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アセノベル徐放錠500mg

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
11.副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.2吸収
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2薬理作用
19.有効成分に関する理化学的知見
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
25.保険給付上の注意
26.製造販売業者等

アセノベル徐放錠500mg

添付文書番号

1900001G1020_1_01

企業コード

620095

作成又は改訂年月

2024年12月改訂(第3版)
2024年11月改訂(第2版)

日本標準商品分類番号

871900

薬効分類名

縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー治療剤

承認等

アセノベル徐放錠500mg

販売名コード

YJコード

1900001G1020

販売名英語表記

Acenobel Extended Release Tablets 500mg

販売名ひらがな

あせのべるじょほうじょう500mg

承認番号等

承認番号

30600AMX00133000

販売開始年月

2024年12月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

20箇月

一般的名称

アセノイラミン酸

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

アセノベル徐放錠500mg

有効成分(1錠中)
アセノイラミン酸   500mg
添加剤アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ケイ酸処理結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース

3.2 製剤の性状

アセノベル徐放錠500mg

剤形楕円形の徐放錠
色調白色~微黄白色
外形表面
裏面
側面
大きさ長径19.0mm
短径9.5mm
厚さ8.1mm
質量1200mg
識別コードなし

4. 効能又は効果

縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーにおける筋力低下の進行抑制

5. 効能又は効果に関連する注意

「15.1 臨床使用に基づく情報」及び「17. 臨床成績」項の内容を熟知し、臨床試験で対象とされた患者背景、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤の投与が適切と判断される患者に使用すること。

6. 用法及び用量

通常、成人にはアセノイラミン酸として1回2gを1日3回食後に経口投与する。なお、投与間隔は約8時間とすることが望ましい。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁移行が認められている。

9.7 小児等

小児を対象とした臨床試験は実施していない。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.2 その他の副作用

5%以上

5%未満

頻度不明

精神・神経

頭痛

消化器

便秘、軟便

口角口唇炎

肝臓

ALT上昇、AST上昇、γ-GTP上昇等の肝機能障害

皮膚・皮下組織

発疹

筋骨格

四肢痛

臨床検査

尿中蛋白陽性、尿中ケトン体陽性

14. 適用上の注意

14.1 薬剤交付時の注意

  1. 14.1.1 本剤は吸湿性があるため、患者にはボトル包装品のまま交付すること。
  2. 14.1.2 ボトル開封後は、使用の都度、蓋をしっかりと締め、高温多湿を避けて保存するように指示すること。
  3. 14.1.3 本剤は徐放性の製剤であるため、噛まずに服用するように指示すること。

14.2 薬剤投与時の注意

本剤を飲みにくい場合には多めの水で1錠ずつ、服用させること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

海外において、6分間歩行試験で200m以上歩行できるGNE遺伝子変異を有する縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験における、主要評価項目である上肢筋力合計点数のベースラインから最終評価時点(治験薬投与48週)までの変化量は表1のとおりであり、プラセボ群と本剤の間に統計学的な有意差は認められなかった1),2)

表1 上肢筋力合計点数のベースラインから最終評価時点(治験薬投与48週)までの変化量

投与群

評価例数

ベースライン
(平均値±標準偏差)

変化量
(最小二乗平均値±標準誤差)

変化量の群間差[95%信頼区間]

P値

プラセボ群

43

56.31±29.29

-2.99±0.87

本剤群

45

55.99±26.95

-2.25±0.77

0.74
[-1.61, 3.09]

0.5387

単位:kg
ベースラインからの変化量を従属変数とし、投与群、時点(投与8、16、24、32、40及び48週)、投与群と時点の交互作用を固定効果、ベースライン値、性及び地域を共変量とする複合対称性共分散構造のGeneralized estimating equation(GEE)モデルより算出。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回投与

    縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー患者3例に本剤2gを単回経口投与したときの血清中遊離アセノイラミン酸濃度の推移と薬物動態パラメータは以下のとおりであった3)

    図1 本剤2g単回経口投与前後の血清中遊離アセノイラミン酸濃度の推移
    表2 本剤2gを単回経口投与したときの血清中遊離アセノイラミン酸の薬物動態パラメータ

    薬物動態パラメータ

    中央値(最小値、最大値)

    Cmax(μg/mL)

    0.319(0.106、0.624)

    tmax

    2(1、4)

    AUC(μg・h/mL)

    2.074(1.271、2.328)

    薬物動態パラメータは、本剤を投与していない状態で測定した内因性の血清中遊離アセノイラミン酸濃度をベースラインとし、ベースラインで補正した濃度(「投与後の測定値」−「ベースラインでの測定値」)から算出した。なお、補正した濃度が負の値になる場合は0として扱った。

  2. 16.1.2 反復投与

    縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー患者15例に本剤1回2gを1日3回食後に48週間経口投与したときの血清中遊離アセノイラミン酸濃度(トラフ値)は以下のとおりであった4)

    表3 血清中遊離アセノイラミン酸濃度の推移

    投与開始前

    8週

    16週

    24週

    32週

    40週

    48週

    0.150±0.058

    0.423±0.154

    0.529±0.194

    0.397±0.163

    0.450±0.199

    0.465±0.144

    0.543±0.425

    (n=15、μg/mL、平均値±標準偏差)

16.2 吸収

外国人縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー患者6例に本剤6gを空腹時又は食後に単回投与したときの血清中遊離アセノイラミン酸濃度の推移と薬物動態パラメータは以下のとおりであった5)

図2 本剤6gを単回経口投与したときの血清中遊離アセノイラミン酸濃度への食事の影響
表4 本剤6gを単回経口投与したときの血清中遊離アセノイラミン酸の薬物動態パラメータ

薬物動態パラメータ

空腹時
(平均値±標準偏差)

食後
(平均値±標準偏差)

Cmax(μg/mL)

0.351±0.14

0.324±0.12

AUCt(μg・hr/mL)

2.592±1.41

3.934±0.83

t1/2(hr)

2.455±1.06

3.714±1.07

薬物動態パラメータは、本剤を投与していない状態で測定した内因性の血清中遊離アセノイラミン酸濃度をベースラインとし、ベースラインで補正した濃度(「投与後の測定値」−「ベースラインでの測定値」)から算出した。なお、補正した濃度が負の値になる場合は0として扱った。また、6gを単回投与したときの結果であり、承認された用法・用量である1回2gを1日3回投与時の結果ではない。

16.3 分布

ヒトにおけるアセノイラミン酸のタンパク結合率(平均値±標準偏差)は、3.1±3.1%であった6)in vitro)。

16.4 代謝

アセノイラミン酸はN-アセチルノイラミン酸リアーゼにより、N-アセチルマンノサミンとピルビン酸に代謝される7) 。ラットに[14C]-アセノイラミン酸20mg/kgを単回静脈内投与したとき、投与24時間までの投与放射能に対する尿中のN-アセチルマンノサミンの排泄率は1.7%であった8)

16.5 排泄

縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー患者3例に本剤1回2gを1日3回食後に7日間経口投与したとき、投与24時間までの尿中遊離アセノイラミン酸の排泄量注1) (平均値±標準偏差)は、投与1日目では25.6±8.4mg、投与7日目では29.3±16.0mgであった。
注1)本剤を投与していない状態で測定した24時間までの内因性の尿中遊離アセノイラミン酸の排泄量をベースラインとし、ベースラインで補正した排泄量から算出した6)

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  1. 17.1.1 国内第III相試験①(シアル酸-3試験)

    GNE遺伝子変異を有する縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー患者20例(うち6分間歩行試験の歩行距離200m以上が18例)を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験が実施された。その結果、主要評価項目である上肢筋力合計点数のベースラインから最終評価時点(治験薬投与48週)までの変化量は表5のとおりであった。
    副作用は25.0%(4/16例)に認められ、口角口唇炎、頭痛、便秘、発疹、四肢痛が各1例であった4)

    表5 上肢筋力合計点数のベースラインから最終評価時点(治験薬投与48週)までの変化量

    投与群

    評価
    例数

    ベースライン
    (平均値±標準偏差)

    変化量
    (最小二乗平均値±標準誤差)

    変化量の群間差[95%信頼区間]

    プラセボ群

    4

    46.04±22.75

    -6.18±2.92

    本剤群

    15

    31.50±14.56

    -1.40±2.11

    4.78[-0.31, 9.87]

    単位:kg
    48週目又はそれ以前の最終評価時点までの変化量を応答変数とし、ベースライン値を共変量とし、投与群、性、6分間歩行試験(200m未満、200m以上)を説明変数とした共分散分析。
    主要評価項目の群間比較において、統計学的な検定は計画されなかった。

  2. 17.1.2 国内第III相試験②(NPC-09-1試験)

    GNEミオパチー機能活動尺度(GNEM-FAS)の上肢部分の点数が24点以上かつ罹病期間が5年以上15年以下のGNE遺伝子変異を有する縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー患者14例を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験が実施された。その結果、主要評価項目である上肢筋力合計点数のベースラインから最終評価時点(治験薬投与48週)までの変化量は表6のとおりであった。
    副作用は認められなかった9)

    表6 上肢筋力合計点数のベースラインから最終評価時点(治験薬投与48週)までの変化量

    投与群

    評価
    例数

    ベースライン
    (平均値±標準偏差)

    変化量
    (最小二乗平均値±標準誤差)

    変化量の群間差[95%信頼区間]

    プラセボ群

    4

    26.55±8.74

    -2.63±1.73

    本剤群

    10

    32.77±12.37

    -0.12±1.09

    2.51[-1.72, 6.74]

    単位:kg
    ベースラインからの変化量を目的変数、時点(投与12、24、36及び48週)、投与群、時点と投与群の交互作用を固定効果とし、被験者を変量効果とした線形混合効果モデルより算出。
    主要評価項目の群間比較において、統計学的な検定は計画されなかった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

  1. 18.1.1 本剤は、縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー患者の筋組織内における低シアリル化状態を是正し、筋組織の萎縮及び線維化を抑制することで、筋力低下の進行抑制効果を示すと考えられている10),11),12)

18.2 薬理作用

  1. 18.2.1 アセノイラミン酸は、縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー患者由来の筋管細胞における細胞内シアル酸含量を健康人由来の筋管細胞と同程度まで増加させた10)in vitro)。
  2. 18.2.2 GNE遺伝子を欠失しヒト変異型 GNE遺伝子のみを発現するよう遺伝子改変された縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチーモデルマウスに、アセノイラミン酸を約50週間経口投与したとき、筋組織内のシアル酸含量が増加するとともに筋組織の萎縮及び線維化並びに筋力低下の進行が抑制された11),12)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

アセノイラミン酸(Aceneuramic Acid)

化学名

(4S,5R,6R,7S,8R)-5-アセトアミド-4,6,7,8,9-ペンタヒドロキシ-2-オキソノナン酸

分子式

C11H19NO9

分子量

309.27

性状

本品は白色の粉末である。

化学構造式

21. 承認条件

  1. 21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
  2. 21.2 国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤の使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

22. 包装

168錠[瓶(ボトル)、バラ、乾燥剤入り]

24. 文献請求先及び問い合わせ先

ノーベルファーマ株式会社 カスタマーセンター

〒104-0033 東京都中央区新川1-17-24

フリーダイヤル:0120-003-140

25. 保険給付上の注意

*本剤は新医薬品であるため、厚生労働省告示第107号(平成18年3月6日付)に基づき、2025年11月末日までは、投薬は1回14日分を限度とされています。

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

ノーベルファーマ株式会社

東京都中央区新川1-17-24

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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