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劇薬
処方箋医薬品注)
*内分泌療法剤との併用において、通常、成人にはアベマシクリブとして1回150mgを1日2回経口投与する。ただし、術後薬物療法の場合には、投与期間は24ヵ月間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する。
減量レベル
投与量
通常投与量
1回150mg 1日2回
1段階減量
1回100mg 1日2回
2段階減量
1回50mg 1日2回
副作用
程度注1)
処置
肝機能障害
持続する又は再発のグレード2のAST又はALT増加
ベースライン又はグレード1以下に回復するまで休薬する。
再開する場合には投与量を1段階減量する。
グレード3のAST又はALT増加
グレード2以上のAST又はALT増加、かつ総ビリルビンが基準値上限の2倍超注2)
投与を中止する。
グレード4のAST又はALT増加
下痢
グレード2で24時間以内に回復しない場合
グレード1以下に回復するまで休薬する。
再開する場合には減量は不要である。
治療しても症状が継続する又は減量せずに再開後に再発したグレード2
入院を要する又はグレード3もしくは4
血液毒性
グレード3(初回発現)
グレード2以下に回復するまで休薬する。
再開する場合には必要に応じて投与量を1段階減量する。
グレード3(2回目以降の発現)又は4
G-CSF製剤を投与した場合
G-CSF製剤の最終投与後少なくとも48時間以上経過し、かつグレード2以下になるまで休薬する。
間質性肺疾患
,,,
静脈血栓塞栓症
(術後薬物療法と
しての投与時)
グレード2~4
投与を中止する、又は適切な治療を行い、状態が安定するまで休薬する。再開する場合には必要に応じて投与量を1段階減量する。
上記以外の副作用
治療しても症状が継続する又は再発のグレード2で、7日以内にベースライン又はグレード1まで回復しない場合
ベースライン又はグレード1以下に回復するまで必要に応じて休薬する。
グレード3又は4
間質性肺疾患が増悪するおそれがある。,,,,,
減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。本剤の血中濃度が上昇するとの報告がある。
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後一定期間は、適切な避妊法を用いるよう指導すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラットを用いた胚・胎児発生毒性試験において、臨床曝露量に相当する用量から催奇形性(大動脈弓欠損、肋骨の欠損等)が認められている。
授乳しないことが望ましい。本剤のヒト乳汁中への移行については不明であるが、本剤及び活性代謝物であるN-脱エチル体(M2)はBCRPの基質であるため、乳汁移行の可能性がある。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
CYP3A阻害剤
,
本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。
これらの薬剤等がCYP3Aの代謝活性を阻害するため、本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
グレープフルーツグレープフルーツジュース
本剤服用時は飲食を避けること。
CYP3A誘導剤
本剤の血中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない薬剤への代替を考慮すること。
これらの薬剤がCYP3Aの代謝酵素を誘導するため、本剤の血中濃度を低下させる可能性がある。
ALT増加(8.1%)、AST増加(7.9%)等を伴う肝機能障害があらわれることがある。
好中球減少(42.2%)、白血球減少(32.0%)、貧血(19.1%)、血小板減少(11.0%)、リンパ球減少(10.6%)等があらわれることがある。
異常が認められた場合には、休薬し、呼吸器疾患に精通した医師と連携の上、胸部CT等の検査を実施するとともに、適切な処置を行うこと。,,,
深部静脈血栓症(0.7%)、肺塞栓症(0.6%)等の静脈血栓塞栓症があらわれることがある。
20%以上
5~20%未満
5%未満
*消化器
下痢、腹痛、悪心
嘔吐、食欲減退、口内炎
消化不良、便秘、胃炎
呼吸器
咳嗽、呼吸困難
*循環器
高血圧
*感染
上気道感染、尿路感染、肺感染、上咽頭炎、結膜炎、副鼻腔炎、膣感染、咽頭炎、敗血症
*皮膚
脱毛症、発疹
そう痒症、皮膚乾燥、爪の障害、ざ瘡様皮膚炎
*精神神経系
浮動性めまい、味覚異常、うつ病
*臨床検査値異常
血中クレアチニン増加
低カリウム血症、γ-GTP増加、高カリウム血症、低カルシウム血症
*その他
疲労
ほてり、頭痛
流涙増加、体重減少、倦怠感、発熱、四肢痛、末梢性浮腫、眼乾燥、脱水、筋力低下、インフルエンザ様疾患、悪寒
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
日本人進行癌患者12例に本剤100、150及び200mg注10)を単回経口投与したときの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった1)。
100mg注10)
150mg
200mg注10)
例数
3
6
Cmax(ng/mL)
127(51)
167(40)
214(87)
tmax注4)(hr)
5.93(5.92-7.98)
5.95(3.95-6.05)
4.97(3.95-5.95)
AUC0-∞(ng・hr/mL)
6970,6450注5)
4450(39)
5480(95)
CL/F(L/hr)
14.3,15.5注5)
33.7(39)
36.5(95)
VSS/F(L)
637,577注5)
1120(41)
947(90)
t1/2注6)(hr)
27.5,24.1注5)
21.9 (19.3-24.6)
16.3(14.2-22.6)
進行癌患者116例に本剤100、150及び200mg注10)を1日2回反復経口投与したときの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。血漿中濃度は反復投与後5日に定常状態に到達した2)(外国人データ)。
100mg注10)1日2回
150mg 1日2回
200mg注10)1日2回
7
64
45
Cmax,ss(ng/mL)
240
(52)
251
(89)
305(77)
tmax,ss注7)(hr)
4.00
(2.00-6.03)
3.97
(0.00-10.15)
4.08(0.00-10.00)
AUCτ,ss(ng・hr/mL)
2400
(54)
2380注8)
(95)
3120注9)
(72)
τ:投与間隔(12時間)
健康成人8例に本剤200mg注10)を単回経口投与後、[13C8]-アベマシクリブ0.4mgを単回静脈内投与したときのアベマシクリブの絶対的バイオアベイラビリティは45%(90%信頼区間:40~51%)であった3)(外国人データ)。
健康成人24例に本剤150mgを食後投与したとき、空腹時投与と比較して、アベマシクリブのAUC0-∞及びCmaxの最小二乗幾何平均値はそれぞれ13%及び30%増加し、tmaxの中央値は同程度であった4)(外国人データ)。
アベマシクリブのヒト血漿蛋白結合率は高く(平均値:約96~98%)、152~5066ng/mLまでの濃度範囲では濃度依存性は見られなかった。アベマシクリブは、血清アルブミン及びα1-酸性糖蛋白質と結合する(in vitro)5)。
アベマシクリブと同程度の活性を有する主要代謝物であるM2、水酸化N-脱エチル体(M18)及び水酸化体(M20)のヒト血漿蛋白結合率も高く、約89~94%であった。
アベマシクリブは主としてCYP3Aにより代謝され、主な代謝経路は、代謝物M2を産生する経路である。その他の代謝物として、M20、M18及び酸化体(M1)が認められた(in vitro)。健康成人6例に[14C]-アベマシクリブ150mgを単回経口投与後のAUCに基づくアベマシクリブ及び活性代謝物の血漿中での存在量は、アベマシクリブ(34%)、M2(13%)、M18(5%)及びM20(26%)であった6),7)(外国人データ)。
アベマシクリブは主に肝代謝により消失する。健康成人6例に[14C]-アベマシクリブ150mgを単回経口投与後336時間までに、投与量の約81%が糞便中に排泄され、約3.4%が尿中に排泄された。糞便中に検出された放射能のほとんどは代謝物であった7)(外国人データ)。
重度の肝機能障害を有する被験者6例に本剤200mg注10)を単回経口投与したとき、正常な肝機能を有する被験者10例と比較して、総活性物質(アベマシクリブ、M2、M18及びM20の合算)の非結合型の曝露量(AUC)が2.69倍増加し、アベマシクリブの消失半減期は24時間から55時間へ延長した。一方、軽度又は中等度の肝機能障害を有する被験者9例及び10例での曝露量は正常な肝機能を有する被験者と同程度であった8)(外国人データ)。
進行又は転移性癌患者26例にクラリスロマイシン(500mg 1日2回反復)投与後、本剤50mg注10)を単回経口投与したとき、アベマシクリブのAUC0-∞は非併用例と比較して約3.4倍増加し、総活性物質のAUC0-∞は2.2倍増加した9)(外国人データ)。
健康成人24例にリファンピシン(600mg 1日1回反復)投与後、本剤200mg注10)を単回経口投与したとき、総活性物質のAUC0-∞及びCmaxは非併用例と比較してそれぞれ約77%及び約45%減少した10)(外国人データ)。
アベマシクリブはP-gp及びBCRPを阻害する(in vitro)6)。
健康成人36例に本剤400mg注10)を単回経口投与後、メトホルミン(腎トランスポーターOCT2、MATE1及びMATE2-Kの基質)1000mgを単回経口投与したとき、メトホルミンのAUC0-∞は非併用例と比較して37%増加した11)(外国人データ)。
ホルモン受容体陽性かつHER2陰性であり、内分泌療法歴のある手術不能又は再発乳癌患者669例を対象に、本剤+フルベストラントとプラセボ+フルベストラントを比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相国際共同試験を実施した。
本剤150mg注11)又はプラセボ(1日2回)とフルベストラント500mg(1サイクルを28日間として、第1サイクルの1及び15日目並びに第2サイクル以降の1日目)を病態の悪化等が認められるまで投与を継続した。
主要評価項目である治験責任医師判定による無増悪生存期間について、本剤+フルベストラントの併用投与により、プラセボ+フルベストラントの併用投与と比較して統計学的に有意な延長が認められた12)。
本剤+フルベストラント投与群
プラセボ+フルベストラント投与群
症例数 (日本人症例数)
446(64)
223(31)
イベント発現例数
222
157
無増悪生存期間中央値(月)(95%信頼区間)
16.4
(14.4-19.3)
9.3
(7.4-11.4)
ハザード比
(95%信頼区間)
0.553(0.449-0.681)
層別ログランク検定(両側)
p<0.0000001
本剤が投与された441例(日本人63例を含む)に認められた主な副作用は、下痢(80.0%)、好中球減少症(41.6%)、悪心(34.4%)、疲労(30.9%)、腹痛(27.5%)等であった。
ホルモン受容体陽性かつHER2陰性であり、内分泌治療歴のない手術不能又は再発閉経後乳癌患者493例を対象に、本剤+非ステロイド性アロマターゼ阻害剤(nonsteroidal aromatase inhibitor:NSAI、レトロゾール又はアナストロゾール)とプラセボ+NSAIを比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相国際共同試験を実施した。
本剤150mg又はプラセボ(1日2回)とレトロゾール2.5mg又はアナストロゾール1mg(1日1回)を病態の悪化等が認められるまで投与を継続した。
主要評価項目である治験責任医師判定による無増悪生存期間について、本剤+NSAIの併用投与により、プラセボ+NSAIの併用投与と比較して統計学的に有意な延長が認められた13)。
本剤+NSAI投与群
プラセボ+NSAI投与群
328(38)
165(15)
108
86
NE
14.73(11.11-17.46)
ハザード比(95%信頼区間)
0.543(0.409-0.723)
p=0.000021
NE:推定不能
本剤が投与された327例(日本人38例を含む)に認められた主な副作用は、下痢(78.9%)、好中球減少症(39.1%)、疲労(31.8%)、悪心(30.3%)、貧血(24.2%)等であった。
ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の乳癌の術後患者注12)5637例を対象に、本剤+内分泌療法と内分泌療法を比較する無作為化非盲検第III相国際共同試験を実施した。
本剤150mg(1日2回)は病態の悪化等が認められるまで最長24ヵ月間投与し、医師選択の標準的な内分泌療法剤(タモキシフェン、アロマターゼ阻害剤等の単独投与、又はLH-RHアゴニストとの併用投与)は5~10年間投与することとされ、再発又は投与中止基準に該当するまで継続することとされた。
主要評価項目である治験責任医師判定による浸潤性疾患のない生存期間について、本剤+内分泌療法の併用投与(2808例、うち日本人181例)により、内分泌療法(2829例、うち日本人196例)と比較して統計学的に有意な延長が認められた(ハザード比(95%信頼区間):0.747(0.598-0.932)、p=0.00957(層別ログランク検定)、有意水準(両側)0.0264)14)。(2020年3月16日データカットオフ)
再発高リスク注13)の術後乳癌患者における浸潤性疾患のない生存期間は下表のとおりであった15)。,
本剤+内分泌療法群
内分泌療法群
2555(169)
2565(175)
127
182
2年無浸潤疾患生存率
92.1
(90.3-93.6)
88.4
(86.2-90.2)
0.714(0.569-0.896)
本剤が投与された2791例(日本人181例を含む)に認められた主な副作用は、下痢(79.1%)、好中球減少症(42.6%)、白血球減少症(34.4%)、疲労(29.2%)、腹痛(27.6%)等であった。
アベマシクリブはCDK4及び6に対する阻害作用を有する低分子化合物であり、CDK4/6とサイクリンDの複合体の活性を阻害し、retinoblastoma(Rb)タンパクのリン酸化を阻害することにより、細胞周期の進行を停止し、腫瘍の増殖を抑制すると考えられる17),18)。
ヒト乳癌由来ZR-75-1、MCF-7、T47-D及びMDA-MB-453細胞株並びにヒト乳癌患者由来ST941/HI腫瘍組織片を皮下移植したマウスにおいて、アベマシクリブは腫瘍増殖抑制作用を示した。また、T47-D細胞株及びST941/HI腫瘍組織片を皮下移植したマウスにおいて、アベマシクリブと内分泌療法剤(フルベストラント又は4-ヒドロキシタモキシフェン)との併用により、腫瘍増殖抑制作用の増強が認められた。
アベマシクリブ(Abemaciclib)〔JAN〕
N-{5-[(4-Ethylpiperazin-1-yl)methyl]pyridin-2-yl}-5-fluoro-4-[4-fluoro-2-methyl-1-(1-methylethyl)-1H-benzimidazol-6-yl]pyrimidin-2-amine
C27H32F2N8
506.59
白色~黄色の粉末である。
約176℃
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
30錠[10錠(PTP)×3]
1) Fujiwara Y, et al.: Cancer Chemother Pharmacol. 2016; 78(2): 281-288
2) 社内資料: 進行癌患者を対象としたアベマシクリブの外国第I相試験(JPBA試験)(2018年9月21日承認、CTD2.7.6.6)
3) 社内資料: アベマシクリブの絶対的バイオアベイラビリティ(JPBS試験)(2018年9月21日承認、CTD2.7.6.2)
4) 社内資料: アベマシクリブの薬物動態に及ぼす食事の影響(JPCC試験)(2018年9月21日承認、CTD2.7.6.3)
5) 社内資料: アベマシクリブ及び代謝物のヒト血漿蛋白結合率(2018年9月21日承認、CTD2.7.2.2.1.1)
6) 社内資料: In vitroにおける代謝及び薬物相互作用の検討(2018年9月21日承認、CTD2.7.2.2.1.3)
7) 社内資料: アベマシクリブのマスバランス試験(JPBD試験)(2018年9月21日承認、CTD2.7.6.13)
8) 社内資料: 様々な重症度の肝機能障害を有する被験者におけるアベマシクリブの薬物動態(JPBV試験)(2018年9月21日承認、CTD2.7.6.9)
9) 社内資料: アベマシクリブとクラリスロマイシンの相互作用(JPBE試験)(2018年9月21日承認、CTD2.7.6.10)
10) 社内資料: アベマシクリブとリファンピシンの相互作用(JPBF試験)(2018年9月21日承認、CTD2.7.6.11)
11) 社内資料: アベマシクリブとメトホルミンの相互作用(JPCK試験)(2018年9月21日承認、CTD2.7.6.12)
12) Sledge GW, et al.: J. Clin. Oncol. 2017; 35(25): 2875-2884
13) Goetz MP, et al.: J. Clin. Oncol. 2017; 35(32): 3638-3646
14) *Johnston SRD, et al.: J. Clin. Oncol. 2020; 38(34): 3987-3998
15) *社内資料: 早期乳癌患者を対象としたアベマシクリブの無作為化非盲検第III相国際共同試験(monarchE試験)(2021年12月24日承認、審査報告書)
16) *Elston CW, Ellis IO.: Histopathology. 1991; 19(5): 403-410
17) Gelbert LM, et al.: Invest. New Drugs. 2014; 32(5): 825-837
18) Torres-Guzman R, et al.: Oncotarget. 2017; 8(41): 69493-69507
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