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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤の適用は、あらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること。
通常、成人には、チルゼパチドとして週1回5mgを維持用量とし、皮下注射する。ただし、週1回2.5mgから開始し、4週間投与した後、週1回5mgに増量する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、週1回5mgで効果不十分な場合は、4週間以上の間隔で2.5mgずつ増量できる。ただし、最大用量は週1回15mgまでとする。
胃腸障害の症状が悪化するおそれがある。
,,
,
*妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
*妊婦又は妊娠している可能性のある女性には本剤を投与せず、インスリン製剤を使用すること。
*生殖発生毒性試験において、妊娠ラットに本剤を投与した場合、臨床最大用量でヒトに投与したときの本薬の曝露量を下回る用量(臨床最大用量でのCmax比較において0.74倍、AUC比較において0.25倍)で、胎児毒性(骨格奇形、内臓奇形等)が認められた。これらの所見は母動物の摂餌量の低値及び体重の低値を伴うものであった1)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト乳汁中への移行は不明である。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
体重も含め、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。,
低血糖の発現に注意すること。特にスルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。これらの薬剤と併用する場合、低血糖のリスクを軽減するため、これらの薬剤の減量を検討すること。
血糖降下作用が増強される。
特に投与開始初期又は漸増後初期では併用する経口避妊薬の効果を減弱させるおそれがある。
本剤の胃内容物排出遅延作用による。
GLP-1受容体作動薬との併用によりワルファリンのtmaxが遅延したとの報告があり、エキセナチドで出血を伴うINR増加が報告されている。
低血糖症状(脱力感、高度の空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、視覚異常等)があらわれることがある。また、インスリン製剤又はスルホニルウレア剤との併用時に重篤な低血糖症状があらわれ意識消失を来す例も報告されている。
低血糖症状が認められた場合は、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用時はブドウ糖を投与すること。,,,,,,,
嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等の異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、膵炎と診断された場合は、再投与は行わないこと。,,
5%以上
1~5%未満
1%未満
循環器
心拍数増加注1)、低血圧、血圧低下
消化器
悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退
腹部膨満、胃食道逆流性疾患、おくび
鼓腸
肝胆道
胆石症
眼
糖尿病網膜症
注射部位
注射部位反応(紅斑、そう痒感、疼痛、腫脹等)
免疫系
過敏症(湿疹、発疹、そう痒性皮疹等)
*精神神経系
味覚不全、異常感覚
臨床検査
膵アミラーゼ増加、リパーゼ増加、体重減少
その他
疲労
注入器の破損又は異常がないこと、薬液の変色や浮遊物がないことを確認すること。
皮下注射は、腹部、大腿部又は上腕部に行う。同じ部位の中で注射する場合、毎回注射する場所を変更すること。静脈内及び筋肉内に投与しないこと。
国内外の第III相試験7試験(5119例)において、抗薬物抗体が評価可能な5025例のうち、抗チルゼパチド抗体が51.1%(2570例)に、内因性GIP又は内因性GLP-1に対する交差抗体はそれぞれ33.9%(1705例)及び14.2%(716例)に発現した。チルゼパチドのGIP受容体又はGLP-1受容体の活性化に対する中和抗体はそれぞれ1.9%(94例)及び2.1%(107例)に発現した。
雌雄ラットを用いた2年間がん原性試験において、本剤を0.15、0.50及び1.5mg/kgの用量(それぞれ最大臨床推奨用量をヒトに皮下投与した際のAUCの0.12、0.36及び1.02倍のAUCをもたらす用量)で週2回皮下投与したところ、対照群と比較して、甲状腺C細胞腫瘍(腺腫及び癌)の発生頻度の増加がすべての用量でみられた。rasH2トランスジェニックマウスを用いた6ヵ月間がん原性試験において、本剤を1、3及び10mg/kgの用量で週2回皮下投与したところ、甲状腺C細胞の過形成あるいは腫瘍の発生頻度に増加は認められなかった1)。甲状腺髄様癌の既往のある患者及び甲状腺髄様癌又は多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴のある患者に対する本剤の安全性は確立していない。
日本人2型糖尿病患者29例に本剤5mg、10mg又は15mgを週1回皮下投与(いずれの用量においても週1回2.5mgで投与を開始し、以後4週間ごとに2.5mgずつ増量)したとき、32週目投与後の薬物動態を評価した。本剤32週目投与後のtmaxの中央値は約24時間、半減期(t1/2)は約5~6日であり、Cmax及びAUC(0-168)の幾何平均値は概ね用量比例的に増加した。
薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移を以下に示す2)。
投与量
(例数)
tmax
(h)注2)
t1/2
(h)注3)
Cmax
(ng/mL)
AUC(0-168)
(ng・h/mL)
CL/F
(L/h)
Vz/F
(L)
5mg
(N=7)
24.63
(8.00-48.00)
146
(121-269)注4)
835
(23)
94800
(16)注5)
0.0528
11.1
(51)注4)
10mg
(N=10)
23.57
(8.00-72.00)
121
(104-156)注5)
1730
(46)
197000
(36)
0.0507
9.47
(48)注5)
15mg
(N=9)
24.08
(8.00-47.50)
122
(103-148)注5)
2370
(21)
288000
0.0502
(22)注6)
9.43
(19)注5)
CL/F:見かけのクリアランス、Vz/F:見かけの分布容積
幾何平均値(幾何変動係数%)
日本人2型糖尿病患者11例に本剤5mgを週1回皮下投与したとき、薬物動態パラメータは表2のとおりであった3)。
本剤
投与
例数
(h)注7)
(h)注8)
1回目
11
48.00
(23.98-72.00)
-
364
(20)
48800
(16)
8回目
(23.83-48.00)
127
(112-144)
838
(22)
104000
(19)
0.029
5.27
(15)
健康成人54例に3つの異なる投与部位(腹部、上腕部及び大腿部)に本剤5mgを単回皮下投与したとき、腹部投与に対する上腕部及び大腿部投与でのAUC(0-∞)の最小二乗幾何平均値の比[90%信頼区間]は、0.99[0.97,1.01]及び0.95[0.94,0.97]であった4)(外国人データ)。健康成人20例に本剤5mgを単回皮下投与したときの絶対的バイオアベイラビリティの推定値は80%であった5)(外国人データ)。
本剤は主に血漿アルブミンと強く結合(結合率:99.06%)する6)。
本剤の代謝経路は、一般的なタンパク質の異化経路によるペプチド骨格の分解、C20脂肪酸部分のβ酸化及びアミド加水分解である。
本剤は代謝され主に尿中及び糞便中に排泄される。未変化体は尿中及び糞便中には認められなかった7)。
腎機能正常被験者(eGFR≧90mL/min/1.73m2)14例、軽度腎機能障害患者(eGFR:60~89mL/min/1.73m2)8例、中等度腎機能障害患者(eGFR:30~59mL/min/1.73m2)8例、重度腎機能障害患者(eGFR<30mL/min/1.73m2)7例及び末期腎疾患患者(3ヵ月以上血液透析を受けている)8例に本剤5mgを単回皮下投与した試験において、腎機能正常被験者に対する軽度、中等度、重度腎機能障害患者及び末期腎疾患患者の本剤のAUC(0-∞)の最小二乗幾何平均値の比[90%信頼区間]は、それぞれ1.05[0.86,1.27]、1.29[1.07,1.56]、1.03[0.84,1.27]及び1.16[0.96,1.40]であった。また、Cmaxの最小二乗幾何平均値の比[90%信頼区間]は、それぞれ1.04[0.84,1.30]、1.09[0.87,1.36]、1.23[0.97,1.56]及び1.02[0.82,1.27]であった8)(外国人データ)。
肝機能正常被験者13例、軽度肝機能障害患者(Child-Pugh分類A)6例、中等度肝機能障害患者(Child-Pugh分類B)6例、重度肝機能障害患者(Child-Pugh分類C)7例に本剤5mgを単回皮下投与した試験において、肝機能正常被験者に対する軽度、中等度及び重度肝機能障害患者の本剤のAUC(0-∞)の最小二乗幾何平均値の比[90%信頼区間]は、それぞれ1.08[0.88,1.32]、0.96[0.79,1.17]及び0.85[0.70,1.04]であった。また、Cmaxの最小二乗幾何平均値の比[90%信頼区間]は、それぞれ0.92[0.73,1.16]、1.00[0.80,1.25]及び0.97[0.78,1.21]であった9)(外国人データ)。
国内外の臨床試験19試験より得られた5802例(日本人1086例)を対象とした母集団薬物動態解析の結果、65歳未満と65歳以上の患者の薬物動態の間に大きな違いは認められないものと推定された10)。
本剤と経口避妊薬又はアセトアミノフェンを併用した薬物相互作用試験の結果を表3に示す11),12)(外国人データ)。,
併用薬
併用薬に対する影響
Cmax比
[信頼区間]
AUC比
tmax差(hr)
健康成人女性に本剤を単回投与
経口避妊薬注9)
ノルエルゲストロミン注10)
単回
25/25
0.45
[0.40,0.51]
0.78
[0.71,0.84]
4.50
[1.50,5.00]
エチニルエストラジオール
24/24
0.41
[0.36,0.47]
0.79注11)
[0.73,0.85]
4.23
[1.50,6.50]
2型糖尿病患者に本剤を週1回反復投与
アセトアミノフェン
1g注12)
0.5mg
9/11
1.10
[0.83,1.45]
1.11
[0.88,1.39]
0.00
[-1.00,1.00]
4回目
1.15
[0.87,1.52]
1.09
[0.87,1.37]
-0.17
8/11
0.50
[0.37,0.66]
0.75
[0.59,0.95]
1.00
[0.00,2.25]
6/11
0.92
[0.67,1.26]
1.05
[0.82,1.36]
0.83
[-1.00,2.00]
注13)
11/11
0.64
[0.49,0.83]
1.04
[0.84,1.29]
[0.00,2.00]
注14)
10/11
0.60
[0.46,0.79]
1.07
[0.86,1.33]
[1.00,2.00]
例数:本剤併用投与時/本剤非投与時
AUC:経口避妊薬はAUC(0-τ)、アセトアミノフェンはAUC(0-last)
Cmax比及びAUC比:プラセボ群に対する本剤群の最小二乗幾何平均値の比
tmax差:プラセボ群に対する本剤群の中央値の差
信頼区間:経口避妊薬は90%信頼区間、アセトアミノフェンは95%信頼区間
食事・運動療法で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者478例を対象に無作為割り付けを行い、二重盲検下で本剤5mg、10mg、15mg又はプラセボを週1回、40週間投与した(本剤5mg群:121例(日本人:23例)、本剤10mg群:121例(日本人:22例)、本剤15mg群:121例(日本人:23例)、プラセボ群:115例(日本人:21例))。本剤は、いずれの用量においても週1回2.5mgで投与を開始し、以後4週間ごとに2.5mgずつ増量した。
本剤5mg、10mg又は15mgの40週間投与により、主要評価項目であるHbA1cのベースラインから投与後40週までの変化量に関して、本剤のいずれの用量でもプラセボに対する優越性が検証された(p<0.001)13)。
HbA1c(%)
本剤5mg
本剤10mg
本剤15mg
プラセボ
ベースライン注15)
7.97±0.84
(121)
7.88±0.77
(118)
7.88±1.03
(116)
8.08±0.80
(112)
投与後40週までの変化量注16)
-1.87±0.09
(108)
-1.89±0.10
(105)
-2.07±0.10
(92)
0.04±0.11
(70)
群間差(本剤-
プラセボ)注17)
[95%信頼区間]
-1.91
[-2.18,-1.63]
-1.93
[-2.21,-1.65]
-2.11
[-2.39,-1.83]
ベースラインから投与後40週までの体重の変化量(最小二乗平均±標準誤差)は、本剤5mg群で-7.0±0.52kg(ベースラインの平均±標準偏差:87.0±21.2kg)、本剤10mg群で-7.8±0.53kg(ベースラインの平均±標準偏差:85.7±18.9kg)、本剤15mg群で-9.5±0.54kg(ベースラインの平均±標準偏差:85.9±18.5kg)、プラセボ群で-0.7±0.57kg(ベースラインの平均±標準偏差:84.4±20.1kg)であった。
重症低血糖は報告されず、血糖値54mg/dL未満の低血糖は、プラセボ群で1/115例(0.9%)報告された。副作用発現頻度は、本剤5mg群で33.9%(41/121例)、本剤10mg群で46.3%(56/121例)、本剤15mg群で41.3%(50/121例)及びプラセボ群で23.5%(27/115例)であった。主な副作用は本剤5mg群では悪心10.7%(13/121例)、本剤10mg群では悪心12.4%(15/121例)及び下痢11.6%(14/121例)、本剤15mg群では悪心17.4%(21/121例)及び下痢10.7%(13/121例)であった。なお、本剤群で認められた主な副作用について、プラセボ群では悪心5.2%(6/115例)及び下痢5.2%(6/115例)であった。
食事・運動療法で血糖コントロールが不十分な日本人2型糖尿病患者636例を対象に無作為割り付けを行い、二重盲検下で本剤5mg、10mg、15mg又はデュラグルチド0.75mgを週1回、52週間投与した(本剤5mg群:159例、本剤10mg群:158例、本剤15mg群:160例、デュラグルチド群:159例)。本剤は、いずれの用量においても週1回2.5mgで投与を開始し、以後4週間ごとに2.5mgずつ増量した。
本剤5mg、10mg又は15mgの52週間投与により、主要評価項目であるHbA1cのベースラインから投与後52週までの変化量に関して、本剤のいずれの用量でもデュラグルチド0.75mgに対する優越性が検証された(p<0.001)14)。
デュラグルチド
0.75mg
ベースライン注18)
8.17±0.88
(158)
8.20±0.86
(156)
8.20±0.89
(159)
8.15±0.86
投与後52週までの変化量注19)
-2.37±0.07
(142)
-2.55±0.07
(135)
-2.82±0.07
(134)
-1.29±0.07
(138)
デュラグルチド)注20)
-1.09
[-1.27,-0.90]
-1.27
[-1.45,-1.08]
-1.53
[-1.71,-1.35]
ベースラインから投与後52週までの体重の変化量(最小二乗平均±標準誤差)は、本剤5mg群で-5.8±0.41kg(ベースラインの平均±標準偏差:78.6±16.4kg)、本剤10mg群で-8.5±0.42kg(ベースラインの平均±標準偏差:79.1±13.7kg)、本剤15mg群で-10.7±0.41kg(ベースラインの平均±標準偏差:78.9±14.3kg)、デュラグルチド群で-0.5±0.41kg(ベースラインの平均±標準偏差:76.5±13.2kg)であった。
重症低血糖は報告されず、血糖値54mg/dL未満の低血糖は、本剤15mg群で2/160例(1.3%)報告された。副作用発現頻度は、本剤5mg群52.8%(84/159例)、本剤10mg群で51.9%(82/158例)、本剤15mg群で60.6%(97/160例)及びデュラグルチド群で37.1%(59/159例)であった。主な副作用は本剤5mg群では便秘13.8%(22/159例)、食欲減退13.8%(22/159例)、悪心11.9%(19/159例)及び下痢10.1%(16/159例)、本剤10mg群では悪心19.6%(31/158例)、便秘16.5%(26/158例)及び食欲減退12.0%(19/158例)、本剤15mg群では食欲減退21.3%(34/160例)、悪心19.4%(31/160例)及び便秘11.9%(19/160例)であった。なお、本剤群で認められた主な副作用について、デュラグルチド群では便秘8.8%(14/159例)、悪心6.9%(11/159例)、下痢3.8%(6/159例)、食欲減退4.4%(7/159例)であった。
また、収縮期血圧が90mmHg以下かつベースラインから20mmHg以上の低下が認められた被験者の割合は、本剤5mg群では1.9%(3/159例)、本剤10mg群では3.2%(5/158例)、本剤15mg群では5.0%(8/160例)であり、デュラグルチド0.75mg群では認められなかった。
基礎インスリンの単独療法又は基礎インスリンとメトホルミンとの併用療法で血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者475例を対象に無作為割り付けを行い、二重盲検下で本剤5mg、10mg、15mg又はプラセボを週1回、40週間追加投与した(本剤5mg群:116例(日本人:19例)、本剤10mg群:119例(日本人:21例)、本剤15mg群:120例(日本人:20例)、プラセボ群:120例(日本人:22例))。本剤は、いずれの用量においても週1回2.5mgで投与を開始し、以後4週間ごとに2.5mgずつ増量した。
本剤5mg、10mg又は15mgの40週間投与により、主要評価項目であるHbA1cのベースラインから投与後40週までの変化量に関して、本剤のいずれの用量でもプラセボに対する優越性が検証された(p<0.001)15)。
ベースライン注21)
8.29±0.88
(115)
8.34±0.82
(113)
8.22±0.85
(117)
8.39±0.83
投与後40週までの変化量注22)
-2.23±0.08
-2.59±0.08
(97)
-0.93±0.08
(111)
プラセボ)注23)
-1.30
[-1.52,-1.07]
-1.66
[-1.88,-1.43]
-1.65
ベースラインから投与後40週までの体重の変化量(最小二乗平均±標準誤差)は、本剤5mg群で-6.2±0.58kg、本剤10mg群で-8.2±0.58kg、本剤15mg群で-10.9±0.59kg、プラセボ群で1.7±0.57kgであった。
重症低血糖は、本剤10mg群で2/119例(1.7%)、本剤15mg群で1/120例(0.8%)報告された。血糖値54mg/dL未満の低血糖は、本剤5mg群で18/116例(15.5%)、本剤10mg群で23/119例(19.3%)、本剤15mg群で17/120例(14.2%)、プラセボ群で15/120例(12.5%)報告された。副作用発現頻度は、本剤5mg群で37.1%(43/116例)、本剤10mg群で38.7%(46/119例)、本剤15mg群で52.5%(63/120例)及びプラセボ群で14.2%(17/120例)であった。主な副作用は本剤5mg群では悪心12.9%(15/116例)及び下痢10.3%(12/116例)、本剤10mg群では悪心17.6%(21/119例)及び食欲減退12.6%(15/119例)、本剤15mg群では悪心17.5%(21/120例)、下痢16.7%(20/120例)、食欲減退14.2%(17/120例)及び嘔吐12.5%(15/120例)であった。なお、本剤群で認められた主な副作用について、プラセボ群では下痢4.2%(5/120例)及び食欲減退1.7%(2/120例)であり、悪心、及び嘔吐は認められなかった。
経口血糖降下薬の単独療法で血糖コントロールが不十分な日本人2型糖尿病患者443例を対象に無作為割り付けを行い、本剤5mg、10mg又は15mgを週1回、経口血糖降下薬単剤(スルホニルウレア剤、ビグアナイド系薬剤、α-グルコシダーゼ阻害剤、チアゾリジン系薬剤、速効型インスリン分泌促進剤又はSGLT2阻害剤のいずれか)に52週間追加投与した(本剤5mg群:148例、本剤10mg群:147例、本剤15mg群:148例)。本剤は、いずれの用量においても週1回2.5mgで投与を開始し、以後4週間ごとに2.5mgずつ増量した。本試験の結果を下表に示す16)。
ベースライン注24)
投与後52週までの変化量注25)
スルホニルウレア剤
8.69±1.05
(127)
-2.74±0.13
(42)
-2.95±0.13
(41)
-3.29±0.14
(38)
ビグアナイド系薬剤
8.44±0.96
(62)
-2.59±0.20
-3.02±0.19
-3.03±0.22
α-グルコシダーゼ阻害剤
8.55±1.31
(64)
-2.31±0.22
(18)
-2.94±0.22
-3.00±0.23
(14)
チアゾリジン系薬剤
8.37±1.08
(61)
-2.53±0.14
-2.93±0.14
-2.76±0.14
速効型インスリン分泌促進剤
8.83±1.23
-2.66±0.24
-3.32±0.24
-3.23±0.24
SGLT2阻害剤
8.30±0.82
(63)
-2.31±0.19
-2.76±0.19
-2.66±0.19
ベースラインから投与後52週までの体重の変化量(最小二乗平均)は、本剤5mg群、本剤10mg群及び本剤15mg群の順に、スルホニルウレア剤併用で-3.8、-6.5及び-8.5kg、ビグアナイド系薬剤併用で-4.4、-11.2及び-13.6kg、α-グルコシダーゼ阻害薬併用で-3.7、-8.9及び-8.0kg、チアゾリジン系薬剤併用で-2.1、-6.4及び-11.2kg、速効型インスリン分泌促進剤併用で-4.2、-6.5及び-9.7kg、SGLT-2阻害薬併用で-4.3、-6.4及び-11.6kgであった。
重症低血糖は報告されず、血糖値54mg/dL未満の低血糖は、本剤5mg群で1/148例(0.7%)(スルホニルウレア剤併用)、本剤10mg群で1/147例(0.7%)(速効型インスリン分泌促進剤併用)、本剤15mg群で3/148例(2.0%)(いずれもスルホニルウレア剤併用)報告された。副作用発現頻度は、本剤5mg群43.2%(64/148例)、本剤10mg群で52.4%(77/147例)及び本剤15mg群で63.5%(94/148例)であった。主な副作用は本剤5mg群では悪心8.8%(13/148例)、便秘7.4%(11/148例)及び食欲減退7.4%(11/148例)、本剤10mg群では悪心12.9%(19/147例)、便秘12.2%(18/147例)、下痢10.9%(16/147例)及び食欲減退10.2%(15/147例)、本剤15mg群では悪心25.7%(38/148例)、便秘14.2%(21/148例)、食欲減退12.2%(18/148例)、嘔吐9.5%(14/148例)及び下痢8.1%(12/148例)であった。
本剤はGIP受容体及びGLP-1受容体のアゴニストであり、両受容体に結合して活性化することで、グルコース濃度依存的にインスリン分泌を促進させる。本剤はC20脂肪酸側鎖を含む39個のアミノ酸からなるペプチドであり、内因性アルブミンと結合して消失半減期が延長することにより作用が持続する。
ヒトでの薬力学的作用の評価は、特記する場合を除き、すべて本剤15mgの週1回28週間(用量漸増期間を含む)皮下投与後の定常状態において行われた。
本剤は、in vitro試験において、GIP受容体及びGLP-1受容体に結合して活性化し、いずれの受容体に対しても細胞内cAMPを増加させるアゴニスト活性を示した17)。
2型糖尿病患者に本剤を投与した結果、空腹時血糖及び食後血糖値はプラセボと比較して低下した18)(外国人データ)。
マウス及びラット由来の単離膵島を用いたin vitro 試験において、本剤はグルコース依存性インスリン分泌を促進した17)。ラットを用いたin vivo 静脈内グルコース負荷試験において、本剤はグルコース依存性インスリン分泌を刺激した17)。
2型糖尿病患者に本剤を投与した結果、静脈内グルコース急速注入後のインスリンの第1相(グルコース投与直後から8分後)及び第2相(グルコース投与20分後から120分後)の分泌速度は、プラセボと比較して増加した18)(外国人データ)。
2型糖尿病患者に本剤を投与した結果、空腹時グルカゴン濃度及び食後のグルカゴン濃度のAUC(食後0~4時間)はプラセボと比較して低下した18)(外国人データ)。
2型糖尿病患者に本剤を投与した結果、全身のインスリン感受性の指標であるM値のベースラインからの変化量はプラセボと比較して増加した18)(外国人データ)。
2型糖尿病患者において、本剤5mg以上を週1回4週間反復投与した結果、アセトアミノフェンの血中濃度プロファイル(Cmax及びAUC)を指標とした胃内容排出速度の低下が認められた。胃内容排出速度の低下は初回投与後に最も顕著であり、4週間の反復投与で減弱した12)(外国人データ)。
チルゼパチド(Tirzepatide)〔JAN〕
C225H348N48O68
4813.45
白色の粉末である。
チルゼパチドは、ヒトグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)受容体及びヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体のアゴニストであり、2及び13番目のアミノ酸残基は2-methylAla、C末端はアミド化されたSerである。さらに、1,20-イコサン二酸が1個のGlu及び2個の8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸で構成されるリンカーを介して20番目のLysに結合している。チルゼパチドは39個のアミノ酸残基からなる合成ペプチドである。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
0.5mL×2キット
1) 社内資料: チルゼパチドの毒性試験(2022年9月26日承認、CTD2.6.6)
2) 社内資料: 日本人2型糖尿病患者の薬物動態(2022年9月26日承認、CTD2.7.2.2.2.1.2)
3) Furihata K, et al.: Diabetes Obes Metab. 2022; 24: 239-246
4) 社内資料: 投与部位の影響を評価した試験(2022年9月26日承認、CTD2.7.1.2.3)
5) 社内資料: 絶対的バイオアベイラビリティを評価した試験(2022年9月26日承認、CTD2.7.1.2.1)
6) 社内資料: 血漿蛋白結合(2022年9月26日承認、CTD2.7.2.2.1.1)
7) 社内資料: マスバランス試験(2022年9月26日承認、CTD2.7.2.2.2.3.1)
8) Urva S, et al.: Clin Pharmacokinet. 2021; 60: 1049-1059
9) Urva S, et al.: Clin Pharmacokinet. 2022; 61: 1057-1067
10) 社内資料: 母集団薬物動態解析(2022年9月26日承認、CTD2.7.2.3~2.7.2.3.7.8)
11) 社内資料: 経口避妊薬との薬物相互作用試験(GPGR試験)(2022年9月26日承認、CTD2.7.2.2.2.5.1)
12) Urva S, et al.: Diabetes Obes Metab. 2020; 22(10): 1886-1891
13) Rosenstock J, et al.: Lancet. 2021; 398: 143-155
14) Inagaki N, et al.: Lancet Diabetes Endocrinol. 2022; 10(9): 623-633
15) Dahl D, et al.: JAMA. 2022; 327(6): 534-545
16) Kadowaki T, et al.: Lancet Diabetes Endocrinol. 2022; 10(9): 634-644
17) 社内資料: チルゼパチドの薬理試験(2022年9月26日承認、CTD2.6.2)
18) Heise T, et al.: Lancet Diabetes Endocrinol. 2022; 10: 418-429
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