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処方箋医薬品注)
本剤を予防に用いる場合には、現地のマラリア汚染状況も踏まえて、本剤の必要性を慎重に検討すること。,
マラリア
通常成人には、体重に応じメフロキン塩酸塩として、825mg(3錠)~1,100mg(4錠)を2回に分割して経口投与する。
感染地(メフロキン耐性のマラリア流行地域)及び症状によって、成人には体重に応じメフロキン塩酸塩として、1,100mg(4錠)~1,650mg(6錠)を2~3回に分割して経口投与する。
通常成人には、体重に応じメフロキン塩酸塩として、206.25mg(3/4錠)~275mg(1錠)を、マラリア流行地域到着1週間前より開始し、1週間間隔(同じ曜日)で経口投与する。流行地域を離れた後4週間は経口投与する。なお、流行地域での滞在が短い場合であっても、同様に流行地域を離れた後4週間は経口投与する。
症状が悪化するおそれがある。
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
妊娠する可能性のある女性には、投与中及び投与終了後3ヵ月までは避妊させること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験で、外表、内臓及び骨格の異常(ラット、100mg/kg/日)が、また、口蓋裂(マウス、100mg/kg/日)が報告されている。,
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中へ移行することが報告されている。
低出生体重児、新生児、乳児には投与しないこと。幼児、小児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
減量するなど注意すること。一般に、生理機能が低下している。
急性脳症候群、暗赤色尿、呼吸困難、貧血、溶血。(少なくともキニーネ投与後12時間は、本剤を初回投与しない。また、心毒性の発現が高まるために本剤投与後2週間は、キニーネの投与を慎重に行う。)
併用投与により心臓に対して累積的に毒性を与える可能性がある。
ハロファントリン(国内未承認)
致死的なQTc間隔の延長があらわれることがある。本剤は消失半減期が長いことより投与後においてもハロファントリンの投与は避け、他の薬剤を使用すること。ただし、ハロファントリンの投与の必要がある場合は、本剤の血中濃度を考慮し、十分な間隔をあけて慎重に投与すること。
QTc間隔延長作用の増大。
不整脈などの心血管系に障害を及ぼす可能性がある。
QTc間隔を延長させる。
ジゴキシンの作用増強の可能性がある。
類似薬のキニーネにおいて、強心剤であるジゴキシンとの併用により、ジゴキシンの血中濃度が上昇する。
アルコール(飲酒)
幻覚、幻聴、妄想、自殺願望。
本剤による中枢毒性を強める可能性、あるいはアルコールの代謝阻害による急性アルコール精神病発症の可能性がある。
経口腸チフス生ワクチン(国内未承認)
ワクチン効果を減弱させる。(本剤初回投与の少なくとも3日前までに接種のこと。)
腸チフス菌の増殖阻害。
抗てんかん剤の作用を減弱させる。
抗てんかん剤の半減期を短縮させる。
狂犬病ワクチン(HDCV)(国内未承認)
ワクチン効果を減弱させる可能性がある。(HDCVは、本剤予防投与開始前に皮内投与療法の3回の投与を終了させるために、少なくとも旅行の1ヵ月前に皮内投与療法が開始されなければならない。このスケジュールができなければ、筋注療法を行わなければならない。)
狂犬病ワクチンに対する免疫応答の阻害の可能性がある。
併用により本剤の血中濃度又は併用薬剤の血中濃度が変動するおそれがあるので、患者の状態を十分に観察するなど注意すること。
本剤は肝チトクロームP-450 3Aにより代謝されることが示唆されているため、相互に影響を受ける可能性が考えられる。
他の(上記以外の)CYP 3A4酵素で代謝を受ける薬剤
5%以上
0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明
精神神経系
めまい
ふらつき、不眠、魔夢、傾眠、頭痛、不安、関節痛、筋肉痛、振戦、健忘、平衡障害
感情不安定、異夢、抑うつ状態
異常感覚、落ち着きのなさ、協調異常、筋痙直、行動障害、神経症、睡眠障害、精神病様症状、ニューロパシー、パニック発作、偏執反応、末梢神経障害、末梢性運動障害、無気力
感覚器
視力障害、耳鳴、聴力低下
前庭障害、霧視
消化器
下痢、嘔気、食欲不振、腹痛、胃部不快感、嘔吐、便秘、腹部膨満
胃痛、潰瘍性口内炎、消化不良
歯肉腫脹、舌浮腫、唾液増加
循環器
心悸亢進
期外収縮、高血圧、徐脈、心房細動、低血圧、頻脈、不整脈、房室ブロック
血液
白血球減少、血小板減少
好酸球上昇、白血球増多、フィブリノーゲン上昇
過敏症
じん麻疹、発疹、そう痒
多形紅斑、潮紅
肝臓
AST上昇、ALT上昇
LDH上昇
LAP上昇、TTT上昇、ZTT上昇
その他
倦怠感、疲労、脱力感、発熱、胸痛、悪寒、顔面浮腫
脱毛、鼻出血
BUN下降、CK上昇、アキレス腱炎、関節炎、血沈上昇、失神、多汗、トリグリセリド上昇、無力
上記の副作用が増強してあらわれる。本剤の過量投与により、めまい、頭痛、嘔吐があらわれたとの報告がある。
少なくとも24時間、ECGでの心機能のモニター及び神経精神状態をモニターする。必要に応じ、症候に基づく集中的な、特に心血管系障害への維持療法を行う。血液透析及び血漿交換は本剤の分布容積(Vd/F、17.7L/kg)、血漿蛋白結合率(98.3%、ヒト)、ヒト赤血球分配比(1.7)から除去効果は期待できない。
本剤は、pH5.5以上で溶解性が低下する。制酸剤、H2-遮断薬、プロトンポンプ阻害剤等の胃内pHを上昇させる薬剤との併用により、本剤の溶解性が低下し、吸収が低下することが考えられる。
健康成人に本剤4錠(1100mg)を単回経口投与したとき、血漿中未変化体濃度は投与後5.2時間(Tmax)に最高濃度(Cmax)1191.1ng/mLを示し、400.1時間の消失半減期(t1/2z)で減少した。血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0-∞)は560.3μg・hr/mL、分布容積(Vd/F)は17.7L/kg及び全身クリアランス(CL/F)は0.031L/hr/kgであった。
空腹時の服用により、血漿中未変化体濃度が食後服用に比し、Cmaxが約3/5、AUCが約3/4に低下することが報告されている2)。
マウスに14C-メフロキン塩酸塩を経口投与したとき、放射能分布は肝臓、肺、腎臓、残存屍体及び胃腸管、特に小腸で高かった。
健康成人に本剤4錠(1100mg)を単回経口投与したときの投与後7日までの累積尿中排泄率は2.44%であった。
日本人マラリア患者を対象に、一般臨床試験を実施した。熱帯熱マラリア患者において、主要評価項目であるin vivo感受性試験でS(治癒(感受性)、初回投与後7日までに血液中のマラリア原虫が消失し、投与後28日に原虫を検出しないもの)が83%(5/6例)、RII(血液中のマラリア原虫が初回投与後7日までに著明に減少するが消失するまでには至らないもの)が17%(1/6例)であり、本剤の有用性が示された。なお、in vivo感受性試験がRIIとなった1例(体重56kg)は推定感染地がガーナで、本剤2錠を8時間間隔で2回投与し、投与4日後に解熱し、投与10日後に原虫が消失した。しかしながら、投与27日後に再び原虫が検出され、投与28日後より再び発熱がみられたため、投与29~36日後にキニーネ硫酸塩水和物(末)1.5g/日、ミノサイクリン塩酸塩200mgが投与され、投与31日後に解熱、投与34日後には原虫が消失し、更に投与59日後に原虫(-)が確認された。三日熱マラリア患者においてはin vivo感受性試験でSが100%(8/8例)であり、本剤の有用性が示された。なお、いずれの症例においても、本剤投与後にプリマキンによる根治療法を行った。自他覚症状の副作用は42.9%(6/14例)8件で認められ、その内訳は嘔気2件、腹部膨満1件、胃部不快感1件、めまい1件、ふらつき1件、頭痛1件、蕁麻疹1件であった。また、臨床検査値異常変動は64.3%(9/14例)33件で認められ、主な内訳はAST上昇6件、ALT上昇6件、CK上昇4件、TTT上昇4件、ZTT上昇3件及び好酸球上昇3件等であった。
治療症例を対象とした使用成績調査の安全性評価対象症例88例中、副作用は35.2%(31/88例)66件で認められた。発現した主な副作用は、浮動性めまい15件(17.0%)、悪心11件(12.5%)、嘔吐9件(10.2%)であった。有効性は血中マラリア原虫検査、体温、臨床症状から有効、無効、悪化の3段階で評価した。有効性評価対象症例85例のうち、無効例は1例で、無効率は1.2%(1/85例)であった。
予防症例を対象とした使用成績調査の安全性評価対象症例2,441例中、副作用は24.7%(603/2,441例)1,337件で認められた。発現した主な副作用は、浮動性めまい283件(11.6%)、倦怠感96件(3.9%)、下痢87件(3.6%)、不眠症86件(3.5%)、悪心82件(3.4%)であった。有効性はマラリアの発病の有無から、「有効」、「無効」として評価した。有効性評価対象症例2,422例のうち、無効例は6例で無効率0.2%(6/2,422例)であった。
主として赤血球内の無性型原虫に対し撲滅効果を示す抗赤内型シゾント薬に分類され、抗生殖母体作用をほとんど示さない。また、三日熱マラリア原虫及び卵形マラリア原虫の赤内型シゾントには作用するが、赤外型(組織型)シゾントや再発に関与するヒプノゾイト(休眠体)に対しては効果を示さない。マラリア原虫は宿主の赤血球中のヘモグロビンを取り込み食胞で分解し、アミノ酸の供給源として利用する。このとき遊離するヘムは原虫に極めて有害であるため、これを重合させヘモゾイン(マラリアピグメント)として無毒化する。メフロキンの抗原虫作用の機序は明らかでないが、ヘムの重合阻害作用や食胞の機能阻害によるものと考えられている。
原虫が感染しているハマダラカがヒトを吸血すると、蚊の唾液腺に集まっている感染型虫体であるスポロゾイト(胞子小体)が体内に入る。スポロゾイトは血流に運ばれて数分で肝細胞に侵入し、肝細胞内で増殖する。1個の虫体は数千~数万の娘虫体であるメロゾイトを形成し、これが肝細胞を破壊して赤血球に侵入する。赤血球内で虫体はリング期、トロホゾイト期、シゾント期と呼ばれる特有の形態変化を示しながら発育し、最終的に10~30個のメロゾイトを形成する。メロゾイトは宿主赤血球を破壊し、数十秒以内に次の赤血球に侵入して再び増殖し、赤血球内サイクルを繰り返す。なお、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)と卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)では、一部の肝細胞内原虫がヒプノゾイト(休眠体)となり、数ヵ月~数年後に増殖し、マラリア再発の原因となる。また、赤血球内虫体の一部はガメトサイト(雌雄の生殖母体)に分化し、これが蚊の吸血によって蚊体内に移ると接合体を経て、オーシストを形成する。オーシスト内でスポロゾイトが形成され、やがて唾液腺に移行し、感染型の成熟スポロゾイトとなる3)。以上が、マラリア原虫の生活環である。メフロキンは、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)及び四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)に対して、赤内型分裂体(シゾント)除去作用により予防及び治療効果を示す。一方、三日熱マラリア原虫及び卵形マラリア原虫に対しても、赤内型シゾントを除去することによって効果を示すが、これら原虫は一部がヒプノゾイトを形成し不定の潜伏期間後に分裂して再発する。メフロキンは赤外型(組織型)シゾント及びヒプノゾイトには効果を示さないため、三日熱マラリア原虫及び卵形マラリア原虫に対する根治効果は得られない。
P. falciparumの3株(Vietnam Oak Knoll株注2)、Malayan Camp-CH/Q株注3)及びVietnam Smith株注4))並びにP. vivaxの2株(Vietnam Palo Alto株注3)及びNew Guinea Chesson株注5))をそれぞれ感染させたサルにメフロキンの3~5用量を1日1回、7日間反復投与した結果、Vietnam Oak Knoll株及びMalayan Camp-CH/Q株に対するCD90値(投与総量)はいずれも14.0mg/kgであり、Vietnam Smith株では28.0mg/kgであった。また、Vietnam Palo Alto株に対しては8mg/kg、New Guinea Chesson株に対しては14.0mg/kg以下であった。P. falciparumのVietnam Oak Knoll株及びMalayan Camp-CH/Q株をそれぞれ感染させたサルにメフロキンの3~4用量を単回投与した結果、Vietnam Oak Knoll株に対するCD90値(投与総量)は8.5mg/kgであり、Malayan Camp-CH/Q株では8.0mg/kgであった。P. falciparumのVietnam Oak Knoll株及びMalayan Camp-CH/Q株をそれぞれ感染させたサルにメフロキンの3~4用量を1日1回、3日間反復投与した結果、Vietnam Oak Knoll株に対するCD90値(投与総量)は8.5mg/kgであり、Malayan Camp-CH/Q株では9.0mg/kgであった。以上より、単回投与時と1日1回、3日間反復投与(単回投与量の分割投与)時のCD90値(投与総量)はいずれもほぼ同程度であり、7日間反復投与時よりも高い効果が得られた。更に、3群間での原虫消失時間に差がほとんどみられなかったことから、短期間投与が良いことが示唆された4)。
P. cynomolgi B株のスポロゾイト(胞子小体)を接種する前日、接種2時間前、接種後7日間、メフロキン1日量1.25、5.0、20.0mg/kgを反復投与した実験で、初期の組織シゾントの発育には予防効果を示さず、投与終了後に発症した。P. cynomolgi B株のスポロゾイトを感染させ発症させたアカゲザルに、メフロキン1日量1.25、5.0、10.0、20.0、40.0mg/kgを7日間反復投与したところ、血液中から原虫の消失は認められたものの再発し、組織シゾントの発育に根治効果がないことが示された。しかし、20.0及び40.0mg/kg投与では再発までの期間がやや延長し、血液中シゾントの破壊あるいはそれらの発育を抑制するのに十分なメフロキンの血液中濃度が維持されたことによるものと考えられた。P. cynomolgi B株のトロホゾイトを接種したアカゲザルに、メフロキン1日量0、2.5、10.0、40.0mg/kgを7日間反復投与したところ、10mg/kg投与が血液中シゾント除去に有効量であることが示唆された。P. cynomolgi B株のスポロゾイトで感染させたアカゲザルに、メフロキン1日量10.0mg/kgにプリマキン1日量0.375、0.75、1.5mg/kgを7日間反復併用投与したところ、治癒率はそれぞれ41、85、100%であった。P. cynomolgi B株のスポロゾイト感染に対し、メフロキンは血液中殺シゾント作用を示す投与量で、抗赤外型シゾント及びヒプノゾイト作用を有するプリマキンと併用することにより治癒効果を示した4)。
クロロキン耐性あるいはクロロキン感受性原虫を感染させたマウスの赤血球へのメフロキンの蓄積はともに飽和過程で行われ、非感染赤血球にも半量以上が蓄積した。メフロキンは非感染赤血球及び感染赤血球のいずれに対してもクロロキンより効率的に蓄積されたが、クロロキンと競合がみられたことから、同じ蓄積過程が考えられた。クロロキン耐性原虫感染赤血球での蓄積に減少がみられなかったことから、クロロキン耐性マラリアの治療における有用性が示唆された5)(in vitro)。
熱帯熱マラリア患者から分離したマラリア原虫に対する各種抗マラリア薬のIC50値を測定し、抗マラリア薬感受性を比較検討したところ、東南アジアの原虫はクロロキンよりメフロキンに対して感受性が高かったが、西アフリカの原虫はクロロキンよりメフロキンに対して感受性が低かった。西アフリカではメフロキンは使用されていないにも拘らず、P. falciparumがメフロキンに耐性を示すことから、メフロキンの西アフリカでの感染例の治療や予防投与に際しては、注意を要することが示唆された6)。
メフロキン塩酸塩(Mefloquine hydrochloride)
(1RS)-[2,8-Bis(trifluoromethyl)quinolin-4-yl][(2SR)-piperidin-2-yl]methanol monohydrochloride
C17H16F6N2O・HCl
414.77
白色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けやすく、水に溶けにくい。硫酸に溶ける。メタノール溶液(1→20)は旋光性を示さない。
約260℃(分解)
6錠(PTP)
1) Fontaine F, et al.: Life Sci 2000; 66(22): 2193-212.
2) Crevoisier C, et al.: Eur J Clin Pharmacol 1997; 53(2): 135-9.
3) 田辺和裄: 治療 1999; 81(7): 2065-9.
4) Schmidt LH, et al.: Antimicrob Agents Chemother 1978; 13(6): 1011-30.
5) Fitch CD, et al.: Antimicrob Agents Chemother 1979; 15(2): 258-62.
6) Basco LK, et al.: Br J Clin Pharmacol 1992; 33(5): 517-20.
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