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スピンラザ髄注12mg

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能・効果
5.効能・効果に関連する注意
6.用法・用量
7.用法・用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.2腎機能障害患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.2非臨床試験に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2薬理作用9)
19.有効成分に関する理化学的知見
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

スピンラザ髄注12mg

添付文書番号

1190403A1022_1_07

企業コード

630499

作成又は改訂年月

**2024年4月改訂(第4版、効能・効果変更)
2022年3月改訂

日本標準商品分類番号

87119

薬効分類名

脊髄性筋萎縮症治療剤

承認等

スピンラザ髄注12mg

販売名コード

YJコード

1190403A1022

販売名英語表記

SPINRAZA Intrathecal injection 12mg

販売名ひらがな

すぴんらざずいちゅう

承認番号等

承認番号

22900AMX00587

販売開始年月

2017年8月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃で遮光して保存

有効期間

48ヵ月

一般的名称

ヌシネルセンナトリウム髄注

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

スピンラザ髄注12mg

有効成分ヌシネルセンナトリウム   12.63mg
(ヌシネルセンとして   12mg )
添加剤リン酸二水素ナトリウム   0.25mg
無水リン酸一水素ナトリウム   0.49mg
塩化ナトリウム   43.83mg
塩化カリウム   1.12mg
塩化カルシウム水和物   1.03mg
塩化マグネシウム   0.82mg
pH調整剤   適量
1バイアル5mL中

3.2 製剤の性状

スピンラザ髄注12mg

pH6.7~7.7
浸透圧比約1(生理食塩液に対する比)
外観無色澄明の液

4. 効能・効果

**,*脊髄性筋萎縮症

5. 効能・効果に関連する注意

  1. 5.1 *遺伝子検査により、SMN1遺伝子の欠失又は変異を有し、SMN2遺伝子のコピー数が1以上であることが確認された患者に投与すること。ただし、SMN2遺伝子のコピー数が 4 以上の患者については、遺伝子検査によりSMN1遺伝子の欠失又は変異を有していたとしても、臨床所見が発現する前からは投与せず、臨床所見の発現後に、本剤投与のリスクとベネフィットを考慮した上で投与の必要性を判断すること。
  2. 5.2 SMN2遺伝子のコピー数が1の患者及び4以上の患者における有効性及び安全性は確立していない。これらの患者に投与する場合には、本剤投与のリスクとベネフィットを考慮した上で投与を開始し、患者の状態を慎重に観察すること。
  3. 5.3 永続的な人工呼吸が導入された患者における有効性及び安全性は確立していない。これらの患者に投与する場合には、患者の状態を慎重に観察し、定期的に有効性を評価し投与継続の可否を判断すること。効果が認められない場合には投与を中止すること。

6. 用法・用量

  • *〈乳児型脊髄性筋萎縮症、臨床所見は発現していないが遺伝子検査により発症が予測される脊髄性筋萎縮症〉

    通常、ヌシネルセンとして、1回につき下表の用量を投与する。初回投与後、2週、4週及び9週に投与し、以降4ヵ月の間隔で投与を行うこととし、いずれの場合も1~3分かけて髄腔内投与すること。

  • 〈乳児型以外の脊髄性筋萎縮症〉

    通常、ヌシネルセンとして、1回につき下表の用量を投与する。初回投与後、4週及び12週に投与し、以降6ヵ月の間隔で投与を行うこととし、いずれの場合も1~3分かけて髄腔内投与すること。

    各投与時の日齢

    用量

    投与液量

    0~90日齢

    9.6mg

    4mL

    91~180日齢

    10.3mg

    4.3mL

    181~365日齢

    10.8mg

    4.5mL

    366~730日齢

    11.3mg

    4.7mL

    731日齢~

    12mg

    5mL

7. 用法・用量に関連する注意

  1. 7.1 早産児では在胎週数を考慮して用量を調節すること。
  2. 7.2 本剤の投与が予定から遅れた場合は、「6.用法・用量」の表に従った用量を、可能な限り速やかに投与し、以降、その投与を基点とし、以下の投与方法を参考にすること。
    • *<乳児型脊髄性筋萎縮症、臨床所見は発現していないが遺伝子検査により発症が予測される脊髄性筋萎縮症>
    • 1)初回投与後の2週目の投与が遅れた場合、基点から2週及び7週後に投与し、以降は、4ヵ月間隔で投与すること。
      2)初回投与後の4週目の投与が遅れた場合、基点から5週後に投与し、以降は、4ヵ月間隔で投与すること。
    • 3)初回投与後の9週目の投与が遅れた場合、基点から4ヵ月間隔で投与すること。
      4)本剤の投与間隔が4ヵ月間隔となった後に投与が遅延し、基点からあらかじめ定められた次回投与日までの期間が2週間以上の場合は、あらかじめ定められた投与日に投与し、以降は、4ヵ月間隔で投与すること。基点からあらかじめ定められた次回投与日までの期間が2週間未満、又は基点があらかじめ定められた次回投与日を過ぎている場合は、基点から2週間以上あけてから投与し、以降は、4ヵ月間隔で投与すること。(ただし前回からの投与間隔が16ヵ月未満の場合)
    • <乳児型以外の脊髄性筋萎縮症>
    • 1)初回投与後の4週目の投与が遅れた場合、基点から8週後に投与し、以降は、6ヵ月間隔で投与すること。
      2)初回投与後の12週目の投与が遅れた場合、基点から6ヵ月間隔で投与すること。
      3)本剤の投与間隔が6ヵ月間隔となった後に投与が遅延し、基点からあらかじめ定められた次回投与日までの期間が4週間以上の場合は、あらかじめ定められた投与日に投与し、以降は、6ヵ月間隔で投与すること。基点からあらかじめ定められた次回投与日までの期間が4週間未満、又は基点があらかじめ定められた次回投与日を過ぎている場合は、基点から4週間以上あけてから投与し、以降は、6ヵ月間隔で投与すること。(ただし前回からの投与間隔が36ヵ月未満の場合)
  3. 7.3 本剤と脊髄性筋萎縮症に対する他剤の併用について安全性及び有効性は確立していないので併用を避けること。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 本剤の投与は、脊髄性筋萎縮症の診断及び治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで行うこと。
  2. 8.2 *生後3~42日齢の乳児を対象とした臨床試験では、生後52~242日齢の乳児を対象とした臨床試験と比較して脳脊髄液中薬物濃度が約5倍高値を示した。新生児期又は乳児期早期の患者に本剤を投与する場合には、患者の状態を慎重に観察すること。,
  3. 8.3 海外で他のアンチセンスオリゴヌクレオチド製剤の皮下又は静脈内投与後に重度の急性血小板減少症を含む凝固系異常及び血小板数減少が報告されている。本剤においても血小板数減少が認められているため、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に血算(血小板数)及び凝固能検査を行うこと。
  4. 8.4 海外で他のアンチセンスオリゴヌクレオチド製剤の皮下又は静脈内投与後に腎障害が報告されている。また、本剤においても蛋白尿の上昇が認められているため、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に腎機能検査を行うこと。
  5. 8.5 海外で他のアンチセンスオリゴヌクレオチド製剤の皮下又は静脈内投与後に肝障害が認められているため、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に肝機能検査を行うこと。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 抗凝固剤又は抗血小板薬を投与している患者、出血又は出血傾向のある患者

    出血又は出血の増悪があらわれるおそれがある。

9.2 腎機能障害患者

ヌシネルセン及び代謝物の排泄が遅延するおそれがある。なお、臨床試験では除外されている。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

授乳中の女性には、本剤投与中は治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中への移行は不明だが、マウスで乳汁中への移行が報告されている。

9.7 小児等

早産児では脳脊髄液量が少ないため、脳脊髄液中濃度が上昇するおそれがある。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 水頭症(頻度不明)

11.2 その他の副作用

1%以上

1%未満

頻度不明

感染症および寄生虫症

蜂巣炎

免疫系障害

過敏症(血管浮腫、蕁麻疹、発疹等)

代謝および栄養障害

食欲亢進

精神障害

不眠症

神経系障害

頭痛

眼振

心臓障害

頻脈

血管障害

血管炎

呼吸器、胸郭および縦隔障害

カタル、発声障害

胃腸障害

嘔吐

便失禁、悪心

皮膚および皮下組織障害

寝汗、皮膚疼痛

筋骨格系および結合組織障害

背部痛

筋力低下

先天性、家族性および遺伝性障害

貧血母斑

一般・全身障害および投与部位の状態

発熱

臨床検査

体温低下、体温上昇

傷害、中毒および処置合併症

腰椎穿刺後症候群(頭痛、吐き気、嘔吐)

処置後腫脹

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与前の注意

  1. 14.1.1 使用前に無色透明で浮遊物等がないことを目視にて確認し、異常が認められる場合には使用しないこと。
  2. 14.1.2 冷所から本剤を取り出した後、6時間以内に使用すること。
  3. 14.1.3 本剤は投与前に室温に戻すこと。
  4. 14.1.4 本剤は希釈しないこと。また、他剤と混合しないこと。

14.2 薬剤投与時の注意

  1. 14.2.1 重度の脊柱変形を生じている患者では、確実に髄腔内に刺入できるよう、超音波画像等の利用を考慮すること。
  2. 14.2.2 本剤投与前には、本剤投与量と同程度の量の脳脊髄液を除去すること。
  3. 14.2.3 使用後の残液は使用しないこと。

15. その他の注意

15.2 非臨床試験に基づく情報

  1. 15.2.1 幼若サルを用いた53週間間歇髄腔内投与毒性試験において、1mg/回以上の群で海馬に空胞化が認められ、4mg/回の群で、学習及び記憶への影響が認められている。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 脊髄性筋萎縮症(7ヵ月齢未満の日本人及び外国人乳児)における血漿中及び脳脊髄液中濃度1)

    脊髄性筋萎縮症と診断された7ヵ月齢未満の日本人及び外国人乳児121例に、用法・用量に従い1回12mg相当量の本剤を初回投与後、15、29及び64日目に投与し、以降4ヵ月に1回維持投与したとき、血漿中及び脳脊髄液中本薬トラフ濃度の推移並びに血漿中本薬の薬物動態パラメータは表16-1及び表16-2のとおりであった。

    表16-1 各投与日の血漿中及び脳脊髄液中本薬濃度

    評価時期

    血漿中濃度

    CSF中濃度

    評価例数

    トラフ濃度
    (ng/mL)

    評価例数

    トラフ濃度
    (ng/mL)

    15日目

    68

    3.96±2.33

    29日目

    67

    2.34±0.96

    69

    5.58±3.49

    64日目

    55

    2.33±0.94

    56

    6.68±4.42

    183日目

    34

    1.62±3.14

    36

    6.72±2.72

    302日目

    20

    0.84±0.33

    19

    11.2±6.92

    平均値±標準偏差

    1) 測定せず

    表16-2 本剤初回投与時の血漿中薬物動態パラメータ

    評価例数

    Cmax
    (ng/mL)

    Tmax
    (h)2)

    AUC0-4h
    (ng・h/mL)

    AUC0-24h3)
    (ng・h/mL)

    1103±854

    2.00

    2811±1864

    10075±4833

    平均値±標準偏差

    2) 中央値
    3) 投与前、投与後1、2、4及び24時間時点の血漿中濃度から算出した。
    4) AUC0-4hは75例、AUC0-24hは72例

  2. 16.1.2 脊髄性筋萎縮症(2~9歳の日本人及び外国人小児)における血漿中及び脳脊髄液中濃度2)

    *脊髄性筋萎縮症と診断された2~9歳の日本人及び外国人小児84例に、1回12mgの本剤を初回投与後、29、85及び274日目に投与したとき血漿中及び脳脊髄液中本薬トラフ濃度の推移並びに血漿中本薬の薬物動態パラメータは表16-3及び表16-4のとおりであった。

    表16-3 各投与日の血漿中及び脳脊髄液中本薬濃度

    評価時期

    血漿中濃度

    CSF中濃度

    評価例数

    トラフ濃度
    (ng/mL)

    評価例数

    トラフ濃度
    (ng/mL)

    29日目

    84

    0.701±0.335

    81

    3.11±1.32

    85日目

    83

    0.926±0.541

    81

    4.62±2.09

    274日目

    72

    0.343±0.148

    74

    4.66±2.03

    平均値±標準偏差

    表16-4 本剤初回投与時の血漿中薬物動態パラメータ

    評価例数

    Cmax
    (ng/mL)

    Tmax
    (h)5)

    AUC0-8h
    (ng・h/mL)

    AUC0-24h6)
    (ng・h/mL)

    350±181

    3.90

    1783±840

    3523±1288

    平均値±標準偏差

    5) 中央値
    6) 投与前、投与後2、4、8及び24時間時点の血漿中濃度から算出した。
    7) AUC0-24hは45例

  3. 16.1.3 臨床所見は発現していないが遺伝子検査により発症が予測される脊髄性筋萎縮症(43日齢未満の外国人乳児)における血漿中及び脳脊髄液中濃度3)

    *遺伝子検査によりSMN1遺伝子の欠失又は変異を有し、臨床所見は発現していない3~42日齢の外国人脊髄性筋萎縮症患者25例に、用法・用量に従い1回12mg相当量の本剤を初回投与後、15、29及び64日目に投与し、以降4ヵ月に1回維持投与したときの初回投与4時間時点での血漿中本薬濃度(平均値±標準偏差)は524.8±387.8ng/mLであった。血漿中及び脳脊髄液中本薬トラフ濃度の推移は表16-5のとおりであり、投与開始421~1611日目までの血漿中及び脳脊髄液中本薬トラフ濃度(平均値の範囲)は、それぞれ0.6~0.8ng/mL及び10.70~13.62ng/mLであった。

    表16-5 各投与日の血漿中及び脳脊髄液中本薬濃度

    評価時期

    血漿中濃度

    CSF中濃度

    評価例数

    トラフ濃度
    (ng/mL)

    評価例数

    トラフ濃度
    (ng/mL)

    15日目

    24

    14.52±11.28

    29日目

    24

    29.40±20.11

    64日目

    25

    1.7±0.74

    21

    20.23±11.21

    183日目

    23

    0.8±0.21

    23

    14.62±8.86

    302日目

    23

    0.9±0.40

    25

    11.94±6.47

    平均値±標準偏差

    8) 測定せず

16.3 分布

*ヒト血漿蛋白結合率は94-96%であった4),5)

16.4 代謝

ヌシネルセンは、エキソヌクレアーゼによる加水分解を介して緩徐に代謝される。

16.5 排泄

*主な排泄経路は尿中であり、ヌシネルセン又は代謝物として排泄される。脳脊髄液中の半減期は135~177日であった6) (外国人のデータ)。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  1. 17.1.1 日本を含む国際共同第III相試験(生後6ヵ月以前に発症した脊髄性筋萎縮症患者)1)

    * SMN2遺伝子のコピー数が2であり、生後6ヵ月齢以前に発症した、7ヵ月齢未満の脊髄性筋萎縮症患者121例(うち日本人3例)を対象に、用法・用量に従い1回12mg相当量の本剤投与又はシャム処置を、初回実施後、15、29、及び64日目に実施し、以降4ヵ月に1回維持投与するシャム処置群対照二重盲検並行群間比較試験を実施した。主要評価項目である、Hammersmith Infant Neurological Examination(HINE)第2セクション(7項目)9) に基づく運動マイルストーン改善例の割合10) は表17-1のとおりであり、本剤群とシャム処置群の間で統計学的な有意差が認められた(P<0.0001、Fisherの正確確率検定11) )。

    表17-1 HINE運動マイルストーン改善例の割合(中間解析における有効性対象集団)

    投与群

    評価例数

    運動マイルストーン
    改善例の割合

    群間差
    [95%信頼区間]

    p値

    シャム処置群

    27

    0

    41.2[18.2,61.2]

    <0.0001

    本剤群

    51

    41.2%(21例)

    Fisherの正確確率検定

    9) 「蹴る」「頭を上げる」「寝返る」「座る」「這う」「立つ」及び「歩く」の7項目
    10) 運動マイルストーンの達成状況を各時点において点数化した上で、ベースラインとデータカットオフ時点までの最終来院時で比較したとき、1点以上の増加(「蹴る」については2点以上の上昇又は最高点への到達)を認めた評価項目が多い場合に「改善」と定義された。
    11) 中間解析の有意水準0.032

    本剤が投与された80例のうち9例(11.3%)に副作用が認められた。主な副作用は発熱(2.5%)、頻脈、貧血母斑、蜂巣炎、処置後腫脹、眼振、血管炎、体温低下、体温上昇(各1.3%)であった。

  2. 17.1.2 日本を含む国際共同第III相試験(生後6ヵ月より後に発症した脊髄性筋萎縮症患者)2)

    *生後6ヵ月齢より後に発症した、2~9歳の脊髄性筋萎縮症患者126例(うち日本人8例)(SMN2遺伝子のコピー数は2コピーが10例、3コピーが111例、4コピーが3例、不明が2例)を対象に、1回12mgの本剤投与又はシャム処置を、初回実施後、29及び85日目に実施し、6ヵ月後に1回維持投与するシャム処置群対照二重盲検並行群間比較試験を実施した。中間解析において主要評価項目である、Hammersmith Functional Motor Scale–Expanded(HFMSE)スコアの15ヵ月目の変化量は表17-2のとおりであり、本剤群とシャム処置群の間で統計学的な有意差が認められた(P=0.0000002、共分散分析・多重代入法12) )。

    表17-2 HFMSEスコアのベースラインからの変化量(ITT)

    投与群

    評価例数

    HFMSEスコアの
    ベースラインからの変化量
    (最小二乗平均[95%CI])

    群間差
    [95%信頼区間]

    p値

    シャム処置群

    42

    -1.9(-3.8,0.0)

    5.9[3.7,8.1]

    0.0000002

    本剤群

    84

    4.0(2.9,5.1)

    共分散分析・多重代入法

    12) 中間解析の有意水準0.025

    本剤が投与された84例のうち24例(28.6%)に副作用が認められた。主な副作用は頭痛(9.5%)、背部痛(8.3%)、発熱(7.1%)、腰椎穿刺後症候群(2.4%)、嘔吐(2.4%)であった。

  3. 17.1.3 海外第II相試験(臨床所見は発現していないが遺伝子検査により発症が予測される脊髄性筋萎縮症患者)3)

    *遺伝子検査によりSMN1遺伝子の欠失又は変異を有し、臨床所見は発現していない3~42日齢の外国人脊髄性筋萎縮症患者25例(SMN2遺伝子のコピー数は2コピーが15例、3コピーが10例)を対象に、用法・用量に従い1回12mg相当量の本剤を初回投与後、15、29及び64日目に投与し、以後4ヵ月後に1回維持投与する非盲検非対照試験を実施した。中間解析において被験者の治験薬の最終投与又は有効性評価の最終来院時点までの試験参加期間は中央値45.11ヵ月(範囲:33.3~56.8ヵ月)であり、主要評価項目であるイベント(死亡又は呼吸介入13) )が発現するまでの期間について、25例全例が生存し、4例(いずれもSMN2遺伝子コピー数は2コピー)は呼吸介入が必要となったものの、気管切開術又は永続的換気を必要とした被験者は認められなかった。
    本剤が投与された25例のうち11例(44.0%)に副作用が認められた。主な副作用は筋力低下(12.0%)であった。

    13) 呼吸介入は、「6時間/日以上の侵襲的若しくは非侵襲的換気を7日以上連続、又は気管切開術」と定義された。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

ヌシネルセンはアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、SMN2 mRNA前駆体のイントロン7に結合し、エクソン7のスキッピングを抑制することで、エクソン7含有SMN2 mRNAを生成させ、完全長SMNタンパクを発現させることにより脊髄性筋萎縮症に対する作用を示すと考えられている7),8)

18.2 薬理作用9),10)

  1. 18.2.1 SMAマウスモデル

    内因性Smnを欠失等させた上でヒトSMN2遺伝子を導入したトランスジェニックマウスにおいて、完全長SMNタンパク発現量の増加、握力の改善、生存期間の延長等が認められた。

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

ヌシネルセンナトリウム
Nusinersen Sodium〔JAN〕

化学名

all-P-ambo-2'-O-(2-メトキシエチル)-5-メチル-P-チオウリジリル-(3'→5')-2'-O-(2-メトキシエチル)-5-メチル-P-チオシチジリル-(3'→5')-2'-O-(2-メトキシエチル)-P-チオアデニリル-(3'→5')-2'-O-(2-メトキシエチル)-5-メチル-P-チオシチジリル-(3'→5')-2'-O-(2-メトキシエチル)-5-メチル-P-チオウリジリル-(3'→5')-2'-O-(2-メトキシエチル)-5-メチル-P-チオウリジリル-(3'→5')-2'-O-(2-メトキシエチル)-5-メチル-P-チオウリジリル-(3'→5')-2'-O-(2-メトキシエチル)-5-メチル-P-チオシチジリル-(3'→5')-2'-O-(2-メトキシエチル)-P-チオアデニリル-(3'→5')-2'-O-(2-メトキシエチル)-5-メチル-P-チオウリジリル-(3'→5')-2'-O-(2-メトキシエチル)-P-チオアデニリル-(3'→5')-2'-O-(2-メトキシエチル)-P-チオアデニリル-(3'→5')-2'-O-(2-メトキシエチル)-5-メチル-P-チオウリジリル-(3'→5')-2'-O-(2-メトキシエチル)-P-チオグアニリル-(3'→5')-2'-O-(2-メトキシエチル)-5-メチル-P-チオシチジリル-(3'→5')-2'-O-(2-メトキシエチル)-5-メチル-P-チオウリジリル-(3'→5')-2'-O-(2-メトキシエチル)-P-チオグアニリル-(3'→5')-2'-O-(2-メトキシエチル)グアノシン十七ナトリウム塩

分子式

C234H323N61Na17O128P17S17

分子量

7500.89

性状

本品は白色~黄色の塊又は粉末である。

化学構造式

21. 承認条件

  1. 21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
  2. 21.2 国内での治験症例が極めて限られていることから、再審査期間中は、全症例を対象とした使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

22. 包装

スピンラザ髄注12mg 1バイアル/箱

24. 文献請求先及び問い合わせ先

バイオジェン・ジャパン株式会社 くすり相談室

〒103-0027 東京都中央区日本橋一丁目4番1号

電話:0120-560-086
受付時間 9:00~17:00
(祝祭日、会社休日を除く月曜日から金曜日まで)

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

バイオジェン・ジャパン株式会社

〒103-0027 東京都中央区日本橋一丁目4番1号

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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