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処方箋医薬品注)
慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解
本剤は慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)の維持療法に用いること。本剤は急性増悪の治療を目的として使用する薬剤ではない。
通常、成人には1回1カプセル(チオトロピウムとして18μg)を1日1回本剤専用の吸入用器具(ハンディヘラーⓇ)を用いて吸入する。
本剤は吸入用カプセルであり、必ず専用の吸入用器具(ハンディへラーⓇ)を用いて吸入し、内服しないこと。
心不全、心房細動、期外収縮が発現することがある。
排尿障害が発現するおそれがある。
血中濃度の上昇がみられる。本剤は腎排泄型である。,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎児に移行することが認められている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
副作用の発現に注意すること。一般に腎クリアランス等の生理機能が低下しており、血中濃度が上昇するおそれがある。また、臨床試験で口渇は高齢者でより高い発現率が認められている。
視力低下、眼痛、頭痛、眼の充血等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。,
アナフィラキシー(じん麻疹、血管浮腫、呼吸困難等)が発現することがある。
1%以上
1%未満
頻度不明
眼
霧視、眼圧上昇
皮膚
発疹、脱毛、そう痒
じん麻疹
中枢神経系
不眠、浮動性めまい
感覚器
味覚倒錯、嗅覚錯誤
消化器
口渇(9.6%)
便秘、消化不良、口内炎、舌炎
代謝
高尿酸血症
循環器
頻脈、動悸
上室性頻脈
血液
好酸球増多、白血球減少
呼吸器
呼吸困難、喘鳴、嗄声、鼻出血、咽頭炎、咳嗽
咽喉刺激感
泌尿器
血尿、排尿障害、夜間頻尿、クレアチニン上昇、腎機能異常、尿閉
一般的全身障害
過敏症(血管浮腫を含む)
本剤を高用量投与した場合、抗コリン作動性の徴候及び症状が発現する可能性がある。しかし、健康成人(海外)に本剤282μgを単回吸入投与したとき、全身性の抗コリン作用による副作用は認められなかった。また、海外の市販後において、過量投与例が報告されている。女性患者が2.5日間に30カプセル(540μg)を吸入したもので、精神状態の変化、振戦、腹痛及び重度の便秘が発現した。この患者は入院し、本剤の投与は中止された。便秘には浣腸処置が施された。患者は回復し、その日のうちに退院した。なお、本剤の経口投与後の生物学的利用率は低いので、経口摂取による急性中毒の発現の可能性は低いと考えられる。
本剤は必ず専用の吸入用器具(ハンディヘラーⓇ)を用いて吸入させること。内服しても効果はみられない。
本剤と短時間作用型抗コリン性気管支拡張剤(イプラトロピウム臭化物水和物、オキシトロピウム臭化物等)との併用に関しては、臨床試験成績はなく、併用による有効性及び安全性は確立していないことから、併用は推奨できない。
慢性閉塞性肺疾患患者(海外)にチオトロピウム18μgを1日1回反復吸入投与したとき、定常状態における最高血漿中濃度(Cmax)は17~19pg/mLであり、最小血漿中濃度(Cmin)は3~4pg/mLであった1)(外国人データ)。
健康成人にチオトロピウム108μg注)を吸入投与したときの生物学的利用率は19.5%であった2)。また、健康成人にチオトロピウム64μgを経口投与注)したときの生物学的利用率は2~3%であり、消化管からほとんど吸収されなかった2)。注)本剤の承認された用法及び用量は、チオトロピウムとして1日1回18μg吸入投与である。
ヒト血漿蛋白との結合率(in vitro試験)は72%であった3)。分布容積は32L/kgであった2)(外国人データ)。14C-チオトロピウム10mg/kgを気管内投与注)した場合、肺、消化管の他に肝臓、腎臓、膵臓に高い放射能濃度が認められたが、脳には移行しなかった(ラット4))。また、乳汁中に移行した(ラット5))。注)本剤の承認された用法及び用量は、チオトロピウムとして1日1回18μg吸入投与である。
健康成人にチオトロピウム14.4μgを静脈内投与注)したとき、尿中にみられたチオトロピウムの代謝物はわずかであった1)。主要代謝物として、血漿中において非酵素的にエステル結合が加水分解され、N-メチルスコピン及びジチニールグリコール酸の生成がみられた6)(外国人データ)。これらの代謝物はムスカリン受容体に親和性を示さなかった7)。また、ヒト肝ミクロソーム及びヒト肝細胞を用いた試験でチトクロームP-450によって酸化された代謝物及びそのグルタチオン抱合体がわずかにみられた8),9)。この代謝はCYP2D6及び3A4の阻害薬により抑制されたことから、チオトロピウムの消失のごく一部にCYP2D6及び3A4が関与していると考えられた8)。チオトロピウムは治療濃度以上であっても、CYP1A1、1A2、2B6、2C9、2C19、2D6、2E1及び3Aのいずれの活性に対しても影響を与えなかった10)(外国人データ)。注)本剤の承認された用法及び用量は、チオトロピウムとして1日1回18μg吸入投与である。
吸入投与後の終末相における尿中未変化体排泄速度から算出した消失半減期は5~6日であった2),11)(外国人データ)。血漿中濃度は投与開始後2~3週間で定常状態に達し、その後の蓄積性はみられなかった1),11)(外国人データ)。健康成人にチオトロピウム14.4μgを静脈内投与注)したとき、全身クリアランスは880mL/minであった。また、尿中未変化体排泄率は74%であった2)(外国人データ)。,注)本剤の承認された用法及び用量は、チオトロピウムとして1日1回18μg吸入投与である。
他の腎排泄型の薬剤と同様、腎機能低下患者においては、チオトロピウムの静脈内投与注)12)及び吸入投与1)後の血漿中未変化体濃度は上昇し、腎クリアランスは低下した。軽度の腎機能低下患者(クレアチニンクリアランスが50~80mL/minの患者)において、チオトロピウム4.8μgを静脈内投与注)後のAUC0-4hは健康成人に比較して39%高い値を示した12)。また、高度あるいは中等度の腎機能低下患者(クレアチニンクリアランスが50mL/min未満の患者)においては血漿中未変化体濃度は約2倍高い値を示した(AUC0-4hは82%高かった)12)。健康成人及び腎機能低下患者における薬物動態パラメータは以下のとおりであった12)(外国人データ)。,
例数
クレアチニンクリアランス(mL/min)
Cmax(pg/mL)
AUC0-4h(pg・hr/mL)
総尿中未変化体排泄率(% of dose)
腎クリアランス(mL/min)
健康成人
6
>80
147(103~186)
55.5(43.2~69.4)
60.1(44.8~76.5)
435(348~497)
腎機能低下患者
5
50~80
200(129~287)
77.1(60.9~105)
59.3(49.7~74.0)
246(150~341)
7
30~50
223(162~314)
101(69.4~156)
39.9(25.9~65.3)
124(98.3~171)
<30
223(176~269)
108(76.3~145)
37.4(34.2~41.7)
85.7(68.4~128)
幾何平均値表中括弧内の数値は範囲を示す
注)本剤の承認された用法及び用量は、チオトロピウムとして1日1回18μg吸入投与である。
高齢者では、チオトロピウム18μgを吸入投与後の腎クリアランスは低下した(腎クリアランスは58歳以下の慢性閉塞性肺疾患患者で326mL/min、69歳以上の慢性閉塞性肺疾患患者で163mL/min)が、これは加齢に伴う腎機能の低下によるものと考えられた。11)若年健康成人(平均年齢32.1歳)にチオトロピウム108μgを吸入投与注)したときの尿中未変化体排泄率は14%であったが2)、慢性閉塞性肺疾患患者(平均年齢63.8歳)にチオトロピウム18μgを吸入投与したときの尿中未変化体排泄率は7%であり1)、若年健康成人に比較して低い値であった。一方、高齢者にチオトロピウム18μgを1日1回反復吸入投与後のAUC0-4hは非高齢者に比較して43%高い値を示した。非高齢者及び高齢者における薬物動態パラメータは以下のとおりであり11)、個体間変動を考慮すると、血漿中未変化体濃度に加齢による大きな差はないと考えられた11)(外国人データ)。
投与後5分の血漿中未変化体濃度(pg/mL)
投与後4時間までの尿中未変化体排泄率(% of dose)
非高齢者(45~58歳)
12
9.63(2.50~47.5)
18.2(10.0~61.7)
1.97(0.45~5.67)
326(117~724)
高齢者(69~80歳)
13
15.3(5.60~34.8)
26.1(10.5~56.0)
1.42(0.215~4.51)
163(20.5~477)
慢性閉塞性肺疾患患者201例(本剤1日1回18μg吸入群67例)を対象とした国内第Ⅲ相二重盲検比較試験(4週投与)14)の結果、本剤の有用性が認められた。
薬 剤
症例数
FEV1投与前値(L)
トラフFEV1変化量(L)
P値(分散分析)
チオトロピウム
63
0.99±0.04
0.12±0.02
P=0.0001
オキシトロピウム
67
0.97±0.05
0.02±0.02
平均値±SE
慢性閉塞性肺疾患患者161例(本剤1日1回18μg吸入群110例)を対象とした国内第Ⅲ相長期投与試験(1年投与)15)の結果、本剤の有用性が認められた。
100
0.96±0.04
0.09±0.02
P=0.0005
46
0.94±0.05
-0.02±0.03
慢性閉塞性肺疾患患者921例(本剤1日1回18μg吸入投与550例)を対象とした1年投与プラセボ対照二重盲検比較試験16)により、肺機能検査値、呼吸困難、急性増悪及び生活の質(QOL)について検討した。
試 験
プラセボ対照二重盲検比較試験(1年投与)
518
1.01±0.02
0.11±0.01
プラセボ
328
0.99±0.02
-0.04±0.01
慢性閉塞性肺疾患患者535例(本剤1日1回18μg吸入投与356例)を対象とした1年投与によるイプラトロピウム臭化物水和物対照二重盲検比較試験17)により、肺機能検査値、呼吸困難、急性増悪及び生活の質(QOL)について検討した。
イプラトロピウム対照二重盲検比較試験(1年投与)
329
1.21±0.02
0.12±0.01
イプラトロピウム
161
1.14±0.03
-0.03±0.02
慢性閉塞性肺疾患患者1,207例(本剤1日1回18μg吸入投与402例)を対象とした6ヵ月投与によるサルメテロールキシナホ酸塩対照二重盲検比較試験18),19),20)により、肺機能検査値、呼吸困難、急性増悪及び生活の質(QOL)について検討した。
サルメテロール対照二重盲検比較試験(6ヵ月投与)
362
1.08±0.02
-0.03±0.01
386
1.11±0.02
0.09±0.01
P=0.0125
サルメテロール
388
1.07±0.02
0.05±0.01
慢性閉塞性肺疾患患者121例(本剤1日1回18μg吸入朝投与38例、夜投与43例)を対象とした6週投与二重盲検比較試験により、肺機能検査値について検討した。
チオトロピウムは長時間持続型の選択的ムスカリン受容体拮抗薬であり、気道においては、気道平滑筋のM3受容体に対するアセチルコリンの結合を阻害して気管支収縮抑制作用を発現する。
チオトロピウムはムスカリン受容体のサブタイプであるM1~M5受容体にほぼ同程度の親和性を示す7)。摘出標本を用いた検討により、気管支収縮に対する抑制作用(M3受容体拮抗作用)はアセチルコリン遊離増強作用(M2受容体拮抗作用)に比べ持続することが明らかとなっている。このことから、M3受容体からの解離はM2受容体からの解離に比べて遅いと考えられ22)、レセプターの解離速度の面からはM3受容体に対する選択性が高いと考えられる。また、M3受容体からの解離はイプラトロピウム臭化物水和物よりもさらに遅い23)。
摘出標本(モルモット22)、ヒト22))において、メサコリンあるいはフィールド電気刺激による収縮反応に対して抗コリン作用によると考えられる用量依存的な気管支収縮抑制作用を示す。また、生体位(モルモット24)、ウサギ25)、イヌ25))においても、アセチルコリンにより誘発した気管支収縮に対して抗コリン作用によると考えられる用量依存的な収縮抑制作用を示す。
摘出標本(モルモット22),26))におけるフィールド電気刺激による収縮に対する抑制作用及び生体位(モルモット24),26))におけるアセチルコリンによる気管収縮に対する抑制作用はイプラトロピウム臭化物水和物及びオキシトロピウム臭化物よりも持続的である。また、摘出標本(ヒト22))及び生体位(イヌ25))においても、気管支収縮抑制作用は持続的である。摘出標本及び生体位(ウサギ、イヌ)において示された気管支収縮抑制作用は、24時間以上持続する25),26)。この長時間持続する作用は本剤のM3受容体からの解離がきわめて遅いことに基づくと考えられる23)。
チオトロピウム臭化物水和物(Tiotropium Bromide Hydrate)(JAN)(Tiotropium Bromide)(INN)
(1α,2β,4β,5α,7β)-7-[(Hydroxydi-2-thienylacetyl)oxy]-9,9-dimethyl-3-oxa-9-azoniatricyclo[3.3.1.02,4]nonane bromide monohydrate
C19H22BrNO4S2・H2O
490.43
白色~帯黄白色の粉末又は結晶である。
本剤は温度25度を超えるところに保存しないこと。冷凍しないこと。
14カプセル(7カプセル×2、ハンディヘラーⓇ1個)28カプセル(7カプセル×4)28カプセル(7カプセル×4、ハンディヘラーⓇ1個)
1) 社内資料:海外1年間投与二重盲検比較試験(205.117試験)(2004年10月22日承認、申請資料概要ト 9.1.1)
2) 社内資料:健康成人でのバイオアベイラビリティ試験(2004年10月22日承認、申請資料概要へ 3.1.2)
3) 社内資料:薬物動態試験(分布:血漿蛋白結合)(2004年10月22日承認、申請資料概要ヘ 2.2.5)
4) 社内資料:非臨床薬物動態試験(分布:全身オートラジオグラフィ)(2004年10月22日承認、申請資料概要ヘ 2.2.1)
5) 社内資料:非臨床薬物動態試験(排泄:乳汁中移行)(2004年10月22日承認、申請資料概要ヘ 2.4.3)
6) 社内資料:非臨床薬物動態試験(代謝:血漿中加水分解)(2004年10月22日承認、申請資料概要ヘ 2.3.2)
7) 社内資料:薬効薬理試験(ヒト ムスカリン受容体への親和性)(2004年10月22日承認、申請資料概要ホ 1.5.7)
8) 社内資料:薬物動態試験(代謝:肝ミクロソーム)(2004年10月22日承認、申請資料概要ヘ 2.3.2)
9) 社内資料:薬物動態試験(代謝:肝細胞)(2004年10月22日承認、申請資料概要ヘ 2.3.2)
10) 社内資料:薬物動態試験(代謝:チトクロームP450阻害)(2004年10月22日承認、申請資料概要ヘ 3.8.1)
11) 社内資料:高齢者における薬物動態試験(2004年10月22日承認、申請資料概要ヘ 3.5)
12) Tuerck D et al:J Clin Pharmacol.2004;44:163-172
13) 平田一人ほか:臨床医薬.2004;20(9):25-39
14) 福地義之助ほか:臨床医薬.2004;20(9),41-60
15) 福地義之助ほか:臨床医薬.2004;20(9),61-75
16) Casaburi R et al:Eur Respir J.2002;19:217-24
17) Vincken W et al:Eur Respir J.2002;19:209-16
18) Brusasco V et al:Thorax.2003;58:399-404
19) 社内資料:海外サルメテロール対照二重盲検比較試験(205.130試験)(2004年10月22日承認、申請資料概要ト 12.1)
20) 社内資料:海外サルメテロール対照二重盲検比較試験(205.137試験)(2004年10月22日承認、申請資料概要ト 12.1)
21) Calverley P M A et al:Thorax.2003;58:855-60
22) Takahashi T et al:Am J Respir Crit Care Med.1994;150(6):1640-5
23) 社内資料:薬効薬理試験(ヒト ムスカリン受容体サブタイプからの解離)(2004年10月22日承認、申請資料概要ホ 1.5.2)
24) 社内資料:薬効薬理試験(抗コリン作用(モルモット))(2004年10月22日承認、申請資料概要ホ 1.1.4)
25) 社内資料:薬効薬理試験(抗コリン作用(ウサギ、イヌ)など)(2004年10月22日承認、申請資料概要ホ 1.1.3)
26) 大村剛史ほか:医学と薬学.2004;51(5):711-6
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