及び食後血糖値が統計学的に有意に低下した31)。また、2型糖尿病患者に本剤0.75mgを週1回皮下投与したとき、投与26週時の7ポイント自己測定血糖値(毎食前及び食後2時間並びに就寝前)がすべてのポイントでベースラインから低下し、その低下は投与間隔である7日間持続した7)。
ラットインスリノーマ細胞株並びにラット及びカニクイザル由来の膵島細胞を用いた
in vitroインスリン分泌能試験において、本剤はグルコース低濃度条件下ではインスリン分泌作用を示さず、高濃度条件下でインスリン分泌を亢進させた。また、GLP-1受容体拮抗薬によりこのインスリン分泌亢進作用は阻害された。ラット及びカニクイザルを用いたin vivoグルコース負荷試験において、本剤はグルコース濃度に依存的なインスリン分泌作用を示した30)。2型糖尿病患者に本剤1.5mgを単回皮下投与したとき、グルコース急速投与によりインスリンの第1相分泌(グルコース投与直後から10分後)及び第2相分泌(グルコース投与10分後から180分後)における血中インスリン濃度AUCは、プラセボ投与時に対して増加した32)(外国人データ)。
2型糖尿病患者に本剤0.75mg及び1.5mgを週1回皮下投与したとき、投与26週時の空腹時血中グルカゴン濃度及び食事負荷後の血中グルカゴン濃度のAUC(食後0~3時間)は、ベースラインから低下した33)(外国人データ)。
2型糖尿病患者に本剤1.5mgを週1回4週間皮下投与したシンチグラフィーを用いた試験において、胃内の残留放射能が50%減少するのにかかる時間(t50)が約2時間遅延した。胃内容排出に対する影響(t50)は、初回投与後が最も大きく、本剤の2、3及び4回目投与の2日後では初回投与に対してそれぞれ88%、87%及び84%に短縮した17)(外国人データ)。[アセトアミノフェンによる評価は]
デュラグルチド(遺伝子組換え)[Dulaglutide (Genetical Recombination)]〔JAN〕
デュラグルチドは、遺伝子組換え融合糖タンパク質であり、1~31番目は改変型ヒトグルカゴン様ペプチド1、また48~275番目は改変型ヒトIgG4のFcドメインからなり、2、16、30、57、63及び64番目のアミノ酸残基がそれぞれGly、Glu、Gly、Pro、Ala及びAlaに置換されている。デュラグルチドは、チャイニーズハムスター卵巣細胞から産生される。デュラグルチドは、275個のアミノ酸残基からなるサブユニット2個から構成される糖タンパク質(分子量:約63,000)である。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
*0.5mLx2キット
1) 社内資料:ラットを用いた胚・胎児発生に関する試験(2015年7月3日承認、CTD2.6.6.6.3)
2) 社内資料:ウサギを用いた胚・胎児発生に関する試験(2015年7月3日承認、CTD2.6.6.6.4)
3) 社内資料:ラットを用いた出生前及び出生後の発生並びに母体の機能に関する試験(2015年7月3日承認、CTD2.6.6.6.5)
4) 社内資料:新生児ラットを用いた毒性試験(2015年7月3日承認、CTD2.6.6.6.6)
5) *社内資料:非臨床試験の概括評価
6) Byrd,R.A.et al.:Endocrinology.2015;156(7):2417-2428
7) 社内資料:日本人2型糖尿病患者を対象とした第III相臨床試験(GBDP試験)(2015年7月3日承認、CTD2.7.6.22)
8) 社内資料:日本人2型糖尿病患者における第I相反復投与試験(2015年7月3日承認、CTD2.7.6.5)
9) 社内資料:投与部位の影響を評価した試験(2015年7月3日承認、CTD2.7.6.1)
10) 社内資料:絶対的バイオアベイラビリティを評価した試験(2015年7月3日承認、CTD2.7.6.2)
11) 社内資料:腎機能障害患者における薬物動態試験(2015年7月3日承認、CTD2.7.6.6)
12) 社内資料:肝機能障害患者における薬物動態試験(2015年7月3日承認、CTD2.7.6.8)
13) 社内資料:高齢2型糖尿病患者における薬物動態試験(2015年7月3日承認、CTD2.7.6.7)
14) 社内資料:アセトアミノフェンを用いた胃内容排出に対する影響を評価した試験(2015年7月3日承認、CTD2.7.6.17)
15) 社内資料:リシノプリル及びメトプロロールとの薬物相互作用試験(2015年7月3日承認、CTD2.7.6.10)
16) 社内資料:ワルファリンとの薬物相互作用試験(2015年7月3日承認、CTD2.7.6.13)
17) 社内資料:シンチグラフィーを用いた胃内容排出に対する影響を評価した試験(2015年7月3日承認、CTD2.7.6.20)
18) 社内資料:ジゴキシンとの薬物相互作用試験(2015年7月3日承認、CTD2.7.6.9)
19) 社内資料:アトルバスタチンとの薬物相互作用試験(2015年7月3日承認、CTD2.7.6.11)
20) 社内資料:経口避妊薬との薬物相互作用試験(2015年7月3日承認、CTD2.7.6.12)
21) 社内資料:シタグリプチンとの薬物相互作用試験(2015年7月3日承認、CTD2.7.6.14)
22) Terauchi,Y.et al.:Endocrine Journal.2014;61(10):949-959
23) Miyagawa,J.et al.:Diabetes Obes.Metab.2015;17(10):974-983
24) Odawara,M.et al.:Diabetes Obes.Metab.2016;18(3):249-257
25) Araki,E.et al.:Diabetes Obes.Metab.2015;17(10):994-1002
26) Emoto,M.et al.:Endocrine Journal.2015;62(12):1101-1114
27) **,*Morioka,T.et al.:Diabetes Obes.Metab.2024;26(8):3167-3175
28) Ishii,H.et al.:Diabetes Ther. 2020;11(1):133-145
29) Glaesner,W.et al.:Diabetes Metab.Res.Rev.2010;26:287-296
30) 田牧千裕ほか:日本薬理学雑誌.2015;146(4):215-224
31) 社内資料:日本人2型糖尿病患者における第I相単回投与試験(2015年7月3日承認、CTD2.7.6.4)
32) 社内資料:第1相及び第2相インスリン分泌に対するデュラグルチドの影響を評価した試験(2015年7月3日承認、CTD2.7.6.18)
33) 社内資料:外国人2型糖尿病患者を対象とした第III相臨床試験(2015年7月3日承認、CTD2.7.6.30)
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