当ウェブサイトを快適にご覧いただくには、ブラウザのJavaScript設定を有効(オン)にしていただく必要がございます。
毒薬
処方箋医薬品注)
本剤は、その作用及び使用法について熟知した医師のみが使用すること。
麻酔時の筋弛緩、気管挿管時の筋弛緩
通常、成人には挿管用量としてロクロニウム臭化物0.6mg/kgを静脈内投与し、術中必要に応じて0.1~0.2mg/kgを追加投与する。持続注入により投与する場合は、7μg/kg/分の投与速度で持続注入を開始する。なお、年齢、症状に応じて適宜増減するが、挿管用量の上限は0.9mg/kgまでとする。
換気不全により、患者の自発呼吸の再開が遅れるおそれがある。
本剤の排泄が遅れるため作用が遷延することがある。
喘息発作、気管支痙攣を起こすおそれがある。
本剤の作用が増強されるおそれがある。
作用が増強し、作用持続時間が延長するおそれがある。
非脱分極性筋弛緩剤に対する感受性が極めて高い。
本剤の作用の増強又は減弱が生じることがある。
作用発現時間が遅延し、また作用が遷延することがある。
実体重で投与量を算出した場合、作用持続時間が延長し回復が遅延するおそれがある。
筋弛緩剤の作用が抑制されることが知られている。
重篤な感染症を合併している患者や新生児において、散瞳及び固定瞳孔がみられたとの報告がある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
小児等を対象とした国内臨床試験は実施していない。小児患者(704例)を対象とした本剤(投与量上限1mg/kg)の11の海外臨床試験のメタアナリシスでは、副作用として頻脈(1.4%)が認められた。作用発現時間が早く、また小児では作用持続時間が短い。
本剤の排泄が遅れるため作用が遷延することがある。患者の状態を観察しながら、挿管用量を0.6mg/kgとして慎重に投与すること。また、術中必要に応じて追加投与する場合は、挿管用量での作用持続時間を考慮の上、用量を決定すること。本剤0.6mg/kgを投与したとき、高齢者では非高齢者と比較してクリアランスが約16%(高齢者:3.45mL/min/kg、非高齢者:4.11mL/min/kg)低下し、高齢者の作用持続時間は非高齢者と比較して約1.5倍(高齢者:42.4分、非高齢者:27.5分)延長した1)。
スキサメトニウム塩化物水和物
スキサメトニウム投与後に本剤を投与すると、本剤の筋弛緩作用が増強されることがある。また本剤投与後、スキサメトニウムを投与すると本剤の作用が増強又は減弱される。
脱分極性の筋弛緩剤との併用により本剤の作用が増強されると考えられるが、減弱の機序については不明である。
他の非脱分極性筋弛緩剤
本剤と他の非脱分極性筋弛緩剤との投与順により、本剤の筋弛緩作用が減弱あるいは、増強することがある。
作用持続時間の異なる非脱分極性筋弛緩剤を逐次使用した場合、最初に使用した筋弛緩剤の作用が影響する。
吸入麻酔剤
リチウム塩製剤
本剤の筋弛緩作用が増強されることがあるので、併用する場合には減量するなど注意すること。
筋弛緩作用を有する。
カリウム排泄型利尿剤
低カリウム血症により本剤の作用が増強されることがある。
MAO阻害剤
プロタミン製剤
不整脈用剤
メトロニダゾール
カルシウム拮抗剤
シメチジン
ブピバカイン
機序不明
抗生物質
マグネシウム塩製剤
キニジン
キニーネ
本剤の筋弛緩作用が増強されることがあるので、併用する場合には減量するなど注意すること。また、これらの薬剤を術後に投与した場合、本剤の筋弛緩作用が再発現(再クラーレ化)することがある。
これらの薬剤は筋弛緩作用を有するため作用が増強されると考えられている。再クラーレ化については機序不明である。
フェニトイン
術中の静脈内投与により本剤の筋弛緩作用が増強されることがあるので、併用する場合は注意すること。
塩化カルシウム製剤
塩化カリウム製剤
本剤の筋弛緩作用が減弱されることがある。
Ca2+及びK+は骨格筋の収縮に関与している。
プロテアーゼ阻害剤
副腎皮質ホルモン剤
抗てんかん剤
長期前投与により、本剤の筋弛緩作用が減弱されることがある。
リドカイン
本剤の筋弛緩作用が増強される及びリドカインの作用発現が早まることがあるので、併用する場合には減量するなど注意すること。
ショック、アナフィラキシー(気道内圧上昇、血圧低下、頻脈、全身発赤等)を起こすことがある。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。
1%未満
頻度不明
神経系障害
浮動性めまい
心臓障害
徐脈、洞性徐脈、心室性期外収縮
血管障害
低血圧、潮紅
胃腸障害
上腹部痛
皮膚及び皮下組織障害
接触性皮膚炎、発疹
発赤
全身障害及び投与局所様態
注射部位紅斑
疼痛*
臨床検査
心拍数増加、血圧上昇、血圧低下、アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、血中ビリルビン増加、白血球数減少、白血球数増加、血小板数減少、血小板数増加、血中アルカリホスファターゼ増加、血中アルカリホスファターゼ減少、血中コレステロール増加
筋弛緩作用が遷延することがある。
自発呼吸が回復するまで呼吸管理を行うこと。また、筋弛緩モニターを必要に応じて行うこと。
アムホテリシンB、ヒドロコルチゾンコハク酸エステルナトリウム、メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム、チアミラールナトリウム、チオペンタールナトリウム、フロセミドと混合すると沈殿を生じるので、別々の投与経路で使用するか、又は同一点滴回路を使用する場合は回路内を生理食塩水等の中性溶液を用いて洗浄するなど混合しないようにすること。
本剤を承認外の適応である呼吸管理を目的として長期にわたり連続投与した際に、筋弛緩作用の遷延又は四肢麻痺等を生じたとの報告がある。また、他の非脱分極性筋弛緩剤で、同様の投与を重症の新生児又は乳児に行った際に、難聴を生じたとの報告がある。
国内臨床試験において、バランス麻酔下の患者(59例)にロクロニウム臭化物0.3、0.6、0.9mg/kgを単回静脈内投与したときの薬物動態パラメータを下表に示す2)。
投与量(mg/kg)
症例数
半減期(min)
MRT(min)
CL(mL/min/kg)
Vss(mL/kg)
AUC(mg・min/mL)
0.3
20
48±17
33±13
4.5±0.9
146±55
0.07±0.01
0.6
19
75±28
46±13
4.1±1.0
181±48
0.15±0.03
0.9
76±19
47±14
3.8±0.8
172±39
0.25±0.05
平均値±標準偏差
スフェンタニル麻酔下の患者11例にロクロニウム臭化物0.6mg/kgを単回静脈内投与し、維持用量として0.3mg/kg注1)を静脈内投与した後、持続点滴注入を15μg/kg/分で開始した注2)。血漿中に少量の代謝物17-脱アセチル体が検出された3)(外国人データ)。
スフェンタニル麻酔下の患者11例にロクロニウム臭化物0.6mg/kgを単回静脈内投与し、維持用量として0.3mg/kg注1)を静脈内投与した後、持続点滴注入を15μg/kg/分で開始した注2)。静脈内持続注入の開始から投与終了後12時間までの未変化体の尿中排泄率は38%であった。尿中に代謝物は検出されなかった3)(外国人データ)。
腎不全患者及び肝機能障害患者では正常肝・腎機能患者と比較してロクロニウム臭化物のクリアランスが約20%(腎不全患者:2.18mL/min/kg、肝機能障害患者:2.16mL/min/kg、正常肝・腎機能患者:2.72mL/min/kg)減少し、肝機能障害患者では消失半減期が約1.75倍(正常肝・腎機能患者:145分、肝機能障害患者:255分)延長した4)。,
ロクロニウム臭化物0.6mg/kgを投与したとき、高齢者では非高齢者と比較してクリアランスが約16%(高齢者:3.45mL/min/kg、非高齢者:4.11mL/min/kg)低下した1)。注1)本剤の承認された維持用量は0.1~0.2mg/kgである。注2)本剤の承認された初期注入速度は7μg/kg/分である。
筋弛緩作用(気管挿管時)国内で実施されたオープン試験(3試験)において、プロポフォール麻酔下の各科領域手術患者(ASA分類Class 1~3)に、ロクロニウム臭化物の挿管用量0.6mg/kg、0.9mg/kg又はベクロニウム臭化物0.1mg/kgを投与した際の筋弛緩作用を以下に示す5),6),7),8)。ロクロニウム臭化物の作用発現時間はベクロニウム臭化物と比較して有意に早かった5)。
挿管用量
ロクロニウム臭化物0.6mg/kg
ロクロニウム臭化物0.9mg/kg
ベクロニウム臭化物0.1mg/kg
90%遮断時間(秒)
70.7±22.1(n=71)
65.6±17.5(n=64)
108.2±32.4(n=30)
作用発現時間(秒)
84.8±28.5(n=71)
77.8±31.0(n=64)
125.7±38.0(n=30)
最大遮断率(%)
99.7±1.1(n=71)
99.7±1.1(n=64)
99.8±0.9(n=30)
挿管完了時間(秒)
166.7±94.4(n=71)
151.6±76.4(n=63)
231.1±103.1(n=30)
作用持続時間(分)
54.2±33.3(n=42)
82.1±29.6(n=36)
59.9±28.3(n=30)
挿管スコア
優秀
良好
不良
不可
32
34
5
0
37
26
1
15
13
2
%
45.1
47.9
7.0
57.8
40.6
1.6
50.0
43.3
6.7
3試験の併合データ。数字は平均値±標準偏差 作用持続時間はセボフルラン麻酔下での2試験の併合データ。90%遮断時間:ロクロニウム臭化物投与完了から単収縮高の90%遮断までの時間作用発現時間:ロクロニウム臭化物投与完了から最大遮断が得られるまでの時間最大遮断率:最大遮断時の遮断率
麻酔薬
セボフルラン
53.4±36.9(n=30)
73.4±20.5(n=27)
ベクロニウム群との差と95%信頼区間
-6.5-21.7~8.7
13.5-2.1~29.2
プロポフォール
41.2±8.7(n=9)
56.4±23.6(n=12)
63.4±25.2(n=9)
108.1±38.3(n=9)
麻酔薬群間の差と95%信頼区間
-15-33~2
-45-77~-12
ロクロニウム臭化物の挿管用量
0.6mg/kg
0.9mg/kg
21.8±9.5(n=8)
27.3±15.4(n=8)
34.8±13.5(n=11)
42.3±11.5(n=8)
セボフルラン群との差と95%信頼区間*
-14-22.7~-5.2
平均値±標準偏差*:挿管用量群の結果を併合し、解析したもの
回復時間:TOF比0.9までの回復時間セボフルラン麻酔下の手術患者において、ロクロニウム臭化物0.9mg/kgを静脈内投与した後、筋弛緩モニターにおける四連(TOF)刺激による2回目の収縮反応(T2)の再出現時からTOF比(T4/T1の比)0.9に回復するまでの自然回復時間は82.1±27.6分(n=6、平均±標準偏差)であった11)。
麻酔下のネコ及びブタを用いた試験においてロクロニウム臭化物の筋弛緩作用のED50値はベクロニウム臭化物の約5倍であった。ネコにおいて、ED90の投与量のロクロニウム臭化物投与による作用発現時間は同効力のベクロニウム臭化物の2倍早かった。ネコ及びブタにおいてED90の投与量のロクロニウム臭化物とベクロニウム臭化物の作用持続時間はほぼ同等であった13)。
ロクロニウム臭化物(Rocuronium Bromide)
(+)-(17β-acetoxy-3α-hydroxy-2β-morpholino-5α-androstan-16β-yl)-1-allyl-1-pyrrolidinium bromide
C32H53BrN2O4
609.68
白色~帯黄白色の粉末である。水、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、メタノール又はエタノール(99.5)に極めて溶けやすい。吸湿性である。
バイアルを開封後は速やかに使用すること。
10バイアル
1) 高齢者(エスラックス静注 : 2007年8月16日承認、申請資料概要 2.7.6.6)
2) 鈴木孝浩、他. 麻酔. 2006 ; 55 : 419-427
3) 代謝(エスラックス静注 : 2007年8月16日承認、申請資料概要 2.7.6.7)
4) 腎不全患者及び肝機能障害患者(エスラックス静注 : 2007年8月16日承認、申請資料概要 2.7.6.5)
5) 新宮興、他. 麻酔. 2006 ; 55 : 1140-1148
6) 小竹良文、他. 麻酔. 2006 ; 55 : 873-879
7) 高木俊一、他. 麻酔. 2006 ; 55 : 963-970
8) 臨床的有効性の概要(エスラックス静注 : 2007年8月16日承認、申請資料概要 2.7.3)
9) ベクロニウムを対照としたOrg9426の検証的試験(エスラックス静注 : 2007年8月16日承認、申請資料概要 2.7.6.1))
10) Org9426のボーラス投与時における麻酔薬との相互作用検討試験(エスラックス静注 : 2007年8月16日承認、申請資料概要 2.7.6.3)
11) 日本人を対象としたT2再出現時投与におけるブリッジング試験(ブリディオン静注 : 2010年1月20日承認、申請資料概要 2.7.3)
12) 薬理学的分類(エスラックス静注 : 2007年8月16日承認、申請資料概要 2.5.1.1)
13) Muir AW, et al. Br J Anaesth. 1989 ; 63 : 400-410
富士製薬工業株式会社 くすり相談室
〒939-3515 富山県富山市水橋辻ヶ堂1515番地
(TEL)0120-956-792(FAX)076-478-0336
富士製薬工業株式会社
富山県富山市水橋辻ヶ堂1515番地
Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.