医療用医薬品 詳細表示

イブグリース皮下注250mgオートインジェクター/イブグリース皮下注250mgシリンジ

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
1.警告
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2薬理試験
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

イブグリース皮下注250mgオートインジェクター/イブグリース皮下注250mgシリンジ

添付文書番号

4490410G1025_1_03

企業コード

530471

作成又は改訂年月

**2025年5月改訂(第3版)
2024年5月改訂(第2版)

日本標準商品分類番号

87449

薬効分類名

抗ヒトIL-13モノクローナル抗体製剤

承認等

イブグリース皮下注250mgオートインジェクター

最適使用推進ガイドライン対象品目

販売名コード

YJコード

4490410G2021

販売名英語表記

Ebglyss® Subcutaneous Injection Autoinjectors

承認番号等

承認番号

30600AMX00013

販売開始年月

2024年5月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃で保存

有効期間

24ヵ月(オートインジェクター)

規制区分

イブグリース皮下注250mgシリンジ

最適使用推進ガイドライン対象品目

販売名コード

YJコード

4490410G1025

販売名英語表記

Ebglyss® Subcutaneous Injection Syringes

承認番号等

承認番号

30600AMX00012

販売開始年月

2024年5月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃で保存

有効期間

36ヵ月(シリンジ)

規制区分

一般的名称

レブリキズマブ(遺伝子組換え)注射液

1. 警告

本剤の投与は、適応疾患の治療に精通している医師のもとで行うこと。

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

イブグリース皮下注250mgオートインジェクター

有効成分1シリンジ2mL中レブリキズマブ(遺伝子組換え)   250mg
添加剤L-ヒスチジン    6.2mg
氷酢酸 1.8mg  
精製白糖 119.6mg  
ポリソルベート20 0.6mg  

本剤はチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。

イブグリース皮下注250mgシリンジ

有効成分1シリンジ2mL中レブリキズマブ(遺伝子組換え)   250mg
添加剤L-ヒスチジン    6.2mg
氷酢酸 1.8mg  
精製白糖 119.6mg  
ポリソルベート20 0.6mg  

本剤はチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。

3.2 製剤の性状

イブグリース皮下注250mgオートインジェクター

性状・剤形無色~微黄色~微褐色の澄明又はわずかに乳白光を呈する液(注射剤)
pH5.4~6.0
浸透圧比(生理食塩液に対する比)約1

イブグリース皮下注250mgシリンジ

性状・剤形無色~微黄色~微褐色の澄明又はわずかに乳白光を呈する液(注射剤)
pH5.4~6.0
浸透圧比(生理食塩液に対する比)約1

4. 効能又は効果

  • 既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎

5. 効能又は効果に関連する注意

  1. 5.1 ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤等の抗炎症外用剤による適切な治療を一定期間施行しても、十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及ぶ患者に用いること。
  2. 5.2 原則として、本剤投与時にはアトピー性皮膚炎の病変部位の状態に応じて抗炎症外用剤を併用すること。
  3. 5.3 本剤投与時も保湿外用剤を継続使用すること。

6. 用法及び用量

通常、成人及び12歳以上かつ体重40kg以上の小児には、レブリキズマブ(遺伝子組換え)として初回及び2週後に1回500mg、4週以降、1回250mgを2週間隔で皮下投与する。なお、患者の状態に応じて、4週以降、1回250mgを4週間隔で皮下投与することができる。

7. 用法及び用量に関連する注意

本剤による治療反応は、通常投与開始から16週までには得られる。16週までに治療反応が得られない場合は、投与中止を考慮すること。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 本剤投与中の生ワクチンの接種は、安全性が確認されていないので避けること。
  2. 8.2 本剤が疾病を完治させる薬剤でなく、本剤投与中も保湿外用剤等を併用する必要があることを患者に対して説明し、患者が理解したことを確認したうえで投与すること。
  3. 8.3 **本剤の自己投与にあたっては、以下の点に留意すること。
    • **本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。
    • **自己投与の適用については、その妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、本剤投与による危険性と対処法について患者又はその保護者が理解し、確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。
    • **自己投与適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。また、本剤投与後に副作用の発現が疑われる場合は、医療機関へ連絡するよう患者又はその保護者に指導を行うこと。
    • **使用済みのオートインジェクター又はシリンジを再使用しないように患者又はその保護者に注意を促し、安全な廃棄方法に関する指導の徹底を行うと同時に、使用済みのオートインジェクター又はシリンジを廃棄する容器等を提供すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 寄生虫感染患者

    本剤を投与する前に寄生虫感染の治療を行うこと。また、患者が本剤投与中に寄生虫感染を起こし、抗寄生虫薬による治療が無効な場合には、寄生虫感染が治癒するまで本剤の投与を一時中止すること。本剤はIL-13を阻害することにより2型免疫応答を減弱させ、寄生虫感染に対する生体防御機能を減弱させる可能性がある。

  2. 9.1.2 長期ステロイド内服療法を受けている患者

    本剤投与開始後に経口ステロイドを急に中止しないこと。経口ステロイドの減量が必要な場合には、医師の管理下で徐々に行うこと。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤を妊娠カニクイザルへ投与した場合、胎盤を通過して胎児に移行することが確認されているが、胎児・出生児に毒性及び催奇形性は認められなかった1),2)

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒトの乳汁中への移行及び授乳された乳児への影響は不明である。本剤はヒトIgG4モノクローナル抗体であり、ヒトIgGは乳汁中へ移行することが知られている。

9.7 小児等

12歳未満の患者及び12歳以上18歳未満でかつ体重40kg未満の患者を対象とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用

**次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 重篤な過敏症(0.2%)

    アナフィラキシー等の重篤な過敏症があらわれることがある。

11.2 その他の副作用

5%以上

1~5%未満

0.1~1%未満

眼障害

アレルギー性結膜炎

角膜炎、春季カタル

一般・全身障害および投与部位の状態

注射部位反応(紅斑、疼痛、そう痒感、腫脹等)

感染症および寄生虫症

結膜炎

帯状疱疹

血液およびリンパ系障害

好酸球増加症

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与前の注意

  1. 14.1.1 投与45分前に冷蔵庫から取り出し、直射日光を避け、室温に戻しておくことが望ましい。
  2. 14.1.2 投与前に異物や変色が認められないことを目視により確認すること。濁りや異物が認められる場合は使用しないこと。

14.2 薬剤投与時の注意

投与時は以下の点を注意すること。

  • 注射部位は、腹部、大腿部又は上腕部とする。腹部へ投与する場合は、へその周りを外して投与すること。同一箇所へ繰り返し注射することは避けること。皮膚が敏感な部位、傷、発赤、硬結がある部位、アトピー性皮膚炎の強い炎症を伴う部位には注射しないこと。
  • 本剤は1回使用の製剤であり、再使用しないこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

アトピー性皮膚炎患者を対象とした第III相試験4試験の併合集団において、本剤の投与を受けた1270例(日本人患者275例を含む)中50例(3.9%)に抗薬物抗体(ADA)の発現が認められ、うち46例は中和抗体も陽性であった。ADA陽性例ではADA陰性例と比べて血清中レブリキズマブ濃度が低下する傾向が認められたが、ADAの発現による本剤の有効性及び安全性への影響は示唆されなかった。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与

    日本人健康成人に本剤125、250、及び375mg1)を単回皮下投与したときの血清中レブリキズマブ濃度推移及び薬物動態パラメータを図1及び表1に示す。血清中レブリキズマブ濃度は投与後約4~7日で最高値に達し、消失半減期は約3週間であった3)

    図1)日本人健康成人に本剤125~375mg1)を単回皮下投与したときの血清中レブリキズマブ濃度推移(平均値±標準偏差)
    表1)日本人健康成人に本剤125~375mg1)を単回皮下投与したときの薬物動態パラメータ

    投与量

    (例数)

    tmaxa)

    (day)

    Cmax

    (μg/mL)

    AUC0-∞

    (μg・day/mL)

    t1/2

    (day)

    125mg

    (7例)

    4.00

    (1.00 - 14.0)

    15.3

    (4.37)

    643

    (134)

    23.1

    (2.48)

    250mg

    (7例)

    6.00

    (4.00 - 14.0)

    29.0

    (7.99)

    1210

    (324)

    21.3

    (5.61)

    375mg

    (7例)

    6.96

    (6.94 - 7.95)

    47.2

    (8.28)

    1790

    (297)

    20.4

    (1.61)

    算術平均値(標準偏差)

    a)中央値(最小値 - 最大値)

  2. 16.1.2 反復投与

    健康成人及びアトピー性皮膚炎患者2126例(日本人患者297例を含む)のデータを用いて母集団薬物動態解析を実施した。本剤250mgを4週間隔で皮下投与したときの日本人患者のCmax,ssは67.7μg/mL、Ctrough,ssは33.7μg/mL、AUCτ,ssは1470μg・day/mL、終末相のt1/2は20.1dayであった。また、本剤250mgを2週間隔で皮下投与したときのCmax,ssは115μg/mL、Ctrough,ssは88.7μg/mLであった3)

  3. 16.1.3 母集団薬物動態解析

    健康成人及びアトピー性皮膚炎患者に本剤37.5~500mg1)を皮下投与したとき、本剤の薬物動態には線形性が認められた。母集団薬物動態解析により推定された本剤皮下投与時の絶対的バイオアベイラビリティの母集団平均値は約86%であった。本剤の吸収に投与部位による違いは認められなかった。母集団薬物動態解析により推定された本剤皮下投与時の定常状態における分布容積及びクリアランスは4.32L、0.155L/dayであった4)

    1) 本剤承認用量は、1回500mg(初回及び2週後)、1回250mg(4週後以降)である。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  1. 17.1.1 国内第III相併用療法試験(KGAL試験)

    日本の分類でミディアム~ストロングクラス以上に相当するステロイド外用薬に対して効果不十分であった、成人又は12歳以上の小児(体重40kg以上)の中等症から重症2)のアトピー性皮膚炎患者286例を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験を実施した。ステロイド外用薬併用下、本剤250mg(初回のみ500mg)を4週間隔(Q4W)、本剤250mg(初回及び投与2週時のみ500mg)又はプラセボを2週間隔(Q2W)で16週間皮下投与した3)。導入投与期間(0~16週時)で本剤をQ2Wで投与され、レスポンダー4)と判断された患者を、16週時に本剤250mgのQ2W群又はQ4W群に1:1で再無作為化し68週時まで投与した(維持投与期間:16~68週)。導入投与期間で本剤をQ4W又はプラセボを投与され、レスポンダー4)と判断された患者は維持投与期間の治験薬及び用法・用量を継続した。いずれの投与群においても、16週時にノンレスポンダー4)と判断された患者は、非盲検下で本剤250mgのQ2W投与を行った。主要評価項目は、16週時に治験担当医師による総合評価(Investigator's Global Assessment:IGA)スコアが0又は1、かつ、ベースラインから2ポイント以上の改善(IGA(0,1))を達成した被験者の割合及び16週時にEASIスコアでベースラインからの75%以上の改善(EASI-75)を達成した被験者の割合とした。両主要評価項目において、本剤Q2W投与群及び本剤Q4W投与群はプラセボ投与群に比べて高く、統計学的な有意差が認められた5),6),7)

    2) IGAスコアが3以上、EASIスコアが16以上、及び体表面積に占めるアトピー性皮膚炎病変の割合が10%以上

    3) 投与期間中は保湿剤の併用を必須とし、経口シクロスポリン、経口ステロイド等の全身療法、及び光線療法の併用を禁止した。

    4) 16週時にIGA(0,1)又はEASI-75を達成した被験者をレスポンダー、いずれも達成しなかった被験者をノンレスポンダーとした。

    表1)投与16週時の有効性成績(ITT集団)

    16週時

    Q2W群

    Q4W群

    プラセボ群

    IGA(0,1)達成割合5)

    33.4

    (41/123)

    29.1

    (24/81)

    6.1

    (5/82)

    • プラセボ群との差
    • [95%信頼区間]
    • p値7)

    27.3

    [17.5, 37.0]

    p<0.001

    22.6

    [11.6, 33.6]

    EASI-75達成割合5)

    51.2

    (63/123)

    47.2

    (38/81)

    13.4

    (11/82)

    • プラセボ群との差
    • [95%信頼区間]
    • p値7)

    37.6

    [26.2, 49.0]

    p<0.001

    33.2

    [20.6, 45.8]

    痒みNRS4点以上改善達成割合5),6)

    32.7

    (26/80)

    23.8

    (14/59)

    3.3

    (2/60)

    • プラセボ群との差
    • [95%信頼区間]

    29.2

    [17.9, 40.4]

    20.6

    [8.7, 32.4]

    5) %(例数)、MCMC-MI法を用いて欠測値を補完

    6) ベースラインの痒みNRSスコアが4ポイント以上であった症例に基づく解析

    7) 年齢及び疾患重症度(IGAスコア3又は4)で調整したCochran-Mantel-Haenszel検定

    表2)投与68週時の有効性成績

    68週時

    Q2W/Q2W群8)

    (レスポンダー)

    Q2W/Q4W群8)

    (レスポンダー)

    Q2W継続群9)

    (ノンレスポンダー)

    Q4W継続群10)

    (レスポンダー)

    IGA(0,1)達成割合11),14),15)

    81.3

    (20/24)

    66.3

    (11/16)

    31.8

    (14/44)

    66.3

    (15/23)

    EASI-75達成割合12),14),15)

    88.6

    (26/29)

    83.4

    (28/33)

    79.5

    (35/44)

    82.6

    (31/38)

    痒みNRS4点以上改善達成割合13),14),15)

    62.5

    (5/8)

    57.1

    (4/7)

    43.8

    (14/32)

    87.5

    (7/8)

    8) 導入投与期間にQ2Wを投与され16週時レスポンダーと判断された後、再無作為化を受けて維持投与期間にQ2W又はQ4Wを投与された被験者

    9) 導入投与期間にQ2Wを投与され16週時ノンレスポンダーと判断された後、維持投与期間に非盲検下でQ2Wを継続して投与された被験者

    10) 導入投与期間にQ4Wを投与され16週時レスポンダーと判断された後、維持投与期間にQ4Wを継続して投与された被験者

    11) 16週時にIGA(0,1)を達成した症例に基づく解析(レスポンダーの結果)

    12) 16週時にEASI-75を達成した症例に基づく解析(レスポンダーの結果)

    13) 16週時に痒みNRSスコア4点以上改善を達成した症例に基づく解析(レスポンダーの結果)

    14) %(例数)、MCMC-MI法を用いて欠測値を補完(レスポンダーの結果)

    15) %(例数)、測定値に基づく解析(ノンレスポンダーの結果)

    導入投与期間(16週まで)の副作用は、本剤Q2W群で25.2%(31/123例)に、Q4W群で17.3%(14/81例)に、プラセボ群で13.4%(11/82例)に認められ、主な副作用はQ2W群でアレルギー性結膜炎13.8%(17/123例)及び結膜炎4.1%(5/123例)、Q4W群でアレルギー性結膜炎8.6%(7/81例)及び結膜炎2.5%(2/81例)であった。維持投与期間(16週以降68週時まで)の副作用は、Q2W/Q2W群8)で28.1%(9/32例)に、Q2W/Q4W群8)で27.3%(9/33例)に、Q4W/Q4W群10)で21.1%(8/38例)に認められ、主な副作用はQ2W/Q2W群8)でアレルギー性結膜炎9.4%(3/32例)及び注射部位紅斑9.4%(3/32例)、Q2W/Q4W群8)で注射部位反応6.1%(2/33例)、Q4W/Q4W群10)でアレルギー性結膜炎5.3%(2/38例)であった(いずれもレスポンダーの結果)。

  2. 17.1.2 海外第III相併用療法試験(KGAD試験)

    ステロイド外用薬に対して効果不十分であった、成人又は12歳以上の小児(体重40kg以上)の中等症から重症16)のアトピー性皮膚炎患者228例を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験を実施した。ステロイド外用薬併用下、本剤250mg(初回及び投与2週時のみ500mg)又はプラセボをQ2Wで16週間皮下投与した17)。主要評価項目は、16週時にIGA(0,1)を達成した被験者の割合及び16週時にEASI-75を達成した被験者の割合とした。両主要評価項目において、本剤Q2W投与群は、プラセボ投与群に比べて高く、統計学的な有意差が認められた8)

    16) IGAスコアが3以上、EASIスコアが16以上、及び体表面積に占めるアトピー性皮膚炎病変の割合が10%以上

    17) 投与期間中は保湿剤の併用を必須とし、経口シクロスポリン、経口ステロイド等の全身療法、及び光線療法の併用を禁止した。

    表3)投与16週時の有効性成績(modified ITT集団)

    Q2W群

    プラセボ群

    プラセボ群との差

    [95%信頼区間]

    p値20)

    IGA(0,1)達成割合18)

    41.2

    (60/145)

    22.1

    (15/66)

    18.3

    [5.1, 31.5]

    p=0.011

    EASI-75達成割合18)

    69.5

    (101/145)

    42.2

    (28/66)

    26.4

    [12.1, 40.8]

    p<0.001

    痒みNRS4点以上改善達成割合18),19)

    50.6

    (66/130)

    31.9

    (18/57)

    19.2

    [4.3, 34.1]

    18) %(例数)、MCMC-MI法を用いて欠測値を補完

    19) ベースラインの痒みNRSスコアが4ポイント以上であった症例に基づく解析

    20) 地域、年齢、及び疾患重症度(IGAスコア3又は4)で調整したCochran-Mantel-Haenszel検定

    16週までの副作用は本剤Q2W群で11.7%(17/145例)に、プラセボ群で4.5%(3/66例)に認められ、主な副作用はQ2W群で結膜炎4.8%(7/145例)であった。

  1. 17.1.3 海外第III相単剤療法試験(KGAB/KGAC試験)

    ステロイド外用薬に対して効果不十分又はステロイド外用薬の使用が推奨されない、成人又は12歳以上の小児(体重40kg以上)の中等症から重症21)のアトピー性皮膚炎患者851例(KGAB試験:424例、KGAC試験:445例)を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験を実施した。単独で本剤250mg(初回及び投与2週時のみ500mg)又はプラセボをQ2Wで16週間皮下投与した22)。導入投与期間(0~16週時)で本剤を投与され、レスポンダー23)と判断された患者を、16週時に本剤250mgのQ2W群、Q4W群、又はプラセボ群に2:2:1で再無作為化し52週時まで投与した(維持投与期間:16~52週)。

    主要評価項目は、16週時にIGA(0,1)を達成した被験者の割合及び16週時にEASI-75を達成した被験者の割合とした。両主要評価項目において、本剤Q2W投与群は、プラセボ投与群に比べて高く、統計学的な有意差が認められた9),10)

    21) IGAスコアが3以上、EASIスコアが16以上、及び体表面積に占めるアトピー性皮膚炎病変の割合が10%以上

    22) 投与期間中は保湿剤の併用を必須とし、経口シクロスポリン、経口ステロイド等の全身療法、及び光線療法の併用を禁止した。

    23) 16週時にIGA(0,1)又はEASI-75を達成した被験者をレスポンダーとした。

    表4)投与16週時の有効性成績(ITT集団(KGAB試験)、modified ITT集団(KGAC試験))

    KGAB試験

    Q2W群

    プラセボ群

    プラセボ群との差[95%信頼区間]

    p値26)

    IGA(0,1)達成割合24)

    43.1

    (122/283)

    12.7

    (18/141)

    29.7

    [21.6, 37.8]

    p<0.001

    EASI-75達成割合24)

    58.8

    (166/283)

    16.2

    (23/141)

    42.0

    [33.3, 50.6]

    p<0.001

    痒みNRS4点以上改善達成割合24),25)

    45.9

    (121/263)

    13.0

    (17/130)

    32.9

    [24.6, 41.3]

    KGAC試験

    Q2W群

    プラセボ群

    プラセボ群との差[95%信頼区間]

    p値26)

    IGA(0,1)達成割合24)

    33.2

    (93/281)

    10.8

    (16/146)

    21.9

    [14.2, 29.6]

    p<0.001

    EASI-75達成割合24)

    52.1

    (146/281)

    18.1

    (26/146)

    33.3

    [24.4, 42.2]

    p<0.001

    痒みNRS4点以上改善達成割合24),25)

    39.8

    (101/253)

    11.5

    (15/134)

    28.3

    [20.0, 36.5]

    24) %(例数)、MCMC-MI法を用いて欠測値を補完

    25) ベースラインの痒みNRSスコアが4ポイント以上であった症例に基づく解析

    26) 地域、年齢、及び疾患重症度(IGAスコア3又は4)で調整したCochran-Mantel-Haenszel検定

    表5)投与52週時の有効性成績(KGAB試験及びKGAC試験)

    KGAB試験

    Q2W/Q2W群28)

    Q2W/Q4W群28)

    プラセボ群

    IGA(0,1)達成割合27),29)

    75.8

    (34/45)

    74.2

    (33/45)

    46.5

    (10/22)

    • プラセボ群との差
    • [95%信頼区間]

    29.0

    [4.6, 53.3]

    28.0

    [2.8, 53.2]

    EASI-75達成割合27),30)

    79.2

    (48/61)

    79.2

    (49/62)

    61.3

    (18/30)

    • プラセボ群との差
    • [95%信頼区間]

    17.5

    [-4.5, 39.5]

    17.9

    [-2.3, 38.1]

    痒みNRS4点以上改善達成割合27),31)

    81.2

    (31/38)

    80.4

    (23/29)

    65.4

    (11/17)

    • プラセボ群との差
    • [95%信頼区間]

    16.6

    [-9.4, 42.7]

    15.8

    [-12.2, 43.8]

    KGAC試験

    Q2W/Q2W群28)

    Q2/Q4W群28)

    プラセボ群

    IGA(0,1)達成割合27),29)

    64.6

    (21/32)

    80.6

    (26/32)

    49.8

    (8/16)

    • プラセボ群との差
    • [95%信頼区間]

    13.4

    [-17.5, 44.3]

    32.6

    [2.6, 62.5]

    EASI-75達成割合27),30)

    77.4

    (39/51)

    84.7

    (45/53)

    72.0

    (19/27)

    • プラセボ群との差
    • [95%信頼区間]

    4.8

    [-17.8, 27.3]

    12.8

    [-9.5, 35.1]

    痒みNRS4点以上改善達成割合27),31)

    90.3

    (21/23)

    88.1

    (32/36)

    67.6

    (7/11)

    • プラセボ群との差
    • [95%信頼区間]

    20.4

    [-10.6, 51.4]

    20.3

    [-11.4, 52.0]

    27) %(例数)、MCMC-MI法を用いて欠測値を補完

    28) 導入投与期間にQ2Wを投与され16週時レスポンダーと判断された後、再無作為化を受けて維持投与期間にQ2W又はQ4Wを投与された被験者

    29) 16週時にIGA(0,1)を達成した症例に基づく解析

    30) 16週時にEASI-75を達成した症例に基づく解析

    31) 16週時に痒みNRSスコア4点以上改善を達成した症例に基づく解析

    KGAB試験における導入投与期間(16週まで)の副作用は、本剤Q2W群で14.2%(40/282例)に、プラセボ群で10.6%(15/141例)に認められ、主な副作用はQ2W群で結膜炎5.0%(14/282例)であった。維持投与期間(16週以降52週時まで)の副作用は、Q2W/Q2W群28)で8.1%(5/62例)に、Q2W/Q4W群28)で14.3%(9/63例)に、プラセボ群で9.4%(3/32例)に認められた。主な副作用はQ2W/Q2W群28)でアレルギー性結膜炎1.6%(1/62例)、眼瞼炎1.6%(1/62例)、春季カタル1.6%(1/62例)、紅斑1.6%(1/62例)、口腔ヘルペス1.6%(1/62例)、及びCOVID-19 1.6%(1/62例)、Q2W/Q4W群28)でアレルギー性結膜炎4.8%(3/63例)であった。

    KGAC試験における導入投与期間(16週まで)の副作用は、本剤Q2W群で21.4%(60/281例)に、プラセボ群で15.2%(22/145例)に認められ、主な副作用はQ2W群で結膜炎6.8%(19/281例)であった。維持投与期間(16週以降52週時まで)の副作用は、Q2W/Q2W群28)で13.7%(7/51例)に、Q2W/Q4W群28)で23.6%(13/55例)に、プラセボ群で14.3%(4/28例)に認められ、主な副作用はQ2W/Q2W群28)で毛包炎3.9%(2/51例)、Q2W/Q4W群28)で結膜炎9.1%(5/55例)及びアレルギー性結膜炎7.3%(4/55例)であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

レブリキズマブはインターロイキン(IL)-13に結合するIgG4モノクローナル抗体である(KD値:31pM)。レブリキズマブはIL-13に結合することにより、IL-13受容体複合体(IL-4Rα/IL-13Rα1)を介したIL-13シグナル伝達を特異的に阻害する。レブリキズマブは、IL-13の内在化に関与するIL-13受容体α2サブユニット(IL-13Rα2:デコイ受容体)に対するIL-13の結合は阻害しない11)

18.2 薬理試験

  1. 18.2.1 In vitro試験

    レブリキズマブはIL-13で誘発されるシグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)6のリン酸化及び細胞増殖(ヒト赤白血病細胞株TF-1)を阻害した11)

  2. 18.2.2 In vivo試験

    レブリキズマブはIL-13で誘発されるマウスの肺の炎症を抑制した11)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

レブリキズマブ(遺伝子組換え)[Lebrikizumab (Genetical Recombination)]〔JAN〕

本質

レブリキズマブは、遺伝子組換えモノクローナル抗体であり、マウス抗ヒトインターロイキン-13モノクローナル抗体の相補性決定部、並びにヒトIgG4のフレームワーク部及び定常部からなり、H鎖226番目のアミノ酸残基がProに置換されている。レブリキズマブは、チャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される。レブリキズマブは、445個のアミノ酸残基からなるH鎖(γ4鎖)2本及び218個のアミノ酸残基からなるL鎖(κ鎖)2本で構成される糖タンパク質(分子量:約148,000)である。

20. 取扱い上の注意

  1. 20.1 凍結を避け、2~8℃で保存すること。凍結した場合は使用しないこと。
  2. 20.2 本剤は遮光保存する必要があるため、本剤を使用するまでは外箱に入れて保管すること。
  3. 20.3 激しく振とうしないこと。
  4. 20.4 室温で保存する場合は30℃を超えない場所で遮光保存し、7日以内に使用すること。

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

  • 〈イブグリース皮下注250mgオートインジェクター〉

    2mL×1オートインジェクター

  • 〈イブグリース皮下注250mgシリンジ〉

    2mL×1シリンジ

24. 文献請求先及び問い合わせ先

日本イーライリリー株式会社 医薬情報問合せ窓口

〒651-0086 神戸市中央区磯上通5丁目1番28号

TEL:0120-360-605(医療関係者向け)

medical.lilly.com/jp

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

日本イーライリリー株式会社

神戸市中央区磯上通5丁目1番28号



Ⓡ:登録商標

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

画面を閉じる

Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.