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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に本剤の有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌
通常、成人にはラロトレクチニブとして1回100mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。通常、小児にはラロトレクチニブとして1回100mg/m2(体表面積)を1日2回経口投与する。ただし、1回100mgを超えないこと。なお、患者の状態により適宜減量する。
用量調節段階
成人及び体表面積が1.0m2以上の小児の投与量
体表面積が1.0m2未満の小児の投与量
1段階減量
1回75mgを1日2回経口投与
1回75mg/m2(体表面積)を1日2回経口投与
2段階減量
1回50mgを1日2回経口投与
1回50mg/m2(体表面積)を1日2回経口投与
3段階減量
1回100mgを1日1回経口投与
1回25mg/m2(体表面積)を1日2回経口投与※2
※1:3段階を超える減量が必要な場合は、投与を中止すること。※2:3段階減量により1回25mg/m2を1日2回経口投与している小児は、体表面積が1.0m2を超えた場合でも、この投与量で継続すること。
程度
処置
グレード2
慎重に経過観察し、休薬・減量を考慮する。
グレード3又は4
ベースライン又はグレード1以下に回復するまで休薬する。
減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。本剤の血漿中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがある。
妊娠可能な女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。NTRK1、NTRK2及びNTRK3遺伝子をそれぞれ欠損したノックアウトマウスでは、神経系の異常により生後早期に死亡することが報告されており、本剤の作用機序から、本剤が投与された場合、胎児へ有害な影響を及ぼす可能性がある1),2),3)。
授乳しないことが望ましい。乳汁移行に関するデータはないが、本剤はBCRPの基質であるため、乳汁移行の可能性がある。
強力な又は中程度のCYP3A阻害剤
グレープフルーツ含有食品
,
本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避け、やむを得ず併用する場合には本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。
これらの薬剤がCYP3Aを阻害することにより、本剤の血漿中濃度が上昇する可能性がある。
強力な又は中程度のCYP3A誘導剤
セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避けること。
これらの薬剤がCYP3Aを誘導することにより、本剤の血漿中濃度が低下する可能性がある。
CYP3Aの基質となる薬剤
これらの薬剤の副作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。
本剤がCYP3Aを阻害することにより、これらの薬剤の血漿中濃度が上昇する可能性がある。
ALT増加(28.0%)、AST増加(23.3%)等を伴う肝機能障害があらわれることがある。
好中球減少(10.6%)、白血球減少(9.0%)、貧血(7.9%)、血小板減少(4.2%)、リンパ球減少(3.7%)等の骨髄抑制があらわれることがある。
浮動性めまい(17.5%)、錯感覚(2.6%)、歩行障害(1.6%)、運動失調(0.5%)、認知障害(0.5%)等があらわれることがある。
5%以上
5%未満
胃腸障害
悪心(10.6%)、便秘(10.1%)、味覚異常、嘔吐、下痢
筋骨格系および結合組織障害
筋肉痛
筋力低下
一般・全身障害および投与部位の状態
疲労(14.3%)、浮腫
神経系障害
頭痛
皮膚および皮下組織障害
発疹
その他
体重増加
Al-P増加
幼若ラットにおいて、本剤を生後7日から反復経口投与した場合、生後9~16日の間に小児患者の臨床曝露量に対して雄は2.5倍、雌は0.7倍で死亡がみられたことが報告されている。頭部傾斜及び平衡不全が認められた後に死亡した幼若ラットが認められたため、中枢神経系に対する本剤の影響が死亡に至る重篤な状態悪化に関連している可能性がある。
日本人健康成人男性に、本剤100、200又は400mg(カプセル剤)を空腹時に単回経口投与注1)したときのラロトレクチニブの血漿中濃度推移及びPKパラメータは以下のとおりであった。AUC及びCmaxは400mgまでの範囲で概ね用量に比例した増加を示した。
投与量(mg)
n
Cmax(μg/L)
tmax※(h)
AUC(μg・h/L)
t1/2(h)
100
6
548(33.2)
1.00(1.0-3.0)
1220(23.9)
1.88(14.8)
200
1250(47.3)
1.25(1.0-3.0)
3280(33.8)
2.55(18.6)
400
2730(35.1)
1.00(0.5-4.0)
7210(42.2)
2.78(14.1)
幾何平均値(幾何CV%)、※:中央値(範囲)
進行固形癌患者に、本剤100、150又は200mg(カプセル剤)を1日2回反復経口投与注1)したときのラロトレクチニブのPKパラメータは以下のとおりであった。血漿中ラロトレクチニブ濃度は投与8日目までに定常状態に達した。本剤100mgを1日2回反復経口投与した際の投与8日目におけるラロトレクチニブの蓄積率は1.11であった(外国人データ)。
測定日
tmax※1(h)
AUC12h(μg・h/L)
第1日目
39
868(86.6)
0.750(0.250-2.05)
2040(92.6)
1.68(32.3)
第8日目
37
788(80.6)
1.00(0.500-9.37)
2180(97.2)
2.73(50.8)※2
150
7
923(51.6)
0.920(0.530-1.00)
2240(47.0)
1.55(16.0)
815(52.0)
0.760(0.500-2.00)
2370(59.6)
2.16(39.5)※3
1210(122)
0.760(0.500-1.95)
3760(114)※4
1.67(25.6)※4
929(175)
1.03(0.500-4.00)
3040(118)
2.67(49.3)※5
幾何平均値(幾何CV%)、※1:中央値(範囲)、※2:n=33、※3:n=3、※4:n=5、※5:n=4
健康成人6例に、本剤100mg(カプセル剤)を単回経口投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは32~37%であった(外国人データ)。
健康成人18例に、本剤100mg(カプセル剤)を単回経口投与したとき、空腹時投与に対する高脂肪食後投与におけるラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ0.656及び1.08であった(外国人データ)。
健康成人18例に、本剤100mg(液剤)を単回経口投与したとき、カプセル剤投与に対する液剤投与におけるラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ1.36及び1.04であった(外国人データ)。
健康成人6例に、ラロトレクチニブ100mg単回経口投与1時間後に[14C]ラロトレクチニブ約7.58μgを単回静脈内投与したとき、ラロトレクチニブの分布容積は48Lであった(外国人データ)。
In vitro試験において、ラロトレクチニブのヒト血漿タンパク結合率は、約70%であった。
In vitro試験において、ラロトレクチニブの血液/血漿中濃度比は、約0.9であった。
In vitro試験において、ラロトレクチニブの代謝は主にCYP3A4/5が関与することが示された。健康成人6例に、[14C]ラロトレクチニブ100mgを単回経口投与したとき、投与24時間後までの血漿中に主に未変化体及びo-グルクロン酸抱合体(ヒドロキシピロリジン‐尿素部分の消失後に生成)が検出された(血漿中の総放射能AUCに対する割合は、それぞれ19及び26%)(外国人データ)。
健康成人6例に、[14C]ラロトレクチニブ100mgを単回経口投与したとき、投与312時間後までに投与した放射能の58及び39%がそれぞれ糞中及び尿中に排泄された(外国人データ)。また、投与48時間後までに投与した放射能の20%が未変化体として尿中に排泄された(外国人データ)。
本剤100mgを単回経口投与したとき、腎機能が正常な被験者(8例)に対する血液透析を必要とする末期腎疾患を有する患者(8例)のラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ1.25及び1.40であった(外国人データ)。
本剤100mgを空腹時に単回経口投与したとき、肝機能が正常な被験者(11例)に対する軽度(Child-Pugh分類A)の肝機能障害患者(8例)のラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ1.14及び1.31であった。肝機能が正常な被験者(11例)に対する中等度(Child-Pugh分類B)の肝機能障害患者(8例)のラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ1.14及び1.98であった。肝機能が正常な被験者(11例)に対する重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害患者(8例)のラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ1.52及び3.19であった(外国人データ)。
生後1ヵ月以上21歳以下の進行固形癌患者又は中枢神経系原発腫瘍患者15例に、本剤100mg/m2(最大100mg)(液剤又はカプセル剤)を1日2回反復経口投与したときのラロトレクチニブのPKパラメータは以下のとおりであった。小児患者のCmax及びAUCは、本剤100mgを1日2回反復経口投与された成人患者と同程度であった(外国人データ)。
第1サイクル
15
867(51.1)
1.00(0.03-2.22)
2220(76.4)
2.12(35.9)※2
第4サイクル
854(43.9)
0.500(0.480-1.98)
1470(28.1)
2.30(15.4)※3
幾何平均値(幾何CV%)、※1:中央値(範囲)、※2:n=10、※3:n=3
健康成人12例に、イトラコナゾール(強力なCYP3A阻害剤)200mgを1日1回7日間反復経口投与し、本剤100mgを単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するイトラコナゾール併用投与時のラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ2.81及び4.33であった(外国人データ)。
生理学的薬物動態モデルに基づいたシミュレーションにおいて、癌患者での本剤(100mgを1日2回投与)単独投与時に対するフルコナゾール(中程度のCYP3A阻害剤)(400mg投与後に200mgを1日1回投与)併用時のラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ1.86及び2.72であった。また、癌患者での本剤(100mgを1日2回投与)単独投与時に対するジルチアゼム(中程度のCYP3A阻害剤)(60mgを1日3回投与)併用時のラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ1.78及び2.55であった。
健康成人12例にリファンピシン(強力なCYP3A誘導剤)600mgを1日1回11日間反復経口投与し、本剤100mgを単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するリファンピシン併用投与時のラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ0.293及び0.192であった(外国人データ)。
生理学的薬物動態モデルに基づいたシミュレーションにおいて、癌患者での本剤(100mgを1日2回投与)単独投与時に対するエファビレンツ(中程度のCYP3A誘導剤)(600mgを1日1回投与)併用時のラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ0.40及び0.28であった。
健康成人16例に本剤100mgを1日2回10日間反復経口投与し、ミダゾラム(CYP3Aの基質)2mgを単回経口投与したとき、ミダゾラム単独投与時に対する本剤併用投与時のミダゾラムのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ1.68及び1.77であった(外国人データ)。
In vitro試験において、ラロトレクチニブは、P-gp及びBCRPの基質であることが示された。健康成人12例にリファンピシン(P-gp及びBCRP阻害剤)600mgを単回経口投与し、本剤100mgを単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するリファンピシン併用投与時のラロトレクチニブのCmax及びAUClastの幾何平均値の比は、それぞれ1.79及び1.68であった(外国人データ)。
12歳以上のNTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌患者を対象とした国際共同第Ⅱ相試験において、NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌患者116例(うち日本人3例)に本剤100mgを1日2回経口投与した結果、有効性解析集団におけるRECIST ver.1.1に基づく独立評価判定による奏効率は65.2%(58/89※例)(80%信頼区間:57.9~71.9%)であった。
注)独立評価判定により15例(16.9%)が完全奏効と判定され、うち1例は外科的処置を受け病理学的完全奏効が確認された。※:NTRK融合遺伝子が検出された検査機関のCLIA認証取得の有無が未確認であった2例(甲状腺癌及び膵癌)を含む
癌腫
奏効例数/評価可能例数
奏効率(%)(80%信頼区間)
非小細胞肺癌
7/9
77.8(51.0、93.9)
甲状腺癌
13/19
68.4(51.1、82.5)
肉腫
15/19
78.9(62.2、90.5)
結腸直腸癌
3/8
37.5(14.7、65.5)
唾液腺癌
14/16
87.5(70.0、96.6)
胆道癌
0/2
0※1
中枢神経系原発腫瘍
1/7
14.3(1.5、45.3)※2
固形癌
6/14
42.9(24.3、63.1)
※1:登録患者数が少数であったため、信頼区間は表示していない※2:RANO基準に基づく治験責任医師判定による奏効率
副作用発現頻度は、81.9%(95/116例)であった。主な副作用は、浮動性めまい32例(27.6%)、ALT増加31例(26.7%)、AST増加27例(23.3%)、疲労22例(19.0%)、体重増加14例(12.1%)、筋肉痛13例(11.2%)、便秘12例(10.3%)、悪心12例(10.3%)であった。
21歳以下の進行・再発の固形癌患者を対象とした国際共同第Ⅰ/Ⅱ相試験において、73例に本剤100mg/m2を1日2回経口投与(ただし、1回100mgを超えない)した。第Ⅱ相パートで有効性解析集団としたNTRK融合遺伝子陽性患者36例において、RECIST ver.1.1に基づく独立評価判定による奏効率は88.9%(32/36例)(95%信頼区間:73.9~96.9%)であった。
注)独立評価判定により8例(22.2%)が完全奏効と判定された。独立評価判定により部分奏効と判定された24例(66.7%)のうち4例及び安定と判定された3例(8.3%)のうち1例は外科的処置を受け病理学的完全奏効が確認された。
奏効率(%)(95%信頼区間)
乳児線維肉腫
22/22
100.0(84.6、100.0)
軟部肉腫
8/11
72.7(39.0、94.0)
37.5(8.5、75.5)※1
骨肉腫
1/1
100.0※2
先天性間葉芽腎腫
悪性黒色腫
0/1
0※2
※1:RANO基準に基づく治験責任医師判定による奏効率※2:登録患者数が少数であったため、信頼区間は表示していない
副作用発現頻度は、66%(48/73例)であった。主な副作用は、ALT増加22例(30%)、AST増加17例(23%)、好中球減少16例(22%)、白血球減少10例(14%)、貧血9例(12%)、悪心8例(11%)、血中ALP増加7例(10%)、便秘7例(10%)であった。
ラロトレクチニブは、NTRK遺伝子がコードするトロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)ファミリータンパクのチロシンキナーゼに対する阻害作用を有する低分子化合物である。ラロトレクチニブは、TRK融合タンパクのリン酸化を阻害し、下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。
ラロトレクチニブは、in vitroにおいて、TRK融合タンパクを発現するヒト非小細胞肺癌由来CUTO-3.29細胞株、ヒト結腸・直腸癌由来KM12細胞株等に対して増殖抑制作用を示した。また、ラロトレクチニブは、in vivoにおいて、KM12、CUTO-3.29細胞株等を皮下移植したヌードマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した。
ラロトレクチニブ硫酸塩(Larotrectinib Sulfate)
(3S)-N-{5-[(2R)-2-(2,5-Difluorophenyl)pyrrolidin-1-yl]pyrazolo[1,5-α]pyrimidin-3-yl}-3-hydroxypyrrolidine-1-carboxamide monosulfate
C21H22F2N6O2・H2SO4
526.51
本品は白色~黄色又は淡紅みの黄色の粉末である。
56カプセル[プラスチックボトル、バラ]
28カプセル[プラスチックボトル、バラ]
50mL[1瓶]
1) Smeyne RJ, et al.: Nature. 1994; 368: 246-249
2) Klein R, et al.: Cell. 1993; 75: 113-122
3) Klein R, et al.: Nature. 1994; 368: 249-251
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