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日本薬局方
プロピベリン塩酸塩錠
神経因性膀胱、神経性頻尿、不安定膀胱、膀胱刺激状態(慢性膀胱炎、慢性前立腺炎)
通常、成人にはプロピベリン塩酸塩として20mgを1日1回食後経口投与する。年齢、症状により適宜増減するが、効果不十分の場合は、20mgを1日2回まで増量できる。
20mgを1日1回投与で効果不十分であり、かつ安全性に問題がない場合に増量を検討すること。
眼調節障害、眠気、めまいがあらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事させないよう十分に注意すること。
前立腺肥大症等では排尿困難が更に悪化又は残尿が増加するおそれがある。
閉塞隅角緑内障以外でも抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状が悪化するおそれがある。
期外収縮等が報告されており、症状が悪化又は再発するおそれがある。
症状の悪化あるいは精神神経症状があらわれるおそれがある。
中毒性巨大結腸があらわれるおそれがある。
抗コリン作用により頻脈等の交感神経興奮症状が悪化するおそれがある。
腎排泄が減少し、副作用が発現しやすいおそれがある。
主として肝で代謝されるため、副作用が発現しやすいおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている1)。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
安全性を考慮して10mg/日より投与を開始するなど慎重に投与すること。肝機能、腎機能が低下していることが多い。
抗コリン作用を有する薬剤
口渇、便秘、排尿困難等があらわれるおそれがある。
抗コリン作用が増強されるおそれがある。
眼圧亢進、嘔気・頭痛を伴う眼痛、視力低下等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、直ちに適切な処置を行うこと。,
,
著しい便秘、腹部膨満等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
BUN、血中クレアチニンの上昇があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
発熱、紅斑、そう痒感、眼充血、口内炎等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
QT延長、心室性頻拍、房室ブロック、徐脈等があらわれることがある。,
AST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
5%以上
0.1~5%未満
頻度不明
消化器
口渇(12.8%)
便秘、腹痛、嘔気・嘔吐、食欲不振、下痢、口内炎
消化不良、舌炎
泌尿器
排尿困難、残尿
尿意消失
精神神経系
めまい、頭痛、しびれ、眠気
意識障害(見当識障害、一過性健忘)、パーキンソン症状(すくみ足、小刻み歩行等の歩行障害、振戦等)、ジスキネジア
循環器
血圧上昇
動悸、徐脈、期外収縮、胸部不快感
過敏症
そう痒、発疹、蕁麻疹
眼
調節障害、眼球乾燥
肝臓
AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇
腎臓
BUN上昇、クレアチニン上昇
血液
白血球減少
その他
浮腫、脱力感、味覚異常
倦怠感、咽頭部痛、腰痛、嗄声、痰のからみ
せん妄、興奮、全身痙攣、歩行障害、言語障害、散瞳、麻痺性イレウス、尿閉、頻脈、血圧上昇、全身紅潮、肝機能障害等。
胃洗浄し、次にアトロピン過量投与の場合と同様の処置を行う。例えば、ネオスチグミン(抗コリン症状に対して)、抗不安剤、補液等の対症療法を行う。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
雌雄ラット及びマウスに2年間経口投与したところ、雄ラットにおいて臨床用量の122倍(49mg/kg/日)投与群に腎腫瘍、雄マウスにおいて臨床用量の447倍(179mg/kg/日)投与群に肝腫瘍の発生率が対照群に比べ高いとの報告がある。
健康成人男子にプロピベリン塩酸塩20mgを経口投与し、血漿中の未変化体及び代謝物を測定した。単回投与における未変化体とその主代謝物である1-メチル-4-ピペリジル ジフェニルプロポキシ酢酸 N-オキシド(プロピベリン塩酸塩のN-オキシド体であり、以下M-1と略す。)及び1-メチル-4-ピペリジル ベンジル酸 N-オキシド(M-1の脱プロピル体であり、以下M-2と略す。)の薬物動態パラメータは以下のとおりであった2)。
Tmax(hr)
Cmax(ng/mL)
AUC0~48hr(ng・hr/mL)
T1/2(hr)
未変化体
1.67±0.52
52.42±17.32
559.97±167.17
14.78±3.12※1
M-1
1.04±0.40
682.41±151.02
5540.65±1349.29
9.60±1.12
M-2
1.69±0.48
9.50±2.23
117.88±23.33
10.07±1.95※2
(n=16, mean±S.D., ただし※1:n=15,※2:n=5)
1日1回7日間反復投与したとき、未変化体の血漿中濃度は4日目まで漸次上昇し、以降4~7日の投与期間中はほぼ一定した値を示し、投与終了後の半減期は約25時間であった。主代謝物であるM-1の血漿中濃度は未変化体と同様の推移を示し、投与終了後の半減期は約14時間であった3)。
プロピベリン塩酸塩錠10mg「NIG」及びプロピベリン塩酸塩錠20mg「NIG」とバップフォー錠10及びバップフォー錠20をクロスオーバー法によりそれぞれプロピベリン塩酸塩として20mgを健康成人男子に空腹時単回投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された4)。
投与量
判定パラメータ
参考パラメータ
AUC0~72
(ng・hr/mL)
Cmax
(ng/mL)
tmax
(hr)
t1/2
プロピベリン塩酸塩錠10mg「NIG」
20mg(2錠)
2055.69±436.33
124.78±11.30
1.38±0.22
27.22±4.56
バップフォー錠10
2079.49±398.96
127.61±17.19
1.38±0.29
25.71±4.48
プロピベリン塩酸塩錠20mg「NIG」
20mg(1錠)
2136.56±321.83
115.88±18.00
1.47±0.29
26.25±4.60
バップフォー錠20
1957.98±290.99
115.55±14.98
1.41±0.27
26.52±3.90
(Mean±S.D.,n=16)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
プロピベリン塩酸塩から主代謝物M-1への代謝には主としてCYP3A4が関与する3)。
健康成人男子にプロピベリン塩酸塩20mgを単回経口投与した時の0~48時間尿には代謝物であるM-1、M-2及び2,2-ジフェニル-5-メチル-1,4-ジオキサン-3-オンなどが主に排泄され、それらの尿中総排泄量は投与量の12~17%であった5)。
頻尿・尿失禁を主訴とした神経因性膀胱及び不安定膀胱患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験において、プロピベリン塩酸塩20mg又はプラセボを1日1回経口投与した結果、プロピベリン塩酸塩の全般改善度評価可能症例は64例で、改善率(有効以上)は51.6%(33/64例)で優越性が検証された(U-test、χ2-test:p<0.01)6)。プロピベリン塩酸塩の副作用評価可能症例は65例であり、副作用発現率は6.2%(4/65例)であった。主な副作用は口渇3.1%(2/65例)であった。さらに頻尿を主訴とした神経性頻尿及び刺激膀胱患者を対象としたフラボキサート塩酸塩対照二重盲検比較試験において、プロピベリン塩酸塩20mgを1日1回経口投与又はフラボキサート塩酸塩1日600mgを毎食後3回投与した結果、プロピベリン塩酸塩の全般改善度評価可能症例は96例で、改善率(有効以上)は45.8%(44/96例)で優越性が検証された(U-test、χ2-test:p<0.05)7)。プロピベリン塩酸塩の副作用評価可能症例は100例であり、副作用発現率は25%(25/100例)であった。主な副作用は口渇15%(15/100例)、排尿困難4%(4/100例)、腹痛3%(3/100例)、頭痛2%(2/100例)であった。
過活動膀胱患者を対象にプロピベリン塩酸塩20mgを1日1回経口投与した無作為化二重盲検並行群間比較試験(投与期間:12週間)における成績は以下のとおりであった。主要評価項目である24時間あたりの平均排尿回数の変化量、副次評価項目である24時間あたりの平均尿意切迫感回数の変化量及び24時間あたりの平均切迫性尿失禁回数の変化量に関してプロピベリン塩酸塩20mg群がプラセボ群に比し有意な減少が認められた8),9)。
投与群
症例数
投与前値
最終評価時変化量
平均値
標準偏差
両側95%信頼区間
下限
上限
プラセボ
270
11.10
2.52
-1.36
1.67
-1.56
-1.16
プロピベリン塩酸塩20mg
284
11.03
2.16
-1.86
1.86
-2.07
-1.64
4.17
3.01
-1.99
2.59
-2.30
-1.68
4.33
2.92
-2.84
-3.13
-2.54
229
1.22
1.05
-0.68
1.04
-0.81
-0.54
231
1.61
1.84
-1.18
1.64
-1.40
-0.97
プロピベリン塩酸塩の副作用評価可能症例は291例であり、副作用発現率は27.5%(80/291例)であった。主な副作用は口渇19.6%(57/291例)、便秘6.2%(18/291例)等であった。
プロピベリン塩酸塩20mgを1日1回投与で効果不十分な過活動膀胱患者を対象に、プロピベリン塩酸塩20mgを1日2回へ増量した高用量試験(非盲検非対照試験)(投与期間:12週間)の結果、評価対象44例において過活動膀胱の主症状である排尿回数、尿意切迫感及び切迫性尿失禁のすべての症状に対して増量前後で有意差が認められた10)。副作用評価可能症例は45例であり、副作用発現率は42.2%(19/45例)であった。主な副作用は口渇24.4%(11/45例)、便秘15.6%(7/45例)等であった。
摘出膀胱においてアセチルコリン及び塩化カリウム収縮を抑制し11)、ムスカリン受容体への親和性を有し12)、アトロピンで抑制されない経壁電気刺激収縮の抑制作用を示す13)。また、骨盤神経の切断末梢端刺激による膀胱収縮が抑制されることより、プロピベリン塩酸塩の作用は膀胱平滑筋側にあることが示唆される14)。一方、主代謝物であるM-1は平滑筋直接作用を、M-2は抗コリン作用を有する。
プロピベリン塩酸塩は平滑筋直接作用及び抗コリン作用を有し、主として平滑筋直接作用により排尿運動抑制作用を示すと推定される11)。
麻酔ラット及びイヌを用いたシストメトリーにおいて最大膀胱容量の増加作用を、また、除脳イヌを用いたシストメトリーにおいて最大膀胱容量並びに有効膀胱容量(1回排尿量)の増加作用を示すが、残尿量の有意な増加は認められなかった15),16),17),18)。
麻酔ラット及びイヌにおいて膀胱充満時の律動的収縮(排尿運動)の回数減少が認められた15),16)。
骨盤神経を切断した麻酔イヌにおいて骨盤神経の電気刺激による膀胱収縮力の低下作用が認められた14)。
膀胱平滑筋においてアセチルコリン及び塩化カリウムによる収縮(ラット、イヌ及びモルモット)と経壁電気刺激による収縮(ラット及びイヌ)の抑制が用量依存的に認められた11),13)。
プロピベリン塩酸塩(Propiverine Hydrochloride)
1-Methylpiperidin-4-yl 2,2-diphenyl-2-propoxyacetate monohydrochloride
C23H29NO3・HCl
403.94
白色の結晶又は結晶性の粉末である。水又はエタノール(99.5)にやや溶けやすい。
213~218℃
100錠[10錠(PTP)×10]500錠[プラスチックボトル、バラ]
100錠[10錠(PTP)×10]
1) 宇田和彦 他 : 薬物動態. 1989 ; 4(5): 581-593
2) 西村貴子 他 : 薬理と治療. 2006 ; 34(7): 859-867
3) 第十八改正日本薬局方解説書. 廣川書店;2021:C-5060-C-5063
4) 社内資料:生物学的同等性試験
5) 釘宮豊城 他 : 臨床薬理. 1990 ; 21(3): 555-565
6) 高安久雄 他 : 医学のあゆみ. 1990 ; 153(8): 459-471
7) 高安久雄 他 : 西日本泌尿器科. 1990 ; 52(2): 248-258
8) Gotoh, M., et al. : Int. J. Urol. 2011 ; 18(5): 365-373
9) 審査報告書(バップフォー錠、細粒:2009年12月18日)
10) 横山修 他 : 泌尿器外科. 2011 ; 24(6): 1023-1030
11) 春野明弘 他 : 日本薬理学雑誌. 1989 ; 94(2): 145-150
12) 長尾光啓 他 : 日本薬理学雑誌. 1999 ; 113(3): 157-166
13) 金子茂 他 : 日本薬理学雑誌. 1999 ; 113(3): 145-156
14) 金子茂 他 : 日本薬理学雑誌. 1989 ; 94(2): 151-157
15) 金子茂 他 : 日本薬理学雑誌. 1989 ; 93(2): 55-60
16) 野村鳴夫 他 : 日本薬理学雑誌. 1989 ; 94(3): 173-180
17) 金子茂 他 : 日本薬理学雑誌. 1990 ; 95(2): 55-61
18) 土田正義 他 : 泌尿器科紀要. 1990 ; 36(8): 915-919
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