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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤の成分に対し重度の過敏症反応の既往のある患者
フェニルケトン尿症
本剤の適用は、既存治療を行っても血中フェニルアラニン濃度のコントロールが不十分な場合に限り考慮すること。
通常、成人にはペグバリアーゼ(遺伝子組換え)として1日1回20mgを維持用量とし、皮下投与する。ただし、週1回2.5mgを開始用量として、以下の漸増法に従い、段階的に増量する。1日1回20mgを一定期間投与しても効果が不十分な場合は、40mg又は60mgに段階的に増量できるが、最大用量は60mgである。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。
用量・投与頻度
投与期間
2.5mgを週1回投与
4週間以上
2.5mgを週2回投与
1週間以上
10mgを週1回投与
10mgを週2回投与
10mgを週4回投与
10mgを1日1回投与
20mgを1日1回投与
-
妊娠可能な女性に対しては、原則として本剤投与中及び投与中止後1カ月間は適切な避妊を行うよう指導すること。妊娠を希望する女性に本剤を投与する場合は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみとすること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ただし、食事療法を含む他の治療法では血中フェニルアラニン濃度のコントロールが困難な患者であって、本剤投与により安定した血中フェニルアラニン濃度のコントロールが期待できる場合にのみ考慮し、妊娠期に応じた栄養素摂取量や食事の変動にも留意して血中フェニルアラニン濃度が管理目標の範囲内に厳密にコントロールされるよう、慎重に管理すること。動物試験(ラット及びウサギ)において、本剤(臨床用量での血漿中トラフ濃度比較においてラットで約13.7~20.7倍、ウサギで27.7~41.0倍)を投与した際、胎児毒性(ラット:骨格変異、ウサギ:外表奇形、内臓奇形、骨格奇形、骨格変異)が認められた。これらの所見は母動物の低フェニルアラニン血症を伴うものであった。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ラットで乳汁中への移行が報告されている。ヒトでの乳汁移行に関するデータ及びヒトの哺乳中の児への影響に関するデータはない。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
ポリエチレングリコールを含有する注射剤,
併用した注射剤に対する過敏症の発現が増加するおそれがある。
本剤投与による抗PEG抗体の産生による。
アナフィラキシー、血清病等の全身性の過敏症反応があらわれることがある。発現した場合は重症度に応じた適切な処置を行い、アナフィラキシーが発現した場合は、本剤の投与を中止し、適切な薬物治療や緊急処置を行うこと。臨床試験において、アナフィラキシー発現後に抗ペグバリアーゼIgE抗体が認められた被験者はいなかった。,,,,
〈維持用量に達するまでの期間注2) 〉
15%以上
1%以上~15%未満
1%未満
血液およびリンパ系障害
リンパ節症
一般・全身障害および投与部位の状態
注射部位反応注3) (90%)、疲労
免疫系障害
過敏症反応注4) (65%)
血管浮腫
神経系障害
頭痛(42%)、浮動性めまい
呼吸器、胸郭および縦隔障害
咳嗽
呼吸困難
胃腸障害
腹痛、悪心、嘔吐
下痢
皮膚および皮下組織障害
発疹(35%)、蕁麻疹、そう痒症
脱毛、紅斑、斑状丘疹性皮疹
皮膚剥脱
筋骨格系および結合組織障害
関節痛(79%)
筋肉痛、関節腫脹、筋骨格硬直、関節硬直
臨床検査
補体因子C3低下(75%)、補体因子C4低下(66%)、CRP上昇注5)
低フェニルアラニン血症注6)
〈維持用量に達した後の期間注2) 〉
注射部位反応注3) (65%)、疲労
過敏症反応注4) (61%)
頭痛(47%)、浮動性めまい
腹痛、悪心、嘔吐、下痢
脱毛、蕁麻疹、発疹、そう痒症
紅斑、斑状丘疹性皮疹、皮膚剥脱
関節痛(67%)
低フェニルアラニン血症注6) (63%)、補体因子C3低下(81%)、補体因子C4低下(41%)
CRP上昇注5)
注入器の破損又は異常がないこと、薬液の変色や浮遊物がないことを確認すること。
国内外の臨床試験(297例)で抗薬物抗体の結果が得られた被験者のうち、総抗ペグバリアーゼ抗体は99.6%(275/276例)に認められ、ほとんどが投与後1カ月までに発現し、その後も継続して認められた。抗フェニルアラニンアンモニアリアーゼ(PAL)IgM抗体及び抗PAL IgG抗体はそれぞれ99.3%(294/296例)及び97.6%(289/296例)に認められた。抗PAL IgM抗体はほとんどが投与後2カ月までに発現し、その後は徐々に低下したものの継続して認められ、抗PAL IgG抗体はほとんどが投与後4カ月までに発現し、その後も継続して認められた。抗ポリエチレングリコール(PEG)IgM抗体及び抗PEG IgG抗体はそれぞれ97.6%(289/296例)及び98.0%(290/296例)に認められ、投与後1~3カ月の間で最も発現し、徐々に低下した。中和抗体は89.5%(265/296例)に認められ、ほとんどが投与後6カ月までに発現し、その後も継続して認められた。各抗薬物抗体の抗体価は、長期投与に伴い抗体価が増加する傾向は認められず、一定で推移した。なお、補体成分C3及びC4の低下とともに循環免疫複合体は投与後3~9カ月の間に最大となり、その後は徐々にベースライン付近まで回復した。,,
外国人フェニルケトン尿症患者(15例)に本剤0.01、0.03又は0.1mg/kgを単回皮下投与したときの血漿中濃度推移及び本薬の薬物動態パラメータは以下のとおりであった。
用量(mg/kg)
Cmax(μg/mL)
AUC0-t(μg・h/mL)
tmax(h)
t1/2(h)
0.01(5例)
0.073±0.044
6.04±4.45
84[60, 144]
59.5±23.6a)
0.03(5例)
0.298±0.101
35.50±12.53
96[60, 168]
45.8±23.6a)
0.1(5例)
1.828±0.152
229.95±62.78a)
96[60, 144]
113, 126b)
平均値±標準偏差、tmaxは中央値[範囲]a)3例、b)2例
外国人フェニルケトン尿症患者(32例)に本剤20mg又は40mgを1日1回反復皮下投与したときの定常状態における本薬の薬物動態パラメータは以下のとおりであった。
CL/F(L/h)
V/F(L)
20(17例)
14.04±16.25
262.18±280.38
8.0[0, 24]
0.39±0.87
26.4±64.8b)
40(15例)
16.69±19.46
246.78±338.59a)
8.2[0, 12]
1.25±2.46a)
22.2±19.7c)
平均値±標準偏差、tmaxは中央値[範囲]a)12例、b)13例、c)5例
本剤は、免疫介在性の機序による薬物除去を受けると考えられ、タンパク質部分はペプチド及びアミノ酸に分解されると推定される。
成人フェニルケトン尿症患者を対象に301及び302試験が実施された。301試験は、血中フェニルアラニン濃度が600μmol/L超のフェニルケトン尿症患者261例を対象に実施されたランダム化非盲検試験であり、維持用量として本剤20mg又は40mgを1日1回投与された3) 。302試験は、301試験又は第II相試験を完了した患者を対象にランダム化治療中止期及び継続投与期を設けて実施された4) 。301試験において、本剤は、2.5mg週1回を開始用量とし、4週間投与後、忍容性に応じて1週間以上の間隔で1段階ずつ漸増し(2.5mg週2回、10mg週1回、10mg週2回、10mg週4回、10mg1日1回、20mg1日1回)、維持用量として20mg又は40mgを1日1回皮下投与とされた。また、維持用量に至るまで、本剤投与の約2~3時間前にヒスタミンH1及びH2受容体拮抗薬並びに解熱鎮痛剤の前投与が必須とされ、維持用量投与時も医師が必要と判断した場合は前投与が行われた。血中フェニルアラニン濃度のベースラインからの変化量は、表3のとおりであった。
評価時点
本剤20mg群(131例)
本剤40mg群(130例)
血中フェニルアラニン濃度
ベースラインからの変化量
ベースライン
1241.0±389.7(131例)
1224.4±384.3(130例)
投与12週時
997.0±513.8(120例)
-264.2±432.3(120例)
859.1±534.1(120例)
-359.9±495.5(120例)
投与24週時
929.2±449.0(76例)
-334.7±438.3(76例)
668.0±547.9(75例)
-509.3±619.2(75例)
単位:μmol/L、平均値±標準偏差(評価例数)
続く302試験では、先行して実施された臨床試験を完了した215例(301試験から203例、第II相試験から12例)を対象に実施された。ランダム化治療中止期の後に、継続投与期が設けられた。パート1(血中フェニルアラニン濃度評価期)では、本剤20又は40mgを1日1回3~13週間皮下投与とされ、パート2(ランダム化治療中止期)では、二重盲検下でプラセボ又は本剤(20又は40mg)を1日1回8週間皮下投与とされた。パート1に組み入れられた164例のうち、パート2への移行基準(13週間以内にランダム化された用量で、血中フェニルアラニン濃度の平均値が先行試験のベースラインから20%以上低下)を満たした86例がパート2へ移行し、パート1で本剤20mgを投与された被験者は本剤20mg群と本剤20mgのプラセボ群に、パート1で本剤40mgを投与された被験者は本剤40mg群と本剤40mgのプラセボ群に、それぞれ2:1で無作為割付けされた。主要評価項目である、パート2におけるベースラインから8週時までの血中フェニルアラニン濃度の変化量は、表4のとおりであった。全本剤群(本剤20mg群及び本剤40mg群の併合群)のベースラインからの血中フェニルアラニン濃度の変化量について、各プラセボ群と比較され、いずれも統計学的に有意な差が認められた(本剤20mgのプラセボ群との群間差[95%信頼区間]は-923.3[-1135.0, -711.5]μmol/L、本剤40mgのプラセボ群との群間差[95%信頼区間]は-638.3[-859.0, -417.6]μmol/L、いずれもp<0.0001、MMRM、Hochberg手順により多重性を調整)。
評価項目
本剤20mg
本剤40mg
全本剤群(58例)
プラセボ群(14例)
本剤群(29例)
パート2のベースライン
563.9±504.6(14例)
596.8±582.8(29例)
508.2±363.7(14例)
410.9±440.0(29例)
503.9±520.3(58例)
8週時
1509.0±372.6(13例)
553.0±582.4(26例)
1164.4±343.3(10例)
566.3±567.5(23例)
559.2±569.5(49例)
8週時までの変化量a)
996.4±555.0(13例)
-65.9±192.0(26例)
599.0±507.4(10例)
114.1±332.4(23例)
18.6±279.4(49例)
949.75[760.38, 1139.11]
-23.27[-156.21, 109.66]
664.77[465.45, 864.10]
76.27[-60.24, 212.77]
26.50[-68.26, 121.26]
単位:μmol/L、平均値±標準偏差(評価例数)、変化量の下段:最小二乗平均[95%信頼区間]a)最小二乗平均及びその95%信頼区間は、投与群、評価時点、投与群と評価時点の交互作用、ベースラインの血中フェニルアラニン濃度を説明変数としたMMRMにより算出、分散共分散行列には無構造を仮定
継続投与期では、医師の判断に基づき用量が調整された(10、20、40又は60mgを1日1回皮下投与)。なお、本剤の総投与期間が52週間以上で、本剤40mgを8週間以上投与された場合、医師の判断により60mgに増量可能とされた。継続投与期における実際の1日あたりの用量(平均値±標準偏差)は、33.2±13.0mgであった。前投与は、プラセボ投与後又は休薬後からの本剤投与再開時、有害事象等による投与中断後の投与再開時及び本剤40又は60mg増量時の1週間は必須とされ、その他の期間においても必要に応じて行われた。301試験から移行した被験者集団について、投与24カ月以降も血中フェニルアラニン濃度低下が維持された。血中フェニルアラニン濃度が600μmol/L以下又は360μmol/L以下に低下した被験者の割合は、それぞれ投与18カ月時で71.2%(89/125例)及び59.2%(74/125例)、投与24カ月時でそれぞれ77.5%(69/89例)及び67.4%(60/89例)、投与36カ月時でそれぞれ71.4%(60/84例)及び64.3%(54/84例)であった。
血中フェニルアラニン濃度が600μmol/L超の成人フェニルケトン尿症患者12例を対象に、52週間の非盲検非対照試験が実施された5) 。本剤は、2.5mg週1回を開始用量とし、4週間以上投与後、忍容性に応じて1週間以上の間隔で1段階ずつ漸増し(2.5mg週2回、10mg週1回、10mg週2回、10mg週4回、10mg1日1回、20mg1日1回)、維持用量として20mgを1日1回皮下投与された。本剤20mgの1日1回投与を24週間以上行っても血中フェニルアラニン濃度が360μmol/Lを超えている場合は、40mgに増量可能とされた。また、本剤投与の約2~3時間前にヒスタミンH1及びH2受容体拮抗薬並びに必要に応じて解熱鎮痛剤の前投与が行われた。52週間の投与を完了した11例において、血中フェニルアラニン濃度(平均値±標準偏差)は、ベースライン1025.8±172.7μmol/L、投与52週時448.3±458.8μmol/Lであり、ベースラインから投与52週時までの変化量は-577.6±431.8μmol/Lであった。投与52週時の血中フェニルアラニン濃度が600μmol/L又は360μmol/L以下に低下した被験者の割合は、それぞれ63.6%(7/11例)及び54.5%(6/11例)であった。
本剤は、遺伝子組換えフェニルアラニンアンモニアリアーゼ類縁体であり、テトラヒドロビオプテリン非依存的にフェニルアラニンをアンモニア及びケイ皮酸に代謝する。
本剤をフェニルケトン尿症モデルマウスに皮下投与したところ、血漿中フェニルアラニン濃度が低下した。
ペグバリアーゼ(遺伝子組換え)(Pegvaliase(Genetical Recombination))
ペグバリアーゼは、遺伝子組換えAnabaena variabilisフェニルアラニンアンモニアリアーゼ(EC 4.3.1.24)類縁体であり、503及び565番目のアミノ酸残基はそれぞれSerに置換され、167~169番目のAla-Ser-Glyからメチリデンイミダゾロンが形成され、サブユニット当たり平均9個のメトキシポリエチレングリコール鎖(分子量:約20,000)がカルボニル基を介して結合している(主なPEG結合部位:Lys残基)。ペグバリアーゼは、567個のアミノ酸残基からなるサブユニット4個から構成されるPEG化タンパク質(分子量:約917,000)である。
凍結を避けること。冷蔵庫(2~8℃)で保管できない場合、室温で保管することもできるが、1カ月以内に使用すること。また、室温で保管した後は冷蔵庫に戻さないこと。
プレフィルドシリンジ1本 プレフィルドシリンジ2.5mg
プレフィルドシリンジ1本 プレフィルドシリンジ10mg
プレフィルドシリンジ1本 プレフィルドシリンジ20mg
1) 社内資料:PAL-001試験(承認年月日:2023年3月27日、CTD 2.7.2.2)
2) 社内資料:165-302試験(承認年月日:2023年3月27日、CTD 2.7.2.2)
3) 社内資料:165-301試験(承認年月日:2023年3月27日、CTD 2.7.6.7)
4) 社内資料:165-302試験(承認年月日:2023年3月27日、CTD 2.7.6.8)
5) 社内資料:165-305試験(承認年月日:2023年3月27日、CTD 2.7.6.10)
BioMarin Pharmaceutical Japan株式会社メディカルインフォメーション
〒160-0022 東京都新宿区新宿四丁目1番6号JR新宿ミライナタワー
TEL:03-4578-0638https://www.bmrn.co.jp/
*本剤は新医薬品であるため、厚生労働省告示第97号(平成20年3月19日付)に基づき、2024年5月末日までは、1回14日分を限度として投薬すること。
BioMarin Pharmaceutical Japan株式会社
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