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処方箋医薬品注)
2型糖尿病ただし、エンパグリフロジン及びリナグリプチンの併用による治療が適切と判断される場合に限る。
通常、成人には1日1回1錠(エンパグリフロジン/リナグリプチンとして10mg/5mg又は25mg/5mg)を朝食前又は朝食後に経口投与する。
,
エンパグリフロジンの利尿作用により脱水を起こすおそれがある。,,
症状を悪化させるおそれがある。,
**腸閉塞を含むイレウスを起こすおそれがある。
投与しないこと。エンパグリフロジンの効果が期待できない。,,
投与の必要性を慎重に判断すること。エンパグリフロジンの効果が十分に得られない可能性がある。,,,
有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、本剤を投与せず、インスリン製剤等を使用すること。エンパグリフロジンの動物実験(ラット)で、ヒトの妊娠中期及び後期にあたる幼若動物への曝露により、腎盂及び尿細管の拡張が報告されている。また、動物実験(ラット)で胎児への移行が報告されている。リナグリプチンの動物実験(ラット及びウサギ)で、胎児への移行が報告されている。
授乳しないことが望ましい。エンパグリフロジン及びリナグリプチンの動物実験(ラット)で、乳汁中への移行が報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
一般に生理機能が低下し、脱水症状(口渇等)の認知が遅れるおそれがある。,
エンパグリフロジンの国内外の臨床試験の併合解析において、75歳以上の患者では75歳未満の患者と比較し、エンパグリフロジン25mg群で体液量減少の有害事象の発現割合が高かった。
投与後血漿中には主に未変化体として存在する1)が、一部はUGT2B7、UGT1A3、UGT1A8及びUGT1A9によるグルクロン酸抱合により代謝される2)。,
主に糞中に未変化体のまま排泄される。尿中に排泄される割合は少量である。
糖尿病用薬
低血糖が起こるおそれがある。特に、スルホニルウレア剤又はインスリン製剤と併用する場合にはスルホニルウレア剤又はインスリン製剤の減量を検討すること。
血糖降下作用が増強される。
血糖降下作用を増強する薬剤
血糖値その他患者の状態を十分観察しながら投与すること。
リトナビル
リナグリプチンの代謝酵素であるCYP3A4阻害及び排泄に関与するP-gp阻害作用による。
血糖降下作用を減弱する薬剤
血糖降下作用が減弱される。
リファンピシン
リナグリプチンの代謝酵素であるCYP3A4誘導及び排泄に関与するP-gp誘導による。
利尿薬
,,
必要に応じ利尿薬の用量を調整するなど注意すること。
エンパグリフロジン:利尿作用が増強されるおそれがある。
リチウム製剤
リチウムの作用が減弱されるおそれがある。
リチウムの腎排泄を促進することにより、血清リチウム濃度が低下する可能性がある。
低血糖があらわれることがある。他のDPP-4阻害剤で、スルホニルウレア剤との併用で重篤な低血糖があらわれ、意識消失を来す例も報告されている。低血糖症状が認められた場合には、糖質を含む食品を摂取するなど適切な処置を行うこととし、α-グルコシダーゼ阻害薬との併用時にはブドウ糖を投与すること。,,,,,
口渇、多尿、頻尿、血圧低下等の症状があらわれ脱水が疑われる場合には、休薬や補液等の適切な処置を行うこと。脱水に引き続き脳梗塞を含む血栓・塞栓症等を発現した例が報告されている。,,,
ケトアシドーシス(糖尿病性ケトアシドーシスを含む)があらわれることがある。
腎盂腎炎、外陰部及び会陰部の壊死性筋膜炎(フルニエ壊疽)があらわれ、敗血症(敗血症性ショックを含む)に至ることがある。,
**腸閉塞を含むイレウスを起こすおそれがある。高度の便秘、腹部膨満、持続する腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
AST、ALTの上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。
水疱、びらん等があらわれた場合には、皮膚科医と相談し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
持続的な激しい腹痛、嘔吐等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
1%以上
0.2~1%未満
頻度不明
過敏症
**血管性浮腫、じん麻疹、気管支収縮
感染症
尿路感染、膀胱炎、性器感染(外陰部腟炎、外陰部腟カンジダ症、亀頭炎等)
代謝及び栄養障害
脂質異常症
体液量減少
血液及びリンパ系障害
血液濃縮
神経障害
めまい、味覚異常
呼吸器、胸郭及び縦隔障害
鼻咽頭炎、咳嗽
胃腸障害
便秘
鼓腸
腹部膨満、胃腸炎、口内炎
皮膚及び皮下組織障害
発疹
そう痒症
腎及び尿路障害
頻尿
多尿
尿量増加、排尿困難
生殖系障害
外陰腟そう痒症
*陰部そう痒症、包茎
一般・全身障害
口渇
空腹感、浮腫
臨床検査
血中ケトン体陽性、膵酵素(血中アミラーゼ、リパーゼ)増加、尿中ケトン体陽性
体重減少、血中クレアチニン上昇
体重増加、糸球体濾過量減少、ヘマトクリット上昇
エンパグリフロジンの作用機序により、本剤服用中は尿糖陽性、血清1,5-AG(1,5-アンヒドログルシトール)低値を示す。尿糖及び血清1,5-AGの検査結果は、血糖コントロールの参考とはならないので注意すること。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。
健康成人を対象として、本剤又は単剤併用をクロスオーバー法により空腹時単回経口投与した。本剤(エンパグリフロジン/リナグリプチン10mg/5mg)と単剤併用(エンパグリフロジン10mgとリナグリプチン5mg)投与後(56例)、並びに本剤(エンパグリフロジン/リナグリプチン25mg/5mg)と単剤併用(エンパグリフロジン25mgとリナグリプチン5mg)投与後(42例)の血漿中濃度推移データを図1に、薬物動態パラメータを表1に示す。本剤の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは、単剤併用時と類似しており、生物学的同等性の基準を満たす製剤であることが確認されている。3),4)(外国人データ)
パラメータ名[単位]
エンパグリフロジン
リナグリプチン
本剤
単剤併用
10mg/5mg
N=55
N=54
AUC0-tz[nM・h]
2590(17.5)
2560(19.3)
288(23.0)
291(23.6)
Cmax[nM]
380(24.6)
374(22.4)
9.92(36.6)
9.35(42.7)
tmax[h]
1.50(0.667-4.00)
1.02(0.667-4.00)
2.02(0.333-6.03)
2.00(0.333-6.02)
t1/2[h]
10.1(27.4)
10.3(24.1)
54.4(21.0)
55.1(22.9)
25mg/5mg
N=42
N=40
6110(21.2)
5840(20.5)
271(22.1)
256(21.7)
892(26.5)
826(23.5)
8.71(37.0)
7.83(30.5)
1.25(0.667-3.98)
1.50(0.333-6.03)
1.75(0.667-10.0)
14.0(35.6)
13.7(37.4)
55.3(18.7)
56.0(26.6)
算術平均値(変動係数%)、tmaxは中央値(最小値-最大値)
エンパグリフロジンの絶対バイオアベイラビリティの検討は行っていない。
健康成人男性に、リナグリプチン10mg注)を錠剤として経口投与したとき及び5mgを静脈内投与したとき(各10例)のデータを用いて絶対バイオアベイラビリティを算出した結果、約30%であった(母集団薬物動態解析による推定値)5)。(外国人データ)
日本人健康成人男性(22例)に、本剤(エンパグリフロジン/リナグリプチン25mg/5mg)を空腹時及び食後に単回経口投与したとき、Cmax及びAUC0-tzの幾何平均値の比(食後投与/空腹時投与)とその90%信頼区間は、エンパグリフロジンで74.9[66.3, 84.6]%及び86.0[83.4, 88.7]%、リナグリプチンで55.7[48.2, 64.3]%及び82.2[78.4, 86.2]%であった。空腹時投与に比べてtmaxの中央値はエンパグリフロジンで1.0時間、リナグリプチンで0.5時間延長した。6)注)リナグリプチンの承認用量は5mgである。
日本人腎機能正常(推定糸球体濾過量[eGFR]≥90mL/min/1.73m2、8例)及び軽度(eGFR 60~<90mL/min/1.73m2、8例)、中等度(eGFR 30~<60mL/min/1.73m2、8例)、高度腎機能障害(eGFR 15~<30mL/min/1.73m2、8例)の2型糖尿病患者にエンパグリフロジン25mg単回経口投与を行った。単回投与後の薬物動態パラメータの正常腎機能患者に対する幾何平均値の比とその90%信頼区間は、軽度、中等度、高度腎機能障害患者でそれぞれCmaxについて、93.5[72.2, 121]%、92.2[71.2, 119]%、94.0[72.6, 122]%であり、AUC0-∞について129[106, 157]%、144[118, 175]%、152[125, 185]%であった。投与後24時間までの尿中グルコース排泄量(UGE0-24h)のベースラインからの変化量の平均値は、腎機能正常患者で75.0g、軽度腎機能障害患者で62.6g、中等度腎機能障害患者で57.9g、高度腎機能障害患者で23.7gと腎機能の低下とともに減少した。7)末期腎不全患者(8例)にエンパグリフロジン50mg注)単回経口投与を行った場合、Cmax及びAUC0-∞の正常腎機能患者(8例)に対する幾何平均値の比とその90%信頼区間は、104[81.2, 133]%及び148[120, 183]%であった。UGE0-24hのベースラインからの変化量の平均値は0.78gであった24)。(外国人データ)
健康被験者(クレアチニンクリアランス[Ccr]>80mL/min、6例)及び軽度(Ccr>50~≤80mL/min、6例)、中等度腎機能障害患者(Ccr>30~≤50mL/min、6例)にリナグリプチン5mg単回及び反復投与、並びに高度(Ccr≤30mL/min、6例)及び末期腎機能障害患者(Ccr≤30mL/minで血液透析が必要、6例)にリナグリプチン5mg単回投与を行った。単回投与後のAUC0-24hは健康被験者に比べて、軽度、中等度、高度、末期腎機能障害患者でそれぞれ約1.3倍、1.6倍、1.4倍、1.5倍であり、Cmaxはそれぞれ約1.3倍、1.6倍、1.5倍、1.5倍であった。反復投与後のAUCτ,ssは健康被験者に比べて、軽度及び中等度腎機能障害患者でそれぞれ約1.1倍及び1.7倍であり、Cmax,ssはそれぞれ約1.0倍及び1.5倍であった。腎機能正常(11例)及び高度腎機能障害を有する(10例)2型糖尿病患者にリナグリプチン5mg反復投与を行った。高度腎機能障害を有する2型糖尿病患者における反復投与後のAUCτ,ss及びCmax,ssは腎機能正常2型糖尿病患者に比べて、ともに約1.4倍であった。腎機能障害患者の累積係数は健康被験者と同程度であり、尿中排泄率は腎機能障害の程度によらず全群で低かった。25)(外国人データ)
肝機能正常被験者(12例)及び軽度(Child-Pughスコア5又は6、8例)、中等度(Child-Pughスコア7~9、8例)、高度(Child-Pughスコア10~15、8例)肝機能障害者にエンパグリフロジン50mg注)単回経口投与を行った。単回投与後の薬物動態パラメータの肝機能正常被験者に対する幾何平均値の比とその90%信頼区間は、軽度、中等度及び高度肝機能障害者でそれぞれCmaxについて104[82.3, 131]%、123[97.7, 156]%、148[118, 187]%であり、AUC0-∞について123[98.9, 153]%、147[118, 183]%、175[140, 218]%であった。26)(外国人データ)
健康被験者(8例)及び軽度(Child-Pughスコア6、8例)、中等度(Child-Pughスコア7~9、9例)、高度(Child-Pughスコア10~15、8例)肝機能障害患者にリナグリプチン5mg単回投与、並びに健康被験者及び軽度、中等度肝機能障害患者にリナグリプチン5mg1日1回7日間反復投与を行った。反復投与後のAUCτ,ssは健康被験者に比べて軽度及び中等度肝機能障害患者でそれぞれ約0.8倍及び0.9倍であり、Cmax,ssは約0.6倍及び0.9倍であった。また、高度肝機能障害患者のAUC0-24hは健康被験者に比べて1.0倍、Cmaxは0.8倍であった。肝機能障害患者におけるリナグリプチンの曝露は健康被験者よりやや低く(最大36%:軽度肝機能障害患者のCmax,ss)、肝機能の低下に伴う曝露の増加はみられなかった。27)(外国人データ)
2型糖尿病患者3208例(日本人患者628例を含む)を用いた母集団薬物動態解析の結果、年齢が50歳の場合に比べてエンパグリフロジンのAUCτ,ssは65歳では8.00%、75歳では12.5%高くなると予測された。28)
日本人2型糖尿病患者(159例)にリナグリプチン5mgを1日1回26週間投与したときのトラフ時の血漿中濃度の幾何平均値(幾何変動係数%)は65歳未満で6.57nM(31.1%)、65歳以上で7.66nM(26.9%)であった。29)
注)エンパグリフロジンの承認用量は10mg及び25mgである。
健康成人男性(16例)にエンパグリフロジン50mg注)とリナグリプチン5mgを1日1回7日間反復併用投与した場合、エンパグリフロジン及びリナグリプチンの薬物動態への臨床的に問題となる影響はみられなかった。30)(外国人データ)
メトホルミン31)、グリメピリド32)、ピオグリタゾン33),34)、シタグリプチン35)、ワルファリン36)、ベラパミル37)、ラミプリル37)、シンバスタチン38)、利尿薬(ヒドロクロロチアジド及びトラセミド)39)との併用によるエンパグリフロジンの薬物動態への臨床的に問題となる影響はみられなかった。ゲムフィブロジル40)、リファンピシン41)及びプロベネシド41)との併用投与によりエンパグリフロジンのAUCは59%、35%及び53%、Cmaxは15%、75%及び26%上昇した。これらの薬物動態の変化は臨床的に問題ないと考えられた。
エンパグリフロジンの併用によるメトホルミン31)、グリメピリド32)、ピオグリタゾン33),34)、シタグリプチン35)、ワルファリン36)、ジゴキシン37)、ラミプリル37)、シンバスタチン38)、利尿薬(ヒドロクロロチアジド及びトラセミド)39)、経口避妊薬(エチニルエストラジオール及びレボノルゲストレル)42)の薬物動態への臨床的に問題となる影響はみられなかった。
メトホルミン43)、ピオグリタゾン44)、グリベンクラミド45)との併用によるリナグリプチンの薬物動態への臨床的に問題となる影響はみられなかった。リトナビル46)及びリファンピシン47)との併用投与により、リナグリプチンのAUCは2倍上昇及び40%低下、Cmaxは3倍上昇及び44%低下した。
リナグリプチンの併用によるシンバスタチン48)、メトホルミン43)、ピオグリタゾン44)、グリベンクラミド45)、ワルファリン49)、ジゴキシン50)、経口避妊薬(エチニルエストラジオール及びレボノルゲストレル)51)の薬物動態への臨床的に問題となる影響はみられなかった。
食事・運動療法に加え、リナグリプチン5mg(L5)による単剤治療で血糖コントロールが不十分な日本人2型糖尿病患者を対象に、エンパグリフロジン10mg/リナグリプチン5mg配合錠(E10/L5配合錠)を1日1回24週間経口投与し、L5投与と比較した。HbA1c(主要評価項目:NGSP値)及び空腹時血糖の投与前値からの調整平均変化量は表2のとおりであった。
HbA1c(NGSP値)(%)
空腹時血糖値(mg/dl)
L5投与群(N=93)
E10/L5配合錠投与群(N=182)
投与前値
8.36(0.08)
8.27(0.05)
178.39(3.43)
177.25(2.57)
24週時の投与前値からの変化量
0.21(0.09)
-0.93(0.06)
4.34(2.81)
-35.84(1.79)
対照群との差[95%信頼区間]
―
-1.14(0.11)[-1.36, -0.91]†
-40.18(3.33)[-46.74, -33.62]†
L5:リナグリプチン5mg、E10/L5:エンパグリフロジン10mg/リナグリプチン5mg投与前値:平均値(SE)、投与前値からの変化量及び対照群との差:調整平均変化量(SE)†:P<0.0001(MMRM:OC)
さらに24週投与時のHbA1c(NGSP値)が7.0%未満の患者には引き続きE10/L5配合錠を、7.0%以上の患者にはエンパグリフロジン25mg/リナグリプチン5mg配合錠(E25/L5配合錠)を28週目以降24週間継続投与し(計52週間)、L5投与と比較した。HbA1c及び空腹時血糖の投与前値からの調整平均変化量は表3のとおりであった。
本配合錠投与群(E10/L5,E25/L5)注)(N=182)
52週時の投与前値からの変化量
0.06(0.10)
-1.16(0.06)
1.63(3.05)
-38.48(1.67)
-1.22(0.12)[-1.45, -0.99]
-40.11(3.48)[-46.98, -33.25]
L5:リナグリプチン5mg、E10/L5:エンパグリフロジン10mg/リナグリプチン5mg、E25/L5:エンパグリフロジン25mg/リナグリプチン5mg投与前値:平均値(SE)、投与前値からの変化量及び対照群との差:調整平均変化量(SE)注):投与28週時の増量の有無に関わらない集団(E10/L5を継続投与した患者及びE25/L5に増量して投与した患者)(MMRM:OC)
なお、28週目以降にE25/L5配合錠に増量したE25/L5投与群(124例)における増量前[HbA1c(NGSP値)(SE):7.48%(0.04)]からのHbA1c変化量は-0.21%(0.03)であった。低血糖の副作用発現割合は、本配合錠投与群1.1%(2/182例)、L5投与群1.1%(1/93例)であった。52)
食事・運動療法に加え、エンパグリフロジン10mg(E10)又は25mg(E25)による単剤治療で血糖コントロールが不十分な日本人2型糖尿病患者を対象に、E10/L5配合錠又はE25/L5配合錠を1日1回24週間経口投与し、さらにE25/L5配合錠を投与した患者には引き続き計52週まで投与を継続し、それぞれE10、E25投与と比較した。HbA1c(主要評価項目(24週時):NGSP値)及び空腹時血糖の投与前値からの調整平均変化量は表4、表5のとおりであった。低血糖の副作用はE25投与群の0.9%(1/116例)にみられ、E10投与群、E10/L5配合錠投与群、及びE25/L5配合錠投与群ではみられなかった。53)
E10投与群(N=108)
E10/L5配合錠投与群(N=107)
8.40(0.07)
8.34(0.05)
159.04(2.31)
159.25(2.53)
-0.12(0.06)
-0.94(0.05)
-2.09(1.87)
-14.38(1.81)
-0.82(0.08)[-0.97, -0.67]†
-12.29(2.61)[-17.44, -7.15]†
E10:エンパグリフロジン10mg、E10/L5:エンパグリフロジン10mg/リナグリプチン5mg投与前値:平均値(SE)、投与前値からの変化量及び対照群との差:調整平均変化量(SE)†:P<0.0001(MMRM:OC)
E25投与群(N=116)
E25/L5配合錠投与群(N=116)
8.26(0.06)
149.11(1.95)
151.78(2.09)
-0.33(0.05)
-0.91(0.05)
-4.05(1.71)
-9.45(1.69)
-0.59(0.07)[-0.73, -0.45]†
-5.41(2.41)[-10.16, -0.65]‡
-0.27(0.06)
-0.86(0.06)
-0.60(2.12)
-7.13(1.84)
-0.59(0.08)[-0.75, -0.42]
-6.53(2.81)[-12.09, -0.97]
E25:エンパグリフロジン25mg、E25/L5:エンパグリフロジン25mg/リナグリプチン5mg投与前値:平均値(SE)、投与前値からの変化量及び対照群との差:調整平均変化量(SE)†:P<0.0001、‡:P=0.0260(MMRM:OC)
腎臓で濾過されたグルコースは近位尿細管に存在するヒトナトリウム-グルコース共役輸送担体2(SGLT2)によってほぼ完全に再吸収され、わずかではあるがSGLT1によっても再吸収される54)。エンパグリフロジンはSGLT2選択的な競合阻害剤で、腎臓によるグルコースの再吸収を阻害することにより尿中グルコース排泄量を増加させ、血糖を低下させる55)。
リナグリプチンはジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)の競合的かつ可逆的な選択的阻害剤である。DPP-4は膜結合型プロテアーゼで、腎臓、肝臓、腸、リンパ球及び血管内皮細胞など多くの組織に広く発現しており、インクレチンと呼ばれるグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)とグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)を分解し、不活性化する。リナグリプチンはDPP-4の活性を阻害することで、GLP-1とGIPレベルを上昇させ、これらインクレチンによる強力なグルコース依存性インスリン分泌刺激作用により、インスリン分泌が促進される56)。さらに、GLP-1の作用によりグルカゴン放出も抑制される。この作用により食後の血糖コントロールを改善する。
Zucker糖尿病肥満(ZDF)ラットを用いた経口糖負荷試験において、エンパグリフロジンとリナグリプチンの単回併用投与により、いずれか単剤を投与した時に比べて血漿グルコース濃度上昇が抑制された57)。
In vitro試験で、エンパグリフロジンはSGLT2を選択的に阻害し(IC50:1.3nM)、ヒトSGLT1(IC50:6278nM)と比較して約5000倍の選択性を示した58)。
糖尿病モデル動物(db/dbマウス及びZDFラット)において、エンパグリフロジンは単回経口投与により尿中グルコース排泄量(投与後7時間)を増加させた55)。日本人2型糖尿病患者にエンパグリフロジン1mg、5mg、10mg、25mg又はプラセボを1日1回4週間反復経口投与した。エンパグリフロジンはプラセボに比べ投与28日目の投与24時間後までの累積尿中グルコース排泄量を増加させた59)。
糖尿病モデル動物(db/dbマウス及びZDFラット)において、エンパグリフロジンは単回経口投与により血糖低下作用を示した55)。さらに、ZDFラットにおいて、エンパグリフロジンは1日1回5週間反復経口投与により、投与22日目(摂食下)及び投与37日目(絶食下)の血中グルコース濃度並びにHbA1cを低下させた60)。日本人2型糖尿病患者にプラセボ、エンパグリフロジン10mg又は25mgを1日1回24週間反復経口投与した。エンパグリフロジンはプラセボに比べHbA1cを低下させた61)。
リナグリプチンは、in vitroにおいて、ヒトDPP-4(血漿、Caco-2細胞由来)の活性を選択的に阻害する(IC50値:1~3.6nM)62)。リナグリプチンの血漿中のDPP-4活性に対する阻害作用(80%以上)は、その薬物動態特性により、24時間持続する22)。
リナグリプチンは正常動物(マウス及びラット)において、GLP-1とインスリンの分泌を増大し、グルコース負荷試験による血糖値上昇を有意に抑制した62)。さらに、2型糖尿病を示す数種のモデル動物(db/dbマウス、肥満Zucker Fattyラット、ZDFラット)においても、グルコース負荷試験による血糖値上昇を有意に抑制した62)。重度のインスリン抵抗性を持つdb/dbマウスにおいて、HbA1cを有意に低下させた63)。日本人の2型糖尿病患者において、リナグリプチンは血中GLP-1濃度を増加させ、血糖値を低下させた64)。
エンパグリフロジン(Empagliflozin)(JAN,INN)
(1S)-1,5-Anhydro-1-C-{4-chloro-3-[(4-{[(3S)-oxolan-3-yl]oxy}phenyl)methyl]phenyl}-D-glucitol
C23H27ClO7
450.91
白色から黄白色の粉末である。メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水に極めて溶けにくい。
150℃±2℃
logD(pH7.4)=logP=1.7
リナグリプチン(Linagliptin)(JAN,INN)
8-[(3R)-3-aminopiperidin-1-yl]-7-(but-2-yn-1-yl)-3-methyl-1-[(4-methylquinazolin-2-yl)methyl]-3,7-dihydro-1H-purine-2,6-dione
C25H28N8O2
472.54
白色~帯黄白色の粉末である。エタノール(99.5)にやや溶けにくく、水に極めて溶けにくい。
202~209℃
logD=0.4(pH7.4)
100錠[10錠(PTP)×10]
1) 社内資料:エンパグリフロジン非臨床薬物動態試験(代謝)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.4.5)
2) 社内資料:エンパグリフロジン非臨床薬物動態試験(代謝)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.4.5)
3) 社内資料:エンパグリフロジン/リナグリプチン配合剤の生物学的同等性試験(2018年9月21日承認、CTD 2.7.1.4、2.7.6.1)
4) 社内資料:エンパグリフロジン/リナグリプチン配合剤の薬物動態試験(2018年9月21日承認、CTD 2.7.6.1)
5) Retlich S. et al.:Clin Pharmacokinet. 2010;49(12):829-840
6) 遅野井 健ほか:Jpn Pharmacol Ther. 2018;46(3):343-353
7) 社内資料:日本人2型糖尿病患者を対象としたエンパグリフロジンの腎機能障害試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.2)
8) 社内資料:エンパグリフロジンのヒトADME試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.2)
9) 社内資料:リナグリプチン非臨床薬物動態試験(血漿蛋白結合)(2011年7月1日承認、CTD 2.6.4.4)
10) 社内資料:エンパグリフロジン非臨床薬物動態試験(代謝)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.4.5)
11) 社内資料:エンパグリフロジン非臨床薬物動態試験(代謝)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.4.5)
12) 社内資料:エンパグリフロジン非臨床薬物動態試験(代謝)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.4.5)
13) 社内資料:エンパグリフロジン非臨床薬物動態試験(代謝)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.4.5)
14) 社内資料:リナグリプチン非臨床薬物動態試験(代謝)(2011年7月1日承認、CTD 2.6.4.5)
15) 社内資料:リナグリプチン非臨床薬物動態試験(代謝)(2011年7月1日承認、CTD 2.7.2.3)
16) 社内資料 リナグリプチン非臨床薬物動態試験(代謝)(2011年7月1日承認、CTD 2.6.4.5)
17) 社内資料:健康成人を対象としたリナグリプチンの14C標識体単回投与試験(2011年7月1日承認、CTD 2.7.6.2)
18) Sarashina A. et al.:Drug Metab. Pharmacokinet. 2013;28(3):213-219
19) 社内資料:エンパグリフロジン非臨床薬物動態試験(代謝)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.4.4)
20) 社内資料:エンパグリフロジン非臨床薬物動態試験(トランスポーター)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.4.4)
21) 社内資料:エンパグリフロジン非臨床薬物動態試験(トランスポーター)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.4.4)
22) 社内資料:健康成人を対象としたリナグリプチンの単回及び反復投与試験(2011年7月1日承認、CTD 2.7.6.2)
23) 社内資料:リナグリプチン非臨床薬物動態試験(トランスポーター)(2011年7月1日承認、CTD 2.6.4.4)
24) Macha S. et al.:Diabetes Obes. Metab. 2014;16(3):215-222
25) Graefe-Mody U. et al.:Diabetes Obes Metab. 2011;13(10):939-946
26) Macha S. et al.:Diabetes Obes. Metab. 2014;16(2):118-123
27) Graefe-Mody U. et al.:Br J Clin Pharmacol. 2012;74(1):75-85
28) 社内資料:エンパグリフロジンの2型糖尿病患者母集団薬物動態解析(2014年12月26日承認、CTD 2.7.2.2)
29) 社内資料:リナグリプチンの検証試験(2011年7月1日承認、CTD 2.7.6.4)
30) Friedrich C. et al.:Clin. Ther. 2013;35(1):A33-A42
31) Macha S. et al.:Int. J. Clin. Pharmacol. Ther. 2013;51(2):132-140
32) Macha S. et al.:J Diabetes Res. Clin. Metab. 2012;1:14
33) 社内資料:エンパグリフロジンとピオグリタゾンとの薬物相互作用試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.2)
34) 社内資料:エンパグリフロジンとピオグリタゾンとの薬物相互作用試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.2)
35) Brand T. et al.:Adv. Ther. 2012;29(10):889-899
36) Macha S. et al.:Diabetes Obes. Metab. 2013;15(4):316-323
37) Macha S. et al.:Clin. Ther. 2013;35(3):226-235
38) 社内資料:エンパグリフロジンとシンバスタチンとの薬物相互作用試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.2)
39) 社内資料:エンパグリフロジンと利尿薬(ヒドロクロロチアジド及びトラセミド)との薬物相互作用試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.2)
40) 社内資料:エンパグリフロジンとゲムフィブロジルとの薬物相互作用試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.2)
41) 社内資料:エンパグリフロジンとリファンピシン及びプロベネシドとの薬物相互作用試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.2)
42) Macha S. et al.:Clin. Drug. Invest. 2013;33(5):351-357
43) Graefe-Mody EU. et al.:Curr Med Res Opin. 2009;25(8):1963-1972
44) Graefe-Mody EU. et al.:Int J Clin Pharmacol Ther. 2010;48(10):652-661
45) Graefe-Mody U. et al.:Drug Metab Pharmacokinet. 2011;26(2):123-129
46) 社内資料:リナグリプチンとリトナビルとの薬物相互作用試験(2011年7月1日承認、CTD 2.7.2.2)
47) 社内資料:リナグリプチンとリファンピシンとの薬物相互作用試験(2011年7月1日承認、CTD 2.7.2.2)
48) Graefe-Mody U. et al.:Int J Clin Pharmacol Ther. 2010;48(6):367-374
49) Graefe-Mody EU. et al.:Int J Clin Pharmacol Ther. 2011;49(5):300-310
50) Friedrich C. et al.:Eur J Drug Metab Pharmacokinet. 2011;36(1):17-24
51) Friedrich C. et al.:Clin Drug Investig. 2011;31(9):643-653
52) 社内資料:エンパグリフロジン/リナグリプチン配合剤国内第Ⅲ相比較・検証試験(2018年9月21日承認、CTD 2.7.6.3)
53) 社内資料:エンパグリフロジン/リナグリプチン配合剤国内第Ⅲ相比較・検証試験(2018年9月21日承認、CTD 2.7.6.3)
54) Gerich JE.:Diabetic Med.:2010;27:136-142
55) 社内資料:エンパグリフロジン非臨床薬効薬理試験(in vivo単回)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.2.2)
56) Rauch T. et al.:Diabetes Ther. 2012;3(1):10
57) 社内資料:非臨床薬効薬理試験(in vivo併用時)(2018年9月21日承認、CTD 2.6.2.2)
58) 社内資料:エンパグリフロジン非臨床薬効薬理試験(in vitro)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.2.2)
59) 社内資料:エンパグリフロジンの日本人2型糖尿病患者を対象とした4週間反復投与試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.3)
60) 社内資料:エンパグリフロジン非臨床薬効薬理試験(in vivo反復)(2014年12月26日承認、CTD 2.6.2.2)
61) 社内資料:エンパグリフロジンの日本人2型糖尿病患者を含む国際共同第Ⅲ相24週投与試験(2014年12月26日承認、CTD 2.7.6.4)
62) 社内資料:リナグリプチン非臨床薬効薬理試験(2011年7月1日承認、CTD 2.6.2.2)
63) 社内資料:リナグリプチン非臨床薬効薬理試験(2011年7月1日承認、CTD 2.6.2.2)
64) Horie Y. et al.:Clin Ther. 2011;33(7):973-989
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