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劇薬
処方箋医薬品注)
生物由来製品
多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制
通常、成人にはナタリズマブ(遺伝子組換え)として1回300mgを4週に1回1時間かけて点滴静注する。
本剤による治療は単剤で行い、他の多発性硬化症治療薬又は免疫抑制剤とは併用しないこと(急性増悪の治療を目的とした短期のステロイド剤の使用を除く)〔本剤の投与中及び投与中止後12週間は免疫系への相加的な抑制作用により、PMLを含む感染症が誘発されるおそれがある。なお、本剤に他の多発性硬化症治療薬又は免疫抑制剤を上乗せしたときの効果の増強は検討されていない〕。
PMLの発症リスクが高いことが確認されている。,,,,
感染症が増悪するおそれがある。,
感染症が誘発されるおそれがある。,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験において、臨床用量の18倍(累積曝露量換算)で、受胎能の低下及び新生児の生存率の低下(モルモット)が報告されており、臨床用量の5倍(投与量換算)で流産率の増加(サル)が報告されている。また、臨床用量の18倍(累積曝露量換算)を投与された母動物から生まれた胎児(サル)において、軽度の貧血、血小板数の減少、脾臓重量の増加、並びに脾臓の髄外造血の増加、胸腺の萎縮及び肝臓の髄外造血の減少と関連した肝臓及び胸腺重量の減少が報告されている。
**治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することが報告されている。
臨床試験において除外され、十分なデータがない。
患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
生ワクチン又は弱毒生ワクチン(BCGワクチン、ポリオワクチン、麻疹ワクチン、風疹ワクチン等)
接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した場合には適切な処置を行うこと。
ワクチン接種に対する応答が不明であり、また、生ワクチンによる二次感染が否定できない。
不活化ワクチン(日本脳炎ワクチン、インフルエンザワクチン等)
ワクチンの効果を減弱させるおそれがある。
*本剤の投与期間中及び投与終了後は患者の状態を十分に観察すること。片麻痺、四肢麻痺、認知機能障害、失語症、視覚障害、小脳症状(運動失調、眼振等)等の症状があらわれた場合は、直ちに投与を中断し、MRIによる画像診断、脳脊髄液検査等によりPML発症の有無を確認するとともに、最新のガイドライン等を参考にし、血漿交換等の処置を行うこと。また、本剤投与患者でJCVによるGCNが報告されている。小脳症状があらわれた場合はGCNの可能性があることに留意すること。また、本剤投与中止後又は血漿交換による本剤除去後は免疫再構築炎症反応症候群の発症に十分注意すること。,,,,,,
日和見感染症、ヘルペス感染を含む感染症があらわれることがある。重篤な感染症が認められた場合には本剤を休薬又は中止し、適切な処置を行うこと。海外市販後には、ヘルペス脳炎又は髄膜炎等があらわれ、死亡又は重度の障害に至った例が報告されている。,,,,,
アナフィラキシー等の重篤な事象を含め、低血圧、高血圧、胸痛、胸部不快感、呼吸困難、発疹、蕁麻疹等の過敏症の症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合は直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。臨床試験においてそれらの反応の多くは投与開始から2時間以内に発現している。,,
肝硬変、肝不全、脂肪肝、黄疸等の重篤な肝障害がまれにあらわれることがある。
視力低下、霧視、結膜充血、眼痛等の症状があらわれた場合には、直ちに投与を中断し、眼科的検査等によりARN発症の有無を確認するとともに、適切な処置を行うこと。
>5%
1%~5%
<1%
頻度不明
神経系障害
頭痛
浮動性めまい
胃腸障害
悪心、下痢
嘔吐、便秘
一般・全身障害および投与部位の状態
疲労、インフルエンザ様疾患、悪寒
発熱
感染症および寄生虫症
鼻咽頭炎、尿路感染
皮膚および皮下組織障害
脱毛症、発疹
蕁麻疹
筋骨格および結合組織障害
関節痛、四肢痛
*血液およびリンパ系障害
好酸球増加症、血小板減少症
*その他
不規則月経
再発寛解型多発性硬化症患者を対象に本剤300mgを4週に1回、計6回点滴静注したとき、血清中ナタリズマブ濃度推移並びに1及び6回目投与後の薬物動態パラメータは図16-1及び表16-1のとおりであった(日本人における成績)。
矢印は本剤投与時点を示す。2~5回目投与時についてはトラフ濃度を示す。
投与回数
評価例数
Cmax,μg/mL
AUClast,μg・h/mL
AUCinf,μg・h/mL
t1/2,h
CL,mL/h
Vd,L
1
12
121±22.3
32379±8027
45203±14152
365±132
7.28±2.33
3.51±0.84
6
10
149±37.5
48165±15251
397±109
3.70±1.08
多発性硬化症の患者627例に本剤300mgを4週に1回24ヵ月間点滴静注したときの平均最高血清中濃度は、抗ナタリズマブ抗体陰性患者のみを対象(517例)として48週目に測定した場合110±52μg/mLであった。定常状態時の平均トラフ濃度は、抗体陰性患者のみを対象(473~538例)として36週から試験終了時に測定した場合23~29μg/mLであった。また、定常状態到達時間は36週と推定された(外国人における成績)。
多発性硬化症の患者625例に本剤300mgを4週に1回24ヵ月間点滴静注したとき、20例(3%)は一時的陽性例であり、37例(6%)は持続的陽性例であった。陽性例の大多数は、投与開始後初めての測定時点である12週時に抗体が検出された。一時的抗体陽性及び持続的抗体陽性の場合には、血清中ナタリズマブ濃度の低下が認められた。この血清中ナタリズマブ濃度の低下は、持続的陽性例では本剤投与期間をとおして認められたものの、一時的陽性例では継続しなかった(表16-2)(外国人における成績)。
測定時点(週)
抗体陰性患者(568例)
一時的抗体陽性患者(20例)
持続的抗体陽性患者(37例)
0
0.30±6.84
7.50±33.54
0.00±0.00
14.91±12.77
1.56±5.99
1.14±5.33
24
21.34±15.29
6.39±6.11
48
23.17±14.17
20.19±13.81
4.92±12.79
72
25.95±17.39
17.39±13.91
2.59±6.02
96
27.91±14.03
26.19±15.89
7.91±14.13
120
25.42±13.67
24.80±12.90
7.41±13.30
測定時期0週以外はトラフ濃度を示す。
多発性硬化症患者12例を対象とした試験において、血漿交換を5~8日間にわたって3回実施したところ、血清中ナタリズマブ濃度は低下したが、α4インテグリン受容体結合が依然として高い患者もおり、ナタリズマブの除去のためには更なる血漿交換が必要と考えられた(外国人における成績)。
再発寛解型多発性硬化症患者(各群47例)(体重38~96kg)を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。プラセボ又は本剤300mgを4週に1回24週間点滴静注した結果、本剤群における24週間の新規活動性病巣の発生率(平均値±標準偏差)は、プラセボ群0.352±0.565、本剤群0.058±0.075であり、プラセボ群と比較して本剤群で統計学的に有意に低かった(p<0.001、ベースライン時のGd造影病巣の有無で層別したMann-Whitney U検定)。
第II相試験を完了した症例(97例)を対象に実施した継続長期投与試験において、1年間の投与における年間再発率(回/人・年、平均値[95%信頼区間])は、0.366[0.233,0.577]であった。
本剤を投与された90例中31例(34.4%)に副作用が認められた。主な副作用は、疲労3例(3.3%)、発熱3例(3.3%)、鼻咽頭炎2例(2.2%)、不規則月経2例(2.2%)、湿疹2例(2.2%)、帯状疱疹2例(2.2%)、血中アルカリホスファターゼ増加2例(2.2%)、アナフィラキシー反応2例(2.2%)、好酸球増加症2例(2.2%)、マイコプラズマ感染2例(2.2%)であった。
外国人再発寛解型多発性硬化症患者(体重40~145kg)を対象としたプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施した。プラセボ又は本剤300mgを4週に1回2年間点滴静注した結果、本剤群における投与1年目の年間再発率は表17-1のとおりであり、プラセボ群と比較して統計学的な有意差が認められた(p<0.001、Hochbergの方法により検定の多重性を調整)。また、2年間の投与期間中のEDSS評価に基づく3ヵ月間持続する身体的障害進行が発現するまでの時間は図17-1のとおりであり、プラセボ群と比較して延長し、統計学的な有意差が認められた(ハザード比0.58、p<0.001、Hochbergの方法により検定の多重性を調整)。
年間再発率(回/人・年)
群間比(本剤群/プラセボ群)
p値
プラセボ群
315
0.805[0.669,0.969]
本剤群
627
0.261[0.211,0.323]
0.325[0.256,0.412]
P<0.001
投与群、ベースライン時のEDSSスコア(≤3.5,>3.5)、ベースライン時のGd造影病巣の有無及び年齢(<40歳,≥40歳)を因子、試験登録前1年間における再発回数を共変量としたポアソン回帰モデルにより算出[95%信頼区間]。年間再発率は、各群における再発の総回数を、各群の総暴露人・年で除して算出した。
本剤を投与された886例中343例(38.7%)に副作用が認められた。主な副作用は、頭痛79例(8.9%)、疲労34例(3.8%)、悪心32例(3.6%)、浮動性めまい23例(2.6%)、鼻咽頭炎20例(2.3%)、過敏症16例(1.8%)、蕁麻疹16例(1.8%)、発疹15例(1.7%)、多発性硬化症再発14例(1.6%)、上気道感染14例(1.6%)であった。
多発性硬化症の病巣は、Tリンパ球を含む活性化炎症細胞が血液脳関門を通過することにより形成されると考えられる。白血球の血液脳関門通過には、炎症細胞表面のα4β1インテグリンと血管内皮細胞表面のVCAM-1との相互作用が関与する。ナタリズマブは、ヒトインテグリンα4サブユニットに特異的に結合し、α4β1インテグリンとVCAM-1との相互作用を阻害することにより、炎症性組織への免疫細胞の動員を阻害して、多発性硬化症の病巣形成を阻止すると考えられる。また、ナタリズマブは、α4インテグリンを発現する白血球と細胞外マトリックス等との相互作用を阻害することにより、病巣で進行している炎症反応を抑制する可能性がある4)。
モルモットの多発性硬化症動物モデルにおいて、ナタリズマブ又は親抗体を皮下又は心臓内投与したとき、臨床症状の発現遅延及び改善、MRI解析における浮腫及び炎症の減少並びに血液脳関門透過性の減少を示した5),6),7)。
ナタリズマブ(遺伝子組換え)Natalizumab (Genetical Recombination) (JAN)
C6486H9992N1720O2036S48(タンパク質部分、4本鎖)
146,178.16
ヒトα4インテグリンに対する遺伝子組換えモノクローナル抗体である。マウス骨髄腫(NS/0)細胞を用いて産生される450個のアミノ酸残基からなるH鎖(γ4鎖)2分子及び213個のアミノ酸残基からなるL鎖(κ鎖)2分子で構成される糖タンパク質である。
1バイアル/箱
1) タイサブリ®点滴静注300mg適正使用ガイド
2) 社内資料:国内第II相臨床試験(2014年3月24日承認、CTD2.7.6.5.1.4)
3) Polman CH et al., N Engl J Med 2006; 354:899-910
4) Rudick RA et al., Expert Rev Neurother 2004; 4:571-80
5) Kent SJ et al., J Neuroimmunol 1995; 58:1-10
6) Kent SJ et al., J Magn Reson Imaging 1995; 5:535-40
7) 社内資料:モルモットEAEモデルにおける有効性(2014年3月24日承認、CTD2.6.2.2.8)
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