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放射性医薬品基準
塩化ラジウム(223Ra)注射液
劇薬
処方箋医薬品注)
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法及び放射線治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に本剤の有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌
通常、成人には、1回55kBq/kgを4週間間隔で最大6回まで、緩徐に静脈内投与する。
副作用
処置
グレード3以上の好中球減少、貧血、血小板減少
グレード2以下に回復するまで投与を延期し、回復を確認後、投与を再開する。前回投与から6週間以内にグレード2以下に回復しない場合には、投与を中止する。
グレード3以上の下痢、悪心、嘔吐、便秘
グレード2以下に回復するまで投与を延期し、回復を確認後、投与を再開する。
グレード4のその他の事象
7日を超えて持続する場合は、投与を中止する。
グレードはCTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events)v3.0に準じる。
骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。,
骨髄抑制が増強するおそれがある。,
本剤の主な排泄経路は糞中であるため、症状を増悪させるおそれがある。
本剤投与前に適切な処置を行うこと。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
好中球減少(3.9%)、血小板減少(7.4%)、貧血(19.3%)、白血球減少(3.2%)、リンパ球減少(2.0%)、汎血球減少(1.7%)等があらわれることがある。,
5%以上
1~5%未満
1%未満
精神神経系
浮動性めまい、嗜眠、頭痛
消化器
悪心、下痢、嘔吐、食欲減退
便秘、腹痛
上腹部痛
呼吸器
呼吸困難
咳嗽
肝臓
AST上昇、γ-GTP上昇
筋・骨格系
骨痛
関節痛
筋骨格痛
その他
疲労
発熱、体重減少、無力症、味覚異常、末梢性浮腫、脱水
全身健康状態低下、倦怠感、尿路感染、注射部位反応、悪寒
※:「19.有効成分に関する理化学的知見」の項参照
日本人去勢抵抗性前立腺癌患者に本剤55kBq/kg又は110kBq/kg注2)を単回投与後、血中放射能濃度は速やかに減少した(各々N=3)2)。
投与量
55kBq/kg(N=3)
110kBq/kg(N=3)
AUC(kBq・h/mL)
0.674/13.9
0.812/21.2
Cmax(kBq/mL)
0.323/35.6
0.425/28.3
t1/2(h)
18.8/19.7
15.4/53.3
幾何平均値/幾何CV%
また、第Ⅰ相試験において検討された用量範囲(51~276kBq/kg)注2)で薬物動態はおおむね線形性を示すと考えられた3)(外国人データ)。
第Ⅰ相試験の成績から反復投与による本薬の薬物動態への影響は認められず、蓄積性は臨床的に問題にならないと考えられた4)(外国人データ)。
日本人去勢抵抗性前立腺癌患者に本剤55kBq/kg及び110kBq/kg注2)を単回投与後の体内分布データから、MIRD法に基づき吸収線量を算出した(N=4)。
臓器・組織
平均値(mGy/MBq)
変動係数(%)
骨形成細胞
761
17
赤色骨髄
91.6
大腸壁上部
24.4
41
大腸壁下部
18.8
44
全身
14.0
20
小腸壁
5.42
34
腎臓
2.00
1.87
膀胱壁
1.54
84
心臓壁
0.954
卵巣
0.269
36
胆のう壁
0.151
35
子宮
0.144
33
胃壁
0.0776
32
副腎
0.0637
筋肉
0.0606
25
膵臓
0.0605
26
脳
0.0498
脾臓
0.0440
精巣
0.0330
27
肺
1.17
―※
甲状腺
0.0319
皮膚
0.0313
21
胸腺
0.0224
胸部
0.0170
18
※:肺における吸収線量はモデルから推定した平均血中放射能濃度推移に基づき算出したため、変動係数については計算できない。
ラジウム223は二価陽イオン(223Ra2+)の放射性同位元素であり、アクチニウム系列の壊変により消失し、代謝は受けない。
本剤投与後のラジウム223の主要排泄経路は糞中排泄である。日本人去勢抵抗性前立腺癌患者に本剤55kBq/kgを単回投与72時間後の累積糞中排泄率の平均値は56%、単回投与48時間後の累積尿中排泄率の平均値は1.5%であった(N=3)。肝胆道系排泄は認められなかった。日本人去勢抵抗性前立腺癌患者に本剤55kBq/kg及び110kBq/kg注2)を単回投与7日後の全身放射能の残存率の平均値は22%であった(N=6)2)。
ドセタキセル水和物に不応又は不耐で、内臓転移がなく、症候性の骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌患者※1を対象に、標準的治療※2との併用で、本剤55kBq/kgを4週間間隔で6回投与する非盲検非対照試験を実施した。本剤が投与された49例において、主要評価項目である投与開始後12週時点における総ALPのベースラインからの変化率の平均値(95%信頼区間)は-19.3(-28.0~-10.7)%であった5)。副作用は本剤が投与された49例中27例(55.1%)に認められた。主な副作用は、貧血15例(30.6%)、リンパ球減少12例(24.5%)、血小板減少6例(12.2%)、下痢5例(10.2%)、悪心5例(10.2%)等であった。
ドセタキセル水和物に不応又は不耐で、内臓転移がなく、症候性の骨転移のある去勢抵抗性前立腺癌患者※1を対象に、標準的治療※2との併用で、本剤55kBq/kg又はプラセボを4週間間隔で6回投与する二重盲検無作為化比較試験を実施した。主要評価項目である全生存期間(OS)の中間解析(本剤群541例、プラセボ群268例)において、プラセボ群と比較して本剤群で統計学的に有意なOSの延長が認められた〔中央値(95%信頼区間):本剤群14.0(12.0~15.8)ヵ月、プラセボ群11.1(8.8~12.9)ヵ月、ハザード比(95%信頼区間):0.681(0.542~0.857)、p=0.00096(層別log-rank検定)、2010年10月14日データカットオフ〕6)。
※1:内臓転移又は短径3cmを超えるリンパ節腫脹のある患者、クローン病又は潰瘍性大腸炎の患者、半身外部放射線治療歴のある患者、切迫状態にある又は明らかな脊髄圧迫のある患者は除外した。※2:局所的な外部放射線治療、鎮痛剤、コルチコステロイド製剤、LH-RHアゴニスト製剤、LH-RHアンタゴニスト製剤、抗アンドロゲン製剤、エストロゲン製剤、ビスホスホネート製剤、デノスマブ(遺伝子組換え)等。なお、デノスマブ(遺伝子組換え)は国内第Ⅱ相試験でのみ併用が許容された。
副作用は本剤が投与された600例中386例(64.3%)に認められた。主な副作用は、悪心125例(20.8%)、貧血110例(18.3%)、下痢100例(16.7%)、骨痛95例(15.8%)、疲労73例(12.2%)等であった。
ラジウム223は、カルシウムに類似した性質を有しており、骨転移巣のように骨代謝が亢進している部位に集積し、高エネルギーのアルファ線を放出することにより、近接する腫瘍細胞等に対してDNA二重鎖切断等を誘発し、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている7),8),9)。
塩化ラジウム(223Ra)(Radium(223Ra)chloride)
塩化ラジウム(223Ra)
223RaCl2
293.91
物理的半減期:11.43日
アルファ線エネルギー:5.0~7.5MeV(95.3%)
ベータ線エネルギー(平均):0.445MeV、0.492MeV(3.6%)
ガンマ線エネルギー:0.01~1.27MeV(1.1%)
経過日数
減衰係数
-14
2.39
1
0.96
-13
2.24
2
0.90
-12
2.11
3
0.85
-11
1.99
4
0.80
-10
5
0.75
-9
1.76
6
0.71
-8
1.66
7
0.67
-7
1.56
8
0.63
-6
1.47
9
0.59
-5
1.38
10
0.56
-4
1.30
11
0.52
-3
1.22
12
0.49
-2
1.15
13
0.46
-1
1.08
14
0.44
0
1.02
注)経過日数は、検定日の前(-)又は後の日数を示す。
本剤は、医療法その他の放射線防護に関する法令、関連する告示及び通知(患者退出等を含む)等を遵守し、適正に使用すること。
1バイアル
1) 社内資料: アビラテロン酢酸エステル及びプレドニゾン(国内未承認)/プレドニゾロンとの併用に関する二重盲検無作為化国際共同第Ⅲ相試験
2) 社内資料: 去勢抵抗性前立腺癌患者を対象とした国内第Ⅰ相臨床試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.4)
3) 社内資料: 骨転移を有する進行性がん患者を対象とした国外第Ⅰ相臨床試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.1)
4) 社内資料: 去勢抵抗性前立腺癌患者を対象とした国外第Ⅰ相臨床試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.2)
5) 社内資料: 症候性去勢抵抗性前立腺癌患者を対象とした国内第Ⅱ相臨床試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.12)
6) 社内資料: 症候性去勢抵抗性前立腺癌患者を対象とした国外第Ⅲ相臨床試験(2016年3月28日承認、CTD2.7.6.6)
7) Bruland OS, et al.: Clin Cancer Res. 2006; 12: 6250s-6257s
8) Kassis AI, et al.: J Nucl Med. 2005; 46: 4S-12S
9) 社内資料: 塩化ラジウム(223Ra)のDNA分子二重鎖切断誘発作用(2016年3月28日承認、CTD2.6.2.2.1.1.4)
文献請求先バイエル薬品株式会社・メディカルインフォメーション
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バイエル医療用医薬品のお問い合わせ先
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