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日本薬局方
*テルミサルタン・アムロジピンベシル酸塩錠
劇薬
処方箋医薬品注)
高血圧症
成人には1日1回1錠(テルミサルタン/アムロジピンとして40mg/5mg又は80mg/5mg)を経口投与する。本剤は高血圧治療の第一選択薬として用いない。
通常、成人にはテルミサルタンとして40mgを1日1回経口投与する。ただし、1日20mgから投与を開始し漸次増量する。なお、年齢・症状により適宜増減するが、1日最大投与量は80mgまでとする。
高血圧症治療では、通常、成人にはアムロジピンとして2.5~5mgを1日1回経口投与する。なお、症状に応じ適宜増減するが、効果不十分な場合には1日1回10mgまで増量することができる。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。腎血流量の減少や糸球体ろ過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれがある。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。高カリウム血症を増悪させるおそれがある。また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、血清カリウム値に注意すること。
過度の降圧が脳血流不全を引き起こし、病態を悪化させるおそれがある。
低用量から投与を開始し、増量する場合は徐々に行うこと。急激な血圧低下を起こすおそれがある。
腎機能を悪化させるおそれがある。
低用量から投与を開始し、増量する場合は徐々に行うこと。急激な血圧低下を起こすおそれがある。,
投与しないこと。,
テルミサルタンは主に胆汁中に排泄されるため、テルミサルタンのクリアランスが低下することがある。また、外国において肝障害患者で本剤の血中濃度が約3~4.5倍上昇することが報告されている。,,
妊娠していることが把握されずアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤を使用し、胎児・新生児への影響(腎不全、頭蓋・肺・腎の形成不全、死亡等)が認められた例が報告されている1),2)。
本剤の投与に先立ち、代替薬の有無等も考慮して本剤投与の必要性を慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、投与が必要な場合には次の注意事項に留意すること。
**妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。妊娠中期及び末期に本剤を含むアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤又はアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された患者で羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の奇形、肺の発育不全等があらわれたとの報告がある。アムロジピンでは、動物実験で妊娠末期に投与すると妊娠期間及び分娩時間が延長することが認められている。,
授乳しないことが望ましい。テルミサルタンの動物実験(ラット)で、乳汁中へ移行することが報告されている。また、テルミサルタンの動物実験(ラット出生前、出生後の発生及び母動物の機能に関する試験)の15mg/kg/日以上の投与群で出生児の4日生存率の低下、50mg/kg/日投与群で出生児の低体重及び身体発達の遅延が報告されている。アムロジピンはヒト母乳中へ移行することが報告されている3)。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
一般に過度の降圧は好ましくないとされている。脳梗塞等が起こるおそれがある。
アリスキレンフマル酸塩
非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている。
テルミサルタン:レニン-アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
ジゴキシン
テルミサルタンとの併用により、血中ジゴキシン濃度が上昇したとの報告がある4)。
テルミサルタン:機序不明
カリウム保持性利尿剤
カリウム補給剤
血清カリウム濃度が上昇するおそれがある。
テルミサルタン:カリウム貯留作用が増強するおそれがある。危険因子:特に腎機能障害のある患者
リチウム製剤
アンジオテンシン変換酵素阻害剤との併用により、リチウム中毒を起こすことが報告されている。
テルミサルタン:明確な機序は不明であるが、ナトリウムイオン不足はリチウムイオンの貯留を促進するといわれているため、テルミサルタンがナトリウム排泄を促進することにより起こると考えられる。
利尿降圧剤
急激な血圧低下を起こすおそれがあるので、低用量から投与を開始し、増量する場合は徐々に行うこと。
テルミサルタン:利尿降圧剤で治療を受けている患者にはレニン活性が亢進している患者が多く、本剤が奏効しやすい。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
糸球体ろ過量がより減少し、腎障害のある患者では急性腎障害を引き起こす可能性がある。
テルミサルタン:プロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。
降圧薬の効果を減弱させることが報告されている。
テルミサルタン:血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成が阻害されるため、降圧薬の血圧低下作用を減弱させると考えられている。
アンジオテンシン変換酵素阻害剤
急性腎障害を含む腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある5)。
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがある。なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。
降圧作用を有する薬剤
降圧作用が増強されるおそれがある。
アムロジピン:相互に作用を増強するおそれがある。
CYP3A4阻害剤
エリスロマイシン及びジルチアゼムとの併用により、アムロジピンの血中濃度が上昇したとの報告がある。
アムロジピンの代謝が競合的に阻害される可能性が考えられる。
CYP3A4誘導剤
アムロジピンの血中濃度が低下するおそれがある。
アムロジピンの代謝が促進される可能性が考えられる。
グレープフルーツジュース
アムロジピンの降圧作用が増強されるおそれがある。
グレープフルーツに含まれる成分がアムロジピンの代謝を阻害し、アムロジピンの血中濃度が上昇する可能性が考えられる。
シンバスタチン
アムロジピンベシル酸塩とシンバスタチン80mg(国内未承認の高用量)との併用により、シンバスタチンのAUCが77%上昇したとの報告がある。
機序は不明である。
タクロリムス
アムロジピンベシル酸塩との併用によりタクロリムスの血中濃度が上昇し、腎障害等のタクロリムスの副作用が発現するおそれがある。併用時にはタクロリムスの血中濃度をモニターし、必要に応じてタクロリムスの用量を調整すること。
アムロジピンとタクロリムスは、主としてCYP3A4により代謝されるため、併用によりタクロリムスの代謝が阻害される可能性が考えられる。
顔面、口唇、咽頭・喉頭、舌等の腫脹を症状とする血管浮腫があらわれ、喉頭浮腫等により呼吸困難を来した症例も報告されている。
急性腎障害を呈した例が報告されている。
冷感、嘔吐、意識消失等があらわれた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。,,
AST、ALT、Al-P、LDH、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。
脱力感、空腹感、冷汗、手の震え、集中力低下、痙攣、意識障害等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。糖尿病治療中の患者であらわれやすい。
呼吸困難、血圧低下、喉頭浮腫等が症状としてあらわれることがある。
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、このような場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
徐脈、めまい等の初期症状があらわれることがある。
0.5~5%未満
0.5%未満
頻度不明
過敏症
湿疹、発疹
そう痒、じん麻疹、紅斑、多形紅斑、光線過敏症、血管炎
精神神経系
浮動性めまい
体位性めまい、頭痛
片頭痛、眠気、不眠、頭のぼんやり感、頭重、不安感、抑うつ状態、気分動揺、振戦、末梢神経障害、錐体外路症状
血液
貧血、好酸球上昇
白血球増加、赤血球減少、ヘモグロビン減少、紫斑
循環器
低血圧
心悸亢進、動悸、上室性頻脈、上室性期外収縮、期外収縮、心房細動、徐脈、洞房ブロック、洞停止、ほてり、ふらつき、起立性低血圧、頻脈
消化器
口渇、口内炎、逆流性食道炎、腹部膨満、心窩部不快感、腹痛
(連用により)歯肉肥厚、食欲不振、消化不良、心窩部痛、嘔気、嘔吐、胃炎、胃腸炎、鼓腸、排便回数増加、軟便、下痢、便秘、膵炎
肝臓
AST、ALT、Al-P、LDH、γ-GTP上昇等の肝機能異常
腹水
呼吸器
喘息、咳
鼻出血、喀痰増加、咽頭炎、呼吸困難
泌尿・生殖器
血清クレアチニン上昇、BUN上昇、血中尿酸値上昇、尿管結石、排尿障害、尿潜血陽性、尿中蛋白陽性、勃起障害、頻尿、女性化乳房
代謝異常
血清コレステロール上昇、糖尿病、高血糖、尿中ブドウ糖陽性
骨格筋
背部痛
関節痛、筋肉痛、下肢痛、腱炎、筋痙攣、下肢痙攣、筋緊張亢進
**電解質
血清カリウム上昇
血清カリウム減少、低ナトリウム血症
一般的全身障害
疲労
倦怠感、脱力感、発熱、胸痛、疼痛、しびれ、体重増加、体重減少、浮腫
その他
耳鳴、眼痛、CK上昇
結膜炎、目のチカチカ感、羞明、視覚異常、視力異常、鼻炎、上気道感染、インフルエンザ様症状、尿路感染、膀胱炎、敗血症、多汗、脱毛、皮膚変色、味覚異常、異常感覚、CRP陽性
テルミサルタンの過量服用(640mg)により、低血圧及び頻脈があらわれたとの報告がある。アムロジピンでは、過度の末梢血管拡張により、ショックを含む著しい血圧低下と反射性頻脈を起こすことがある。
テルミサルタンは血液濾過されない。また、テルミサルタンは血液透析によって除去されない。アムロジピンは、蛋白結合率が高いため、透析による除去は有効ではない。また、アムロジピンベシル酸塩服用直後に活性炭を投与した場合、アムロジピンベシル酸塩のAUCは99%減少し、服用2時間後では49%減少したことから、アムロジピンベシル酸塩過量投与時の吸収抑制処置として活性炭投与が有効であると報告されている6)。
因果関係は明らかでないが、アムロジピンベシル酸塩による治療中に心筋梗塞や不整脈(心室性頻拍を含む)がみられたとの報告がある。
健康成人男子にテルミサルタン/アムロジピン40mg/5mg配合剤及びテルミサルタン/アムロジピン80mg/5mg配合剤を空腹時単回経口投与したときのテルミサルタン及びアムロジピンの薬物動態パラメータは以下のとおりであった。単剤のときと同様に、テルミサルタンのCmaxは用量比以上に上昇した7),8),9)。
単回投与
テルミサルタン
アムロジピン
40mg/5mg配合剤
80mg/5mg配合剤
例数
30
126
29
Cmax(ng/mL)
87.0(77.3)
471(88.1)
3.39(19.7)
3.00(21.3)
AUC0-∞(ng・hr/mL)
808(62.8)
2410(60.4)b)
156(27.8)
137(29.8)
t1/2(hr)
20.1(35.9)
23.3(52.5)b)
38.4(18.9)
40.0(13.8)
tmax(hr)a)
1.50(0.500–4.00)
0.750(0.500–4.00)
6.00(4.00–12.0)
6.00(6.00–10.0)
幾何平均値(幾何変動係数[%])a)中央値(最小値–最大値)b)n=110
健康成人男子を対象としたテルミサルタン/アムロジピン40mg/5mg配合剤と単剤併用の相対バイオアベイラビリティ試験、並びにテルミサルタン/アムロジピン80mg/5mg配合剤と単剤併用の相対バイオアベイラビリティ試験及び生物学的同等性試験において、本剤及び単剤併用を空腹時単回経口投与したときのテルミサルタン及びアムロジピンの血漿中濃度推移(算術平均±標準偏差)及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。本剤の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは、単剤併用時と類似しており、生物学的同等性の基準を満たす製剤であることが確認されている7),8),9)。
配合剤
単剤併用
40mg/5mg
85.4(52.3)
3.21(23.6)
AUC0-tz(ng・hr/mL)a)
752(56.0)
791(57.4)
145(26.7)
138(26.7)
837(60.1)
150(27.3)
20.8(39.8)
38.6(18.5)
tmax(hr)b)
1.75(0.250–4.00)
6.00(6.00–12.0)
80mg/5mg
484(81.8)
2.94(20.2)
AUC0-tz(ng・hr/mL)
1970(67.9)
1950(67.0)
127(27.7)
122(29.4)
2410(60.4)c)
2300(62.4)d)
132(32.3)
23.3(52.5)c)
21.3(45.1)d)
39.0(13.9)
0.750(0.250–4.00)
8.00(3.00–12.0)
幾何平均値(幾何変動係数[%])a)n=29b)中央値(最小値–最大値)c)n=110d)n=112
健康成人男子24例にテルミサルタン40mg錠とアムロジピン5mg錠、又はテルミサルタン80mg(テルミサルタン40mg錠×2錠)とアムロジピン5mg錠を1日1回10日間空腹時反復併用投与したときのテルミサルタン及びアムロジピンの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった。テルミサルタンの血漿中濃度は、両投与群ともに単回投与後に比べてやや高く、累積係数は1.3~1.9であった。また、テルミサルタンのtmax及び半減期は、両投与群ともに初回投与後と反復投与後とで類似していた。単剤のときと同様に、テルミサルタンのCmaxは用量比以上に上昇した。一方、アムロジピンの血漿中濃度推移は、両投与群ともに初回投与後に比べて高く、累積係数は2.9~3.5であった。また、アムロジピンのtmax及び半減期は、両投与群ともに単回投与後と反復投与後とで類似していた10)。
反復投与
投与量
T40mg+A5mg
T80mg+A5mg
1日目
12
62.3(56.1)
334(83.5)
2.89(22.6)
3.29(27.1)
AUCτ(ng・hr/mL)
460(44.0)
1090(72.3)
48.5(22.5)
55.6(31.0)
20.1(43.0)
18.4(28.9)
40.8(14.1)
41.1(20.2)
1.50(0.750–3.00)
0.875(0.500–1.00)
4.00(3.00–8.00)
5.00(3.00–8.00)
10日目
11
Cmax,ss(ng/mL)
116(51.2)
398(95.1)
8.98(26.6)
9.69(35.6)
AUCτ,ss(ng・hr/mL)
766(45.1)
1370(72.1)
168(26.9)
190(35.5)
t1/2,ss(hr)
19.0(32.5)
18.8(28.2)
40.5(12.4)
40.7(16.2)
tmax,ss(hr)a)
1.50(0.500–3.00)
0.750(0.500–2.00)
6.00(3.00–8.00)
幾何平均値(幾何変動係数[%])a)中央値(最小値–最大値)
健康成人男子12例にテルミサルタン120mg注)とアムロジピン10mg注)を併用投与したときとアムロジピン10mgを単独投与したときとの1日1回9日間反復投与後の薬物動態を比較した結果、アムロジピンの血漿中濃度推移は単独投与時と併用投与時とで類似しており、テルミサルタン併用投与によるアムロジピンの体内動態への影響は認められなかった11)(外国人データ)。健康成人男女36名にテルミサルタン80mgとアムロジピン10mg注)を併用投与したときとテルミサルタン80mgを単独投与したときとの1日1回9日間反復投与後の薬物動態を比較した結果、テルミサルタンの血漿中濃度推移は単独投与時と併用投与時とで類似しており、アムロジピン併用投与によるテルミサルタンの体内動態への影響は認められなかった12)(外国人データ)。注)本剤の承認用量はテルミサルタン/アムロジピンとして40mg/5mg又は80mg/5mgである。
健康成人男子32例(各用量16例)に、テルミサルタン/アムロジピン40mg/5mg配合剤及びテルミサルタン/アムロジピン80mg/5mg配合剤を単回経口投与したとき、テルミサルタンは食後投与で空腹時投与に比べtmaxの中央値が遅延(食後:4.00及び3.00時間、空腹時:1.50及び1.00時間)し、Cmax及びAUCはそれぞれ63~71%及び32~37%低下した。一方、アムロジピンのCmax、AUC及びtmaxは空腹時投与と食後投与時とで類似しており、食事の影響は受けなかった13)。
テルミサルタンのラット及びヒトの血漿蛋白結合率は、in vitro及びin vivoともに99%以上であった14),15),16)。アムロジピンとヒト血漿蛋白との結合率は97.1%(in vitro, 平衡透析法)であった。
テルミサルタンは主としてUGT酵素(UDP-グルクロノシルトランスフェラーゼ)によるグルクロン酸抱合によって代謝される。アムロジピンの主たる尿中代謝体はジヒドロピリジン環の酸化したピリジン環体及びその酸化的脱アミノ体である。
テルミサルタンとして、以下の報告がある。健康成人男子にテルミサルタン20、40、80mgを空腹時に単回経口投与(各群6例)したとき、未変化体はほとんど尿中に排出されず、投与後24時間までの平均累積尿中排泄率は、いずれの投与量においても0.02%以下であった17)。健康成人男子5例に14C-テルミサルタン40mgを空腹時に単回経口投与したとき、投与後144時間までの放射能の尿中及び糞中総排泄率はそれぞれ約0.5%及び102%であり、吸収されたテルミサルタンの大部分が胆汁を介して糞中に排泄された18)(外国人データ)。アムロジピンベシル酸塩として、以下の報告がある。健康成人6例にアムロジピンとして2.5mg注)又は5mgを単回経口投与した場合、尿中に未変化体として排泄される割合は小さく、いずれの投与量においても尿中未変化体排泄率は投与後24時間までに投与量の約3%、144時間までに約8%であった。また2.5mg注)を1日1回14日間連続投与した場合の尿中排泄率は投与開始6日目でほぼ定常状態に達し、6日目以降の1日当たりの未変化体の尿中排泄率は6.3~7.4%であった。健康成人2例に14C-標識アムロジピン15mg注)を単回経口投与した場合、投与12日目までに投与放射能の59.3%は尿中、23.4%は糞中に排泄され、投与後72時間までの尿中放射能の9%は未変化体であった。その他に9種の代謝物が認められた(外国人データ)。なお、これら代謝物にはアムロジピンをしのぐ薬理作用は認められていない。注)本剤の承認用量はテルミサルタン/アムロジピンとして40mg/5mg又は80mg/5mgである。
テルミサルタンとして、以下の報告がある。肝障害患者12例(Child-Pugh分類A(軽症):8例、B(中等症):4例)にテルミサルタン20mg及び120mg注)を経口投与したとき、健康成人に比較しCmaxは4.5倍及び3倍高く、AUCは2.5倍及び2.7倍高かった19)(外国人データ)。注)肝障害のある患者に投与する場合の最大投与量は1日40mgである。アムロジピンベシル酸塩として、以下の報告がある。成人肝硬変患者(Child分類A,B)5例にアムロジピンとして2.5mgを単回投与した場合、健康成人に比し、投与72時間後の血中濃度が有意に上昇し、t1/2、AUCはやや高値を示したが有意差は認められなかった。
アムロジピンベシル酸塩として、以下の報告がある。老年高血圧患者6例(男2例、女4例、平均年齢79.7歳)にアムロジピンとして5mgを単回、及び8日間反復投与した場合、単回投与時に若年健康者(男6例、平均年齢22.3歳)に比べ、Cmax及びAUCは有意に高値を示したが、t1/2に有意差は認められなかった。反復投与時には老年者の血清中アムロジピン濃度は若年者よりも高く推移したが、そのパターンは若年者に類似しており、老年者でその蓄積が増大する傾向は認められなかった。
アムロジピン5mg(A5mg)単剤で降圧効果不十分な本態性高血圧患者531例を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、テルミサルタン/アムロジピン40mg/5mg(T40/A5mg)配合剤又はA5mgを1日1回、8週間経口投与した結果、T40/A5mg配合剤は、A5mg単剤継続投与に比べてトラフ時座位拡張期血圧下降度及び収縮期血圧下降度で有意な降圧効果を示した。結果は次表のとおりであった20)。
試験
投与群
拡張期血圧(mmHg)
収縮期血圧(mmHg)
投与前値平均値(SD)
下降度a)
調整平均値(SE)
群間差b):調整平均値(SE)[両側95%CI]
A5で降圧効果不十分な患者を対象とした試験
T40/A5(263例)
95.95(5.02)
9.56(0.61)
5.11(0.57)b)[3.98,6.23]
144.64(11.75)
13.04(0.88)
7.27(0.85)b)[5.60,8.95]
A5(257例)
95.64(4.88)
4.45(0.61)
145.31(10.36)
5.77(0.88)
T40/A5:テルミサルタン/アムロジピン40mg/5mg配合剤A5:アムロジピン5mg単剤SD:標準偏差,SE:標準誤差,CI:信頼区間a)共分散分析に基づく最小二乗平均値b)p<0.0001
副作用発現割合はT40/A5mg配合剤で3.7%(10/269例)、A5mg単剤で1.9%(5/262例)であった。T40/A5mg配合剤投与群の主な副作用は浮動性めまい1.1%(3/269例)であった。
テルミサルタン40mg(T40mg)単剤で降圧効果不十分な本態性高血圧患者314例を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、T40/A5mg配合剤又はT40mgを1日1回、8週間経口投与した結果、T40/A5mg配合剤はT40mg単剤継続投与に比べてトラフ時座位拡張期血圧下降度及び収縮期血圧下降度で有意な降圧効果を示した。結果は次表のとおりであった21)。
T40で降圧効果不十分な患者を対象とした試験
T40/A5(153例)
96.76(5.30)
13.49(0.63)
8.02(0.82)b)[6.41,9.63]
145.66(12.18)
17.86(0.86)
11.35(1.12)b)[9.16,13.54]
T40(158例)
96.57(6.05)
5.47(0.62)
144.77(13.38)
6.51(0.84)
T40/A5:テルミサルタン/アムロジピン40mg/5mg配合剤T40:テルミサルタン40mg単剤SD:標準偏差,SE:標準誤差,CI:信頼区間a)共分散分析に基づく最小二乗平均値b)p<0.0001
副作用発現割合はT40/A5mg配合剤で3.8%(6/156例)、T40mg単剤で1.3%(2/158例)であった。T40/A5mg配合剤投与群の副作用は、貧血、喘息、上腹部痛、発疹、血中カリウム増加、好酸球数増加でいずれも0.6%(1/156例)であった。
テルミサルタン80mg(T80mg)単剤で降圧効果不十分な本態性高血圧患者174例を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、テルミサルタン/アムロジピン80mg/5mg(T80/A5mg)配合剤又はT80mgを1日1回、8週間経口投与した結果、T80/A5mg配合剤はT80mg単剤継続投与に比べてトラフ時座位拡張期血圧下降度及び収縮期血圧下降度で有意な降圧効果を示した。結果は次表のとおりであった22)。
T80で降圧効果不十分な患者を対象とした試験
T80/A5(87例)
98.03(6.03)
12.28(0.73)
9.14(1.03)b)[7.09,11.18]
143.70(13.80)
18.37(1.10)
14.88(1.55)b)[11.82,17.94]
T80(86例)
98.46(6.74)
3.14(0.74)
144.31(14.52)
3.49(1.10)
T80/A5:テルミサルタン/アムロジピン80mg/5mg配合剤T80:テルミサルタン80mg単剤SD:標準偏差,SE:標準誤差,CI:信頼区間a)共分散分析に基づく最小二乗平均値b)p<0.0001
副作用発現割合はT80/A5mg配合剤で1.1%(1/87例)、T80mg単剤で1.1%(1/87例)であった。T80/A5mg配合剤投与群の副作用は、γ-GTP上昇1.1%(1/87例)であった。
本態性高血圧患者225例を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、T80/A5mg配合剤又はT40/A5mg配合剤を1日1回、8週間経口投与した結果、T80/A5mg配合剤のトラフ時座位拡張期血圧下降度及び収縮期血圧下降度はT40/A5mg配合剤を上回った。結果は次表のとおりであった23)。
T80/A5とT40/A5の降圧効果を比較した試験c)
T80/A5(112例)
90.11(6.71)
4.93(0.61)
1.46(0.85)[-0.22,3.14]
133.73(10.59)
5.55(0.90)
2.14(1.27)[-0.36,4.64]
T40/A5(112例)
90.65(7.96)
3.47(0.61)
133.49(13.61)
3.41(0.91)
T40/A5:テルミサルタン/アムロジピン40mg/5mg配合剤T80/A5:テルミサルタン/アムロジピン80mg/5mg配合剤SD:標準偏差,SE:標準誤差,CI:信頼区間a)共分散分析に基づく最小二乗平均値b)p<0.0001c)T40/A5mg配合剤投与で拡張期血圧が80mmHg未満に至らなかった患者を対象とした
副作用発現割合はT80/A5mg配合剤で0.9%(1/112例)、T40/A5mg配合剤で1.8%(2/113例)であった。T80/A5mg配合剤投与群の副作用は低血圧0.9%(1/112例)で、T40/A5mg配合剤投与群の副作用は浮動性めまい0.9%(1/113例)、咳嗽0.9%(1/113例)であった。
本態性高血圧患者259例に対し、テルミサルタン/アムロジピン配合剤を長期投与した。T40/A5mg配合剤の6週間投与で降圧効果が得られた高血圧患者はそのまま継続投与し、降圧効果不十分な高血圧患者にはT80/A5mg配合剤を増量投与した。その結果両剤ともに長期投与による降圧効果の減弱は認められなかった。本剤(T40/A5mg配合剤及びT80/A5mg配合剤)を投与された患者全体(255例)の投与終了時(56週後)の血圧コントロール率は、拡張期87.8%(224/255例)、収縮期92.5%(236/255例)に達した。T40/A5mg配合剤では降圧効果不十分のためにT80/A5mg配合剤を増量投与した高血圧患者(48例)の投与終了時の血圧は、T80/A5mg配合剤へ増量した時点に比べ拡張期血圧で7.26mmHg、収縮期血圧で8.61mmHg(いずれも平均値)下降した。また、本剤の安全性を検討した結果、忍容性に問題はなかった24)。副作用発現割合は、T40/A5mg配合剤で1.9%(4/211例)、T80/A5mg配合剤で4.2%(2/48例)であった。T40/A5mg配合剤投与群の副作用は体位性めまい0.9%(2/211例)、血圧低下0.5%(1/211例)、湿疹0.5%(1/211例)で、T80/A5mg配合剤投与群の副作用は疲労2.1%(1/48例)、頭痛2.1%(1/48例)であった。
テルミサルタンは主に血管平滑筋のアンジオテンシンⅡ(A-Ⅱ)タイプ1(AT1)受容体において、生理的昇圧物質であるA-Ⅱと特異的に拮抗し、その血管収縮作用を抑制することにより降圧作用を発現する。テルミサルタンのAT1受容体親和性は高く(Ki=3.7nM)、AT1受容体から容易に解離しない。テルミサルタンは10~1000nMの濃度範囲で、A-Ⅱによる摘出ウサギ大動脈標本の血管収縮反応曲線を、濃度依存的に右方に移動させると共に最大収縮を40~50%抑制する。また標本洗浄120分後においても有意な血管収縮抑制を示し、作用は持続的である。また、ブラジキニン分解酵素であるACE(キニナーゼⅡ)に対しては直接影響を及ぼさない25),26),27),28)。
細胞膜の膜電位依存性カルシウムチャンネルに特異的に結合し、細胞内へのCa2+の流入を減少させることにより、冠血管や末梢血管の平滑筋を弛緩させる。カルシウム拮抗作用の発現は緩徐であり、持続的である。また、心抑制作用は弱く、血管選択性が認められている29),30),31)。
テルミサルタンあるいはアムロジピン単独あるいは併用による作用について、以下の報告がある。覚醒下の雄性高血圧自然発症ラット(SHR)を用いて、1mg/kgテルミサルタン及び5mg/kgアムロジピンを1日1回経口投与し、5日間経時的に血圧を測定したところ、1mg/kgテルミサルタン及び5mg/kgアムロジピンは、それぞれ単独投与により平均血圧が約25mmHg低下し、ほぼ同様の血圧低下作用を示した。次に、1mg/kgテルミサルタン、5mg/kgアムロジピン併用で1日1回5日間経口投与を行い、経時的に血圧を測定した。テルミサルタンとアムロジピンの併用投与による血圧に対する作用は、単独投与による血圧低下作用(約25mmHgの低下)に比べ、有意な血圧低下作用(約50mmHgの低下)がみられた32)。
テルミサルタン(JAN)(Telmisartan)(JAN,INN)
4’-{[4-Methyl-6-(1-methyl-1H-benzimidazol-2-yl)-2-propyl-1H-benzimidazol-1-yl]methyl}biphenyl-2-carboxylic acid
C33H30N4O2
514.62
白色~微黄色の結晶性の粉末である。ギ酸に溶けやすく、メタノールに溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。結晶多形が認められる。
269℃
logP=3.2(n-オクタノール/pH 7.4リン酸緩衝液)
アムロジピンベシル酸塩(Amlodipine Besilate)
3-Ethyl 5-methyl(4RS)-2-[(2-aminoethoxy)methyl]-4-(2-chlorophenyl)-6-methyl-1,4-dihydropyridine-3,5-dicarboxylate monobenzenesulfonate
C20H25ClN2O5・C6H6O3S
567.05
白色~帯黄白色の結晶性の粉末である。メタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくく、水に溶けにくい。メタノール溶液(1→100)は旋光性を示さない。
約198℃(分解)
分包後は吸湿して軟化することがあるので、高温・多湿を避けて保存すること。
100錠[10錠(PTP)×10]500錠[10錠(PTP)×50]500錠[瓶、バラ、乾燥剤入り]
100錠[10錠(PTP)×10]
1) **阿部真也ほか:周産期医学. 2017;47:1353-1355
2) **齊藤大祐ほか:鹿児島産科婦人科学会雑誌. 2021;29:49-54
3) Naito T et al.:J Hum Lact. 2015;31(2):301-306
4) Stangier J et al.:J Clin Pharmacol. 2000;40:1373-1379
5) Makani H et al.:BMJ. 2013;346:f360
6) Laine, K. et al.:Br J Clin Pharmacol. 1997 ; 43 (1):29-33
7) 社内資料:岩井孝一ほか、相対バイオアベイラビリティ試験(2010年7月23日承認、CTD 2.7.6.1.1、2.7.1)
8) 社内資料:村井雅子ほか、相対バイオアベイラビリティ試験(2010年7月23日承認、CTD 2.7.6.1.2、2.7.1)
9) 社内資料:三田哲也ほか、健康成人での薬物動態試験(2012年12月21日承認)
10) 社内資料:岩井孝一ほか、健康成人での薬物動態試験(2010年7月23日承認、CTD 2.7.6.2、2.7.2)
11) Stangier J et al.:J Clin Pharmacol. 2000;40:1347-1354
12) 社内資料:H Narjes et al.、健康成人での薬物動態試験(2010年7月23日承認、CTD 2.7.6.2.3、2.7.2)
13) 社内資料:茶珍元彦ほか、食事の影響試験(2010年7月23日承認、CTD 2.7.6.1.3、2.7.1)
14) 社内資料:Busch U et al.、血漿蛋白結合率試験(2002年10月8日承認、申請資料概要、添付資料ヘ-17~20)
15) 社内資料:Françoise B、血漿蛋白結合率試験(2002年10月8日承認、申請資料概要、添付資料ヘ-17~20)
16) 社内資料:山下和宏ほか、血漿蛋白結合率試験(2002年10月8日承認、申請資料概要、添付資料ヘ-17~20)
17) 社内資料:美馬康史ほか、ミカルディス錠20mgと錠40mg含量が異なる製剤の生物学的同等性の評価
18) Stangier J et al.:J Clin Pharmacol. 2000;40:1312-1322
19) 社内資料:肝機能障害患者の薬物動態試験(2002年10月8日承認、申請資料概要、添付資料ト-27)
20) 社内資料:岡崎浩太郎ほか、検証試験(2010年7月23日承認、CTD 2.7.6.3.1)
21) 社内資料:村井雅子ほか、検証試験(2010年7月23日承認、CTD 2.7.6.3.2)
22) 社内資料:坂本祐史ほか、検証試験(2012年12月21日承認)
23) 社内資料:坂本祐史ほか、比較試験(2012年12月21日承認)
24) 社内資料:黒木大介ほか、長期投与試験(2012年12月21日承認)
25) Wienen W:Br J Pharmacol. 1993;110(1):245-252
26) Wienen W:Cardiovascular Drug Reviews. 2000;18(2):127-156
27) 社内資料:Entzeroth M、アンジオテンシンⅡ受容体(AT1、AT2)に対する親和性(in vitro試験)
28) 社内資料:Wienen W、アンジオテンシンⅡ拮抗作用(in vitro試験)
29) Yamada S et al.:J Cardiovasc Pharmacol. 1994;23(3):466-472
30) 山中教造ほか:日本薬理学雑誌. 1991;97(3):167-178
31) Burges R A et al.:J Cardiovasc Pharmacol. 1987;9(1):110-119
32) 社内資料:Katalin K et al.、血圧の併用試験(2010年7月23日承認、CTD 2.6.2.2.3)
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