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生物学的製剤基準
沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオヘモフィルスb型混合ワクチン
劇薬
処方箋医薬品注)
生物由来製品
百日せき、ジフテリア、破傷風、急性灰白髄炎及びインフルエンザ菌b型による感染症の予防
初回免疫:小児に通常、1回0.5mLずつを3回、いずれも20日以上の間隔をおいて皮下又は筋肉内に接種する。追加免疫:小児に通常、初回免疫後6か月以上の間隔をおいて、0.5mLを1回皮下又は筋肉内に接種する。
*本剤の接種は、生後2か月から90か月までの間にある者に行うが、初回免疫については、標準として生後2か月から7か月未満で開始し20~56日の間隔をおいて接種する。追加免疫については、標準として初回免疫終了後6か月から18か月を経過した者に接種する。
医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる。
被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること。
,
<筋肉内接種>
本剤接種後に出血又は挫傷があらわれることがある。
接種要注意者である。
蕁麻疹、呼吸困難、血管性浮腫等があらわれることがある。
接種後数日から3週ごろに紫斑、鼻出血、口腔粘膜出血等があらわれることがある。本症が疑われる場合には、血液検査等を実施し、適切な処置を行うこと。
発熱、四肢麻痺、けいれん、意識障害等の症状があらわれることがある。本症が疑われる場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行うこと。
接種直後から数日ごろまでにあらわれることがある。
30%以上
10~30%未満
10%未満
頻度不明
局所症状(注射部位)
紅斑(72.9%)、硬結
腫脹、疼痛
-
血腫、熱感、湿疹、発疹、そう痒感
呼吸器
上咽頭炎、上気道の炎症
咳嗽、鼻漏、鼻閉
消化器
食欲減退
下痢、嘔吐、便秘
皮膚
蕁麻疹
発疹、湿疹、紅斑
その他
発熱(60.8%)
過眠症、気分変化、泣き、不眠症
倦怠感、眼そう痒症、脱水、鼻咽頭炎
<接種経路共通>
**類薬(沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ混合ワクチン)において、因果関係は明確ではないが、ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎が国内で報告されている。また、類薬(インフルエンザ菌b型オリゴ糖-CRM197結合体ワクチン)において、因果関係は明確ではないが、ギラン・バレー症候群の海外報告がある。なお、本剤の臨床試験における報告はない。
生後2か月以上43か月未満の健康乳幼児267例(本剤群133例、対照群134例)を対象に、評価者盲検試験を実施した。本剤群は本剤0.5mLを計4回(初回免疫として3~8週の間隔で3回、初回免疫終了後6~13か月の間に追加免疫として1回)、皮下に接種した。対照群は沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ(セービン株)混合ワクチン及び乾燥ヘモフィルスb型ワクチン(破傷風トキソイド結合体)をそれぞれ0.5mL、計4回(初回免疫として3~8週間の間隔で3回、初回免疫終了後6~13か月の間に追加免疫として1回)、皮下に接種した。初回免疫後及び追加免疫後における本剤群及び対照群のHib注1) (PRP)、百日せき(PT、FHA)、ジフテリア毒素、破傷風毒素及び弱毒ポリオウイルス(セービン株:1型、2型、3型)に対する抗体保有率及び幾何平均抗体価は表のとおりであった。主要評価項目である初回免疫後の1µg/mL以上のHib(PRP)に対する抗体保有率、百日せき(PT、FHA)、ジフテリア毒素、破傷風毒素及び弱毒ポリオウイルス(セービン株:1型、2型、3型)に対する抗体保有率において、いずれも事前に規定された非劣性の成功基準注2) が達成され、本剤群の対照群に対する非劣性が検証された。なお、抗体保有率とは以下の抗体陽性基準値以上に達した被験者の割合のことである。Hib(PRP):≧1µg/mL2),3) 百日せき(PT):≧10.0 EU/mL4) 百日せき(FHA):≧10.0 EU/mL4) ジフテリア毒素:≧0.1 IU/mL5)破傷風毒素:≧0.01 IU/mL6) 弱毒ポリオウイルス(セービン株)1型:≧8倍7) 弱毒ポリオウイルス(セービン株)2型:≧8倍7) 弱毒ポリオウイルス(セービン株)3型:≧8倍7)
初回免疫後
n
幾何平均抗体価
抗体保有率%(95%CI)
本剤群
対照群
群間差
Hib(PRP)
133
23.7µg/mL
6.7µg/mL
100.0(97.3,100.0)
88.7(82.1, 93.5)
11.3(4.1, 18.5)
百日せき(PT)
155.30EU/mL
200.24EU/mL
0.0(-)
百日せき(FHA)
56.48EU/mL
85.24EU/mL
ジフテリア毒素
1.84IU/mL
1.28IU/mL
99.2(95.9,100.0)
98.5(94.7, 99.8)
0.8(-4.7, 6.2)
破傷風毒素
0.473IU/mL
0.158IU/mL
99.2(95.9, 100.0)
0.8(-4.5, 6.0)
弱毒ポリオウイルス(セービン株):1型
131
132
685.0倍
664.0倍
100.0(97.2,100.0)
弱毒ポリオウイルス(セービン株):2型
2026.4倍
1768.0倍
弱毒ポリオウイルス(セービン株):3型
1729.0倍
2075.1倍
追加免疫後
抗体保有率%(95%CI)
56.5µg/mL
34.2µg/mL
98.5(94.6, 99.8)
百日せき(PT)
209.05EU/mL
279.62EU/mL
144.73EU/mL
221.34EU/mL
9.77IU/mL
8.96IU/mL
1.904IU/mL
0.598IU/mL
2524.1倍
2662.9倍
8821.9倍
7512.1倍
6439.2倍
7356.0倍
本剤の副反応は91.7%(122例)に認められた。そのうち、接種部位の主な副反応として、紅斑が78.9%(105例)、硬結が46.6%(62例)、腫脹が30.1%(40例)、疼痛が13.5%(18例)に認められた。全身性の主な副反応は発熱(37.5℃以上)が57.9%(77例)、ワクチン接種後の易刺激性が27.1%(36例)、過眠症が24.1%(32例)、泣きが23.3%(31例)、不眠症が13.5%(18例)、食欲減退が13.5%(18例)に認められた。接種回数別の発現割合は以下のとおりであった。
接種回数別の発現割合[%](発現例数)
1回目(n=133)
2回目(n=133)
3回目(n=133)
4回目(n=132)
注射部位紅斑
33.1(44)
51.9(69)
53.4(71)
51.5(68)
注射部位硬結
11.3(15)
27.1(36)
23.3(31)
26.5(35)
注射部位腫脹
5.3(7)
16.5(22)
6.0(8)
12.9(17)
注射部位疼痛
6.8(9)
3.8(5)
発熱
25.6(34)
39.1(52)
29.3(39)
22.7(30)
ワクチン接種後の易刺激性
18.8(25)
8.3(11)
7.6(10)
過眠症
10.5(14)
13.5(18)
6.1(8)
泣き
14.3(19)
7.5(10)
不眠症
1.5(2)
0.8(1)
生後2か月以上43か月未満の健康乳幼児33例を対象に、本剤0.5mLを計4回(初回免疫として3~8週の間隔で3回、初回免疫終了後6~13か月の間に追加免疫として1回)、筋肉内に接種した。初回免疫後及び追加免疫後におけるHib(PRP)、百日せき(PT、FHA)、ジフテリア毒素、破傷風毒素及び弱毒ポリオウイルス(セービン株:1型、2型、3型)に対する抗体保有率及び幾何平均抗体価は以下のとおりであった。
Hib(PRP)
33
97.0 (84.2,99.9)
13.5µg/mL
100.0(89.4,100.0)
28.5µg/mL
128.03EU/mL
173.17EU/mL
97.0(84.2,99.9)
53.64EU/mL
114.19EU/mL
93.9(79.8,99.3)
1.08IU/mL
9.65IU/mL
0.307IU/mL
1.829IU/mL
弱毒ポリオウイルス(セービン株):1型
551.1倍
1642.7倍
弱毒ポリオウイルス(セービン株):2型
1510.3倍
8910.0倍
弱毒ポリオウイルス(セービン株):3型
1290.2倍
5000.6倍
副反応は93.9%(31例)に認められた。そのうち、接種部位の副反応として紅斑が48.5%(16例)、硬結が12.1%(4例)、腫脹が9.1%(3例)、疼痛が3.0%(1例)に認められた。全身性の副反応は発熱(37.5℃以上)が72.7%(24例)、過眠症が30.3%(10例)、泣きが24.2%(8例)、不眠症が15.2%(5例)、ワクチン接種後の易刺激性が12.1%(4例)、食欲減退が9.1%(3例)に認められた。接種回数別の発現割合は以下のとおりであった。
1回目(n=33)
2回目(n=33)
3回目(n=33)
4回目(n=33)
9.1(3)
15.2(5)
33.3(11)
18.2(6)
0.0(0)
3.0(1)
6.1(2)
42.4(14)
36.4(12)
12.1(4)
本剤の接種は、百日せき、ジフテリア、破傷風及び急性灰白髄炎の防御抗原に対する血中抗体を誘導し、各々の発症を予防する。また、本剤接種によって誘導される抗PRP抗体は、Hibの菌体表層に結合することで補体系を活性化して殺菌し、感染防御効果を発揮する9) 。
百日せきに対する発症防御は、罹患小児の回復期血清で抗PT抗体及び抗FHA抗体をELISA法により測定した結果から、両抗体ともに少なくとも10EU(ELISA単位)/mL以上が血中に存在すればよいとする報告がある4) 。ジフテリアに対する発症防御は、0.1IU(国際単位)/mLの抗毒素(抗体)が存在すればよいと考えられている5) 。破傷風に対する発症防御は、0.01IU/mLの抗毒素(抗体)が存在すればよいと考えられている6) 。急性灰白髄炎に対する発症防御には、ポリオウイルス1型、2型、3型に対する中和抗体価がそれぞれ8倍以上必要と考えられている7) 。Hibに関しては、外国で行われたHib感染症の疫学研究等により、Hib感染症の予防に必要な抗PRP抗体価(最小感染防御レベル)は0.15µg/mLであり、長期の感染予防に必要な抗PRP抗体価(長期感染防御レベル)は1µg/mLであると考えられている2),3) 。
外箱開封後は遮光して保存すること。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
シリンジ 0.5mL 1本
1) BK1310の健康乳幼児を対象とした検証的試験(承認年月日:2023年3月27日、CTD2.7.6.2)
2) World Health Organization.:Wkly Epidemiol Rec.2006;81(47):445-52
3) Kathy H,et al.:J infect Dis.1983;147(6):1100
4) 加藤達夫.:小児科診療.1990;53(10):2275-81
5) 厚生労働省健康局結核感染症課,ほか.:平成15年度(2003年度)感染症流行予測調査報告書.2004;162-75
6) 厚生労働省健康局結核感染症課,ほか.:平成20年度(2008年度)感染症流行予測調査報告書.2011;217-32
7) Bull World Health Organ.1996;74(3):253-68
8) BK1310の健康乳幼児を対象とした筋肉内投与試験(承認年月日:2023年3月27日、CTD2.7.6.3)
9) 古泉ゆか,ほか.:病原微生物検出情報(IASR).2013;34:190-91
田辺三菱製薬株式会社 くすり相談センター
〒541-8505 大阪市中央区道修町3-2-10
電話 0120-753-280
本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)。
一般財団法人 阪大微生物病研究会
香川県観音寺市瀬戸町四丁目1番70号
田辺三菱製薬株式会社
大阪市中央区道修町3-2-10
ファイザー株式会社
東京都渋谷区代々木3-22-7
【ゴービック水性懸濁注シリンジの使用方法】
①接種に使用する注射針を用意する。注射針は、ガンマ線等により滅菌されたディスポーザブル品を用いる。
②ワクチン名、識別色(薄紅色)、製造番号、最終有効年月日を確認後、ケースを開封し、ブリスター容器の蓋フィルムをゆっくりと引きはがす。
③シリンジ胴体をつまんでゆっくりと容器からシリンジを取り出す。
※プランジャーロッド(押し子)をもって無理に引き上げないこと。
※破損や液漏れ、異常な混濁、着色、異物の混入、その他の異常が認められる場合は使用しないこと。
※プランジャーロッドが緩んでいないか確認すること。
④室温になってからシリンジ内の液剤を泡立てないようにしずかに反転し、均等にする。
⑤シリンジ先端を上に向け、シリンジ胴体を指ではじき、シリンジ内の気泡を上部に集める。
⑥シリンジ先端に包装してあるチップキャップラベルとその下に装着されているチップキャップをミシン目に沿ってひねりとる。
※チップキャップを取り外した後は直ちに使用すること。
⑦①で用意した注射針をルアーロックアダプターに時計回りにねじ込み装着する。
※注射針がまっすぐに固定されていることを確認すること。
⑧注射針を少し傾けて、プランジャーロッドをゆっくり押してシリンジ内の気泡を完全に抜き、プランジャーストッパー(押し子先端のゴム栓)を下図のとおり用量線に合わせ接種を行う。
<皮下接種>⑨皮下に接種する。 上腕伸側の皮膚をつまみ上げ、皮膚面に斜めに針を刺し、皮下接種する。
<筋肉内接種>⑨筋肉内に接種する。1歳未満の者には大腿前外側部、1歳以上の者には大腿前外側部または三角筋中央部の皮膚面に垂直に針を刺し、筋肉内接種する。臀部には接種しないこと。筋肉内接種に当たっては、組織・神経等への影響を避けるため下記の点に注意すること。・針長は筋肉内接種に足る長さで、神経、血管、骨等の筋肉下組織に到達しないよう、各被接種者に対して適切な針長を決定すること。注)・神経走行部位を避けること。・注射針を刺入したとき、激痛の訴えや血液の逆流がみられた場合は直ちに針を抜き、部位を変えて注射すること。
注)接種年齢別の接種部位と標準的な針の長さ
年齢
接種部位
標準的な針の長さ(mm)
乳児(1歳未満)
大腿前外側部
16*1-25
1-2歳
25-32
三角筋中央部
16-25
3歳以上
*1 国内の乳児(生後2か月から6か月、n=154)の皮膚厚のデータ*2では、乳児の大腿前外側部において、皮膚から筋肉に到達し骨までの長さは、25mmより短い児がいること、また、皮膚から筋膜までの長さは、全例で16mm未満であることが報告された。したがって、この月齢における針の長さは、筋肉内接種の方法によって個々に検討されなくてはならない(皮膚を伸展して接種する場合には、16mmの針を使用するなど)。* 2 Nakayama T, Kohdera U, Fujino M, et al. Appropriate needle lengths determined using ultrasonic echograms for intramuscular injections in Japanese infants. Open J Pediatr 2016;6:163-70.
⑨のイラスト及び針の長さの表は、日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会 小児に対するワクチンの筋肉内接種法について(改訂第2版)2022年1月改訂第2版より作成
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