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最適使用推進ガイドライン対象品目
劇薬
処方箋医薬品注)
肥満症
ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。
・BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
・BMIが35kg/m2以上
本剤の適用にあたっては、あらかじめ肥満症治療の基本である食事療法・運動療法を行っても、十分な効果が得られない場合で、薬物治療の対象として適切と判断された患者のみを対象とすること。肥満に関連する健康障害は、臨床試験に組み入れられた患者背景を参考に判断すること。
通常、成人には、チルゼパチドとして週1回2.5mgから開始し、4週間の間隔で2.5mgずつ増量し、週1回10mgを皮下注射する。
なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、週1回5mgまで減量、又は4週間以上の間隔で2.5mgずつ週1回15mgまで増量できる。
胃腸障害の症状が悪化するおそれがある。
,,
,
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には本剤を投与しないこと。
生殖発生毒性試験において、妊娠ラットに本剤を投与した場合、臨床最大用量でヒトに投与したときの本剤の曝露量を下回る用量(臨床最大用量でのCmax比較において0.64倍、AUC比較において0.22倍)で、胎児毒性(骨格奇形、内臓奇形等)が認められた。これらの所見は母動物の摂餌量の低値及び体重の低値を伴うものであった1)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒト乳汁中への移行は不明である。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。投与に際しては、臨床試験に組み入れられた患者背景を参考にすること。
低血糖の発現に注意すること。特にスルホニルウレア剤、速効型インスリン分泌促進剤又はインスリン製剤と併用する場合、低血糖のリスクが増加するおそれがある。これらの薬剤と併用する場合、低血糖のリスクを軽減するため、これらの薬剤の減量を検討すること。
血糖降下作用が増強される。
特に投与開始初期又は漸増後初期では併用する経口避妊薬の効果を減弱させるおそれがある。
本剤の胃内容物排出遅延作用による。
GLP-1受容体作動薬との併用によりワルファリンのtmaxが遅延したとの報告があり、エキセナチドで出血を伴うINR増加が報告されている。
低血糖症状(脱力感、高度の空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、視覚異常等)があらわれることがある。また、2型糖尿病患者においてインスリン製剤又はスルホニルウレア剤との併用時に重篤な低血糖症状があらわれ意識消失を来す例も報告されている。
低血糖症状が認められた場合は、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこと。ただし、α-グルコシダーゼ阻害剤との併用時はブドウ糖を投与すること。,,,,,,
嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛等の異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、膵炎と診断された場合は、再投与は行わないこと。,,
5%以上
1~5%未満
1%未満
循環器
心拍数増加注1)、低血圧、血圧低下
消化器
悪心、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、消化不良、食欲減退
腹部膨満、胃食道逆流性疾患、おくび、鼓腸
肝胆道
胆石症
眼
糖尿病網膜症
注射部位
注射部位反応(紅斑、そう痒感、疼痛、腫脹等)
免疫系
過敏症(湿疹、発疹、そう痒性皮疹等)
精神神経系
味覚不全、異常感覚
臨床検査
膵アミラーゼ増加、リパーゼ増加、体重減少
その他
疲労、浮動性めまい、脱毛症
注入器の破損又は異常がないこと、薬液の変色や浮遊物がないことを確認すること。
皮下注射は、腹部、大腿部又は上腕部に行う。同じ部位の中で注射する場合、毎回注射する場所を変更すること。静脈内及び筋肉内に投与しないこと。
国内外の第III相試験5試験(3704例)において、抗薬物抗体が評価可能な3596例のうち、抗チルゼパチド抗体が65.5%(2357例)に発現した。また、交差抗体及び中和抗体が評価可能な3573例のうち、内因性GIP又はGLP-1に対する交差抗体はそれぞれ42.8%(1531例)及び18.7%(668例)に、内因性GIP又はGLP-1に対する中和抗体はそれぞれ0.8%(28例)及び0.1%(3例)に、チルゼパチドのGIP受容体又はGLP-1受容体の活性化に対する中和抗体はそれぞれ2.4%(85例)及び2.2%(78例)に発現した。
雌雄ラットを用いた2年間がん原性試験において、本剤を0.15、0.50及び1.5mg/kgの用量(それぞれ臨床最大用量をヒトに皮下投与した際のAUCの0.11、0.31及び0.88倍のAUCをもたらす用量)で週2回皮下投与したところ、対照群と比較して、甲状腺C細胞腫瘍(腺腫及び癌)の発生頻度の増加がすべての用量でみられた。rasH2トランスジェニックマウスを用いた6ヵ月間がん原性試験において、本剤を1、3及び10mg/kgの用量で週2回皮下投与したところ、甲状腺C細胞の過形成あるいは腫瘍の発生頻度に増加は認められなかった1)。甲状腺髄様癌の既往のある患者及び甲状腺髄様癌又は多発性内分泌腫瘍症2型の家族歴のある患者に対する本剤の安全性は確立していない。
日本人2型糖尿病患者29例に本剤5mg、10mg又は15mgを週1回皮下投与(いずれの用量においても週1回2.5mgで投与を開始し、以後4週間ごとに2.5mgずつ増量)したとき、32週目投与後の薬物動態を評価した。本剤32週目投与後のtmaxの中央値は約24時間、半減期(t1/2)は約5~6日であり、Cmax及びAUC(0-168hr)の幾何平均値は概ね用量比例的に増加した。
薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移を以下に示す2)。
投与量
(例数)
tmax
(hr)a)
t1/2
(hr)b)
Cmax
(ng/mL)
AUC(0-168hr)
(ng・hr/mL)
CL/F
(L/hr)
Vz/F
(L)
5mg
(N=7)
24.63
(8.00-48.00)
146
(121-269)c)
835
(23)
94800
(16)d)
0.0528
11.1
(51)c)
10mg
(N=10)
23.57
(8.00-72.00)
121
(104-156)d)
1730
(46)
197000
(36)
0.0507
9.47
(48)d)
15mg
(N=9)
24.08
(8.00-47.50)
122
(103-148)d)
2370
(21)
288000
0.0502
(22)e)
9.43
(19)d)
CL/F:見かけのクリアランス、Vz/F:見かけの分布容積
幾何平均値(幾何変動係数%)
a)中央値(範囲)
b)幾何平均値(範囲)
c)N=5
d)N=6
e)N=7
第III相国内試験(I8F-JE-GPHZ試験)より得られた149例を対象とした母集団薬物動態解析の結果、日本人肥満症患者の定常状態での薬物動態パラメータの推定値は表2のとおりであった3)。
体重
(kg)a)
(ng/mL)b)
(ng・hr/mL)b)
(N=72)
92
(15)
1540
(17)
190000
(18)
(N=77)
2310
(14)
a)算術平均値(標準偏差)
b)幾何平均値(幾何変動係数%)
健康成人54例に3つの異なる投与部位(腹部、上腕部及び大腿部)に本剤5mgを単回皮下投与したとき、腹部投与に対する上腕部及び大腿部投与でのAUC(0-∞)の最小二乗幾何平均値の比[90%信頼区間]は、0.99[0.97,1.01]及び0.95[0.94,0.97]であった4)(外国人データ)。健康成人20例に本剤5mgを単回皮下投与したときの絶対的バイオアベイラビリティの推定値は80%であった5)(外国人データ)。
本剤は主に血漿アルブミンと強く結合(結合率:99.06%)する6)。
本剤の代謝経路は、一般的なタンパク質の異化経路によるペプチド骨格の分解、C20脂肪酸部分のβ酸化及びアミド加水分解である。
本剤は代謝され主に尿中及び糞便中に排泄される。未変化体は尿中及び糞便中には認められなかった7)。
腎機能正常被験者(eGFR≧90mL/min/1.73m2)14例、軽度腎機能障害患者(eGFR:60~89mL/min/1.73m2)8例、中等度腎機能障害患者(eGFR:30~59mL/min/1.73m2)8例、重度腎機能障害患者(eGFR<30mL/min/1.73m2)7例及び末期腎疾患患者(3ヵ月以上血液透析を受けている)8例に本剤5mgを単回皮下投与した試験において、腎機能正常被験者に対する軽度、中等度、重度腎機能障害患者及び末期腎疾患患者の本剤のAUC(0-∞)の最小二乗幾何平均値の比[90%信頼区間]は、それぞれ1.05[0.86,1.27]、1.29[1.07,1.56]、1.03[0.84,1.27]及び1.16[0.96,1.40]であった。また、Cmaxの最小二乗幾何平均値の比[90%信頼区間]は、それぞれ1.04[0.84,1.30]、1.09[0.87,1.36]、1.23[0.97,1.56]及び1.02[0.82,1.27]であった8)(外国人データ)。
肝機能正常被験者13例、軽度肝機能障害患者(Child-Pugh分類A)6例、中等度肝機能障害患者(Child-Pugh分類B)6例、重度肝機能障害患者(Child-Pugh分類C)7例に本剤5mgを単回皮下投与した試験において、肝機能正常被験者に対する軽度、中等度及び重度肝機能障害患者の本剤のAUC(0-∞)の最小二乗幾何平均値の比[90%信頼区間]は、それぞれ1.08[0.88,1.32]、0.96[0.79,1.17]及び0.85[0.70,1.04]であった。また、Cmaxの最小二乗幾何平均値の比[90%信頼区間]は、それぞれ0.92[0.73,1.16]、1.00[0.80,1.25]及び0.97[0.78,1.21]であった9)(外国人データ)。
第III相国際共同試験(I8F-MC-GPHK試験)より得られた1864例(65歳以上:114例、65歳未満:1750例)を対象とした母集団薬物動態解析の結果、年齢はチルゼパチドの見かけのクリアランス及び見かけの分布容積の有意な共変量ではなかった10)。
本剤と経口避妊薬又はアセトアミノフェンを併用した薬物相互作用試験の結果を表3に示す11),12)(外国人データ)。
併用薬
本剤
投与
例数
併用薬に対する影響
Cmax比
[90%信頼区間]
AUC比
tmax差(hr)
健康成人女性に本剤を単回投与
経口避妊薬a)
ノルエルゲストロミンb)
単回
25/25
0.45
[0.40,0.51]
0.78
[0.71,0.84]
4.50
[1.50,5.00]
エチニルエストラジオール
24/24
0.41
[0.36,0.47]
0.79c)
[0.73,0.85]
4.23
[1.50,6.50]
2型糖尿病を有するBMIが27kg/m2以上の患者に本剤を週1回反復投与
アセトアミノフェン
1gd)
1回目
18/18
0.44
[0.36,0.53]
0.88
[0.77,1.00]
0.25
[0.00,2.28]
15mge)
6回目
15/18
0.57
[0.47,0.70]
1.08
[0.94,1.25]
0.50
[0.25,1.25]
BMIが27kg/m2以上の患者(糖尿病患者を除く)に本剤を週1回反復投与
[0.38,0.55]
0.89
[0.78,1.01]
1.50
[0.25,2.50]
0.80
[0.66,0.98]
1.23
[1.07,1.42]
[0.00,1.00]
例数:本剤併用投与時/本剤非投与時
AUC:経口避妊薬はAUC(0-τ)、アセトアミノフェンはAUC(0-last)
Cmax比及びAUC比:プラセボ群に対する本剤群の最小二乗幾何平均値の比
tmax差:プラセボ群に対する本剤群の中央値の差
a)ノルゲスチメート0.25mg(国内未承認)、エチニルエストラジオール0.035mg
b)ノルゲスチメートの活性代謝物
c)例数:21/21
d)アセトアミノフェンは、本剤初回投与24時間後及び本剤6回目投与24時間後に投与された
e)本剤5、5、10、10、10、15mgの順に週1回投与
BMIが27kg/m2以上で2つ以上の肥満に関連する健康障害注2)を有する又はBMIが35kg/m2以上で1つ以上の肥満に関連する健康障害注2)を有する肥満症患者225例注3),注4)を対象に、二重盲検下で本剤10mg、15mg又はプラセボを週1回、72週間皮下投与した(本剤10mg群:73例、本剤15mg群:77例、プラセボ群:75例)。なお、糖尿病患者は除外された。本剤は、いずれの用量においても週1回2.5mgで投与を開始し、以後4週間ごとに2.5mgずつ増量した。試験期間中、被験者は食事のカロリー制限及び身体活動の増加を併せて行った。
主要評価項目(co-primary endpoints)であるベースラインから投与72週時までの体重変化率及び投与72週時に5%以上の体重減少を達成した被験者の割合のいずれについても、本剤10mg及び本剤15mgのプラセボに対する優越性が検証された(p<0.001)13)。
本剤10mg群
(73例)
本剤15mg群
(77例)
プラセボ群
(75例)
ベースラインの体重(kg)
92.5±15.15
(71例)
91.9±14.84
(76例)
92.0±15.25
投与72週時の体重(kg)
76.3±16.07
(59例)
71.9±14.70
(65例)
90.5±16.01
(66例)
投与72週時の体重変化率(%)
-18.4±7.61
-22.6±8.90
-1.8±4.94
プラセボ群との群間差a)
[95%信頼区間]
-16.1c)
[-18.7,-13.5]
-21.1c)
[-23.6,-18.5]
-
5%以上体重減少達成割合(%)
94.9
(56/59)
96.9
(63/65)
21.2
(14/66)
プラセボ群とのオッズ比b)
119.65c)
[29.06,492.67]
153.57c)
[36.03,654.53]
平均値±標準偏差(評価例数)又は割合%(該当例数/評価例数)、群間差は最小二乗平均の差[95%信頼区間]、-:該当なし
a)投与群、評価時点、投与群と評価時点の交互作用、ベースラインの体重、スクリーニング時の耐糖能異常の有無、スクリーニング時の高トリグリセリド血症の有無、スクリーニング時の非アルコール性脂肪性肝疾患の有無及び性別を説明変数とし、被験者内誤差に無構造を仮定したmixed-effects model for repeated measures(MMRM)により算出。
b)a)のMMRMにより算出された体重変化率の予測値を用いて欠測値を補完後、投与群、ベースラインの体重、スクリーニング時の耐糖能異常の有無、スクリーニング時の高トリグリセリド血症の有無、スクリーニング時の非アルコール性脂肪性肝疾患の有無及び性別を説明変数とするFirth補正を用いたロジスティック回帰により算出。
c)本剤10mg群とプラセボ群の比較及び本剤15mg群とプラセボ群の比較にそれぞれ両側有意水準2.5%が用いられた。
主な副次評価項目の結果を下表に示す。
10%以上
88.1(52/59)
92.3(60/65)
4.6(3/66)
15%以上
67.8(40/59)
83.1(54/65)
1.5(1/66)
20%以上
44.1(26/59)
66.2(43/65)
0.0(0/66)
割合%(該当例数/評価例数)
HbA1c
(%)
ベースライン
5.65±0.34
(70例)
5.67±0.35
5.66±0.32
(74例)
投与72週時の変化量
-0.54±0.35
-0.61±0.29
0.01±0.27
空腹時血糖
(mg/dL)
96.13±9.14
97.55±10.94
97.20±9.85
(72例)
-11.36±9.16
-9.84±10.27
3.08±11.40
収縮期血圧
(mmHg)
125.4±12.99
125.5±11.97
125.0±12.95
-11.4±13.37
-12.1±13.04
1.7±9.08
拡張期血圧
79.3±9.05
79.7±8.28
80.0±9.65
-6.2±10.35
-6.3±8.80
0.3±8.25
総コレステロール
210.1±38.40
213.7±35.82
212.5±36.48
投与72週時の変化率(%)
-8.40±14.27
-11.95±13.54
0.07±10.44
LDLコレステロール
132.1±33.92
133.7±31.14
132.8±31.55
-8.6±26.52
-13.3±19.14
1.8±15.05
HDLコレステロール
49.8±12.05
49.3±10.42
50.9±11.47
15.4±17.77
17.5±21.55
3.7±12.34
空腹時トリグリセリド
180.9±89.16
191.4±91.88
179.4±90.71
-33.1±29.43
-42.4±23.73
-3.7±34.40
平均値±標準偏差(評価例数)
副作用発現割合は、本剤10mg群で56.2%(41/73例)、本剤15mg群で63.6%(49/77例)及びプラセボ群で10.7%(8/75例)であった。主な副作用は本剤10mg群では悪心13.7%(10/73例)、便秘13.7%(10/73例)及び食欲減退12.3%(9/73例)、本剤15mg群では便秘23.4%(18/77例)及び悪心22.1%(17/77例)であった。なお、プラセボ群における便秘、食欲減退及び悪心の発現割合は、それぞれ2.7%(2/75例)、1.3%(1/75例)及び0%(0/75例)であった。
血糖値54mg/dL未満の低血糖は、本剤10mg群で5.5%(4/73例)、本剤15mg群で9.1%(7/77例)及びプラセボ群で1.3%(1/75例)認められ、重症低血糖は認められなかった。,,
BMIが27kg/m2以上で高血圧、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群若しくは心血管疾患のいずれかを有する被験者又はBMIが30kg/m2以上の被験者2517例を対象に、二重盲検下で本剤5mg、10mg、15mg又はプラセボを週1回、72週間皮下投与した(本剤5mg群:624例(日本人:24例)、本剤10mg群:628例(日本人:22例)、本剤15mg群:628例(日本人:29例)、プラセボ群:637例(日本人:27例))。なお、糖尿病患者は除外された。本剤は、いずれの用量においても週1回2.5mgで投与を開始し、以後4週間ごとに2.5mgずつ増量した。試験期間中、被験者は食事のカロリー制限及び身体活動の増加を併せて行った。
主要評価項目(co-primary endpoints)であるベースラインから投与72週時までの体重変化率及び投与72週時に5%以上の体重減少を達成した被験者の割合のいずれについても、本剤10mg及び本剤15mgのプラセボに対する優越性が検証された(p<0.001)14)。
本剤5mg群
(624例)
(628例)
(637例)
103.2±20.68
(617例)
106.2±23.29
(621例)
105.6±22.96
(623例)
104.9±21.45
(629例)
86.0±20.58
(535例)
83.2±23.35
(526例)
81.8±21.87
(533例)
101.5±22.77
(466例)
-16.5±9.13
-21.9±10.16
-22.9±10.16
-3.3±6.96
-13.5
[-14.6,-12.4]
-18.9c)
[-20.0,-17.8]
-20.1c)
[-21.2,-18.9]
90.3
(483/535)
96.4
(507/526)
96.3
(513/533)
34.1
(159/466)
23.41
[17.00,32.23]
74.84c)
[47.39,118.17]
74.08c)
[46.97,116.82]
a)投与群、評価時点、投与群と評価時点の交互作用、ベースラインの体重、無作為化時の前糖尿病の有無、地域及び性別を説明変数とし、被験者内誤差に無構造を仮定したMMRMにより算出。
b)a)のMMRMにより算出された体重変化率の予測値を用いて欠測値を補完後、投与群、ベースラインの体重、無作為化時の前糖尿病の有無、地域及び性別を説明変数とするFirth補正を用いたロジスティック回帰により算出。
75.0
(401/535)
86.1
(453/526)
90.2
(481/533)
17.4
(81/466)
53.5
(286/535)
74.3
(391/526)
78.2
(417/533)
7.3
(34/466)
34.0
(182/535)
56.8
(299/526)
64.0
(341/533)
1.5
(7/466)
25%以上
17.8
(95/535)
36.9
(194/526)
41.3
(220/533)
0.4
(2/466)
5.56±0.36
(602例)
5.55±0.37
(600例)
5.55±0.41
(606例)
5.57±0.38
-0.41±0.30
(527例)
-0.49±0.32
(516例)
-0.51±0.36
(524例)
-0.08±0.30
(459例)
95.34±9.84
(603例)
95.58±10.77
(599例)
95.18±10.27
95.77±9.57
-7.70±13.47
-9.98±12.02
(517例)
-10.40±12.63
(521例)
0.66±13.50
(457例)
収縮期血圧(mmHg)
123.6±12.52
(618例)
123.8±12.86
122.9±12.91
122.7±12.60
-7.5±12.85
-9.1±12.98
-8.0±13.03
-1.1±11.70
拡張期血圧(mmHg)
79.2±8.17
79.9±8.32
79.3±8.21
79.5±7.91
-5.2±8.76
-6.0±8.82
-4.7±9.23
-1.2±8.23
191.0±40.03
194.4±38.75
190.9±37.88
190.0±38.67
-3.68±16.31
(523例)
-4.60±17.05
-6.46±15.96
(520例)
0.52±18.09
(458例)
113.3±32.30
(584例)
116.3±32.83
(574例)
114.0±32.66
(582例)
113.2±33.29
(573例)
-1.70±26.60
(514例)
-3.55±26.37
(511例)
-5.97±24.89
(515例)
3.05±28.63
(456例)
49.2±13.14
(589例)
48.9±12.73
(577例)
49.0±12.62
48.0±12.61
(576例)
8.68±20.19
(518例)
10.13±20.77
9.96±20.65
(519例)
2.82±17.42
150.1±151.96
144.0±87.89
142.6±82.01
146.4±82.81
投与72週時までの変化率(%)
-18.4±34.76
(522例)
-19.2±38.52
-24.8±37.73
0.5±44.65
副作用発現割合は、本剤5mg群で55.6%(347/624例)、本剤10mg群で62.3%(391/628例)、本剤15mg群で61.1%(384/628例)及びプラセボ群で30.5%(194/637例)であった。主な副作用は本剤5mg群では悪心21.0%(131/624例)、下痢15.4%(96/624例)及び便秘13.5%(84/624例)、本剤10mg群では悪心30.7%(193/628例)、下痢17.8%(112/628例)、便秘14.0%(88/628例)、食欲減退11.0%(69/628例)及び嘔吐10.0%(63/628例)、本剤15mg群では悪心28.5%(179/628例)、下痢19.1%(120/628例)、嘔吐10.7%(67/628例)及び便秘10.0%(63/628例)であった。なお、プラセボ群における悪心、下痢、便秘、食欲減退及び嘔吐の発現割合は、それぞれ8.0%(51/637例)、5.7%(36/637例)、4.1%(26/637例)、3.0%(19/637例)及び0.8%(5/637例)であった。
血糖値54mg/dL未満の低血糖(重症低血糖を含む)は、本剤5mg群で1.4%(9/624例)、本剤10mgで1.6%(10/628例)、本剤15mg群で1.6%(10/628例)及びプラセボ群で0.2%(1/637例)認められ、そのうち重症低血糖は本剤5mg群の1例で認められた。,
2型糖尿病を有するBMIが27.0kg/m2以上の被験者912例を対象に、二重盲検下で本剤10mg、15mg又はプラセボを週1回、72週間皮下投与した(本剤10mg群:302例(日本人:14例)、本剤15mg群:303例(日本人:14例)、プラセボ群:307例(日本人:13例))。本剤は、いずれの用量においても週1回2.5mgで投与を開始し、以後4週間ごとに2.5mgずつ増量した。試験期間中、被験者は食事のカロリー制限及び身体活動の増加を併せて行った。
主要評価項目(co-primary endpoints)であるベースラインから投与72週時までの体重変化率及び投与72週時に5%以上の体重減少を達成した被験者の割合のいずれについても、本剤10mg及び本剤15mgのプラセボに対する優越性が検証された(p<0.001)15)。
(302例)
(303例)
(307例)
101.7±20.84
(299例)
99.8±20.10
(301例)
102.1±22.27
88.5±20.36
(274例)
84.1±19.51
(259例)
97.3±22.49
(256例)
-13.3±8.38
-16.0±9.70
-3.5±5.87
-10.3c)
[-11.7,-8.9]
-12.4c)
[-13.8,-11.1]
82.1
(225/274)
87.6
(227/259)
33.6
(86/256)
11.03c)
[7.42,16.39]
14.92c)
[9.80,22.71]
a)投与群、評価時点、投与群と評価時点の交互作用、ベースラインの体重、無作為化時に使用していた血糖降下薬の種類、地域及び性別を説明変数とし、被験者内誤差に無構造を仮定したMMRMにより算出。
b)a)のMMRMにより算出された体重変化率の予測値を用いて欠測値を補完後、投与群、ベースラインの体重、無作為化時に使用していた血糖降下薬の種類、地域及び性別を説明変数とするFirth補正を用いたロジスティック回帰により算出。
63.1(173/274)
71.0(184/259)
10.2(26/256)
41.2(113/274)
54.1(140/259)
3.1(8/256)
21.9(60/274)
34.4(89/259)
1.2(3/256)
8.8(24/274)
17.4(45/259)
0.4(1/256)
8.02±0.83
(291例)
8.07±1.00
(293例)
7.96±0.84
(282例)
-2.22±1.00
(265例)
-2.29±1.12
(249例)
-0.59±1.04
(165例)
158.23±42.52
(290例)
161.87±50.20
157.41±45.61
-50.24±44.36
(264例)
-53.22±44.93
(250例)
-9.34±39.89
(162例)
130.6±12.19
130.2±12.23
131.3±11.77
-6.0±14.55
-7.9±13.25
-1.2±13.65
80.1±8.14
79.8±8.67
79.5±8.39
-2.4±8.67
-2.9±9.78
-0.2±7.75
177.5±43.23
(286例)
170.9±42.01
179.3±41.86
(284例)
-1.33±21.65
(272例)
1.47±23.73
(257例)
3.31±20.73
(255例)
96.0±35.20
92.3±35.23
97.9±33.72
10.57±75.67
12.45±48.15
10.80±39.07
45.2±12.42
42.9±10.31
43.9±11.42
8.04±18.96
12.78±25.76
2.58±18.24
187.0±143.42
182.5±131.03
191.4±117.88
-19.8±36.77
-21.7±40.79
1.0±43.14
副作用発現割合は、本剤10mg群で48.7%(147/302例)、本剤15mg群で47.2%(143/303例)及びプラセボ群で27.0%(83/307例)であった。主な副作用は本剤10mg群では悪心17.5%(53/302例)及び下痢14.9%(45/302例)、本剤15mg群では悪心19.5%(59/303例)、下痢17.2%(52/303例)及び嘔吐11.2%(34/303例)であった。なお、プラセボ群における下痢、悪心及び嘔吐の発現割合は、それぞれ6.8%(21/307例)、5.2%(16/307例)及び2.6%(8/307例)であった。
血糖値54mg/dL未満の低血糖は、本剤10mg群で3.6%(11/302例)、本剤15mgで5.0%(15/303例)及びプラセボ群で1.3%(4/307例)認められ、重症低血糖は認められなかった。
本剤はGIP受容体及びGLP-1受容体のアゴニストである。本剤は中枢神経系においてGIP受容体及びGLP-1受容体に作用することにより食欲を調節し、また、脂肪細胞のGIP受容体に作用することにより脂質等の代謝を亢進させることで、体重減少作用を示すと考えられる。
本剤はC20脂肪酸側鎖を含む39個のアミノ酸からなるペプチドであり、内因性アルブミンと結合して消失半減期が延長することにより作用が持続する。
本剤は、in vitro試験において、GIP受容体及びGLP-1受容体に結合して活性化し、いずれの受容体に対しても細胞内cAMPを増加させるアゴニスト活性を示した16)。
食餌誘発性肥満マウスに本剤を反復投与した結果、溶媒群と比較して体重が低値を示した16)。
BMIが27kg/m2以上の被験者に対して、本剤5mg、10mg又は15mgを週1回72週間投与した結果、プラセボ群と比較して本剤群で体重減少の程度が大きく、脂肪量の減少が除脂肪体重の減少よりも大きかった14)。
食餌誘発性肥満マウスに本剤を反復投与した結果、溶媒群と比較して摂餌量が低値を示した16)。また、本剤は、マウスの高脂肪食への嗜好性を低下させ、総摂取カロリーを減少させた17)。
ヒト脂肪細胞を用いたin vitro試験において、本剤は、リポタンパクリパーゼ活性を上昇させ、脂肪酸の細胞内への取り込み及び脂肪分解を促進した17)。また、食餌誘発性肥満マウスに対して食餌制限後に本剤を投与した結果、エネルギー消費量及び脂肪消費量が溶媒群と比較して大きかった17)。
チルゼパチド(Tirzepatide)〔JAN〕
C225H348N48O68
4813.45
白色の粉末である。
チルゼパチドは、ヒトグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)受容体及びヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体のアゴニストであり、2及び13番目のアミノ酸残基は2-methylAla、C末端はアミド化されたSerである。さらに、1,20-イコサン二酸が1個のGlu及び2個の8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸で構成されるリンカーを介して20番目のLysに結合している。チルゼパチドは39個のアミノ酸残基からなる合成ペプチドである。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
0.5mL×2キット
1) 社内資料: チルゼパチドの毒性試験(2022年9月26日承認、CTD2.6.6)
2) 社内資料: 日本人2型糖尿病患者の薬物動態(2022年9月26日承認、CTD2.7.2.2.2.1.2)
3) *社内資料: 母集団薬物動態解析補遺(2024年12月27日承認、CTD2.7.2.3.7.2.1)
4) 社内資料: 投与部位の影響を評価した試験(2022年9月26日承認、CTD2.7.1.2.3)
5) 社内資料: 絶対的バイオアベイラビリティを評価した試験(2022年9月26日承認、CTD2.7.1.2.1)
6) 社内資料: 血漿蛋白結合(2022年9月26日承認、CTD2.7.2.2.1.1)
7) 社内資料: マスバランス試験(2022年9月26日承認、CTD2.7.2.2.2.3.1)
8) Urva S, et al.: Clin. Pharmacokinet. 2021; 60(8): 1049-1059
9) Urva S, et al.: Clin. Pharmacokinet. 2022; 61(7): 1057-1067
10) *社内資料: 母集団薬物動態解析(2024年12月27日承認、CTD2.7.2.3.1-2.7.2.3.3)
11) 社内資料: 経口避妊薬との薬物相互作用試験(I8F-MC-GPGR試験)(2022年9月26日承認、CTD2.7.2.2.2.5.1)
12) *社内資料: アセトアミノフェンを用いた胃内容排出に対する影響を評価した試験(I8F-MC-GPHU試験)(2024年12月27日承認、CTD2.7.6.2)
13) *社内資料: 肥満症患者を対象とした第III相国内試験(I8F-JE-GPHZ試験)(2024年12月27日承認、CTD2.7.6.9)
14) *社内資料: BMIが27kg/m2以上の患者(糖尿病患者を除く)を対象とした第III相国際共同試験(I8F-MC-GPHK試験)(2024年12月27日承認、CTD2.7.6.10)
15) *社内資料: 2型糖尿病を有するBMIが27kg/m2以上の患者を対象とした第III相国際共同試験(I8F-MC-GPHL試験)(2024年12月27日承認、CTD2.7.6.11)
16) 社内資料: チルゼパチドの薬理試験(2022年9月26日承認、CTD2.6.2)
17) *社内資料: チルゼパチドの薬理試験(2024年12月27日承認、CTD2.6.2)
日本イーライリリー株式会社 医薬情報問合せ窓口
〒651-0086 神戸市中央区磯上通5丁目1番28号
TEL:0120-360-605(医療関係者向け)
medical.lilly.com/jp
田辺三菱製薬株式会社 くすり相談センター
〒541-8505 大阪市中央区道修町3-2-10
TEL:0120-753-280(医療関係者向け)
*本剤は新医薬品であるため、厚生労働省告示第107号(平成18年3月6日付)に基づき、2026年3月末日までは、投薬は1回14日分を限度とされている。
日本イーライリリー株式会社
神戸市中央区磯上通5丁目1番28号
田辺三菱製薬株式会社
大阪市中央区道修町3-2-10
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