当ウェブサイトを快適にご覧いただくには、ブラウザのJavaScript設定を有効(オン)にしていただく必要がございます。
処方箋医薬品注)
通常、成人にはエンパグリフロジンとして10mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら25mg1日1回に増量することができる。
通常、成人にはエンパグリフロジンとして10mgを1日1回朝食前又は朝食後に経口投与する。
,
,,
症状を悪化させるおそれがある。,
投与を避けること。ケトアシドーシスを起こすおそれがある。,
血糖コントロール改善を目的として投与しないこと。本剤の血糖降下作用が期待できない。,,
血糖コントロール改善を目的とした投与については、その必要性を慎重に判断すること。本剤の血糖降下作用が十分に得られない可能性がある。,,,,
eGFRが20mL/min/1.73m2未満の患者では、投与の必要性を慎重に判断すること。本剤投与中にeGFRが低下することがあり、腎機能障害が悪化するおそれがある。eGFRが20mL/min/1.73m2未満の患者又は透析を要する腎機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
eGFRが20mL/min/1.73m2未満の患者では、投与の必要性を慎重に判断すること。eGFRが20mL/min/1.73m2未満の患者では、本剤の腎保護作用が十分に得られない可能性がある。また、本剤投与中にeGFRが低下することがあり、腎機能障害が悪化するおそれがある。eGFRが20mL/min/1.73m2未満の患者を対象とした臨床試験は実施していない。
有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、本剤を投与せず、2型糖尿病患者ではインスリン製剤等を使用すること。本剤の動物実験(ラット)で、ヒトの妊娠中期及び後期にあたる幼若動物への曝露により、腎盂及び尿細管の拡張が報告されている。また、動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されている。
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で、乳汁中への移行が報告されている1)。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
一般に生理機能が低下し、脱水症状(口渇等)の認知が遅れるおそれがある。,
2型糖尿病を対象とした国内外の臨床試験の併合解析において、75歳以上の患者では75歳未満の患者と比較し、本剤25mg群で体液量減少の有害事象の発現割合が高かった。
糖尿病用薬
低血糖が起こるおそれがある。特に、スルホニルウレア剤又はインスリン製剤と併用する場合にはスルホニルウレア剤又はインスリン製剤の減量を検討すること。
血糖降下作用が増強される。
血糖降下作用を増強する薬剤
血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
血糖降下作用を減弱する薬剤
血糖降下作用が減弱される。
利尿薬
,,,
必要に応じ利尿薬の用量を調整するなど注意すること。
利尿作用が増強されるおそれがある。
リチウム製剤
リチウムの作用が減弱されるおそれがある。
リチウムの腎排泄を促進することにより、血清リチウム濃度が低下する可能性がある。
低血糖があらわれることがある。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこととし、α-グルコシダーゼ阻害薬との併用時にはブドウ糖を投与すること。,,,,
口渇、多尿、頻尿、血圧低下等の症状があらわれ脱水が疑われる場合には、休薬や補液等の適切な処置を行うこと。脱水に引き続き脳梗塞を含む血栓・塞栓症等を発現した例が報告されている。,,,,
ケトアシドーシス(糖尿病性ケトアシドーシスを含む)があらわれることがある。,
腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)があらわれ、敗血症(敗血症性ショックを含む)に至ることがある。,
0.1~5%
0.1%未満
感染症
尿路感染、膀胱炎、外陰部腟カンジダ症、無症候性細菌尿
外陰部腟炎、細菌性腟炎、トリコモナス症
生殖系障害
亀頭包皮炎、陰部そう痒症
亀頭炎、外陰腟そう痒症、外陰腟不快感
代謝及び栄養障害
高脂血症
体液量減少
血液及びリンパ系障害
血液濃縮
神経障害
めまい
味覚異常
胃腸障害
便秘
腹部膨満
皮膚及び皮下組織障害
そう痒症、発疹
湿疹、じん麻疹
腎及び尿路障害
頻尿、多尿、排尿困難
尿量増加、尿意切迫
一般・全身障害
口渇
空腹感
臨床検査
体重減少
血中ケトン体陽性、尿中ケトン体陽性
本剤の作用機序により、本剤服用中は尿糖陽性、血清1,5-AG(1,5-アンヒドログルシトール)低値を示す。尿糖及び血清1,5-AGの検査結果は、血糖コントロールの参考とはならないので注意すること。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。
日本人健康成人男性に、エンパグリフロジン1、5、10、25、100mgを空腹時単回経口投与したとき注)の血漿中未変化体の血漿中濃度推移を図1に、薬物動態パラメータを表1に示す5)。
パラメータ名[単位]
1mgn=6
5mgn=6
10mgn=6
25mgn=6
100mgn=6
AUC0-∞[nM・h]
266(23.1)
1140(10.2)
2670(10.6)
6180(13.4)
22800(25.5)
Cmax[nM]
36.6(23.9)
166(26.6)
379(19.4)
661(10.4)
2980(31.2)
tmax[h]
1.25(1.00-2.00)
2.00(0.750-2.00)
1.50(1.00-3.00)
2.00(1.00-4.00)
2.50(0.750-4.00)
t1/2[h]
7.76(13.9)
9.60(19.9)
9.88(29.7)
11.7(30.1)
11.6(31.9)
算術平均値(変動係数%)、tmaxは中央値(最小値-最大値)
日本人2型糖尿病患者に、エンパグリフロジン10mg及び25mgを空腹時1日1回28日間反復経口投与したときの血漿中濃度推移を図2、薬物動態パラメータを表2に示す。Cmax及びAUCτから算出した累積係数は1.33以下であった。6)外国人健康成人男性(16例)にエンパグリフロジン50mgを1日1回経口投与した場合注)、エンパグリフロジンの血漿中濃度は5回目の投与までに定常状態に達した7)。(外国人データ)
AUCτ,ss[nM・h]
Cmax,ss[nM]
tmax,ss[h]
t1/2,ss[h]
10mg(n=18)
2610(16.2)
407(25.8)
1.50(0.967-4.00)
14.3(38.3)
25mg(n=17)
6460(21.1)
869(30.2)
1.50(0.967-6.00)
18.0(40.7)
算術平均値(変動係数%)、tmaxは中央値(最小値―最大値)
エンパグリフロジンの絶対バイオアベイラビリティの検討は行っていない。
健康成人に、エンパグリフロジン25mgを単回経口投与したとき、空腹時投与に対する食後投与のCmax及びAUC0-∞の幾何平均値の比(食後投与/空腹時投与)とその90%信頼区間は、63.2[56.7,70.4]%及び84.0[80.9,87.3]%であった。空腹時投与に比べてtmaxの中央値は1.5時間延長した(表3)。8)(外国人データ)
空腹時n=18
食後n=17
5550(26.0)
4650(24.8)
867(26.8)
542(27.7)
1.00(0.667-4.00)
2.50(0.667-4.00)
算術平均値(変動係数%)、tmaxは中央値(最小値–最大値)
日本人2型糖尿病患者(腎機能正常、8例)にエンパグリフロジン25mgを単回経口投与したときのエンパグリフロジンの血漿蛋白結合率は84.7%であった9)。外国人健康成人男性(8例)に14C-エンパグリフロジン50mg溶液を経口投与したとき注)の血球/血漿の放射能濃度の分布比は28.6~36.8%であった10)(外国人データ)。
日本人腎機能正常及び軽度、中等度、高度腎機能障害の2型糖尿病患者にエンパグリフロジン25mg単回経口投与を行った(表4)。単回投与後の薬物動態パラメータの正常腎機能患者に対する幾何平均値の比とその90%信頼区間は、軽度、中等度、高度腎機能障害患者でそれぞれCmaxについて、93.5[72.2,121]%、92.2[71.2,119]%、94.0[72.6,122]%であり、AUC0-∞について129[106,157]%、144[118,175]%、152[125,185]%であった。投与後24時間までの尿中グルコース排泄量(UGE0-24h)のベースラインからの変化量は腎機能の低下とともに減少した。9)外国人末期腎不全患者(8例)にエンパグリフロジン50mg注)単回経口投与を行った場合、Cmax及びAUC0-∞の正常腎機能患者に対する幾何平均値の比とその90%信頼区間は、104[81.2,133]%及び148[120,183]%であった。UGE0-24hのベースラインからの変化量の平均値(標準誤差)は0.78(0.90)gであった。17)(外国人データ),,,
正常腎機能†1)n=8
軽度腎機能障害†1)n=8
中等度腎機能障害†1)n=8
高度腎機能障害†1)n=8
7560(14.9)
9730(14.7)
10800(9.18)
12200(40.1)
1070(18.1)
1030(34.4)
1000(26.4)
1070(42.3)
tmax†2)[h]
2.50(1.00-2.50)
2.50(1.00-4.00)
2.50(0.667-6.00)
3.25(1.00-6.00)
fe0-24h[%]
16.5(18.5)
14.3†3)(20.9)
11.4(28.7)
4.24(41.3)
CLR,0-24h[mL/min]
23.8(24.3)
16.8†3)(23.8)
13.5(33.3)
4.67(42.3)
UGE0-24h†5)[g]
75.0(4.84)
62.6†4)(5.75)
57.9(4.86)
23.7†3)(5.24)
平均値(変動係数%)†1)正常腎機能:推定糸球体濾過量(eGFR)≥90mL/min/1.73m2軽度腎機能障害:eGFR 60~<90mL/min/1.73m2中等度腎機能障害:eGFR 30~<60mL/min/1.73m2高度腎機能障害:eGFR 15~<30mL/min/1.73m2†2)中央値(最小値-最大値)†3)n=7†4)n=6†5)投与後24時間までの尿中グルコース排泄量のベースラインからの変化量の調整平均値(標準誤差)
肝機能正常被験者(n=12)及び軽度(Child-Pughスコア5又は6、n=8)、中等度(Child-Pughスコア7~9、n=8)、高度(Child-Pughスコア10~15、n=8)肝機能障害者にエンパグリフロジン50mg単回経口投与を行った注)。単回投与後の薬物動態パラメータの肝機能正常被験者に対する幾何平均値の比とその90%信頼区間は、軽度、中等度及び高度肝機能障害者でそれぞれCmaxについて104[82.3,131]%、123[97.7,156]%、148[118,187]%であり、AUC0-∞について123[98.9,153]%、147[118,183]%、175[140,218]%であった。18)(外国人データ)
2型糖尿病患者3208例(日本人患者628例を含む)を用いた母集団薬物動態解析の結果、年齢が50歳の場合に比べてAUCτ,ssは65歳では8.00%、75歳では12.5%高くなると予測された19)。
健康成人(18例)にゲムフィブロジル(OATP1B1、OAT3及びCYP2C8の阻害剤)600mg1日2回(1200mg/日)5日間反復経口投与し、ゲムフィブロジル投与開始後3日目にエンパグリフロジン25mgを単回経口併用投与した場合、エンパグリフロジンの単独投与時に対する併用投与時の幾何平均値の比とその90%信頼区間はAUC0-∞で159[152,166]%、Cmaxで115[106,125]%であった20)(外国人データ)。
健康成人(18例)にエンパグリフロジン10mgと、リファンピシン(OATP1B1及びOATP1B3の阻害剤)600mgを単回経口併用投与した場合、エンパグリフロジンの単独投与時に対する併用投与時の幾何平均値の比とその90%信頼区間はAUC0-∞で135[130,141]%、Cmaxで175[160,192]%であった21)(外国人データ)。
健康成人(16例)にプロベネシド(OAT3及びUGTの阻害剤)500mgを1日2回4日間反復経口投与し、プロベネシド投与開始後2日目にエンパグリフロジン10mgを単回経口併用投与した場合、エンパグリフロジンの単独投与時に対する併用投与時の幾何平均値の比とその90%信頼区間はAUC0-∞で153[146,161]%、Cmaxで126[114,139]%であった21)(外国人データ)。
エンパグリフロジンの薬物動態はメトホルミン22)、グリメピリド(CYP2C9で代謝される)7)、ピオグリタゾン(CYP2C8及び3A4で代謝される)23),24)、シタグリプチン25)、リナグリプチン26)、ワルファリン(CYP2C9の基質)27)、ベラパミル(P-糖蛋白阻害剤)28)、ラミプリル28)、シンバスタチン(CYP3A4の基質)29)、利尿薬(ヒドロクロロチアジド及びトラセミド)30)との併用による影響はみられなかった(表5)。また、エンパグリフロジンの併用によるメトホルミン22)、グリメピリド7)、ピオグリタゾン23),24)、シタグリプチン25)、リナグリプチン26)、ワルファリン27)、ジゴキシン28)、ラミプリル28)、シンバスタチン29)、利尿薬(ヒドロクロロチアジド及びトラセミド)30)、経口避妊薬(エチニルエストラジオール及びレボノルゲストレル)31)の薬物動態への臨床的に問題となる影響はみられなかった(表6)。(外国人データ)
併用薬
併用薬用量
本剤用量
薬物動態パラメータ幾何平均値の比(%)(90%信頼区間)併用/単独
AUCτ,ss
Cmax,ss
メトホルミン
1000mg1日2回
50mg注)1日1回
96.9(92.3,102)
100(88.8,114)
グリメピリド
1mg単回
50mg1日1回
95.2(92.0,98.5)
95.6(88.2,103)
ピオグリタゾン
45mg1日1回
100(96.1,105)
93.4(85.1,103)
シタグリプチン
100mg1日1回
110(104,117)
108(97.0,119)
リナグリプチン
5mg1日1回
102(96.5,107)
88.3(78.8,98.9)
ワルファリン
25mg単回
25mg1日1回
101(96.9,105)
101(89.8,113)
ベラパミル
120mg単回
25mg単回†)
103(98.9,107)
92.4(85.4,100)
ラミプリル
96.6(93.1,100)
105(97.7,112)
シンバスタチン
40mg単回
102(98.9,105)
109(96.9,124)
ヒドロクロロチアジド
107(97.1,118)
103(88.6,119)
トラセミド
108(100,116)
108(97.9,118)
†)単回投与での評価のためAUC0-∞,Cmaxから計算
101(95.9,106)
104(96.5,111)
1mg単回†)
93.3(86.1,101)
104(89.5,121)
10mg1日1回
90.0(77.9,104)
87.7(73.9,104)
ピオグリタゾン M-Ⅲ
99.4(87.4,113)
95.7(77.3,119)
ピオグリタゾン M-Ⅳ
95.0(85.3,106)
92.6(77.3,111)
89.0(72.7,109)
90.2(66.8,122)
99.5(89.1,111)
104(80.8,133)
101(91.6,111)
113(90.8,139)
91.1(77.4,107)
89.9(71.0,114)
98.9(90.7,108)
91.9(77.1,110)
96.1(91.9,101)
89.0(76.5,103)
103(99.0,107)
109(101,117)
103(96.1,111)
102(86.9,119)
R-ワルファリン
98.5(95.3,102)
97.9(91.1,105)
S-ワルファリン
95.9(93.4,98.4)
98.9(91.8,106)
ジゴキシン
0.5mg単回†)
106(96.7,116)
114(99.3,131)
108(101,116)
104(89.7,120)
ラミプリラート
98.7(96.0,101)
98.3(92.7,104)
40mg単回†)
101(80.1,128)
97.2(76.3,124)
シンバスタチン酸
105(90.1,122)
97.3(84.9,111)
96.3(89.1,104)
102(88.6,117)
101(99.1,104)
104(93.8,116)
トラセミド-M1
104(100,109)
103(94.1,112)
トラセミド-M3
103(95.9,111)
102(97.7,107)
エチニルエストラジオール
30μg1日1回
103(97.6,108)
99.2(93.4,105)
レボノルゲストレル
150μg1日1回
102(98.5,105)
106(99.5,113)
注)本剤の承認最大用量は25mgである。
食事、運動療法を実施したにもかかわらず血糖コントロールが不十分な日本人の2型糖尿病患者を対象に、本剤5mg、10mg、25mg又は50mgを1日1回12週間経口投与した注)プラセボ対照二重盲検による用量反応試験を行った。HbA1c(主要評価項目:NGSP値)の投与前値からの調整平均変化量は下表のとおりであり、本剤10mg及び25mgはいずれの項目においてもプラセボ投与群と比べ有意な差が認められた。32)
HbA1c(NGSP値)(%)
投与前値
投与前値からの変化量
プラセボとの差
プラセボ群(n=109)
7.94
0.30(0.09)
-
10mg群(n=109)
7.93
-0.40(0.09)
-0.70(0.08)[-0.85,-0.55]
25mg群(n=109)
-0.65(0.09)
-0.95(0.08)[-1.10,-0.80]
n:ランダム化された症例数投与前値からの変化量及びプラセボとの差:調整平均変化量(SE)(ANCOVA:LOCF)
上述の試験で、本剤10mg又は25mgを服用して12週間投与した患者は、同一用量及び用法で合計52週間の長期投与を行った。その結果、HbA1cの投与前値からの調整平均変化量は下表のとおりであり、いずれにおいてもその効果は持続していた。低血糖の副作用発現割合は、本剤10mgで1.8%(2/109例)、本剤25mgで2.8%(3/109例)であった。32)
7.92
-0.67(0.09)
-0.86(0.09)
n:ランダム化された症例数投与前値からの変化量:調整平均変化量(SE)(ANCOVA:OC)
52週間投与における副作用の発現割合は、本剤10mgで19.3%(21/109例)、本剤25mgで18.3%(20/109例)であった。本剤10mgでの主な副作用は尿路感染3.7%(4/109例)、亀頭炎及び体重減少2.8%(3/109例)であり、低血糖は1.8%(2/109例)であった。本剤25mgでの主な副作用は頻尿6.4%(7/109例)、便秘3.7%(4/109例)、口渇及び体重減少3.7%(4/109例)であり、低血糖は2.8%(3/109例)であった。32)
食事、運動療法を実施したにもかかわらず血糖コントロールが不十分な外国人及び日本人の2型糖尿病患者を対象に、本剤10mg、25mg、シタグリプチン又はプラセボを1日1回24週間経口投与したプラセボ対照二重盲検比較試験を行った。HbA1c(主要評価項目:NGSP値)及び空腹時血糖の投与前値からの調整平均変化量は下表のとおりであり、本剤10mg及び25mgはいずれの項目においてもプラセボ投与群と比べ有意な差が認められた。体重の投与前値からの調整平均変化量のプラセボとの差は、本剤10mg及び25mgでそれぞれ-1.93kg及び-2.15kgであった。副作用の発現割合は、プラセボで6.8%(15/221例)、本剤10mgで10.1%(22/217例)、本剤25mgで17.6%(38/216例)であった。主な副作用は、本剤10mgでは頻尿、多尿、口渇でいずれも1.4%(3/217例)、本剤25mgでは口渇2.8%(6/216例)、頻尿1.9%(4/216例)、多尿及び尿路感染1.4%(3/216例)であり、低血糖の副作用発現割合は、プラセボで0.5%(1/221例)、本剤10mgで0.5%(1/217例)、本剤25mgで0.5%(1/216例)であった。33)
空腹時血糖(mg/dL)
プラセボ群(n=219、うち日本人41)
0.08(0.05)
11.7(2.0)
10mg群(n=216、うち日本人43)
7.89
-0.65(0.05)
-0.74(0.07)[-0.88,-0.59]
-19.4(2.0)
-31.1(2.9)[-36.7,-25.5]
25mg群(n=216、うち日本人45)
7.86
-0.76(0.05)
-0.85(0.07)[-0.99,-0.70]
-24.3(2.0)
-36.0(2.9)[-41.6,-30.4]
上述の試験で、本剤10mg又は25mgを服用して24週間投与した患者は、同一用量及び用法で延長試験に移行した。先行試験と合わせて合計52週間(中間解析)の投与を行った。その結果、HbA1c及び空腹時血糖の投与前値からの調整平均変化量は下表のとおりであり、いずれにおいてもその効果は持続しており、投与52週時ではいずれの項目においてもプラセボ投与群と比べ有意な差が認められた。体重の投与前値からの調整平均変化量のプラセボとの差は、本剤10mg及び25mgでそれぞれ-1.42kg及び-2.53kgであり、その体重減少作用は52週間にわたって持続していた。52週間投与における副作用の発現割合は、プラセボで10.0%(22/221例)、本剤10mgで14.3%(31/217例)、本剤25mgで18.5%(40/216例)であった。主な副作用は、本剤10mgでは頻尿及び尿路感染1.8%(4/217例)、多尿及び口渇1.4%(3/217例)、本剤25mgでは口渇2.8%(6/216例)、頻尿2.3%(5/216例)、多尿1.9%(4/216例)であり、低血糖の副作用発現割合は、プラセボで0.5%(1/221例)、本剤10mgで0.5%(1/217例)、本剤25mgで0.5%(1/216例)であった。34)
0.10(0.05)
11.8(2.0)
-0.66(0.05)
-0.76(0.08)[-0.91,-0.61]
-18.2(2.0)
-30.1(2.9)[-35.7,-24.5]
-0.81(0.05)
-0.91(0.08)[-1.06,-0.76]
-23.9(2.0)
-35.7(2.9)[-41.3,-30.1]
既存の経口血糖降下薬であるスルホニルウレア剤、ビグアナイド系薬剤、チアゾリジン系薬剤、DPP-4阻害剤、α-グルコシダーゼ阻害剤又は速効型インスリン分泌促進剤による治療にもかかわらず血糖コントロールが不十分な日本人2型糖尿病患者に本剤10mg又は25mgを1日1回52週間併用経口投与した時の安全性及び有効性を評価した。その結果、HbA1cの投与前値からの調整平均変化量は下表のとおりであり、いずれにおいてもその効果は持続していた。本剤10mg及び25mgにおける副作用の発現割合は、スルホニルウレア剤併用時でそれぞれ14.0%(19/136例)及び18.2%(25/137例)、ビグアナイド系薬剤併用時でそれぞれ19.1%(13/68例)及び13.8%(9/65例)、チアゾリジン系薬剤併用時でそれぞれ14.6%(20/137例)及び14.0%(19/136例)、DPP-4阻害剤併用時でそれぞれ13.2%(9/68例)及び25.4%(18/71例)、α-グルコシダーゼ阻害剤併用時でそれぞれ10.1%(7/69例)及び7.1%(5/70例)、速効型インスリン分泌促進剤併用時でそれぞれ12.9%(9/70例)及び12.9%(9/70例)であり、主な副作用は、頻尿0.0%~9.9%、夜間頻尿0.0%~4.2%であった。低血糖の副作用発現割合は、スルホニルウレア剤併用時でそれぞれ6.6%(9/136例)及び7.3%(10/137例)、ビグアナイド系薬剤併用時でそれぞれ1.5%(1/68例)及び4.6%(3/65例)、チアゾリジン系薬剤併用時でそれぞれ0.7%(1/137例)及び0.7%(1/136例)、DPP-4阻害剤併用時でそれぞれ0.0%(0/68例)及び4.2%(3/71例)、α-グルコシダーゼ阻害剤併用時でそれぞれ0.0%(0/69例)及び0.0%(0/70例)、速効型インスリン分泌促進剤併用時でそれぞれ0.0%(0/70例)及び4.3%(3/70例)であった。35)
併用薬剤
本剤の投与量(n)
スルホニルウレア剤
10mg(n=136)
7.99
-0.93(0.05)
25mg(n=137)
8.06
-0.96(0.05)
ビグアナイド系薬剤
10mg(n=68)
7.68
-0.81(0.06)
25mg(n=65)
7.51
-0.98(0.06)
チアゾリジン系薬剤
10mg(n=137)
7.85
-0.90(0.05)
25mg(n=136)
7.95
DPP-4阻害剤
7.78
-1.00(0.06)
25mg(n=71)
7.82
-0.83(0.06)
α-グルコシダーゼ阻害剤
10mg(n=69)
-0.87(0.06)
25mg(n=70)
7.56
-0.77(0.06)
速効型インスリン分泌促進剤
10mg(n=70)
8.01
-0.98(0.08)
7.98
n:ランダム化された症例数投与前値からの変化量:調整平均変化量(SE)(ANCOVA:LOCF)
腎機能障害を有する2型糖尿病患者に、本剤10mg又は25mgを1日1回52週間経口投与したプラセボ対照二重盲検比較試験を行った。投与24週時のHbA1c(主要評価項目:NGSP値)の投与前値からの調整平均変化量は下表のとおりであり、本剤10mgは軽度腎機能障害患者(eGFR 60mL/min/1.73m2以上90mL/min/1.73m2未満)で、本剤25mgは軽度腎機能障害患者及び中等度腎機能障害患者(eGFR 45mL/min/1.73m2以上60mL/min/1.73m2未満)において、いずれもプラセボ投与群と比べ有意な差が認められた。投与52週後における副作用発現割合は、プラセボ群で27.3%(87/319例)、本剤10mgで37.0%(37/100例)、本剤25mgで31.5%(101/321例)であり、主な副作用は低血糖(プラセボ:14.4%(46/319例)、10mg投与群:16.0%(16/100例)、25mg投与群:15.9%(51/321例))及び尿路感染(プラセボ:5.6%(18/319例)、10mg投与群:5.0%(5/100例)、25mg投与群:4.7%(15/321例))であった。36)(外国人データ),
プラセボ群(n=95)
8.09
0.06(0.07)
10mg群(n=98)
8.02
-0.46(0.07)
-0.52(0.10)[-0.72,-0.32]
25mg群(n=97)
7.96
-0.63(0.07)
-0.68(0.10)[-0.88,-0.49]
プラセボ群(n=89)
8.08
-0.08(0.07)
25mg群(n=91)
8.12
-0.54(0.07)
-0.46(0.10)[-0.66,-0.27]
左室駆出率が低下した慢性心不全患者(LVEF40%以下、NYHA心機能分類Ⅱ~Ⅳ度、eGFRが20mL/min/1.73m2以上)に、本剤10mgを他の慢性心不全治療(忍容性のある範囲でACE阻害薬、ARB、ARNi、β遮断薬やMRA等)に上乗せして1日1回経口投与したプラセボ対照二重盲検比較試験を行った。日本人266例を含む3730例がランダム化され(本剤10mg:1863例(うち日本人144例)、プラセボ:1867例(うち日本人122例))、投与/追跡期間の中央値は本剤10mgで1.19年/1.30年、プラセボで1.17年/1.32年であった。なお、2型糖尿病患者注)は本剤10mg群で927例(うち日本人70例)、プラセボ群で929例(うち日本人52例)、2型糖尿病非合併患者は本剤10mg群で936例(うち日本人74例)、プラセボ群で938例(うち日本人70例)であった。注)糖尿病の病歴がある、又は治験薬投与前のHbA1cが6.5%以上である患者主要複合評価項目は心血管死、又は心不全による入院のいずれかの初回発現までの期間とし、結果は下表のとおりであった。
本剤10mg群(n=1863)
プラセボ群(n=1867)
ハザード比†1)(95%信頼区間)
N(発現割合%)
心血管死又は心不全による入院(初回)
361(19.4)
462(24.7)
0.75(0.65, 0.86)†2)
心血管死
187(10.0)
202(10.8)
0.92(0.75, 1.12)
心不全による入院(初回)
246(13.2)
342(18.3)
0.69(0.59, 0.81)
n:ランダム化された症例数†1):投与群、地域(アジア、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、北米、その他)、ベースラインの糖尿病状態(糖尿病、前糖尿病、非糖尿病)、年齢、性別、ベースラインのLVEF(≦30%、>30%~≦35%、>35%)、ベースラインのeGFRを因子として含めたCox回帰分析†2):中間解析により減少した両側α=0.0496に基づき、95.04%信頼区間を掲示
本試験における副作用発現割合は、本剤10mgで15.2%(283/1863例)、プラセボで12.2%(227/1863例)であり、主な副作用は低血圧(10mg:2.3%(43/1863例)、プラセボ:1.8%(34/1863例))であった。なお、他者による介助を必要とする重度の低血糖は2型糖尿病を合併した患者においてのみ認められた。37)
左室駆出率が保たれた慢性心不全患者(LVEF40%超、NYHA心機能分類Ⅱ~Ⅳ度、eGFRが20mL/min/1.73m2以上)に、本剤10mgを1日1回経口投与したプラセボ対照二重盲検比較試験を行った。本試験では心不全治療薬としてACE阻害薬、ARB、ARNi、β遮断薬、MRA等が投与されていた患者が組み入れられた。日本人417例を含む5988例がランダム化され(本剤10mg:2997例(うち日本人212例)、プラセボ:2991例(うち日本人205例))、投与/追跡期間の中央値は本剤10mgで1.91年/2.15年、プラセボで1.92年/2.15年であった。なお、糖尿病合併患者注)は本剤10mgで1466例(うち日本人72例)、プラセボで1472例(うち日本人70例)、糖尿病非合併患者は本剤10mgで1531例(うち日本人140例)、プラセボで1519例(うち日本人135例)であった。注)糖尿病の病歴がある、又は治験薬投与前のHbA1cが6.5%以上である患者主要複合評価項目は心血管死、又は心不全による入院のいずれかの初回発現までの期間とし、結果は下表のとおりであった。
本剤10mg群(n=2997)
プラセボ群(n=2991)
415(13.8)
511(17.1)
0.79(0.69, 0.90)†2)
219(7.3)
244(8.2)
0.91(0.76, 1.09)
259(8.6)
352(11.8)
0.71(0.60, 0.83)
n:ランダム化された症例数†1):投与群、地域(アジア、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、北米、その他)、ベースラインの糖尿病状態(糖尿病、前糖尿病、非糖尿病)、年齢、性別、ベースラインのLVEF、ベースラインのeGFRを因子として含めたCox回帰分析†2):中間解析により減少した両側α=0.0497に基づき、95.03%信頼区間を提示
本試験における副作用発現割合は、本剤10mgで16.5%(494/2996例)、プラセボで13.8%(413/2989例)であり、主な副作用は尿路感染(10mg:3.1%(94/2996例)、プラセボ:2.4%(71/2989例))であった。 38)
慢性腎臓病患者(スクリーニング時及びその3カ月以上前に試験実施医療機関で測定したeGFRが20以上45mL/min/1.73m2未満、又はeGFRが45以上90mL/min/1.73m2未満かつUACRが200mg/g以上)注1)に、本剤10mgを1日1回経口投与したプラセボ対照二重盲検比較試験を行った。本試験では忍容性がない場合等を除いて、ACE阻害薬又はARB等のRAS阻害剤を適切な用量で使用している患者を対象とし、本剤投与中に透析が必要となった場合でも本剤投与は継続可とした。日本人584例を含む6581例がランダム化され(本剤10mg:3292例(うち日本人292例)、プラセボ:3289例(うち日本人292例))、投与/追跡期間の中央値は本剤10mg群で1.79年/2.00年、プラセボ群で1.77年/2.00年であった。なお、糖尿病合併患者注2)は本剤10mg群で1514例(うち日本人124例)、プラセボ群で1503例(うち日本人143例)、糖尿病非合併患者は本剤10mg群で1778例(うち日本人168例)、プラセボ群で1786例(うち日本人149例)であった。主要複合評価項目は腎疾患進行注3)又は心血管死のいずれかの初回発現までの期間であり、結果は下表のとおり、本剤10mg群はプラセボ群と比べ有意な差が認められた。
本剤10mg群(n=3292)
プラセボ群(n=3289)
ハザード比(99.83%信頼区間)†1)
発現割合%(例数)
腎疾患進行又は心血管死
13.1%(430例:腎疾患進行382例†2)、心血管死48例)
16.8%(553例:腎疾患進行499例†3)、心血管死54例)
0.73(0.59, 0.89)
n:ランダム化された症例数†1):投与群、年齢、性別、糖尿病合併の有無、スクリーニング時のeGFR、スクリーニング時のUACR及び地理的地域を説明変数としたCox比例ハザードモデルにより推定。信頼区間は優越性検定で用いられた両側有意水準0.0017に対応。†2):末期腎不全47例、eGFRが10mL/min/1.73m2未満に持続的に低下かつ40%以上持続的に低下43例、eGFRが10mL/min/1.73m2未満に持続的に低下のみ1例、eGFRが40%以上持続的に低下のみ291例、腎疾患による死亡0例†3):末期腎不全62例、eGFRが10mL/min/1.73m2未満に持続的に低下かつ40%以上持続的に低下67例、eGFRが10mL/min/1.73m2未満に持続的に低下のみ1例、eGFRが40%以上持続的に低下のみ369例、腎疾患による死亡0例
なお、ベースラインのUACR別の主要複合評価項目の部分集団解析結果(ハザード比(95%信頼区間))は、30mg/g未満の集団(本剤10mg:42/664例、プラセボ:42/663例)で1.01(0.66, 1.55)、30以上300mg/g以下の集団(本剤10mg:67/926例、プラセボ:78/936例)で0.91(0.65, 1.26)、300mg/g超の集団(本剤10mg:321/1702例、プラセボ:433/1690例)で0.68(0.59, 0.78)であった。本試験における副作用発現割合注4)は、本剤10mg群で2.4%(79/3292例)、プラセボ群で1.8%(59/3289例)であり、主な副作用は低血糖(本剤10mg群:0.3%(11/3292例)、プラセボ群:0.4%(13/3289例))であった。39),注1)ランダム割付時(中央測定)に、eGFRが20mL/min/1.73m2未満であった253例(うち日本人17例)の患者を含む注2)糖尿病の病歴がある、血糖降下薬の使用、又はベースラインのHbA1cが6.6%以上である患者注3)主要複合評価項目の腎疾患進行は、eGFRの40%以上の持続的な低下、末期腎不全(慢性透析療法又は腎移植)への進展、eGFRが10mL/min/1.73m2未満に持続的に低下、腎疾患による死亡と定義した。注4)本試験においては、有害事象は事前に規定した非重篤有害事象及び全ての重篤な有害事象に限定して収集した。
GLP-1受容体作動薬による治療にもかかわらず血糖コントロールが不十分な日本人2型糖尿病患者に本剤10mg又は25mgを1日1回52週間併用経口投与した時の安全性及び有効性を評価した。投与52週におけるHbA1cの投与前値からの調整平均変化量は下表のとおりであった。本剤10mg及び25mgにおける低血糖の副作用発現割合は、それぞれ0.0%(0/32例)及び3.0%(1/33例)であった。40)
GLP-1受容体作動薬
10mg(n=32)
8.83
−0.55(0.15)
25mg(n=33)
8.68
−0.77(0.14)
n:ランダム化された症例数投与前値からの変化量:調整平均変化量(SE)(MMRM:OC)
インスリン製剤による治療にもかかわらず血糖コントロール不十分な日本人2型糖尿病患者を対象に一定用量のインスリンに本剤10mg、25mgを1日1回52週間併用投与したプラセボ対照二重盲検比較試験を行った。投与16週におけるHbA1cの投与前値からの調整平均変化量は下表のとおりであり、本剤10mg、25mgはいずれもプラセボ投与群に比べて有意な差が認められた。41)
16週時の投与前値からの変化量
プラセボ群(n=90)
8.70
0.00 (0.07)
―
10mg群(n=86)
−0.92(0.07)
−0.92(0.09)[−1.11, −0.73]
25mg群(n=90)
8.74
−1.00(0.07)
−1.00(0.09)[−1.18, −0.82]
n:ランダム化された症例数投与前値からの変化量及びプラセボとの差:調整平均変化量(SE)(ANCOVA: LOCF)
また、その後インスリンの用量を調節可として52週まで継続投与し、長期の安全性及び有効性をプラセボと比較検討した。52週におけるHbA1cの投与前値からの調整平均変化量は下表のとおりであった。52週間投与における低血糖の副作用発現割合は、プラセボで15.6%(14/90例)、本剤10mgで20.9%(18/86例)、本剤25mgで24.4%(22/90例)であり、重度の低血糖はみられなかった。
52週時の投与前値からの変化量
0.01(0.07)
−0.89(0.07)
−0.90(0.10)[−1.09, −0.70]
−0.95(0.07)
−0.96(0.10)[−1.15, −0.77]
n:ランダム化された症例数 投与前値からの変化量及びプラセボとの差:調整平均変化量(SE)(ANCOVA: LOCF)
高度なインスリン抵抗性を伴う糖尿病(遺伝的インスリン抵抗症、脂肪萎縮性糖尿病)の日本人患者8例を対象に、本剤10mg(投与12週時にHbA1c値が7.0%以上の場合は25mgに増量)を1日1回52週間経口投与した。投与24週間後及び52週間後におけるHbA1c値(NGSP値)の投与前(平均値:8.46%)からの変化量の平均値±標準偏差はそれぞれ−0.99±0.47%及び−0.55±1.15%であった。本試験における副作用発現割合は12.5%(1/8例)であり、発現した副作用は低血糖であった。42)
In vitro試験で、エンパグリフロジンはSGLT2を選択的に阻害し(IC50:1.3nM)、ヒトSGLT1(IC50:6278nM)と比較して約5000倍の選択性を示した61)(in vitro)。
糖尿病モデル動物(db/dbマウス及びZucker糖尿病肥満[ZDF]ラット)において、エンパグリフロジンは単回経口投与により尿中グルコース排泄量(投与後7時間)を増加させた44)。日本人2型糖尿病患者にエンパグリフロジン1mg、5mg、10mg、25mg又はプラセボを1日1回4週間反復経口投与した注)。エンパグリフロジンはプラセボに比べ投与28日目の投与24時間後までの累積尿中グルコース排泄量を増加させた6)。
糖尿病モデル動物(db/dbマウス及びZDFラット)において、エンパグリフロジンは単回経口投与により血糖低下作用を示した44)。さらに、ZDFラットにおいて、エンパグリフロジンは1日1回5週間反復経口投与により、投与22日目(摂食下)及び投与37日目(絶食下)の血中グルコース濃度並びにHbA1cを低下させた62)。日本人2型糖尿病患者にプラセボ、エンパグリフロジン10mg又は25mgを1日1回24週間反復経口投与した。エンパグリフロジンはプラセボに比べHbA1cを低下させた33)。注)本剤の承認最大用量は25mgである。
高脂肪食を摂取させたKK-Ayマウスにエンパグリフロジンを10mg/kg1日1回8週間経口投与した時、心機能の悪化及び心線維化を抑制した52)。
雄Sprague-Dawleyラットに冠動脈の永久結紮を行い心筋梗塞を誘発したモデルにおいて、エンパグリフロジンを平均摂取量1日30mg/kgとなるように10週間混餌投与した時、心筋梗塞誘発後の心機能悪化を抑制した63)。雌のヨークシャーブタを用いた虚血再灌流誘発による心筋梗塞モデルにおいても、エンパグリフロジンの2カ月間1日1回10mgの経口投与は、左室収縮及び拡張機能を改善すると共に左室リモデリングを抑制した64)。
高濃度グルコースに曝露したヒト近位尿細管細胞(HPTC)株を使用したin vitro試験において、エンパグリフロジンは抗酸化、抗リモデリング及び抗炎症作用を示し、上皮間葉転換を抑制した53)。また、生理的グルコース濃度下でのHPTC株を使用したin vitro試験において、エンパグリフロジンはIL-1β刺激による炎症を抑制した55)。
腎疾患を自然発症する雄Ins2+/Akitaマウス及び雌BTBR ob/ob マウスにおいて、エンパグリフロジンは腎障害を抑制した(単一ネフロン糸球体濾過量、糸球体血行動態及び糸球体の大きさの正常化、収縮期血圧上昇、糖尿病性腎肥大の分子マーカーの発現及び炎症の抑制、アルブミン尿症の改善等)56),59),65)。また、雄ApoE-/-マウスに高脂肪食を与え、アテローム性動脈硬化症を伴う非タンパク尿性の慢性糖尿病性腎臓病(DKD)を誘導したモデルにおいて、エンパグリフロジンは軽度のアルブミン尿を伴うDKDの徴候を減弱させた51)。
各種腎疾患モデル動物(LPS誘導急性敗血症性腎障害マウス、5/6腎摘マウス、アンジオテンシンⅡ依存性高血圧ラット、シクロスポリンA誘導腎疾患ラット)において、エンパグリフロジンは腎障害を抑制した(リモデリング、炎症、腎線維化及び交感神経緊張の抑制、血圧、アルブミン尿、血漿中シスタチンC濃度の低下等)51),57),58),60)。
エンパグリフロジン(Empagliflozin)(JAN,INN)
(1S)-1,5-Anhydro-1-C-{4-chloro-3-[(4-{[(3S)-oxolan-3-yl]oxy}phenyl)methyl]phenyl}-D-glucitol
C23H27ClO7
450.91
白色から黄白色の粉末である。メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水に極めて溶けにくい。
150℃±2℃
logD(pH7.4)=logP=1.7
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
100錠[10錠(PTP)×10]700錠[14錠(PTP)×50]500錠[瓶、バラ]
100錠[10錠(PTP)×10]
1) 社内資料:非臨床薬物動態試験(代謝)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.4.6)
2) 社内資料:非臨床薬物動態試験(代謝)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.4.5)
3) 社内資料:非臨床薬物動態試験(代謝)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.4.5)
4) 社内資料:非臨床薬物動態試験(代謝)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.4.4)
5) Sarashina A. et al.:Drug Metab. Pharmacokinet. 2013;28(3):213-219
6) 社内資料:日本人2型糖尿病患者を対象とした4週間反復投与試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.3)
7) Macha S. et al.:J Diabetes Res. Clin. Metab. 2012;1:14
8) 社内資料:食事の影響及び用量比例性試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.1)
9) 社内資料:日本人2型糖尿病患者を対象とした腎機能障害試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.2)
10) 社内資料:ヒトADME試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.2)
11) 社内資料:非臨床薬物動態試験(代謝)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.4.5)
12) 社内資料:非臨床薬物動態試験(代謝)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.4.5)
13) 社内資料:非臨床薬物動態試験(代謝)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.4.5)
14) 社内資料:非臨床薬物動態試験(代謝)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.4.5)
15) 社内資料:非臨床薬物動態試験(トランスポーター)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.4.4)
16) 社内資料:非臨床薬物動態試験(トランスポーター)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.4.4)
17) Macha S. et al.:Diabetes Obes. Metab. 2014;16(3):215-222
18) Macha S. et al.:Diabetes Obes. Metab. 2014;16(2):118-123
19) 社内資料:2型糖尿病患者母集団薬物動態解析(2014年12月26日承認、CTD 2.7.2.2)
20) 社内資料:ゲムフィブロジルとの薬物相互作用試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.2)
21) 社内資料:リファンピシン及びプロベネシドとの薬物相互作用試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.2)
22) Macha S. et al.:Int. J. Clin. Pharmacol. Ther. 2013;51(2):132-140
23) 社内資料:ピオグリタゾンとの薬物相互作用試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.2)
24) 社内資料:ピオグリタゾンとの薬物相互作用試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.2)
25) Brand T. et al.:Adv. Ther. 2012;29(10):889-899
26) Friedrich C. et al.:Clin. Ther. 2013;35(1):A33-A42
27) Macha S. et al.:Diabetes Obes. Metab. 2013;15(4):316-323
28) Macha S. et al.:Clin. Ther. 2013;35(3):226-235
29) 社内資料:シンバスタチンとの薬物相互作用試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.2)
30) 社内資料:利尿薬(ヒドロクロロチアジド及びトラセミド)との薬物相互作用試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.2)
31) Macha S. et al.:Clin. Drug. Invest. 2013;33(5):351-357
32) 社内資料:国内第Ⅱ相用量検討及び長期安全性試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.4)
33) 社内資料:日本人2型糖尿病患者を含む国際共同第Ⅲ相24週投与試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.4)
34) 社内資料:国際共同第Ⅲ相延長試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.4)
35) 社内資料:国内第Ⅲ相併用療法長期投与試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.4)
36) 社内資料:腎機能障害を有する2型糖尿病患者を対象とした国際共同第Ⅲ相試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.4)
37) 社内資料:国際共同第Ⅲ相試験(2021年11月25日承認、CTD 2.7.6.1)
38) 社内資料:国際共同第Ⅲ相試験
39) 社内資料:国際共同第Ⅲ相試験(2024年2月9日承認、CTD 2.7.6.1)
40) Terauchi Y. et al.: Diabetes Ther. 2019 Jun; 10(3): 951-963
41) 社内資料:インスリン製剤との併用療法長期投与試験
42) *社内資料:遺伝的インスリン抵抗症及び脂肪萎縮性糖尿病患者を対象とした国内医師主導臨床試験
43) Gerich JE.:Diabetic Med.:2010;27:136-142
44) 社内資料:非臨床薬効薬理試験(in vivo単回)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.2.2)
45) Thomson S. C. et al.:Am. J. Cardiol. 2019;124 Supple 1:S28-S35
46) Zelniker T. A. et al.:J. Am. Coll. Cardiol. 2018(72):1845-1855
47) Griffin M. et al.:Circulation. 2020(142):1028-1039
48) Park SH. et al.:Cardiovasc. Diabetol. 2020(19):19
49) Oh C. M. et al.:Korean Circ. J. 2019(49):1183-1195
50) Abdurrachim D. et al.:Cardiovasc. Res. 2018(114):1843-1844
51) Tomita, I. et al.:Cell metabolism 2020 32(3):404-419
52) Li C. et al.:Cardiovasc. Diabetol. 2019(18):15
53) Das, N. A. et al.:Cellular signalling 2020(68):109506
54) Lin B. et al.:Cardiovasc. Diabetol. 2014(13):148
55) Pirklbauer, M. et al.:International journal of molecular sciences 2020 21(21):8189
56) Gembardt, F. et al.:American journal of physiology 2014 307(3):F317-F325
57) Maayah, Z. H. et al.:Inflammopharmacology 2021 29:269-279
58) Castoldi, G. et al.:Acta diabetologica 2021 58(8):1059-1070
59) Vallon, V. et al.:American journal of physiology 2014 306(2):F194-F204
60) Castoldi, G. et al.:American journal of nephrology 2020 51(2):119-129
61) 社内資料:非臨床薬効薬理試験(in vitro)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.2.2)
62) 社内資料:非臨床薬効薬理試験(in vivo反復)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.2.2)
63) Yurista SR et al.:Eur J Heart Fail. 2019(21):862-873
64) Santos-Gallego CG et al.:J Am Coll Cardiol. 2019(15):1931-1944
65) Kidokoro, K. et al.:Circulation 2019 140(4):303-315
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社DIセンター
〒141-6017 東京都品川区大崎2丁目1番1号ThinkPark Tower
0120-189-779(受付時間)9:00~18:00(土・日・祝日・弊社休業日を除く)
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
東京都品川区大崎2丁目1番1号
日本イーライリリー株式会社
神戸市中央区磯上通5丁目1番28号
Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.